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学園
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父は日が暮れだしても追及はやめなかった。
結果
バタン!
チェディック夫人は倒れた。
『自分のしたことだろうが。エリンは長い間耐えていたのだぞ。たった4時間程度で意識を失えばなかったことになると?』
ビチャビチャビチャビチャ
父は水差しを手に取ると夫人の顔目掛けて傾け水をかけた。夫人は目覚めなかった。
『チッ
この女を送り届けてくれ』
『かしこまりました』
ドン!
『手が滑っちゃったわ』
メイドはそういって夫人の体から手を離して床に頭を打ち付けさせ、
『重いからだ、俺が代わろう』
ゴン!
『俺、ヒゲ切ったばかりなんだよな』
といって護衛の兵士は出入口の角に夫人の頭をぶつけた。彼らは雑に夫人を運んでいった。
『あいつ、猫だったんだな』
父にはウケたみたいで笑ってる。
『パパ、ご存知だったんですか』
『エリンが言わないから理由があって我慢していると黙認してきたが、カトリーヌ妃から見舞いの品が私宛に届いたんだ。
虐め抜かれた主人公が華麗に復讐する小説だった。それで陛下に会いに行って調査を依頼したらあの女が私の娘を虐待をしていると知ることとなった。陛下からは既に謝罪をもらったが、知らないふりをしてうちに寄越してくれと頼んでおいた。やっぱり自分の手で狩らないとな。
黙っていた理由は?』
『婚約が流れたら“王宮の黒い教育係”みたいな感じで出版して稼ごうと思っていたんです。そのまま結婚したら陛下にお見せしようと思っていました』
『学園は行かないのか?』
『行く必要がありません』
『令嬢の友人が欲しいだろう』
『今の立場では難しいかもしれません』
夫人のように伯爵令嬢如きが第一王子と婚約だなんてと思っていそうだもの。
『帝国の学園へ留学するか?』
『王子の婚約者のままでは無理です。それにパパと離れたくありません』
チェディック夫人がクビになっても新しい教育係が就くし、母の側を離れたがらない父が私と帝国へ行くはずはないし、バラン伯爵となった父が2、3年も帝国に行っていられない。
『婚約を破棄するか?』
『もう少し取材をさせてください』
『でも、その足はあいつのせいだろう』
『ラストを飾る面白いことが必要ですから』
『分かった。
王子も学園も好きにするといい』
『ありがとうございます』
父は賛成してくれたけど…
『え~ダメよ』
母が反対した。
『どうしてですか?』
『出版するかもしれないなら学園でも情報を拾ってこないと』
そっちなのね。
で、学園に通うことになるのだけど、卒業まで王子妃教育は無理のない範囲でということになった。
チェディック夫人が合格を渋っていただけで、本来ならもっと先へ進んでいるはずだった。チェディック夫人は解雇になった上に王都への立ち入りを生涯禁止となった。父いわく、あの場で切り刻まれてもおかしくないほど不敬を重ねていたのだから、王都からの追放は温情と言えるらしい。
アラン王子の婚約者を決めたのも教育係を決めたのも王宮。陛下や大臣達が決めたこと。だから今回バラン伯爵家に負い目を感じたはずだ。帝国との繋がりが欲しかったのに、虐めていたのだから。
チェディック夫人が何かしなくても、あの王子でアウトなんだけどね。
普通なら王子の婚約者は貴族科に行くのだろうけど経営科に行く許可を陛下からもらった。それならいいかなと通う気力が湧いてきた。
学園では想定通り、伯爵家からの妬みと侯爵家以上からの不満が私に向いた。何でと言われても困る。だから“○○令嬢が理由を知りたいそうですと陛下にお伝えしますね”と言い続けて1ヶ月経たないうちに睨まれるだけになった。
そして気持ち悪いことに、令嬢達がアラン王子との甘い会話や艶かしい一夜の報告に来る。
『殿下は私の手を握って“こんな可憐な令嬢が隠れていただなんて”とおっしゃったのよ』
『殿下の視力が復活して何よりです』と返し、
『夜会でダンスをした後にテラスで瞳を褒めてくださって熱い口付けを交わしたのよ』
『熱い口付けでしたのね。もっと熱くなさって(全て)溶かしてください』と返し、
『殿下ったら激しくて困っちゃうわ』
『オエッ 今夜も頑張ってください』と返し、
『殿下は交わりながら私を妻に迎えたかったっておっしゃったのよ』
『手っ取り早く既成事実(赤ちゃん)を作って娶られてください、応援しますわ』などと返した。
王子に本命ができて婚約者の差し替えの強行か、他の令嬢を孕ませて既成事実による婚約者の差し替えをしてくれたらと、聞きたくもない王子の情事を我慢して聞いて令嬢達を応援した。
だけどそれがお気に召さない様子。
“婚約者の立場が揺るがないと思っているのよ”“伯爵令嬢のくせに見下して!”と誤解を生んだ。
不幸中の幸いなのは隠れ友人ができたこと。ターゲットにされると困るから学園内では他人様もしくは 単なるクラスメイトに徹し、放課後か休日にバラン邸か相手のお屋敷で密会した。
男爵家長女のアリエル・ソフレット
子爵家三女のヨナ・フィードリフ
男爵家四男のケイシー・ホルテット
侯爵家次男のクリストファー・レイス
世の中捨てたものじゃない。
結果
バタン!
チェディック夫人は倒れた。
『自分のしたことだろうが。エリンは長い間耐えていたのだぞ。たった4時間程度で意識を失えばなかったことになると?』
ビチャビチャビチャビチャ
父は水差しを手に取ると夫人の顔目掛けて傾け水をかけた。夫人は目覚めなかった。
『チッ
この女を送り届けてくれ』
『かしこまりました』
ドン!
『手が滑っちゃったわ』
メイドはそういって夫人の体から手を離して床に頭を打ち付けさせ、
『重いからだ、俺が代わろう』
ゴン!
『俺、ヒゲ切ったばかりなんだよな』
といって護衛の兵士は出入口の角に夫人の頭をぶつけた。彼らは雑に夫人を運んでいった。
『あいつ、猫だったんだな』
父にはウケたみたいで笑ってる。
『パパ、ご存知だったんですか』
『エリンが言わないから理由があって我慢していると黙認してきたが、カトリーヌ妃から見舞いの品が私宛に届いたんだ。
虐め抜かれた主人公が華麗に復讐する小説だった。それで陛下に会いに行って調査を依頼したらあの女が私の娘を虐待をしていると知ることとなった。陛下からは既に謝罪をもらったが、知らないふりをしてうちに寄越してくれと頼んでおいた。やっぱり自分の手で狩らないとな。
黙っていた理由は?』
『婚約が流れたら“王宮の黒い教育係”みたいな感じで出版して稼ごうと思っていたんです。そのまま結婚したら陛下にお見せしようと思っていました』
『学園は行かないのか?』
『行く必要がありません』
『令嬢の友人が欲しいだろう』
『今の立場では難しいかもしれません』
夫人のように伯爵令嬢如きが第一王子と婚約だなんてと思っていそうだもの。
『帝国の学園へ留学するか?』
『王子の婚約者のままでは無理です。それにパパと離れたくありません』
チェディック夫人がクビになっても新しい教育係が就くし、母の側を離れたがらない父が私と帝国へ行くはずはないし、バラン伯爵となった父が2、3年も帝国に行っていられない。
『婚約を破棄するか?』
『もう少し取材をさせてください』
『でも、その足はあいつのせいだろう』
『ラストを飾る面白いことが必要ですから』
『分かった。
王子も学園も好きにするといい』
『ありがとうございます』
父は賛成してくれたけど…
『え~ダメよ』
母が反対した。
『どうしてですか?』
『出版するかもしれないなら学園でも情報を拾ってこないと』
そっちなのね。
で、学園に通うことになるのだけど、卒業まで王子妃教育は無理のない範囲でということになった。
チェディック夫人が合格を渋っていただけで、本来ならもっと先へ進んでいるはずだった。チェディック夫人は解雇になった上に王都への立ち入りを生涯禁止となった。父いわく、あの場で切り刻まれてもおかしくないほど不敬を重ねていたのだから、王都からの追放は温情と言えるらしい。
アラン王子の婚約者を決めたのも教育係を決めたのも王宮。陛下や大臣達が決めたこと。だから今回バラン伯爵家に負い目を感じたはずだ。帝国との繋がりが欲しかったのに、虐めていたのだから。
チェディック夫人が何かしなくても、あの王子でアウトなんだけどね。
普通なら王子の婚約者は貴族科に行くのだろうけど経営科に行く許可を陛下からもらった。それならいいかなと通う気力が湧いてきた。
学園では想定通り、伯爵家からの妬みと侯爵家以上からの不満が私に向いた。何でと言われても困る。だから“○○令嬢が理由を知りたいそうですと陛下にお伝えしますね”と言い続けて1ヶ月経たないうちに睨まれるだけになった。
そして気持ち悪いことに、令嬢達がアラン王子との甘い会話や艶かしい一夜の報告に来る。
『殿下は私の手を握って“こんな可憐な令嬢が隠れていただなんて”とおっしゃったのよ』
『殿下の視力が復活して何よりです』と返し、
『夜会でダンスをした後にテラスで瞳を褒めてくださって熱い口付けを交わしたのよ』
『熱い口付けでしたのね。もっと熱くなさって(全て)溶かしてください』と返し、
『殿下ったら激しくて困っちゃうわ』
『オエッ 今夜も頑張ってください』と返し、
『殿下は交わりながら私を妻に迎えたかったっておっしゃったのよ』
『手っ取り早く既成事実(赤ちゃん)を作って娶られてください、応援しますわ』などと返した。
王子に本命ができて婚約者の差し替えの強行か、他の令嬢を孕ませて既成事実による婚約者の差し替えをしてくれたらと、聞きたくもない王子の情事を我慢して聞いて令嬢達を応援した。
だけどそれがお気に召さない様子。
“婚約者の立場が揺るがないと思っているのよ”“伯爵令嬢のくせに見下して!”と誤解を生んだ。
不幸中の幸いなのは隠れ友人ができたこと。ターゲットにされると困るから学園内では他人様もしくは 単なるクラスメイトに徹し、放課後か休日にバラン邸か相手のお屋敷で密会した。
男爵家長女のアリエル・ソフレット
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世の中捨てたものじゃない。
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