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第十三章 眞島の場合⑦
第4話『初心者のマルゲリータ』
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手で伸ばすなどは初心者以上に、怜には当然無理なのと無謀な挑戦はしたくないから……大人しく、消毒とラップを敷いたテーブルの上で麺棒を使って丁寧に伸ばしていく。
ある程度伸ばせたら、今度はフライパンへ。フライパンで扱えるホイルを敷いて、その上に生地を載せたら……フォークで適度に穴を開けていく。タルトとは違うが、膨らみのムラがないようにするためだとか。
そこで裕司が帰ってくる時間を見つつ、焼く準備まで片付けを丁寧にし……途中、デリバリーの料理も届いてから……裕司の連絡も来たので、早速焼いていく。
「ソース塗って……具材はシンプルにトマトとバジルとモッツァレラのマルゲリータ!」
塗る前に、生地は両面をフライパンで軽く焼くが。オーブンと違って火の通りが一定の方向にしかいかないので、仕方がない。
具材を載せて、蓋をしたところで……ドアの鍵が開く音が聞こえてきた。
「お邪魔しまーす」
「よく来たね! こもやん!」
ハグしに行きたいが、料理中なので無闇に離れられない。
裕司の方は、部屋に漂うピザの匂いに気づいたのか……すぐに鼻を動かしていた。
「ピザ買った?」
「ノンノン! 私が作っているのだよ!!」
「……怜やんが?」
「おいおい。たしかに、おにぎりとかご飯炊くしか出来なかったけど……ちょっと挑戦したのだよ」
ほら、と手を洗ってきてからこちらに来た裕司に、フライパンを見せてやった。チリチリと音を立てているピザの入ったフライパンからは、至近距離ほどケチャップやチーズの匂いがしてくる。
「……おお。マジか」
「私なりの……クリスマスプレゼント」
「あ」
「こもやんもだけど、私も忘れてたじゃない? さっちゃんに言われた時はアクセとか買おうかと思ったけど……こう言うのもいいかと思って」
「……俺もすっかり忘れてた。けど……嬉しい」
「えへへ」
蓋をちょっと開けた時に、チーズの溶け具合が絶妙だったので……火を止めてテーブルに持っていこうとする前に。
裕司にちょいちょいと肩を突かれたので振り返れば……裕司から軽くキスをされたのだ。
「……また俺も用意するから。とりあえずこれで勘弁して」
「…………十分だとも」
むしろ、あの至れり尽くせりでも十分だったが……裕司としては何か形にしたかったのだろう。それを止めたくはないので、怜は頷いておくことにした。
ピザの方は、蓋を開けたら焦げ目こそはないものの……隙間から見た時以上にチーズが蕩けていて、付属にあったピザカッターで切っていく感触が楽しかった。
「すっご!」
「会心の出来と言っていいかね?」
「十分。俺も負けられないねぇ?」
「こもやんには、はなから負けてるよ」
しかし、味については初心者なりにきちんと出来ていた。生地のちょっとカリッとした部分ともちっとした部分の絶妙さと……モッツァレラチーズの伸びの良さ。バジルの爽やかな香りにフレッシュなトマト。そこに、ケチャップ主体のピザソース。
これからは、もう少し自炊に挑戦しようと思うきっかけが出来た。
ある程度伸ばせたら、今度はフライパンへ。フライパンで扱えるホイルを敷いて、その上に生地を載せたら……フォークで適度に穴を開けていく。タルトとは違うが、膨らみのムラがないようにするためだとか。
そこで裕司が帰ってくる時間を見つつ、焼く準備まで片付けを丁寧にし……途中、デリバリーの料理も届いてから……裕司の連絡も来たので、早速焼いていく。
「ソース塗って……具材はシンプルにトマトとバジルとモッツァレラのマルゲリータ!」
塗る前に、生地は両面をフライパンで軽く焼くが。オーブンと違って火の通りが一定の方向にしかいかないので、仕方がない。
具材を載せて、蓋をしたところで……ドアの鍵が開く音が聞こえてきた。
「お邪魔しまーす」
「よく来たね! こもやん!」
ハグしに行きたいが、料理中なので無闇に離れられない。
裕司の方は、部屋に漂うピザの匂いに気づいたのか……すぐに鼻を動かしていた。
「ピザ買った?」
「ノンノン! 私が作っているのだよ!!」
「……怜やんが?」
「おいおい。たしかに、おにぎりとかご飯炊くしか出来なかったけど……ちょっと挑戦したのだよ」
ほら、と手を洗ってきてからこちらに来た裕司に、フライパンを見せてやった。チリチリと音を立てているピザの入ったフライパンからは、至近距離ほどケチャップやチーズの匂いがしてくる。
「……おお。マジか」
「私なりの……クリスマスプレゼント」
「あ」
「こもやんもだけど、私も忘れてたじゃない? さっちゃんに言われた時はアクセとか買おうかと思ったけど……こう言うのもいいかと思って」
「……俺もすっかり忘れてた。けど……嬉しい」
「えへへ」
蓋をちょっと開けた時に、チーズの溶け具合が絶妙だったので……火を止めてテーブルに持っていこうとする前に。
裕司にちょいちょいと肩を突かれたので振り返れば……裕司から軽くキスをされたのだ。
「……また俺も用意するから。とりあえずこれで勘弁して」
「…………十分だとも」
むしろ、あの至れり尽くせりでも十分だったが……裕司としては何か形にしたかったのだろう。それを止めたくはないので、怜は頷いておくことにした。
ピザの方は、蓋を開けたら焦げ目こそはないものの……隙間から見た時以上にチーズが蕩けていて、付属にあったピザカッターで切っていく感触が楽しかった。
「すっご!」
「会心の出来と言っていいかね?」
「十分。俺も負けられないねぇ?」
「こもやんには、はなから負けてるよ」
しかし、味については初心者なりにきちんと出来ていた。生地のちょっとカリッとした部分ともちっとした部分の絶妙さと……モッツァレラチーズの伸びの良さ。バジルの爽やかな香りにフレッシュなトマト。そこに、ケチャップ主体のピザソース。
これからは、もう少し自炊に挑戦しようと思うきっかけが出来た。
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