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第30話 エリカちゃんが好き?
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真宮さんと仲里さんの背後に立つピンク髪の園崎杏奈は俺を睨むようにして立っている。
「ちょっと言わせてもらいますけど! そこの男がぶつかってきたのが悪いのよ? 怪我をしていたら治療費くらい請求して当たり前じゃない!」
彼女は腕組みをしたまま、まくしたてるように言った。
園崎杏奈の言っていることは間違いではない。まぁ、彼女もよそ見をしていた可能性はあるけれど……。
とりあえず元気そうなので怪我の方は心配なさそうで良かった。
「えーと……春時、この人だれ?」
「いま話してただろ? 俺がぶつかった女の子だよ」
「あっ! 当たり屋の子だ!」
「だから違うって言ってるでしょ! わたしには園崎杏奈っていう名前があるんだから! 失礼ね」
「園崎だか園崎だかしらないけど、あたしは真宮葵なんだけど!」
真宮さん……それ、同じ名前を繰り返しているだけだぞ。しかもなんで自己紹介してるんだ。
やれやれ……いったい、この状況はなんなんだよ。
「あの……園崎さん? お体の方は大丈夫なんですか?」
おちついた声で仲里さんが園崎杏奈に声をかけた。
仲里さんはやさしいなぁ……中身は真宮さんだけど。
「はぁ? なんともないわよっ……て、あなた……名前は?」
「え? えーと……仲里です」
「下の名前も教えて」
「あの……エリカですけど?」
「エリカ……エリカちゃん……可愛いぃいい! なになに? ハッキリいって、ちょう好みなんですけど!」
ん? なんか様子がおかしいぞ。
「こんな可愛い子がこの世に存在しているなんて……あの、もしよかったら、わたしと二人で泳ぎませんか? その……す、好きです……」
園崎杏奈は真宮さんや俺の存在など無視をして仲里さんの両手をにぎり、いきなり猛アピールをはじめた。
好きって……なにいきなり告白みたいなこと言ってんだ。
もしかして、この子ちょっと危ない?
彼女は仲里さんの手首をつかみ、無理矢理どこかへ連れていこうとしている。
「は、早見くん!」
なっ! いくらなんでも強引すぎだ。と、止めないと!
「ちょ、ちょっと園崎さん! 仲里さんが困っているから」
俺の声に園崎杏奈の動きがピタッと止まる。
「は? なにあんた? 邪魔しないでくれる?」
「いやいや、邪魔って……仲里さんはこのあと俺たちと予定が入ってるからさ」
「予定? ていうか、なんであんたみたいな、冴えない男がエリカちゃんと一緒にいるのよ」
「な、なんでといわれても……」
そりゃあ、仲里さんと俺とじゃ、端からみたら不釣り合いかもしれないけれど……一応、彼女だし……ってハッキリ言えればなぁ……なんだか気が引けてしまって口に出しにくい。
「エリカちゃん! こんな男よりわたしと遊んだ方が絶対に楽しいよ!」
「あの……園崎さん」
「なに? エリカちゃん!」
「早見くんのこと悪く言うのはやめてください」
「え? なに? どういうこと?」
「……早見くんは、私の、その……私の彼なんです! だから春時くんのことを悪くいうのなら、許しません!」
な、仲里さん……。
「か、彼氏? この男が? えぇええ! ウソよウソ! エリカちゃんの彼氏がこんな男なわけないわぁあああ! エリカちゃんのウソつき-!」
園崎杏奈は取り乱したかのように口走ると、その場から走り去ってしまった。
まったく、人騒がせな子だったなぁ……でも元気そうだったし、もう彼女とは会うことはないだろう……多分。
園崎杏奈が去ったあとは、流れるプールに流される真宮さんを仲里さんと二人で笑ったり、三人でドーム内にあるアトラクションを楽しんで、無事に? その日は終わった。
ただ、一つだけ気になることがあって、仲里さんは結局、プールの中には一度も入ることはなかった。
ただ泳げないだとか、泳ぎたい気分じゃなかったということであれば別にいいのだけれど。
今度、真宮さんにそれとなく聞いてみようかな? なにか知っているかもしれない……。
「ちょっと言わせてもらいますけど! そこの男がぶつかってきたのが悪いのよ? 怪我をしていたら治療費くらい請求して当たり前じゃない!」
彼女は腕組みをしたまま、まくしたてるように言った。
園崎杏奈の言っていることは間違いではない。まぁ、彼女もよそ見をしていた可能性はあるけれど……。
とりあえず元気そうなので怪我の方は心配なさそうで良かった。
「えーと……春時、この人だれ?」
「いま話してただろ? 俺がぶつかった女の子だよ」
「あっ! 当たり屋の子だ!」
「だから違うって言ってるでしょ! わたしには園崎杏奈っていう名前があるんだから! 失礼ね」
「園崎だか園崎だかしらないけど、あたしは真宮葵なんだけど!」
真宮さん……それ、同じ名前を繰り返しているだけだぞ。しかもなんで自己紹介してるんだ。
やれやれ……いったい、この状況はなんなんだよ。
「あの……園崎さん? お体の方は大丈夫なんですか?」
おちついた声で仲里さんが園崎杏奈に声をかけた。
仲里さんはやさしいなぁ……中身は真宮さんだけど。
「はぁ? なんともないわよっ……て、あなた……名前は?」
「え? えーと……仲里です」
「下の名前も教えて」
「あの……エリカですけど?」
「エリカ……エリカちゃん……可愛いぃいい! なになに? ハッキリいって、ちょう好みなんですけど!」
ん? なんか様子がおかしいぞ。
「こんな可愛い子がこの世に存在しているなんて……あの、もしよかったら、わたしと二人で泳ぎませんか? その……す、好きです……」
園崎杏奈は真宮さんや俺の存在など無視をして仲里さんの両手をにぎり、いきなり猛アピールをはじめた。
好きって……なにいきなり告白みたいなこと言ってんだ。
もしかして、この子ちょっと危ない?
彼女は仲里さんの手首をつかみ、無理矢理どこかへ連れていこうとしている。
「は、早見くん!」
なっ! いくらなんでも強引すぎだ。と、止めないと!
「ちょ、ちょっと園崎さん! 仲里さんが困っているから」
俺の声に園崎杏奈の動きがピタッと止まる。
「は? なにあんた? 邪魔しないでくれる?」
「いやいや、邪魔って……仲里さんはこのあと俺たちと予定が入ってるからさ」
「予定? ていうか、なんであんたみたいな、冴えない男がエリカちゃんと一緒にいるのよ」
「な、なんでといわれても……」
そりゃあ、仲里さんと俺とじゃ、端からみたら不釣り合いかもしれないけれど……一応、彼女だし……ってハッキリ言えればなぁ……なんだか気が引けてしまって口に出しにくい。
「エリカちゃん! こんな男よりわたしと遊んだ方が絶対に楽しいよ!」
「あの……園崎さん」
「なに? エリカちゃん!」
「早見くんのこと悪く言うのはやめてください」
「え? なに? どういうこと?」
「……早見くんは、私の、その……私の彼なんです! だから春時くんのことを悪くいうのなら、許しません!」
な、仲里さん……。
「か、彼氏? この男が? えぇええ! ウソよウソ! エリカちゃんの彼氏がこんな男なわけないわぁあああ! エリカちゃんのウソつき-!」
園崎杏奈は取り乱したかのように口走ると、その場から走り去ってしまった。
まったく、人騒がせな子だったなぁ……でも元気そうだったし、もう彼女とは会うことはないだろう……多分。
園崎杏奈が去ったあとは、流れるプールに流される真宮さんを仲里さんと二人で笑ったり、三人でドーム内にあるアトラクションを楽しんで、無事に? その日は終わった。
ただ、一つだけ気になることがあって、仲里さんは結局、プールの中には一度も入ることはなかった。
ただ泳げないだとか、泳ぎたい気分じゃなかったということであれば別にいいのだけれど。
今度、真宮さんにそれとなく聞いてみようかな? なにか知っているかもしれない……。
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