美少女にフラれたらなぜかダウジング伊達メガネ女子が彼女になりました!?〜冴えない俺と彼女と俺をフった美少女の謎の三角な関係〜

かねさわ巧

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第41話 ありがとう果奈ちゃん

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 壁に向かって立っていた真宮まみやさんは、俺が声をかけた途端、うさぎの落書きが消えていることに対して少し怒ったような口調で問いかけてきた。

 でも――どこか悲しそうな表情にも見える。

 それにしても、うさぎの落書きが消されたくらいで、そんなに怒るようなことだろうか……。

春時はるとき……どうして?」

「どうしてと言われても……」

 落書きは果奈かなが消したのだろう。部屋の壁とか床を綺麗にすると話していたし……でも、今の雰囲気だと、それは言わないほうが良さそうだ。

 妹は善意で消したわけだし、その気持ちに水をさすようなことは出来ない。

「春時……聞いてる?」

「聞いてるよ……その、なんていうか、出来るだけ綺麗な部屋を使ってもらいたかったんだ。あの絵、気に入ってたんだな。謝るよ」

「……べつに謝らなくていいよ……そっか……そうだよね……ごめん……あたしが話しておけば、よかったんだよね」

 なんだろう……果奈の部屋にいたときも、気になっていたけど、今日の真宮さんは、なんだか様子がおかしい。

「あのさ、真宮さん。なにかあった?」

「どうしてそう思うの?」

「いつもと違う感じがするっていうか……」

「そっか……なんだかごめんね……うん、なんでもない。えっと、あたしに用事があってきたんじゃないの?」

「あ、あぁ、ちょっと様子を見にきただけなんだ。そういえば、夕ご飯にピザを頼むことになったんだけど、大丈夫かな?」

「ピザ……好きだよ」

「よかった。しばらくしたら届くと思うから、そうしたらみんなで食べよう」

「うん」

「それじゃあ、またあとでな」

「あとでね……」

 やっぱりいつもの真宮さんじゃない気がする。

 いつもなら、もっとテンション高く反応しそうなものなのに……。

 あの落書きを消されたことが、そんなにショックだったのかな。

    ◇

「にぃにぃ、真宮さん遅いね?」

「おかしいなぁ……すぐにいくって言ってたから、もうくると思うんだけど」

 真宮さんの部屋を出て数分もしないうちにピザの配達が届いたので、テーブルにピザの入った箱を開いて、彼女がくるのをまっていると、リビングのドアが開いた。

「二人ともまたせてごめんね」

 真宮さんは両手を合わせるようにして謝るとテーブルに置かれたピザを覗き込み、目を丸くしている。

 ちなみに、そのリアクションは俺もさっきしたばかりなので気持ちはわかる。

「わわっ! やばっ! ピザが三枚、重なってるの? しかも、あいだにハンバーグ挟まってるじゃん! カロリー爆弾だ!」

 ん? いつもの真宮さんに戻ってるかな?

 にしてもこのピザ……配達の人から受け取ったとき、やけに重いとは思ったんだよな。

 果奈がどうしてこれを選んだのかが謎だ……。

「それ、期間限定メニューのトリプルハンバーグピザなんですけど、今日だけ半額で買えるんですよ! ラッキーやさやー!」

 今の沖縄弁は、なんとなく分かったぞ……たぶん、ラッキーだよね! だろう……。

 果奈のやつ、最近やけに方言をぶち込んでくるな……そのうち沖縄弁しか話さなくなりそうだ。

「ねね、春時。ピザカッターある? あたしが切ってもいいかな?」

「ダメだ」

「えー! なんでよ!」

「だって真宮さん不器用そうだし」

「うわぁ、そういうこと言うかなぁ。果奈ちゃん慰めて」

 おいおい、否定はしないのかよ!

「にぃにぃは、そういうこと言うからモテないんだよ。そういえば真宮さん、部屋どうでした? 壁や床も綺麗になってたでしょ?」

「え……う、うん」

 ちょ! 果奈のやつ、なに聞いてるんだ! 俺が折角かばったのに!

「もしかして果奈ちゃんが、壁とかを綺麗にしたの?」

「そうです! 落書きとか何年もそのままにしていたし、いい機会だから綺麗にしようと思って」

「そう……なんだ……あの落書き、あたし好きだったんだけどな」

「ほんとですか! 果奈も好きだったんです! だから、ほら! 見てください!」

 果奈はスマホを取り出すと、待ち受け画面を俺と真宮さんに見せてきた。

「あ……」

「果奈、これって……」

 スマホの画面には、あの部屋にあったうさぎの落書きが表示されていた。まさか写真に残していたとは。

「もう見れなくなるのは寂しいので写真に撮っておいたんだよ! この壁紙いいでしょー!」

「果奈ちゃん、それ……その壁紙、あたしも欲しい! いい、かな?」

「いいですよぉ! 送りますね!」

「ありがとう果奈ちゃん……」

 画像が届いたのか、真宮さんは、やさしい顔つきでスマホの画面を見つめていた。

「……よかったな。真宮さん」

「うん。春時、あのね……実は……」

 ――ガチャ。

 真宮さんが話しかけた瞬間、ドアが開く――と、そこには、俺と果奈の母親が立っていた。

「母さん! なんで?」

「ただいま。春時、果奈」
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