過去に生きるって素晴らしい

asabato

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自分の気持ちを伝えたいと 31

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「では松田から滝口さんに一言、お話があるようです」

松田は観念し起立する「滝口さん、鈴木さん 本日はお越しくださいまして有難うございます。これは当時言えなかったことで聞き流してください。あの時の事は、今でも鮮明に覚えてます。高校最後のシーズンの逆転ホームランは嬉しくて何もかも積極的になれたのに、応援に来てくれた滝口さんの前では何も言えなかった無念を今、晴らします」と、その真剣さに周りは静けさを保った。

さらに「俺は、当時・・一目見たときから滝口さんを好きになってしまい、いつか試合でヒーローになれたら、自分の気持ちを伝えたいと思ってました。

それが25年前・・今となっては何の意味もありませんが、青春時代の良い思い出です。それが今、一緒に居ることに感激してます。ここで飲めるなんて最高です、ありがとうございました」と、複雑な感情を表現していた。

「オイオイ、思い出だけか?」ヤジが飛ぶ。

ざわつく中「嬉しいです。ありがとうございます。人生何処でどうなるか分かりませんね。あの時に人生の境目を体験した気持ちです」

弘美が不思議な感動を言葉にした。

それ以上は渡辺くんも追及せず「俺たち仲間と先生、そして応援してくれた1組のクラスの鈴木さん、そして滝口さんに感謝の気持ちで、乾杯です」

それでは、鈴木さんたちに自己紹介を「え!」・・なんか恥ずかしかった。

「じゃぁ私が」

 「新井先生はもういいですよ」
 
「でも、卒業後の彼女たちとは初顔合わせだから喋らせて。えーと私は今でも教師をしていますけど、未だに独身で年齢は48歳、皆さんとそんなに変わりません。最近は落ち込むこともあるけど、ここに来て元気をもらってますよ。ありがとう!」

ここに来ることの感謝も述べていたら「監督との関係を教えて」と、ヤジが飛ぶ。

「それは・・監督に聞きなさい!」監督に責任を押し付けたが、監督との間に何かあったのだろうか?

「それでは鈴木さん、簡単でいいですよ」適当でいいと言っているようで、新井先生の真似をして「わたしは43歳」と話し始めたら、だいたい43歳だと笑われた。

テニス部に居たと言うと「知ってますよ。野球部では鈴木さんを知らない奴はいないです。憧れの的でしたからね。でも風の便りで結婚したと聞いてショックだったのを覚えてます」つづく
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