チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

文字の大きさ
47 / 182
第1章

第四十七話 契り

しおりを挟む
 空には大きな入道雲、三百六十度見渡しても地平線しか見えない荒野のど真ん中。青と白と茶色しかない世界でソファにくつろぐ男女。

 少し熱いな……。箱魔法を黒で作り出し屋根代わりに浮かせる。

 緊張していたせいもあって喉もカラカラだ。グラスをアイテムボックスから出して、水生成能力でグラスに注ぐ。そのグラスを俺の手から奪い取ったカラルが水を口に含む。

「なんだ、カラルも喉が渇いてた——うんぐぅ」

 言い終わる前にカラルが口移しで水を運んでくれた。

「ありがとう……その返事だよな」

「ええ、わらわの真意をお伝えたし、あとはアキト様の返事待ちね」

 寿命が延びる。強い相棒が手に入る。しかも美しい。

 残る心配はレイラのこと、ルーミエやユウキのこともある。

「俺には嫁がいるけど、それはいいの?」

「ええ、結構です。他種族とは寿命が違うので……なんならずっと秘密にしていても構わないわ」

「即答か。わかった。番(つが)いになろう」

 レイラには時期をみて話そう。と、ずるい考えの俺だった。

「ありがとう、アキト様。わらわはこの日が来るのをどんなに待ち望んでいたか……それでは早速儀式と参りましょう」

「儀式って何?」

「アキト様の好きなアレよ。うふふふ。ちょっと手伝ってくれる?」

 そしてそのプランを聞いて俺は愕然とした。だがちゃんと実行した。だって男の子だもん!

◇ ◇ ◇
プラン
1.箱魔法で人目がない上空に移動。一緒に天空のお風呂を楽しむ。(自動魔法継続指輪を使用しました)
2.”強さ”(レイラの時は5くらいに下げる)はそのままイコール体力MAX、精力MAXで天空のカラルの特別豪華ベッドで楽しむ(時間無制限)
◇ ◇ ◇

 全てを終えて仰向けになり空を眺める。カラルと別れた冒険者二人よ、判断間違っていたぞ。でもありがとう。

 ふと、見ると視界左上のレベルが上がっている。戦闘後には上がってなかったはずだが、カラルとの契りをかわしたからか?

◇ ◇ ◇
Lv402 HP4020/MP4020
強さ:1100 守り:1000 器用さ:500 賢さ:400 魔法耐性:400 魔法威力:540 ボーナス:1080
◇ ◇ ◇

アレしてレベルが100以上も増えるなんて……。適当に振り分ける。

◇ ◇ ◇
Lv402 HP4020/MP4020
強さ:1100 守り:1000 器用さ:800 賢さ:400 魔法耐性:700 魔法威力:1000 ボーナス:0
◇ ◇ ◇

 地平線に夕日が沈む、天空のベッドで二人で眺めていたその時だった。

『お邪魔いたします。アキト様』

『やっほーアキト君、うっわ!何この状況——』

 長らくご無沙汰だった、銀色の炎のシルヴィと金色の炎のゴールジュが勝手に現れたので、俺は飲んでいたフルーツジュースを吹き出してしまった。

 突然出てこられたらこういう状況もあり得るだろう。召喚してもいないのに勝手に出てきちゃうなんて、まったく自由だな。

『お姉様、美しい夕日を二人で眺める至福の時にお邪魔しているのよ』

『いや~、ほら二人とも裸だし、なんか生々しくって……ついね。ごめんねぇ、アキト君』

「いや、いいんだけど。どうしたんだ?」

『カラル様にぜひご恩をお返ししたく、出てまいりました』

「わらわは別にそんな大したことしてないわ」

『いいえ、そんな事はございませんよ。カラル様とアキト様とは契りを結ばれ、命を共有されました』

 え、今のでそういうことになっちゃうのか?でも、始める前に儀式ってちゃんと言っていたな。忘れて楽しんでしまった。

「ええ、儀式は滞りなく終えて、わらわたちは番(つが)いとなりました」

『そこで私たちをカラル様に召喚できるよう、アキト様にお許しをいただきたいのですが、よろしいでしょうか?』

「アズアフィアとは離ればなれになっちゃうけどいいの?」

『命を共有されたことで、共有スペースができました。そこでいつでも会えるので問題ありません』

 何それ!何処にあるの?

「俺の意思で召喚できなくなっちゃうってことになるのかな?」

『はい』

『アキト君、寂しい?寂しいでしょ?』

 寂しくないといえば嘘になるが、カラルが霊格の炎を召喚できるようになって、力になるのであればそれもいいな……。

「いいよ、許可する。カラルを守ってやってくれ」

『御意にござります』

 カラルが困惑している。

「いいの?アキト様こんなに強力な霊格な炎を二体も——」

「意思を持っているんだ、尊重してあげたいじゃないか。それにカラルを守るってことは俺を守るってことに変わりないんだし、いいじゃない。同じ女性同士仲良くしてくれ」

「ありがとう、アキト様」

 裸で抱き合う俺たちを見かねた霊格の炎は『よろしくおねがいします』と、言って消えていった。



 夕日が沈んだあと、レイラに連絡をとる。

 色々とごまかし、カラルとの戦闘があり、疲れたので近くの街で一晩過ごしてから帰ることを伝える。レイラはちょっと心配そうだった。

「早く帰ってきてね」

 そう言って通信を切った。

「アキト様、相当愛されてますね……」

「そうだよ、だから大切にしたいんだ」

 近くの街で宿を取ろうと思い、アイテムボックスから地図を取り出す。

 メノム平原?なのかここは……。

「カラル、近くの街はどこにある?」

「はい、ルグアールがよろしいかと……あちらの方角よ。歩くのも、お疲れのようだし、箱魔法で街に入っていきましょう」

「そんなことしたら注目の的だよ」

「大丈夫、わらわの光魔法で見えなくするわ」

「えっ!光魔法?あの光魔法?」

「”あの”というのがどの光魔法かは存じませんが……光魔法よ」

「勇者が使うような?」

「勇者というのがこの世界には存在したかは定かでないけれど……」

 光魔法についてはまたゆっくりと聞いていこう。

「そうか、これからも色んなことを教えてくれ」

「はい、喜んで」

しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...