チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

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第1章

第三十二話 まっすぐ帰る

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 ルーミエとユウキは一緒に風呂に入り、中から楽しそうな声が聞こえてきていた。本当に仲のいい二人だ。

 湯上り美人が二人にこれからの予定を聞いたところ、ギルドでの討伐報酬を受け取って、みやげ屋がつぶれてなければおみやげを見るくらいとのこと。

まだ午後の半ばといったところか……。

 力はあり余っているし、朝から寝ているので夜は早くには眠れそうにもない。ギルドに寄ってみやげ屋を見てからカムラドネへの帰路に就くことにした。

 途中の街で休んでもいいし、野宿でも構わない。急ぐ帰路ではないが、俺自身が手持無沙汰なのだ。なんだかんだと言っていたらレイラに会いたくなった。

 ギルドに向かって歩いていく。街には倒壊している建物が多くある。

 いろんなところで復旧作業が行われている。浮遊魔法を使って瓦礫をのけ、荷物を取り出し、アイテムボックスに収める。魔法が介在することで作業もスムーズだ。

 ギルドに到着しカウンターに並ぶ。先程、領域(テリトリー)で確認した時ほど混雑はしていない。十分ほど待ってルーミエとユウキは報酬を受け取った。

 記録石(きろくせき)を首から下げて身に着けることで、倒したモンスターなどが自動的にカウントされ、討伐報酬を受け取ることができ、またそのモンスターの強さや数により冒険者ランクが決まってくる。

 俺の場合はモンスターを倒し過ぎて凄まじい討伐記録になるので、最初からアイテムボックスに記録石(きろくせき)を収納して、討伐記録が残らないようにしている。

 記録石(きろくせき)への情報改変の能力もあるが、いちいち削除するのが面倒になってきたからだ。ギルドには討伐情報を仕入れるためだけに来ている。

 しかし今回はカウンターで「あちゃー、お兄さん討伐報酬ゼロだよー。ちゃんと肌身離さず持ってたの?」

 とか

「兄ちゃん残念だったな!一杯奢ってやろうか?」と、店番のお姉さんや周りのおっさんに慰められる一幕もあった。

 報酬に関してはモンスターから得られる貨幣、宝石、剣、防具で充分に事足りるのでギルドでの討伐報酬は不要なのだが、これはこれで恥ずかしいので、今後は報告用にはそれなりに討伐記録は残しておくか。覚えていたらだけど……。

 その場は苦笑いでごまかしながらギルドを後にする。

 お土産屋を訪れると、店の裏手は被害にあっているようだが、店は開いていた。アクセサリーや地場で取れたものを使った加工食品などが陳列している。

 土産として適当にうまそうなものを買い込む。レイラやノイリは一体何を喜ぶのだろうか。今更アクセサリーってのもな~。

 巫女はカムラドネからあまり出てはいけないんだよな。ノイリはここ一年半くらいは冒険の旅に出ていたが、これからはあの街で暮らしていかなければならないとなると、何がいいのだろうか?全くと言っていいほど思いつかない。

 ルーミエとユウキもお土産を一通り見て満足したようだ。必要な物を買って帰路に就くことにした。

 店が潰れたならテントを張ってその下で屋台を営んでいる、この街は本当に活気があっていい。みんな生きるために頑張っている。

 初めて対峙した魔人だが、ルーミエと、ユウキの故郷を支配した奴らと同じという可能性が高い。いずれ魔人を相手にしなければならないと思うと憂鬱な気持ちになっていたが、この街で精一杯生きている人々を見て、元気を分けてもらったような気がした。

 さあ、帰ろう!

 ナリヤを出て街道を外れ、人気のないところに向かう。そうそうステータス変更しおかないと……。”魔法威力”を500に減らし、”器用さ”を1200に上げる。

◇ ◇ ◇
Lv256 HP2560/MP2560
強さ:1190 守り:100 器用さ:1200 賢さ:270 魔法耐性:300 魔法威力:500 
ボーナス:0
◇ ◇ ◇

 
 今回はかなりとレベルも上がった、本当にアズアフィアたちのおかげでここまで強くなれた。『ありがとう』と、心の中で感謝する。

 ナリヤに向かう時には”器用さ”の設定は1000もなかったからな、どれだけの速度がでるか楽しみだ。

 箱魔法を展開し、三人で乗り込む。

「行きよりも飛ばすから、怖かったら言って」

「前は着いたとたん倒れるように眠っちゃったけど、大丈夫?」と、ルーミエは俺のことを心配してくれた。

「やってみないと分からないな。まあ、辛かったら止めるし、心配ないよ」

「いえーい、お兄ちゃん、ファイトー!」

 ナビは二人に任せ、コンパスと地図を渡す。俺はコンパスのみ持って、言われた方角に飛ぶようにする。目印となるような山や街があれば速度を落として”分析機能”を使って対象の名前を確認する。
再び方角を調整して、次の目印に向けて移動を開始するといった具合だ。

「出発しまーす」

 徐々に速度を上げる。

これは……結構……やばい速度だ。

 箱の壁を厚くし強度を上げ振動や音を減らして快適な環境を保つ。速度はだいたい百キロくらいまでなら体感で分かったが、この速度は未知の領域だ。鳥も飛ばない、障害物となるようなものが無い雲の上を飛んでいるので運転には支障がないだろう。



 そして飛ばしまくった結果、日没直後にカムラドネに着いてしまった。マジかよ。早すぎるだろう……。行きより魔法の使用時間は大幅に減ったのでそんなに辛くはない。

 レイラとノイリが街の門まで迎えに来てくれていた。

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