チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

文字の大きさ
175 / 182
第2章

第百七十四話 オゥル

しおりを挟む
「きゃ~~~!!」

「くそっ、こんなときに邪魔だな!」

 最近聞いたことのある声での叫び声がする、あたりを見渡してみるとエルフの冒険者たちがモンスターたちと交戦中だった。エルフの宝玉の中から俺たちがこの世界に戻ってくると、彼女たちの元になるのは当然といえば当然のことだ。

 運悪くゾンヌフが、エルフのお姉さんを押し倒した形になっている。

「あ~戦っているところすまない、悪気はないんだ」

「う、うしろ!」

 混乱する女エルフ冒険者たちの声にラッテは振り向きもしないで、襲いかかる巨大カマキリ型モンスターの頭部にロウブレンで一突きにする。

 宝玉の持ち主であったエルフが驚きつぶやく。

「まさか、本当に帰ってくるなんて……」

「お嬢さん約束は忘れてないだろうね?」

 こんな状況でまだアグレッシブにエルフに声をかけていけるゾンヌフに俺たちは呆れてしまう。

「そうだね、でもまあ、この状況を生き残れたらだけどね!」

 襲いかかるモンスターたち相手に、俺たちがずいぶん邪魔になったようだ。ほんのちょっとだけ加勢し、その場にいるモンスターを殲滅させた。



「では、行ってまいります」

 ご機嫌なゾンヌフは敬礼のポーズをとり、女エルフ冒険者とともに行くようだ。エルガードも自分の部下ではあるが、もう知らないと行った感じで、行ってこいと手を振り払っている。

「あと二人ほど一緒に来たほうがいいんじゃないの?」

 エルフのお姉さんは、どうやら本気モードのようだ。十対一という絶対的な男不足の状態では、私たちの欲望を満たせないよ?ということなのだろうか……。

 俺もラッテもエルガードも首を振る中、以外にもロンダールだけが手を上げてゾンヌフについていくと意思表示をする。十人を一度に相手するなんて一般人にできることなのだろうか?心配ではあるけど何て声をかけていいのか分からず

「くれぐれも死なない程度にな……」

 といって別れた。

「陛下、よろしかったのですか?」

「そうだな、いつも仕事では無理をさせているし奴は戦いはまるっきりだが、あっちの方は相当強いからいいんじゃないか?」

 精力のチートかもな……帰ってきたらロンダールに様子を聞いてみよう。そして疲れの見える陛下を先にエソルタ島の拠点であるザイン城に送り届けた。



 さて、オゥルをどうするべきなのだろうか……。このままカムラドネの我が家へ招くのもちょっと怖いしな……「どうしたらいいかな?オゥル」

「ちょ……それを僕に聞くの?そりゃあ、アッキーの心配事はよく分かるよ、得体の知れない僕なんかを連れて帰って、カワイイお嫁さんたちを危険に晒すなんてできないもんね」

 心を読んでくれるので説明の手間が省ける。

「そういうことだ。とはいえ放っておくのもどうかと思うしな……」

「あれだけ苦労して宝玉の中で手に入れたんだ。大切な存在には変わりないさ」

 ラッテはオゥル肯定派か。

「ラッテの言うことも最もなんだけれど……」

「問題は僕が一体何者かがわからない。何かあったときに力で押さえつけることができる存在なのか?アッキーとラッテ君は命に関わる契約関係にあるから家に案内した。それに比べて僕には何もないな……。いっそ肉体関係でも結ぶしかないのかな?アッキーがいいのなら、……僕はいいよ」

 演技であっても頬を染める美少女……顔はカワイイけど、少女に手を出すのもな~、あとこんなに堂々と言われてもそそらないな……。

「あ~!!僕のこと魅力がないって思ったでしょ!脱いだらすごいんだからね!」

 裸ならさっきみたけれど特にどうも思わなかったな。

「ひっど~い!」

 むすっとした表情だが、本気で怒ってはいない。とりあえずカラルを呼ぶか……。

 通信指輪をカラルにつなぐ、簡単に事情を説明して呼び寄せる。魔法陣から現れると同時に俺に抱きついた。

「ご無事で何よりですわ」

 長い抱擁をラッテとオゥルは律儀にも待ってくれた。抱擁が終わり、カラルは向き直し「カラルと申します……」とかしこまって挨拶をする。

「オゥルだよ、よろしくね。こんな綺麗な人がお嫁さんなんてアッキーもなかなかやるなぁ~」

 綺麗と言われるといつもなら嬉しそうにするのだが、状況が状況なのでカラルは緊張している。俺は経緯を簡単に話した。

「道理でアキト様の反応が無くなるわけね……それにしても不思議な存在ね。コアらしきものがあるけれど、モンスターコアとも全く異なる存在……戦わなくても能力の把握できれば良いと考えますが、いかがでしょう?」

 カラルでもその存在を知らないか……。

「アッキーは僕の手綱を引いておきたいんだよね!?」

「まぁそうだな」

「じゃあ誓うよ!」

「何を誓うんだ?」

「永遠の愛?」

「はぁ!?ダメダメ!駄目に決まっているでしょう!」

 呆れつつもカラルが間に入る。しかしこんなやり取りをみているとなんだか大丈夫なような気がしてきたので、ひとまずはこのまま連れて帰ることにした。

「オゥル、変な事を口走るなよ」

「りょーかい!」

しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

異世界へ転生した俺が最強のコピペ野郎になる件

おおりく
ファンタジー
高校生の桜木 悠人は、不慮の事故で命を落とすが、神のミスにより異世界『テラ・ルクス』で第二の生を得る。彼に与えられたスキルは、他者の能力を模倣する『コピーキャット』。 最初は最弱だった悠人だが、光・闇・炎・氷の属性と、防御・知識・物理の能力を次々とコピーし、誰も成し得なかった多重複合スキルを使いこなす究極のチートへと進化する! しかし、その異常な強さは、悠人を巡る三人の美少女たちの激しい争奪戦を引き起こすことになる。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...