35 / 72
第35話 びっくりさせないでよね
しおりを挟む
果奈がスリッパの音をパタパタと鳴らしながら俺たちを出迎えた。
昼を過ぎているというのに、まだパジャマ姿のままなのか……。
この妹は、ほうっておいたらこのまま夜まで着替えなそうだ。あとで注意をしておかないとな。
「果奈ちゃん、さっきはありがとうね。バーガークイーンで春時つかまえてきたよ」
「真宮さんのお役に立てて良かったです! 仲里さんもいらっしゃい。あれぇ? にぃにぃ、はじめましての方がいる?」
「この人は、園崎杏奈さん。えーと……知り合いなんだ」
「わわわっ! その制服、白石女子高等学校のですよね? 園崎さんって頭いいんですね! でーじそーがさい!」
果奈はいつものように、方言まじりで話すが、初対面の相手に使ってくるとは……伝わらなかったどうするんだ。
でーじそーがさいってなんだ?
「へー、かわいい子ねぇ……早見の妹にしておくのが、もったいないわ。少し方言が混じっていたけど、あなたたち地方から引っ越してきたの?」
「あ、気にしないでくれ。今、沖縄弁ブームがきてるだけだから」
「べつに、気にならないわよ。あなただったら違和感あるけど」
「ああ、そうですか……」
「みなさん、ここで立ち話もなんですから、どうぞあがってください」
「できた子じゃない……」
「どういたしまして」
杏奈さんと話しているあいだに真宮さんと仲里さんはリビングの方へ向かっていた。
俺と杏奈さんも後に続く。
リビングに入ると真宮さんはソファに腰をかけ、テレビのスイッチをいれた。
見たことのないドラマが画面にながれる。
果奈と仲里さんは奥のキッチンに向かったようだけど、きっとみんなの飲み物でも用意するつもりなんだろう。
真宮さんは、そういうことに気は回らないんだよなぁ……俺もだけど。
「あっ! 杏奈さんも適当なところに座ってよ」
「そうさせてもらうわ。それにしても外からみてもすごかったけど、家の中も広いのねぇ。この家、部屋いくつあるの?」
部屋数か……いくつだっけ? 普段、使わない部屋とかたくさんあるからなぁ……急に言われてもパッと思い出せないんだけど。
「一階が七部屋に二階が六部屋の計、十三部屋あるわね。その他に洗濯室、浴槽、トイレが三カ所ってところかしら」
「へー、すごいわねぇ」
「あー、たしかに、そんな感じかも……って、なんで真宮さん、俺の家のことそんなに詳しいんだよ」
「にぃにぃが、いないとき、果奈が家のなかを案内したんだよ」
キッチンから出てきた果奈が会話に入ってきた。両手でジュースを乗せたトレイをもっている。
「それでさっきはプールのことも知っていたのか」
「あれぇ? 真宮さんにプールまでみせたかなぁ……」
「ん? どういうことだ?」
「あー! 果奈ちゃん! あたしオレンジジュースもらっていい?」
「あっ! はい、どうぞ! 真宮さんオレンジジュース好きですよねぇ。みなさんもお好きなものを選んでください」
まぁ、いいか……。
みんなでリビングのテーブルを囲むように座り、果奈と仲里さんが用意してくれたジュースやお菓子を食べていると、突然、真宮さんが勢いよく立ちあがった。
なんだなんだ! ものすごく嫌な予感がするんですけど……。
「な、なによ真宮! びっくりさせないでよね」
「みんな聞いてっ! 今からここは戦場よ!」
は? 真宮さん……いったい、なにをいいだしてんだ?
昼を過ぎているというのに、まだパジャマ姿のままなのか……。
この妹は、ほうっておいたらこのまま夜まで着替えなそうだ。あとで注意をしておかないとな。
「果奈ちゃん、さっきはありがとうね。バーガークイーンで春時つかまえてきたよ」
「真宮さんのお役に立てて良かったです! 仲里さんもいらっしゃい。あれぇ? にぃにぃ、はじめましての方がいる?」
「この人は、園崎杏奈さん。えーと……知り合いなんだ」
「わわわっ! その制服、白石女子高等学校のですよね? 園崎さんって頭いいんですね! でーじそーがさい!」
果奈はいつものように、方言まじりで話すが、初対面の相手に使ってくるとは……伝わらなかったどうするんだ。
でーじそーがさいってなんだ?
「へー、かわいい子ねぇ……早見の妹にしておくのが、もったいないわ。少し方言が混じっていたけど、あなたたち地方から引っ越してきたの?」
「あ、気にしないでくれ。今、沖縄弁ブームがきてるだけだから」
「べつに、気にならないわよ。あなただったら違和感あるけど」
「ああ、そうですか……」
「みなさん、ここで立ち話もなんですから、どうぞあがってください」
「できた子じゃない……」
「どういたしまして」
杏奈さんと話しているあいだに真宮さんと仲里さんはリビングの方へ向かっていた。
俺と杏奈さんも後に続く。
リビングに入ると真宮さんはソファに腰をかけ、テレビのスイッチをいれた。
見たことのないドラマが画面にながれる。
果奈と仲里さんは奥のキッチンに向かったようだけど、きっとみんなの飲み物でも用意するつもりなんだろう。
真宮さんは、そういうことに気は回らないんだよなぁ……俺もだけど。
「あっ! 杏奈さんも適当なところに座ってよ」
「そうさせてもらうわ。それにしても外からみてもすごかったけど、家の中も広いのねぇ。この家、部屋いくつあるの?」
部屋数か……いくつだっけ? 普段、使わない部屋とかたくさんあるからなぁ……急に言われてもパッと思い出せないんだけど。
「一階が七部屋に二階が六部屋の計、十三部屋あるわね。その他に洗濯室、浴槽、トイレが三カ所ってところかしら」
「へー、すごいわねぇ」
「あー、たしかに、そんな感じかも……って、なんで真宮さん、俺の家のことそんなに詳しいんだよ」
「にぃにぃが、いないとき、果奈が家のなかを案内したんだよ」
キッチンから出てきた果奈が会話に入ってきた。両手でジュースを乗せたトレイをもっている。
「それでさっきはプールのことも知っていたのか」
「あれぇ? 真宮さんにプールまでみせたかなぁ……」
「ん? どういうことだ?」
「あー! 果奈ちゃん! あたしオレンジジュースもらっていい?」
「あっ! はい、どうぞ! 真宮さんオレンジジュース好きですよねぇ。みなさんもお好きなものを選んでください」
まぁ、いいか……。
みんなでリビングのテーブルを囲むように座り、果奈と仲里さんが用意してくれたジュースやお菓子を食べていると、突然、真宮さんが勢いよく立ちあがった。
なんだなんだ! ものすごく嫌な予感がするんですけど……。
「な、なによ真宮! びっくりさせないでよね」
「みんな聞いてっ! 今からここは戦場よ!」
は? 真宮さん……いったい、なにをいいだしてんだ?
0
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?
宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。
栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。
その彼女に脅された。
「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」
今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。
でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる!
しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ??
訳が分からない……。それ、俺困るの?
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる