菩提樹の猫

無一物

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1章 君に剣を捧ぐ

18 どうせ叶わぬ恋ならば

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◆◆◆◆◆


「これが最後だ。お前にはもう少し付き合ってもらう」
 
 そう言うと、バルトロメイは唾液と先走で艶めくレネの性器を扱く。

「うっ……んうぅッ……」
 
 必死に声を殺して快感に耐える様子も、雄の嗜虐心を刺激する。
 あの時は酔いのせいか素直に声を出していたが、今回の反応の方がやはりレネらしい。

 こうなるとどうしても鳴かせてみたくなるのが男のさが
 あいている左手と口を使って、薄いピンク色の胸の果実を再び虐める。

「ひっ…っ…ぁっ…ッッッ……」
 
 乳暈ごと咥えてゴリゴリと歯で扱き、もう一方は指でぴんぴんと弾くと、堪らなくなったのか、枕が口から離れ、小さな悲鳴が上がる。
 興奮するままに、乳首だけでなく大胸筋全体や首筋に噛みつくと、本当に自分が獣になったみたいだ。

 白い内股の筋肉がヒクヒクと痙攣し、もうすぐ終わりが近いことを知ると、バルトロメイは股間を扱く手を速め、親指でグリグリと鈴口を抉るような動きを加えていった。

「ヤメロっ……ぁっ…っ……ゥゥゥッ……!」
 
 耐え切れずに、レネは枕に埋める様に顔を反らし、唇を噛み締めたまま声にならない叫び声を上げると共に、バルトロメイの右手を熱いしぶきで濡らした。

「たくさん出たな。溜まってたのか?」
 
 べったりと白い液体の付いた手を、くったりとした花芯の奥へと持って行く。

「……なにをするっ!?」
 
 たぶんここは誰にもまだ触られたことがないのだろう。
 その動転した様子から推測する。

「なにって、こっちを慣らさないと俺のが入んねえだろ」
 
 よく見えるように、左手で右足の膝裏を抱え上げ、左足は自分の足で動けないように上から押さえつけ、無理矢理足を足を広げさせた。

「くっ……!!」」
 
 ヒクヒクと動くそこに、精液を纏わせた人差し指で触れる。
 前とお揃いの綺麗なピンク色をしたそこを一撫ですると、ビクンと大きく震えた。
 皺の一本一本に白い精液を塗り付ける。

「エロいな……」
 
 前回眺めるだけでお預けだったので、その卑猥な光景に思わず舌なめずりする。

 硬く閉じた入り口を何度も優しく撫でるうちに、少しずつ綻びが出て来た。
 これは行けるかと、指を中に埋めていく。

「う"う"う"う"う"う"っっっ……」
 
 だが、強烈な拒絶にあい、ガチガチに固まった肉筒はバルトロメイの指の半分も受け入れようとしない。

(これじゃ駄目だ……)
 
 無理に進めたら突き指でもしそうな締め付けだし、レネを傷つけるだけだろう。

 こういう時、男同士は難しい。
 元から受け入れるようにできていない身体は、容易に繋げられない。
 抱かれた経験がある男ならコツがわかっているので、ブランクがあっても少し慣らせばなんとかなる。
 
 だが、初めての男にそんなものを求めても無理だ。
 それに身体が拒絶している場合は、受け入れる方は無傷では済まないし、挿入する方も苦痛を伴う。
 本来なら、何日もかけて身体を慣らしていくものを、一回でどうにかしようと思う方が間違っているのだ。

 明日もまだ移動が残っているので、この状態で無理矢理身体を繋げたら、レネだけこの宿に置いて行くことになる。

「仕方ねえな……」
 
 もう自分も我慢できない。
 レネの身体を再びうつ伏せにひっくり返すと、足をピッタリと閉じさせたまま腰だけ高く上げさせる。

「やめろっ!!」
 
 このまま無理矢理挿入されると思ったレネが、がむしゃらに暴れ出す。

「うるせえなっ、こんな状態をバーラに見られたいのか!」
 
「ううっ……」
 
 バチンと強い力で尻たぶを叩き黙らせると、バルトロメイはガチガチに勃起した自分の雄を取り出し、ピンク色の穴ではなく、少しふっくらとした会陰にあてがう。
 レネの精液と、自分の先走りとで、そこは既にべとべとに濡れていた。

「うっ……」
 
「なにッ!?」
 
 何度か腰を前後させると、それだけでも強い快感がバルトロメイを襲う。
 レネは自分が何をされているのか、全く状況が掴めておらず、不安の声を上げる。

「素股で済ませてやろうってんだよ」
 
「っ……ぅぅぅぅッッ……」
 
 会陰から睾丸に打ち付けられる刺激に、レネは戸惑うばかりだ。
 初心者にここで快感を拾えという方が難しいだろう。
 だからバルトロメイは自分の快感だけを求め腰を動かした。
 
「はっ……はっ……」
 
 そろそろ終わりが近付く頃に、後ろの窄まりに再び手をかけ左右に媚肉を開きそこに自分の先端をあてがうと、思いっきり射精した。

「っ……ひゃっ…!?」
 
 未通のままの穴の入り口に、熱い液体を注いでも全てを受け入れきれず、ビシャッと外にも飛び散ってしまう。
 しかし例え形だけの種付けだったとしても、ピンク色の穴から漏れる自分の精液を眺め、バルトロメイは満足した。


 もう二度と後戻りできないが、後悔はしていない。
 

 誰かに手折られる花ならば……自分で手折ってしまえ。
 
 
 ずっと抑え込んでいた感情を、隠し通すことはできなかった。
 自分に向けられる気持ちに対して鈍感なのは十分承知していたが、これだけ言っても気付かないレネの態度に、理性が暴走した。

 きっとなにも言わずすんなりと身を引いたら、バルトロメイの退団をヴィートの時のようにレネは自分のせいにしてしまうだろう。


 今までレネを見守って来た周囲の人々には、それぞれに大切な人がいた。
 レネは、自分は誰の一番にもなれず、一人取り残されたと思っている。

 誰の一番になる覚悟もないままで、自分だけが置いて行かれると嘆くのは、虫のいい話だ。


「人を動かすにはな、それなりの覚悟が必要なんだよ。軽い気持ちで『お前がいなくなるのは嫌だ』なんて言うんじゃねえよ」


 そんな覚悟などないレネは、バルトロメイのこの仕打ちを許さない。
 だからバルトロメイが去っても、レネはヴィートの時のように自分で自分を責めることはない。
 

(——どうせ叶わない恋ならば、これでいいじゃないか……)


 バルトロメイは自嘲の笑みを浮かべると、ショックで言葉を発することもできないレネの拘束を解く。
 身体が自由になっても、放心したまま動かない。


 このままここにいても、レネの気が休まることはないだろうと、バルトロメイは部屋を出て行った。

(あーーあ……やっちまった…………)



 
 全てが終わったように思えたが……実はこれからが本番だったとは、この時のバルトロメイは想像だにしていなかった。




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