チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

第1章

第百二話 魔人からの情報

　さらに四体を街の中で倒し、最後は城の中にいる奴だけとなった。

　カラルから魔人が使っていた通信用の指輪を手に入れることをお願いもされていたな。もう少しで日が沈んでしまうので少し急ぐか……。箱魔法に乗り込み城へと急いだ。

　城壁を超えて庭に着陸し、極私的絶対王国（マイキングダム）を展開して城全体を覆った。

　魔人も俺が来たことを察知したようで、玄関からのこのこと出てきた。戦う前に情報収集をしておかなければ……。

「また、この島を襲うそうだな？」

「知っていたのか……おそらく四日後には転移魔法陣が開くだろう。だが貴様がそれを見ることもないのだろうがな」

　他の魔人を倒したことを知らないのか。

「その指輪で、報告していたのを聞いたぞ」

「これは俺たちの世界とつなぎ連絡をとる指輪だ」

　魔人は右手にはめている指輪を見せつける。その姿を見て芸能人の婚約会見かよ……。

「……なるほど妙な気配があると感じていたが、お前だったのか」

　領域（テリトリー）や極私的絶対王国（マイキングダム）を感じ取ることができるのか、だとしても奴らに打つ手はないのは変わらない。

「何故お前たちはこの世界を侵略する？」

「死にゆく者へ手向けとして聞かせてやるよ……我が世界ネボルタトゥヤは三つの統治国家が存在する。我が国家ロウム。そしてガンドル、ハピルタそれぞれが同等の軍事力を持っているためここ数百年にらみ合いが続き、どの国家も異世界に資源を求めた。
　侵略した先の武力、財力、資源を全て、手に入れ増強をする。我が国は二つ、ガンドル、ハピルタは四つ異世界のすべてを手に入れており、その遅れを取り戻すため、ここ特別危険界に手を伸ばしたのだ」

「トクベツキケンカイ？」

「何度も侵略に失敗している世界のことだ。この世界の地脈のエネルギーは豊富なことはわかっているのだが、他の異世界と違い、簡単には異世界転移魔法陣を通ることができない。……俺たちのような下っ端でもお前たち数万人の魂を使わないと通ることができないからな」

　確か力が巨大すぎて通れないっていう話だったな……。冒険者ラッテの時代にもここエソルタ島での攻防があったくらいなのだから、それぞれの時代で頑張って食い止めていたんだな。

「よくわかったよ、ありがとう」

「構わねぇよ、俺たちの世界のために力になれることを光栄に思いな」

　情報収集はこんなものだろう。さあネタばらしをしてやるか。

「やけに自信満々じゃないか……知らないのか？他の魔人はすでに死んだ。残るのはお前ひとりだ」

「ば……馬鹿な！」

　城に閉じこもっていたから周りのことに気が付かなかったようだ。

「はい、じゃあいろいろと情報をありがとう。”絶命”」

　ＭＰを５０００ほど消費して、魔人はその場に倒れた。街全体をカラルとの共同発動している極私的絶対王国（マイキングダム）はダンジョンとして扱われ、その中で死んだ者はすべてカラルのダンジョンコアに取り込まれる。そのばに指輪と剣を残し、あとは消えた。

　指輪を回収して分析能力でみつめる。
◇　◇　◇
異世界通信指輪：魔力を通すことでペアリングしてある指輪との交信が可能になる。
◇　◇　◇

　使い方はこの世界の地脈用通信指輪と同じようだな。

　地脈用通信指輪を使い、ルーミエたちに呼びかける。ダンジョンから出てきた四人に箱魔法を用意して、城まで飛んできてもらう。箱魔法から出るなりユウキが俺に飛びついてきたので抱きとめる。

「ユウキ、無事に終わったよ」

　モンスターはこの島にまだまだ多くいるが、魔人をすべて倒したことは大きい。

「名前を読み上げている時に嬉しそうな顔をしていたけれど、知り合いとかいたのか？」

「……うん、学校の同級生がいたし、それにお父様の部下の人もいたよ。本当にありがとう、お兄ちゃん！」

　しかし家族はいなかったか……。

「そうか、よかったじゃないか、会いに行くか？」

　ユウキは首を横に振った。

「嬉しいし、会いたいけれど、どんな顔をして会ったらいいのか分からないよ」

「辛い思いをしたのはユウキも同じじゃないか」

「うん、そうだけど今もまだ気持ちの整理がついていないんだ。だからもう少しこのままでいいたいの」

「わかったよ。……それじゃあ、これからの行動予定を話しておこうと思う。ノイリからエソルタ島に対して神託がでている。それでさっきの魔人にも確認したんだが、四日後にこちらの世界への転移魔法陣が開くそうだ」

「アキト様、まさかまたあちらの世界に行かれるおつもりですか？」

「そうしないと、あいつ等また異世界転移魔法陣を展開してこっちにきちゃうだろ」

「ではわらわもお供します」

「そうだな……いくつか考えていることもあるし、明日にある程度準備ができたらいこうか」

「はい」

　次は地下に隠していたた五百人の解放だな。