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第2章
第百七十四話 オゥル
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「きゃ~~~!!」
「くそっ、こんなときに邪魔だな!」
最近聞いたことのある声での叫び声がする、あたりを見渡してみるとエルフの冒険者たちがモンスターたちと交戦中だった。エルフの宝玉の中から俺たちがこの世界に戻ってくると、彼女たちの元になるのは当然といえば当然のことだ。
運悪くゾンヌフが、エルフのお姉さんを押し倒した形になっている。
「あ~戦っているところすまない、悪気はないんだ」
「う、うしろ!」
混乱する女エルフ冒険者たちの声にラッテは振り向きもしないで、襲いかかる巨大カマキリ型モンスターの頭部にロウブレンで一突きにする。
宝玉の持ち主であったエルフが驚きつぶやく。
「まさか、本当に帰ってくるなんて……」
「お嬢さん約束は忘れてないだろうね?」
こんな状況でまだアグレッシブにエルフに声をかけていけるゾンヌフに俺たちは呆れてしまう。
「そうだね、でもまあ、この状況を生き残れたらだけどね!」
襲いかかるモンスターたち相手に、俺たちがずいぶん邪魔になったようだ。ほんのちょっとだけ加勢し、その場にいるモンスターを殲滅させた。
□
「では、行ってまいります」
ご機嫌なゾンヌフは敬礼のポーズをとり、女エルフ冒険者とともに行くようだ。エルガードも自分の部下ではあるが、もう知らないと行った感じで、行ってこいと手を振り払っている。
「あと二人ほど一緒に来たほうがいいんじゃないの?」
エルフのお姉さんは、どうやら本気モードのようだ。十対一という絶対的な男不足の状態では、私たちの欲望を満たせないよ?ということなのだろうか……。
俺もラッテもエルガードも首を振る中、以外にもロンダールだけが手を上げてゾンヌフについていくと意思表示をする。十人を一度に相手するなんて一般人にできることなのだろうか?心配ではあるけど何て声をかけていいのか分からず
「くれぐれも死なない程度にな……」
といって別れた。
「陛下、よろしかったのですか?」
「そうだな、いつも仕事では無理をさせているし奴は戦いはまるっきりだが、あっちの方は相当強いからいいんじゃないか?」
精力のチートかもな……帰ってきたらロンダールに様子を聞いてみよう。そして疲れの見える陛下を先にエソルタ島の拠点であるザイン城に送り届けた。
□
さて、オゥルをどうするべきなのだろうか……。このままカムラドネの我が家へ招くのもちょっと怖いしな……「どうしたらいいかな?オゥル」
「ちょ……それを僕に聞くの?そりゃあ、アッキーの心配事はよく分かるよ、得体の知れない僕なんかを連れて帰って、カワイイお嫁さんたちを危険に晒すなんてできないもんね」
心を読んでくれるので説明の手間が省ける。
「そういうことだ。とはいえ放っておくのもどうかと思うしな……」
「あれだけ苦労して宝玉の中で手に入れたんだ。大切な存在には変わりないさ」
ラッテはオゥル肯定派か。
「ラッテの言うことも最もなんだけれど……」
「問題は僕が一体何者かがわからない。何かあったときに力で押さえつけることができる存在なのか?アッキーとラッテ君は命に関わる契約関係にあるから家に案内した。それに比べて僕には何もないな……。いっそ肉体関係でも結ぶしかないのかな?アッキーがいいのなら、……僕はいいよ」
演技であっても頬を染める美少女……顔はカワイイけど、少女に手を出すのもな~、あとこんなに堂々と言われてもそそらないな……。
「あ~!!僕のこと魅力がないって思ったでしょ!脱いだらすごいんだからね!」
裸ならさっきみたけれど特にどうも思わなかったな。
「ひっど~い!」
むすっとした表情だが、本気で怒ってはいない。とりあえずカラルを呼ぶか……。
通信指輪をカラルにつなぐ、簡単に事情を説明して呼び寄せる。魔法陣から現れると同時に俺に抱きついた。
「ご無事で何よりですわ」
長い抱擁をラッテとオゥルは律儀にも待ってくれた。抱擁が終わり、カラルは向き直し「カラルと申します……」とかしこまって挨拶をする。
「オゥルだよ、よろしくね。こんな綺麗な人がお嫁さんなんてアッキーもなかなかやるなぁ~」
綺麗と言われるといつもなら嬉しそうにするのだが、状況が状況なのでカラルは緊張している。俺は経緯を簡単に話した。
「道理でアキト様の反応が無くなるわけね……それにしても不思議な存在ね。コアらしきものがあるけれど、モンスターコアとも全く異なる存在……戦わなくても能力の把握できれば良いと考えますが、いかがでしょう?」
カラルでもその存在を知らないか……。
「アッキーは僕の手綱を引いておきたいんだよね!?」
「まぁそうだな」
「じゃあ誓うよ!」
「何を誓うんだ?」
「永遠の愛?」
「はぁ!?ダメダメ!駄目に決まっているでしょう!」
呆れつつもカラルが間に入る。しかしこんなやり取りをみているとなんだか大丈夫なような気がしてきたので、ひとまずはこのまま連れて帰ることにした。
「オゥル、変な事を口走るなよ」
「りょーかい!」
「くそっ、こんなときに邪魔だな!」
最近聞いたことのある声での叫び声がする、あたりを見渡してみるとエルフの冒険者たちがモンスターたちと交戦中だった。エルフの宝玉の中から俺たちがこの世界に戻ってくると、彼女たちの元になるのは当然といえば当然のことだ。
運悪くゾンヌフが、エルフのお姉さんを押し倒した形になっている。
「あ~戦っているところすまない、悪気はないんだ」
「う、うしろ!」
混乱する女エルフ冒険者たちの声にラッテは振り向きもしないで、襲いかかる巨大カマキリ型モンスターの頭部にロウブレンで一突きにする。
宝玉の持ち主であったエルフが驚きつぶやく。
「まさか、本当に帰ってくるなんて……」
「お嬢さん約束は忘れてないだろうね?」
こんな状況でまだアグレッシブにエルフに声をかけていけるゾンヌフに俺たちは呆れてしまう。
「そうだね、でもまあ、この状況を生き残れたらだけどね!」
襲いかかるモンスターたち相手に、俺たちがずいぶん邪魔になったようだ。ほんのちょっとだけ加勢し、その場にいるモンスターを殲滅させた。
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「では、行ってまいります」
ご機嫌なゾンヌフは敬礼のポーズをとり、女エルフ冒険者とともに行くようだ。エルガードも自分の部下ではあるが、もう知らないと行った感じで、行ってこいと手を振り払っている。
「あと二人ほど一緒に来たほうがいいんじゃないの?」
エルフのお姉さんは、どうやら本気モードのようだ。十対一という絶対的な男不足の状態では、私たちの欲望を満たせないよ?ということなのだろうか……。
俺もラッテもエルガードも首を振る中、以外にもロンダールだけが手を上げてゾンヌフについていくと意思表示をする。十人を一度に相手するなんて一般人にできることなのだろうか?心配ではあるけど何て声をかけていいのか分からず
「くれぐれも死なない程度にな……」
といって別れた。
「陛下、よろしかったのですか?」
「そうだな、いつも仕事では無理をさせているし奴は戦いはまるっきりだが、あっちの方は相当強いからいいんじゃないか?」
精力のチートかもな……帰ってきたらロンダールに様子を聞いてみよう。そして疲れの見える陛下を先にエソルタ島の拠点であるザイン城に送り届けた。
□
さて、オゥルをどうするべきなのだろうか……。このままカムラドネの我が家へ招くのもちょっと怖いしな……「どうしたらいいかな?オゥル」
「ちょ……それを僕に聞くの?そりゃあ、アッキーの心配事はよく分かるよ、得体の知れない僕なんかを連れて帰って、カワイイお嫁さんたちを危険に晒すなんてできないもんね」
心を読んでくれるので説明の手間が省ける。
「そういうことだ。とはいえ放っておくのもどうかと思うしな……」
「あれだけ苦労して宝玉の中で手に入れたんだ。大切な存在には変わりないさ」
ラッテはオゥル肯定派か。
「ラッテの言うことも最もなんだけれど……」
「問題は僕が一体何者かがわからない。何かあったときに力で押さえつけることができる存在なのか?アッキーとラッテ君は命に関わる契約関係にあるから家に案内した。それに比べて僕には何もないな……。いっそ肉体関係でも結ぶしかないのかな?アッキーがいいのなら、……僕はいいよ」
演技であっても頬を染める美少女……顔はカワイイけど、少女に手を出すのもな~、あとこんなに堂々と言われてもそそらないな……。
「あ~!!僕のこと魅力がないって思ったでしょ!脱いだらすごいんだからね!」
裸ならさっきみたけれど特にどうも思わなかったな。
「ひっど~い!」
むすっとした表情だが、本気で怒ってはいない。とりあえずカラルを呼ぶか……。
通信指輪をカラルにつなぐ、簡単に事情を説明して呼び寄せる。魔法陣から現れると同時に俺に抱きついた。
「ご無事で何よりですわ」
長い抱擁をラッテとオゥルは律儀にも待ってくれた。抱擁が終わり、カラルは向き直し「カラルと申します……」とかしこまって挨拶をする。
「オゥルだよ、よろしくね。こんな綺麗な人がお嫁さんなんてアッキーもなかなかやるなぁ~」
綺麗と言われるといつもなら嬉しそうにするのだが、状況が状況なのでカラルは緊張している。俺は経緯を簡単に話した。
「道理でアキト様の反応が無くなるわけね……それにしても不思議な存在ね。コアらしきものがあるけれど、モンスターコアとも全く異なる存在……戦わなくても能力の把握できれば良いと考えますが、いかがでしょう?」
カラルでもその存在を知らないか……。
「アッキーは僕の手綱を引いておきたいんだよね!?」
「まぁそうだな」
「じゃあ誓うよ!」
「何を誓うんだ?」
「永遠の愛?」
「はぁ!?ダメダメ!駄目に決まっているでしょう!」
呆れつつもカラルが間に入る。しかしこんなやり取りをみているとなんだか大丈夫なような気がしてきたので、ひとまずはこのまま連れて帰ることにした。
「オゥル、変な事を口走るなよ」
「りょーかい!」
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