2 / 19
意地悪な双子
しおりを挟む
「それでも男か!
男なら剣を持て!」
もう無理だ…こんなの練習じゃない、虐めだ!
「しっかり握れ!」
カーン
ドスッ
ディミトリーは僕の模造剣を弾き、脛を打った。
「痛い!!」
痛みのあまり、泣きながら脛を押さえていると
「女みたいに泣くな!気持ち悪い!
まだ終わっていないぞ!」
ベルトランが僕の尻を何度も蹴った。
助けて!誰か!
「お止めください」
オラスが止めに入ろうとするが、
「私達に逆らうことは許されているのか?
そこで見ていろ。別にこいつを殺すわけじゃない。
弱々しい根性をどうにかしてやろうとしているだけだ」
今日はラファエル兄上は会議があると言っていた。
つまり止める者は誰もいない。
オラスが止めに入ってから30分以上も蹴られ続けて我慢できなかった。
「こんなの練習でもなんでもない!単に僕が気に入らないだけじゃないか!そんなに不満なら国王陛下に直訴すれば良かっただろう!僕を養子にして第四王子にしたのは陛下だろう!僕には断る権利も無かったんだ!
陛下が怖くて何も言えない弱虫のくせに、自分より力の弱い者に当たるしか出来ない卑怯者が!お前達の方がよっぽど恥ずかしいだろう!!」
「貴様!!」
ディミトリーが僕の胸を踏みつけ、ベルトランが僕の頭に模造剣を振り下ろそうとした。
殺られる!!
カーン
その時、ベルトランの振り下ろした模造剣をオラスの剣が受け止めた。
「ディミトリー!!ベルトラン!!」
「「兄上!?」」
ラファエル兄上は双子の頬に平手打ちをした。
「あ、兄上っ」
「私達は本当の兄弟じゃないですかっ」
「お前達のやっていることは何だ?
王子の品格は川に落として流されてしまったか?
明らかに体格差がある歳下の子を2人がかりで?」
「私達は、」
「私は実兄として恥ずかしいよ」
「「っ!!」」
「しかもお前、何をしようとしていた」
ラファエル兄上は腰の真剣を抜きベルトランの首に当てた。
「や、止めてくださいっ」
「何故だ?お前達は何度言っても止めなかったのに私が止めなくてはならないのはおかしいだろう?」
「真剣なんて 死んでしまいます!」
「お前が頭上に振り上げてからレミの頭部に目掛けて振り下ろしかけたのは模造剣だが、死んでいたか重症を負ったかどちらかだぞ?同じことじゃないか」
「私達とこいつでは同じではありません!」
「同じではないが、レミは第四王子だ。国王陛下がお決めになったことだろう。
レミが重症を負えばお前は何年も兵役を科せられて最前線で生き残ることを願う日々となるだろう。
もし殺していたらどうなったか?
私は弟王子を殺そうとした王子を止めに入り斬ってしまっても 大した咎めは受けないが、お前は確実に王族籍から外されて、軍部の雑用をさせられて死ぬまで戦地に送られる。
王子同士の争いを禁じているのは上辺だけかどうか試してみたいなら、国王陛下に第三王子が第二王子と結託して 第四王子を殺そうとしていたところを間一髪止めたと報告して確かめさせようか?」
「も、申し訳ございません」
「二度といたしません」
「レミの身体中にある痣もかなりの数だ。
同じ数だけ付けられたくなかったら 言われたことを真面目にやれ。出来ないならそう言え。他の兵士に頼んで 代わりにお前達に兵士の仕事をさせるだけだ。
お前達の実力はそこそこだ。打ち合いの相手をしてくれている兵士達は手加減しているのだぞ。全員とは言わないが、隊長クラスは間違いなく手を抜いてるし、レミにつけたオラスはお前達など足元にも及ばないほどの実力者だ。あまり舐めた態度をとるなよ。オラスは私の命令でレミを守っているんだ。次にレミに暴力を振るったら オラスは王太子命令を優先してお前達を倒すことになる。分かったらレミに危害を加えるな」
「兄上は何故レミを贔屓なさるのですか!」
「僕達は実の弟なのですよ!?」
「お前達の心が汚れているからだ。弱い者虐めなどをする王子を誰が支持する?
お前達の言動が他の者達に影響を与え、その結果解雇された者も異動の上で減給された者も複数人出たのだぞ?お前達に便乗する馬鹿だが、便乗するものがなければ何も起こさない奴らだった。
私はお前達の兄の立場より王太子の立場を優先して行動しなくてはならない。国王陛下が父親としての立場より国王の立場を優先するようにな。
オラス、レミを連れて行ってくれ。手当が必要だ」
「かしこまりました」
ラオスは僕を抱えてくれた。
「ありがとう ラオス」
「お止めするのが遅くなり申し訳ございません」
「兄上のところに人を走らせてくれてありがとう」
その日の夜、ラファエル兄様の部屋に行き報告をした。
「大事な会議だったのに僕のせいで抜けることになってごめんなさい」
「レミは悪くない」
「僕、我慢できなくて言い返してしまって、逆撫でしてしまいました」
「ずっと我慢していたのだから気にするな」
「はい」
「レミ。オネスティアのことは習ったか?」
「はい。オネスティア王国は 好戦的な武力国で、東西南北それぞれに将軍がいて軍を統率しています。我が国ベルゼア王国を担当する将軍はアラン・ロプレストです」
「将軍はどんな男だ?」
「ロプレスト将軍は、ロプレスト侯爵家の私兵として採用されました。かなりの実力があり、直ぐに王宮騎士団からスカウトがありました。侯爵の勧めで騎士団入りし、さらに頭角を現して出世していきました。27歳でロプレスト侯爵家の養子になり同時に将軍に任命されました。それが1年前です」
「何故彼は将軍になれた?」
「オネスティアにサボア王国が攻め入ったときの防衛戦で武勲を立てたからです」
「偉いぞ。よく勉強しているな。
実はうちとオネスティアの国境で揉め事が起きて、収まる気配どころか悪化している」
「何故ですか?」
兄上は僕を隣に座らせて説明を続けた。
男なら剣を持て!」
もう無理だ…こんなの練習じゃない、虐めだ!
「しっかり握れ!」
カーン
ドスッ
ディミトリーは僕の模造剣を弾き、脛を打った。
「痛い!!」
痛みのあまり、泣きながら脛を押さえていると
「女みたいに泣くな!気持ち悪い!
まだ終わっていないぞ!」
ベルトランが僕の尻を何度も蹴った。
助けて!誰か!
「お止めください」
オラスが止めに入ろうとするが、
「私達に逆らうことは許されているのか?
そこで見ていろ。別にこいつを殺すわけじゃない。
弱々しい根性をどうにかしてやろうとしているだけだ」
今日はラファエル兄上は会議があると言っていた。
つまり止める者は誰もいない。
オラスが止めに入ってから30分以上も蹴られ続けて我慢できなかった。
「こんなの練習でもなんでもない!単に僕が気に入らないだけじゃないか!そんなに不満なら国王陛下に直訴すれば良かっただろう!僕を養子にして第四王子にしたのは陛下だろう!僕には断る権利も無かったんだ!
陛下が怖くて何も言えない弱虫のくせに、自分より力の弱い者に当たるしか出来ない卑怯者が!お前達の方がよっぽど恥ずかしいだろう!!」
「貴様!!」
ディミトリーが僕の胸を踏みつけ、ベルトランが僕の頭に模造剣を振り下ろそうとした。
殺られる!!
カーン
その時、ベルトランの振り下ろした模造剣をオラスの剣が受け止めた。
「ディミトリー!!ベルトラン!!」
「「兄上!?」」
ラファエル兄上は双子の頬に平手打ちをした。
「あ、兄上っ」
「私達は本当の兄弟じゃないですかっ」
「お前達のやっていることは何だ?
王子の品格は川に落として流されてしまったか?
明らかに体格差がある歳下の子を2人がかりで?」
「私達は、」
「私は実兄として恥ずかしいよ」
「「っ!!」」
「しかもお前、何をしようとしていた」
ラファエル兄上は腰の真剣を抜きベルトランの首に当てた。
「や、止めてくださいっ」
「何故だ?お前達は何度言っても止めなかったのに私が止めなくてはならないのはおかしいだろう?」
「真剣なんて 死んでしまいます!」
「お前が頭上に振り上げてからレミの頭部に目掛けて振り下ろしかけたのは模造剣だが、死んでいたか重症を負ったかどちらかだぞ?同じことじゃないか」
「私達とこいつでは同じではありません!」
「同じではないが、レミは第四王子だ。国王陛下がお決めになったことだろう。
レミが重症を負えばお前は何年も兵役を科せられて最前線で生き残ることを願う日々となるだろう。
もし殺していたらどうなったか?
私は弟王子を殺そうとした王子を止めに入り斬ってしまっても 大した咎めは受けないが、お前は確実に王族籍から外されて、軍部の雑用をさせられて死ぬまで戦地に送られる。
王子同士の争いを禁じているのは上辺だけかどうか試してみたいなら、国王陛下に第三王子が第二王子と結託して 第四王子を殺そうとしていたところを間一髪止めたと報告して確かめさせようか?」
「も、申し訳ございません」
「二度といたしません」
「レミの身体中にある痣もかなりの数だ。
同じ数だけ付けられたくなかったら 言われたことを真面目にやれ。出来ないならそう言え。他の兵士に頼んで 代わりにお前達に兵士の仕事をさせるだけだ。
お前達の実力はそこそこだ。打ち合いの相手をしてくれている兵士達は手加減しているのだぞ。全員とは言わないが、隊長クラスは間違いなく手を抜いてるし、レミにつけたオラスはお前達など足元にも及ばないほどの実力者だ。あまり舐めた態度をとるなよ。オラスは私の命令でレミを守っているんだ。次にレミに暴力を振るったら オラスは王太子命令を優先してお前達を倒すことになる。分かったらレミに危害を加えるな」
「兄上は何故レミを贔屓なさるのですか!」
「僕達は実の弟なのですよ!?」
「お前達の心が汚れているからだ。弱い者虐めなどをする王子を誰が支持する?
お前達の言動が他の者達に影響を与え、その結果解雇された者も異動の上で減給された者も複数人出たのだぞ?お前達に便乗する馬鹿だが、便乗するものがなければ何も起こさない奴らだった。
私はお前達の兄の立場より王太子の立場を優先して行動しなくてはならない。国王陛下が父親としての立場より国王の立場を優先するようにな。
オラス、レミを連れて行ってくれ。手当が必要だ」
「かしこまりました」
ラオスは僕を抱えてくれた。
「ありがとう ラオス」
「お止めするのが遅くなり申し訳ございません」
「兄上のところに人を走らせてくれてありがとう」
その日の夜、ラファエル兄様の部屋に行き報告をした。
「大事な会議だったのに僕のせいで抜けることになってごめんなさい」
「レミは悪くない」
「僕、我慢できなくて言い返してしまって、逆撫でしてしまいました」
「ずっと我慢していたのだから気にするな」
「はい」
「レミ。オネスティアのことは習ったか?」
「はい。オネスティア王国は 好戦的な武力国で、東西南北それぞれに将軍がいて軍を統率しています。我が国ベルゼア王国を担当する将軍はアラン・ロプレストです」
「将軍はどんな男だ?」
「ロプレスト将軍は、ロプレスト侯爵家の私兵として採用されました。かなりの実力があり、直ぐに王宮騎士団からスカウトがありました。侯爵の勧めで騎士団入りし、さらに頭角を現して出世していきました。27歳でロプレスト侯爵家の養子になり同時に将軍に任命されました。それが1年前です」
「何故彼は将軍になれた?」
「オネスティアにサボア王国が攻め入ったときの防衛戦で武勲を立てたからです」
「偉いぞ。よく勉強しているな。
実はうちとオネスティアの国境で揉め事が起きて、収まる気配どころか悪化している」
「何故ですか?」
兄上は僕を隣に座らせて説明を続けた。
1,212
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる