【完結】平民として慎ましやかに生きようとするあいつと僕の関係。〜平民シリーズ③ライリー編〜

華抹茶

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16 絶対許さない!

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※暴力的&残酷表現あります。

* * * * * * *



ヴィンが連れ去られた。くそっ!なんでなんでなんで!?

僕たちがいない間はギルドマスターに預けていたし、ギルドの中にいれば他の冒険者がいるから大丈夫だったはずなのに!

どうしてヴィンがっ!

誰だヴィンを連れ去った奴は!見つけ次第殺してやるっ!絶対許さないっ!


もしかしてガンドヴァの奴らか!? そうだったらそいつらの目的はなんなんだ!?

もしヴィンの身に何かあったら!ガンドヴァのせいだったらっ!

僕は絶対に許さない!ガンドヴァに乗り込んで国民全員殺してやる!


馬を必死に走らせて走らせてやっとソルズに着いた。門を開けてもらいすぐ様ギルドへ向かう。


「今戻った!! 状況は!?」

「ライリーか!? まだヴィンセントの行方はわからない。…だがコイツがな。」

デイビットさんの側には縄で縛られたクリスが居た。


クリス?なんで縛られてるんだ?


「コイツがヴィンセントを外に連れ出して誘拐させる手引きをしていたんだ。」

なんだと?

「おいっ!お前のせいかっ!ヴィンを!ヴィンは何処に行った!?」

「ごめんなさい…ごめんなさいっ…。」

「言え!! どこに行った!?」

クリスの胸ぐらを掴み力一杯揺さぶるが、ただごめんなさいと言うだけで何も言わない。

くそっ!こんな事してる時間なんてないのに!

「お前はっ!裏切ったのか!? 僕たちを!ヴィンを!! なんで!? なんでだよ!?」

「僕だって…僕だってこんな事したくなかった!!でも弟が!! 弟が人質にされたんだ!! 僕は悪くないっ!! 弟が殺されるかも知れないのにっ!! 僕は悪くないっ!! うわぁぁぁぁぁ!!」

は?弟が人質だって?それでヴィンを誘拐したのか?

「おいっ!ライリーはいるか!?」

「っ!? 八百屋のおっさん!?」

情報屋の八百屋のおっさんが義足を引き摺りながらギルドへ入ってきた。


「ヴィンセントがいる場所がわかったぞ!そして犯人はガンドヴァの人間だ!」

「どこっ!? 場所はっ!?」

八百屋のおっさんが教えてくれた場所は、ソルズの街の端っこにあるスラム街。そこにある廃教会だった。

場所がわかったらここにいる意味はない。外に飛び出して馬に乗ろうとした所に父さんと母さんが到着した。

「ライリー!待て!どこに行くんだ!」

「父さん!ヴィンのいる場所がわかったんだ!僕はそこへ行ってくる!」

「おい!1人で行く気かっ!? 俺達も行く!場所はっ!?」

「スラム街の廃教会!早く!」

馬に跨って一気に駆け出していく。


くそっ!ガンドヴァの野郎!!絶対に許さないっ!
ヴィン!待ってろ!絶対助けてやるから!



廃教会に着くなり馬から飛び降りて中へ入っていく。何処だ!?何処にいる!?


っ!? 不自然に足跡が付いてる!? こっちか!?

ここは立ち入り禁止の廃教会で誰もこんな所に来ない。スラムの人間もこっちまで来ない事は知っている。埃が溜まっている所に足跡が残ってるのを見ると最近ここに来たやつがいるって事だ!

足跡を辿って行くと地下に降りてきた。一つの扉の前までそれは続いている。

ここだ!!

剣に魔力を纏わせて思いっきり扉を斬りつけてそのまま中に入る。

「ヴィンセントーー!!」


中に入ると薄暗い部屋に男が3人、ヴィンの周りに群がっていた。よく見ると1人がヴィンを犯しているのが目についた。


ブチっ。


「貴様らぁぁぁぁ!! 殺してやるっ!!!」

一気に距離を詰めて、ヴィンにのし上がっていた男を蹴り飛ばす。そのまま2人の男の腕を切り落とした。

「がぁぁぁ!! 痛ぇぇぇ!!」

「腕がぁっ!俺の腕がぁぁっ!!」

そしてそのまま、蹴り飛ばした男の足と性器を切り落とした。

「ぐぁぁぁぁ!!やめてくれ!助けてくれぇ!!」

「僕のヴィンに手を出しておいて、簡単に死ねると思うなよっ!!」

お前らが死ぬのは、散々にいたぶった後だ!

「ライリー待て!そこまでだ!」

「ヴィンセント!大丈夫かっ!!」

遅れて父さんと母さんも中に入ってきた。

「ライリー!それ以上やったら死ぬぞ!コイツらは証人だ!それ以上は止めろ!」

父さんに剣を押さえられてしまう。

「なんで!? なんで止めるんだよ!?」

「コイツらは俺たちに任せてヴィンセントを助けてやれっ!ライリー早く!」

母さんにそう言われてハッとする。

「ヴィン!!」

駆け寄ると、ヴィンは毛布にくるまって泣いていた。

「ごめん、ヴィン!…すごい怪我だ。待って、ポーション出すから!」

収納カバンから特級ポーションを取り出してヴィンに飲ませようとするけど、飲む事を拒否するかの様にヴィンは首を横に振る。

なんで!?飲んでよ!お願いだから!

「…ごめんなさいライリーさん。…ご迷惑をおかけしてごめんなさい。……お願いです。私を殺してください。」

は?なんだって?殺してください?

「なんで…なんでそんな事言うんだよ!絶対嫌だ!」

ポーションを自分の口に含んでヴィンの口に押し付けた。そのまま無理やりポーションを押し流す。

するとこくこくとポーションを飲んでいった。

自分で飲まないなら飲ませてやる。絶対ヴィンを助けるんだ。

何度か口移しでポーションを飲ませると、怪我が段々と治ってきた。良かった。顔も腫れていて痛々しかったけど、ちゃんと治ってくれた。

「…んあっ!あっ…はぁっ…。」

でもヴィンの様子がおかしい。怪我は治ったのに、息を荒くして悶えている。

「ヴィン?何があったの?何されたの!?」

「…はぁ、あっ…。薬を…飲まされ、ました。…あっ、催淫、剤だと…んっ…言われました…。」

催淫剤だとっ!? アイツらっ!!

今すぐ殺してやりたいけど、ヴィンをなんとかするのが第一優先だ。

「父さん母さん!僕はヴィンを連れて行くから!」

「わかった!なんとかしてやれ!」

男達にポーションをかけて止血していた両親にそう声をかけヴィンを抱き上げてその場を離れた。


走っている振動も感じているのかずっと声を抑えるように喘いでいる。

ごめんヴィン!こんな目に合わせて!守ってあげられなくてごめん!


家まで連れて行きたいけどここからじゃ遠すぎる。何処かの宿に入るしかないか。

馬を走らせて見つけた宿に入る。ここの宿は割と高級な宿だから安心して入れる。


ヴィンをしっかりと隠して、鍵を貰い駆け足で部屋へ入る。

ベッドに寝かせて毛布を外そうとした。けど、ヴィンはしっかりと毛布を掴んでそれを許してくれなかった。

「あっ!ダメで、すっ!んあっ…見ないで、くださっ!自分で、やり…ます、から…んあっ!」

「ヴィン…。」

「見ない、で…。んっ…あんな、事をされ、た、私を…あっ、見ないで、ください…。汚い、私を……どうか…。」

「汚くなんかないっ!ヴィンは汚くなんかない!どんなヴィンだって僕は好きだからっ!だから!殺してとか、汚いなんて言わないでっ!」

「え……。」

「好きだよ。ヴィン、好きだ。だから、僕に全部委ねて。…ヴィンは嫌かも知れないけど。」

涙で潤んだ目で僕を見つめるヴィン。どんなヴィンでも綺麗だよ。

「嫌、では…ありま、せん…んっ。でも、私、は…相応しく…な…っ!?」

嫌じゃないんならいいでしょ?もう自分を否定する言葉を発しない様にヴィンの口をキスで塞いだ。


もう僕のものになってよ。どんなヴィンでも好きだから。
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