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第二十四章「ふたつの手、ふたつの愛」
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「あら……この空気は、まさか――」
くすぐりによる至福の余韻に包まれていた綾乃の耳元に、
もうひとつの低く、落ち着いた男の声が響いた。
「……随分と、愉しんでおられたようですね、綾乃お嬢様」
その声に反応し、綾乃の目がゆっくりと開かれる。
そこに立っていたのは、漆黒のスーツに身を包んだ、鋭い目元と知的な微笑みを湛えた男――
「ユウリ……様……?」
「お久しぶりでございます、お嬢様。礼司、貴殿もずいぶんと熱心な“奉仕”をなさっていたようですね」
「ユウリ、戻ってきたのか……だが、彼女はまだ満ち足りてなどいない。ともに奉仕を――“私たちの綾乃様”に」
礼司の目に、かすかな炎が灯る。
対するユウリは、ふっと微笑んだ。
「ふふ、まったく……貴方らしい。では、私も手を添えさせていただきましょう。
お嬢様の“快楽とくすぐったさ”の狭間を、より繊細に導いて差し上げるために」
そして――
ふたりの執事の指が、対照的に綾乃の肌に触れた。
礼司の手は情熱的に、太ももから腰の脇へと滑る。
ユウリの指は冷静に、だが計算された優しさで、肋骨の下から脇の奥をなぞり上げる。
「くっ……ふ、ふふふっ、あっ、ま、待って……! いっぺんにっ、ふたりで、なんて……!」
「ふたりで、ですよ」ユウリが囁く。「お嬢様が、一人で感じる以上の悦びを……」
礼司が後ろから背中を撫で、首筋にそっと舌を這わせる。
「お嬢様、もう逃げ場はございませんよ。どちらのくすぐりが心地良いのか、ぜひ……笑って、お教えください」
「くふっ、や、だめっ、ふたりなんて、そんな、ふふっ……くすぐったい、でも、でも……いやじゃ、ないの……っ」
身をくねらせる綾乃を、ふたりの執事はしっかりと支えた。
決して無理強いはせず、ただ彼女が悦びの中で心から笑えるように――
舌と指先で、脇、へそ、太もも、耳の裏、足裏へと、
甘く、丁寧に、意地悪くも優雅なくすぐりが続いてゆく。
そして、彼女の身体が熱を帯びていくほどに、心もまたほどけていった。
「ふふ……ふたりとも、ほんとうに、ずるいの……」
笑いと吐息が交じり合うその中で、
綾乃の唇は、恍惚と愛しさに震えていた。
くすぐりによる至福の余韻に包まれていた綾乃の耳元に、
もうひとつの低く、落ち着いた男の声が響いた。
「……随分と、愉しんでおられたようですね、綾乃お嬢様」
その声に反応し、綾乃の目がゆっくりと開かれる。
そこに立っていたのは、漆黒のスーツに身を包んだ、鋭い目元と知的な微笑みを湛えた男――
「ユウリ……様……?」
「お久しぶりでございます、お嬢様。礼司、貴殿もずいぶんと熱心な“奉仕”をなさっていたようですね」
「ユウリ、戻ってきたのか……だが、彼女はまだ満ち足りてなどいない。ともに奉仕を――“私たちの綾乃様”に」
礼司の目に、かすかな炎が灯る。
対するユウリは、ふっと微笑んだ。
「ふふ、まったく……貴方らしい。では、私も手を添えさせていただきましょう。
お嬢様の“快楽とくすぐったさ”の狭間を、より繊細に導いて差し上げるために」
そして――
ふたりの執事の指が、対照的に綾乃の肌に触れた。
礼司の手は情熱的に、太ももから腰の脇へと滑る。
ユウリの指は冷静に、だが計算された優しさで、肋骨の下から脇の奥をなぞり上げる。
「くっ……ふ、ふふふっ、あっ、ま、待って……! いっぺんにっ、ふたりで、なんて……!」
「ふたりで、ですよ」ユウリが囁く。「お嬢様が、一人で感じる以上の悦びを……」
礼司が後ろから背中を撫で、首筋にそっと舌を這わせる。
「お嬢様、もう逃げ場はございませんよ。どちらのくすぐりが心地良いのか、ぜひ……笑って、お教えください」
「くふっ、や、だめっ、ふたりなんて、そんな、ふふっ……くすぐったい、でも、でも……いやじゃ、ないの……っ」
身をくねらせる綾乃を、ふたりの執事はしっかりと支えた。
決して無理強いはせず、ただ彼女が悦びの中で心から笑えるように――
舌と指先で、脇、へそ、太もも、耳の裏、足裏へと、
甘く、丁寧に、意地悪くも優雅なくすぐりが続いてゆく。
そして、彼女の身体が熱を帯びていくほどに、心もまたほどけていった。
「ふふ……ふたりとも、ほんとうに、ずるいの……」
笑いと吐息が交じり合うその中で、
綾乃の唇は、恍惚と愛しさに震えていた。
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