僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護

文字の大きさ
18 / 38
第2章 もふもふ鳥の抱える苦悩

18話 初めての告白

しおりを挟む
トウリを助ける上で、ガルーダ様には何か考えがあるようだ。

「アキトは、スキル[変化ルビへんげ]を知っているかな?」
「いえ、知らないです」

「精霊たちはある程度修練を積むと、人間族に変化できるようになる。その効果を現すスキルが[変化]。人としての身体を、スキルに内包させる」

「あ!?」

ガルーダ様の言いたい事がわかった!! そのスキルをトウリに付与させて、金鵄と八咫烏を[変化]の中に組み込めばいいのか!!

「本来、スキル[変化]は自分にしか使えないが、君の持つスキル[付与術]は付与の上位に位置しており、他者のスキルや魔法を他者に一時的に付与させることが可能だ。君の脳内で強くイメージすることで、スキルは発動される。変化を一時的に付与した状態で、彼女自身がその効果を真に理解し成功させれば、スキルとして取得出来る」

やった、光明が見えてきた!!
問題はギフト[品質管理]で、それを実行できるかだけど……。

[品質劣化][品質破壊]がスキルとして新規登録されているから、その時の効果を幅広く適用したいことも考慮すると、名称は[品質調整]が妥当かな。金鵄と八咫烏を分離させるには、トウリに自分の姿を強くイメージさせる必要があるよね。

「ガルーダ様、僕の持つ金鵄と八咫烏のイメージをトウリに伝えることは可能ですか?」

「ギフトを発動させている状態であれば可能だ」

そっか、特殊条件下にすればいいんだ!! 僕は改めて、ガルーダ様に自分のやりたいことを伝え、トウリには日本語で伝える。

『私の身体、みんなのようになれるの?』

『今から金鵄と八咫烏のイメージを君に伝える。君はそれを強くイメージして、100%成功することを信じるんだ。僕も必ず成功すると思って、ギフトを発動させるから』

『あなたを信じるわ。初めて会話が成立した相手だもん』

ここからが本番だ。金鵄と八咫烏に関しては、夢の中でも本や像でしか知らないから、しっかりイメージしておく。

この状態で、ギフトを発動させる。

『何か…伝わってくる。この金色が金鵄、真っ黒が八咫烏、どちらも凛々しくて威厳ある存在ね。どちらも、私なんだ』
『どちらかが表になるよう、イメージを強く保ってね』
『うん』

[アキト、ガルーダ様から事情を聞いた。私の魔力を使え]
 
これって、感応波による通信だ。
……あ、消費魔力のことを完全に忘れてた!!
マグナリアは1階で話をしながら、こっちの状況も聞いていたんだ。

[マグナリア、ありがとう]

ギフトを発動させているせいか、4人の存在が目を閉じても、手に取るようにわかる。対象者をトウリに設定して、僕の[付与術]で、ガルーダ様の[変化]を彼女に付与させるイメージを強く持つ。

「準備が整ったら、私のスキル[変化]をトウリに」
「はい……スキル[付与術]発動!!」
『何か画面が表示されたけど読めないわ』
『ステータス画面だけど気にしないで』
「[品質調整]発動!!」

その瞬間、僕、ガルーダ様、トウリの身体が光る。

『トウリ、言って!!』
『うん、スキル[変化]金鵄!!』

トウリの身体の光が強くなって、姿も見えなくなった。
眩しいせいで、目を開けられない。
お願い、上手くいって!!

○○○

目を開けると、そこには綺麗な金色の鳶がいた。

「これがトウリか?」
「やった、成功だ!!」

【新規スキル[品質調整]を取得しました】

僕はベッド脇に置かれている手鏡を持って、トウリの目の前に置く。

『これが私? これが金鵄? さっきと身体の感覚が全然違う。何かが、身体を駆け巡ってる』

『スキル[変化]を使えば、八咫烏にも変身できるよ』
『変化-八咫烏!!』

今度は、漆黒の3本足のカラスになった。

「金鵄は光属性、八咫烏は闇属性。これ程の霊鳥になるとは……トウリ、目を閉じて、身体から溢れる魔力を鎮めなさい。冷静になり、緩やかな流れで身体中を巡るイメージをするといい」

僕はガルーダ様の言った通りの内容をトウリに伝えると、彼女は目を閉じる。すると、漏れていた何かが嘘のように引いていき、身体の中に入っていった。

『ガルーダ様、アキト、ありがとう。身体に感じる違和感もなくなったわ』

カラスが僕に話しかけてくる。
何だか、変な気分だ。

『あとは、この世界の言語を学べば完璧だね』
『言語……アキト、よろしくね!!』
『え、よろしくって?』
『何を言ってるの? 今の私と会話できるのはアキトだけだから、あなたが教えてくれないと』
『あ、そうか!!』

そうだよ、教える人って僕しかいないじゃん。

「ガルーダ様」
「ははは、言っていることはわからなくても理解できたよ。トウリは、アキトにこの世界の言語を学びたいのだろう?」
「はい」
「君には、マグナリアがいるし問題ない。それに先程のギフト発動で、君はトウリと精霊契約を結んでいる」
「え!?」
「ギフト発動の瞬間、我々は一時的に繋がった。トウリの初めての理解者でもあるから、自然に絆が深まったんだ。君になら、トウリを任せられる」

あ、ステータスの契約欄に、トウリの名前が追加されてる!! 

『トウリ、ガルーダ様が許可してくれたよ』
『ほんと!? やった~~~』
『家に帰れないけど、いいの?』
『一生帰れないわけじゃないでしょ?』
『うん』
『それなら、この世界のことを深く理解してからでいい』

本人も悲しんでいる様子もないから、僕と行動しても問題ないのかな。

『う~ん、アキトを見ていると、金鵄の方が合っているかな』

トウリが八咫烏から金鵄に変化した。もう、スキル[変化]を完全に使いこなしている。

『こっちの方がアキトと合ってる。八咫烏は、漆黒で逆に目立ちそうだし、夜の偵察用に向いているわ。ただ、この金色は派手よね。これでいいかな?』

金色に輝いていたトウリの毛色が、僕の知る鳶のものへと変化した。これなら、普通の鳥に見える。

「大したものだ。身につけたばかりのスキルを、もう扱えている」

『スキルを使いこなして偉いって、ガルーダ様が褒めてる。僕も、可愛さが増したからいいと思うよ』

『やった、2人から褒められた!! アキトに可愛いって言われた~。アキト~好き~~~これから宜しくね』

鳶となったトウリが僕にくっついて、すりすりしてきた。
結構モフモフしていて気持ちいい。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

寿明結未(旧・うどん五段)
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。 そして夢をみた。 日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。 その顔を見て目が覚めた。 なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。 数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。 幼少期、最初はツラい状況が続きます。 作者都合のゆるふわご都合設定です。 日曜日以外、1日1話更新目指してます。 エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。 お楽しみ頂けたら幸いです。 *************** 2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます! 100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!! 2024年9月9日  お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます! 200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!! 2025年1月6日  お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております! ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします! 2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております! こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!! 2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?! なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!! こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。 どうしよう、欲が出て来た? …ショートショートとか書いてみようかな? 2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?! 欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい… 2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?! どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

【完結】天候を操れる程度の能力を持った俺は、国を富ませる事が最優先!~何もかもゼロスタートでも挫けずめげず富ませます!!~

寿明結未(旧・うどん五段)
ファンタジー
幼い頃から心臓の悪かった中村キョウスケは、親から「無駄金使い」とののしられながら病院生活を送っていた。 それでも勉強は好きで本を読んだりニュースを見たりするのも好きな勤勉家でもあった。 唯一の弟とはそれなりに仲が良く、色々な遊びを教えてくれた。 だが、二十歳までしか生きられないだろうと言われていたキョウスケだったが、医療の進歩で三十歳まで生きることができ、家での自宅治療に切り替わったその日――階段から降りようとして両親に突き飛ばされ命を落とす。 ――死んだ日は、土砂降りの様な雨だった。 しかし、次に目が覚めた時は褐色の肌に銀の髪をした5歳くらいの少年で。 自分が転生したことを悟り、砂漠の国シュノベザール王国の第一王子だと言う事を知る。 飢えに苦しむ国民、天候に恵まれないシュノベザール王国は常に飢えていた。だが幸いな事に第一王子として生まれたシュライは【天候を操る程度の能力】を持っていた。 その力は凄まじく、シュライは自国を豊かにするために、時に鬼となる事も持さない覚悟で成人と認められる15歳になると、頼れる弟と宰相と共に内政を始める事となる――。 ※小説家になろう・カクヨムにも掲載中です。 無断朗読・無断使用・無断転載禁止。

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!

寿明結未(旧・うどん五段)
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。 皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。 この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。 召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。 確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!? 「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」 気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。 ★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします! ★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

処理中です...