あっくんって俺のこと好きなの?

あんこ食パン

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番外編

あつあつ×ほくほく5

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高校最後の文化祭
三年生は飲食系の店を出すことが出来る
やりたい店を実行委員が提出した際に他のクラスと被ると代表によるジャンケンで出店できるクラスが決まる
その中でも毎年定番のようにどこかのクラスがやるのがメイド喫茶
メイド喫茶は定番なだけあって今年も人気だったらしい
そして、今年その人気店を出店する権利を勝ち取ったのはあっくんのクラスだった
しかも、男女逆転メイド喫茶
つまり、あっくんのメイドさん姿が見られるのだ
あっくんからは絶対に来ちゃダメって言われたけど、絶対行く
今年はけんちゃんとあっきーも来る予定だから、一緒に行って写真をゆうちゃんに送るのだ

因みに俺のクラスは焼きそば屋さん
赤焼きそばと白焼きそばと黒焼きそばの三種類の焼きそば屋さんだ
衣装はねじり鉢巻にはっぴと言う気合いの入った格好
店番は前半、中盤、後半の三チームに分かれていて、俺は中盤であっくんは前半だから、前半にあっくんのクラスを見に行って、中盤に店番をしたら後半はみんなで回る
高校祭も今年で最後だから、思いっきり楽しむぞ!

文化祭までの間、あっくんは徹底してクラスの出し物の話をしなかった
何度も念押しするように「絶対来ちゃダメだからな!」って
そんなに言われたら余計に行きたくなっちゃうのに…
まあ、メイド姿を見られるのが恥ずかしい気持ちは分かる
あっくんもそうだろうけど、俺も今まで女装とかしたこと無かったし、する機会なんて今後も無さそう
ごめんよあっくん……俺はどんなあっくんも見逃したくないのだ

文化祭当日
校門の前でけんちゃんとあっきーに合流して校内に入った
本当はそのままあっくんのクラスに突撃しようと思ってたんだけど、流石に罪悪感があったから、ちょっと一年生のクラスに寄り道してから向かった

あっくんのクラスは既に長蛇の列で、並んでる間に前半が終わっちゃうんじゃないかって不安だったけど、お客さんが長居しないように決まり事を作ってあったみたいで、スムーズに進んだ
入り口で注文して席で待つスタイル
入り口に立つカッコイイ男装女子にケーキを三つとドリンクを三つ注文した
席に案内されるまでの間、あっくんのクラスの女子達がザワザワしながら俺達を見てる

「え、可愛くない?」

「いや、超かわいい…」

チラチラを通り越してガン見されてめちゃくちゃ恥ずかしい

「くっ…流石にこんなに見られるとは思わなかった」

「うぅ……やっぱり恥ずかしいね」

「いや、北斗は何も恥ずかしく無いだろ」

俺だって恥ずかしいのに、けんちゃんが鋭いツッコミを入れてくる
………意地悪だ

少しざわついていたけど、それほど待たずに席に案内されて注文したものを待つ
あっくんはどこかな??
キョロキョロしてたら、裏からケーキとドリンクを持った厳ついメイドさんが俺たちの席に近付いて来た

「あっくん!!メイドさん姿も格好いいね!」

「「…………………」」

「………北斗、何から話せば良いか分からないんだけど、とりあえずその格好は何だ?」

メイド服姿のあっくんは、いつも以上に厳つく見えて男らしい
筋肉が浮き出た腕とか、ぱつっとした胸筋とか、普段より筋肉が強調されて見えて格好いい
だけど、俺のかっこいいメイドさんは定番の「おかえりなさいませ」を忘れて俺の格好について聞いてきた

そう
俺達はここに来る前に寄った一年生のブースで貸衣装を借りて三人で女装して来たのだ
けんちゃんがナースであっきーがゴスロリ、俺はミニスカポリス
あっくん一人に女装させて写真を撮るのは可哀想だと思っての配慮
来るなと言われても行く事への謝罪の意味もある
しかし、ここに至ったことへの説明を聞きながらあっくんは不機嫌そうな顔で黒いオーラを放っている

「俺たち三人の可愛い姿で許して!」

「ぷっ…そ、そうだぞ!怒りん坊なメイドさんにはお注射しちゃうぞ!」

「…っ……ククッ…すまない敦也」

厳ついメイドさんに給餌をされる逞しいナースとゴスロリとポリス
奉仕する側のメイドさんの態度がデカくて俺たちは身を縮めながらケーキを食べる

「………可愛いのは北斗だけじゃないか。後の二人はどう見てもゲテモノ」

「ぅおい!!オレだって可愛いだろが!」

「…いや、健人。北斗と張り合うのは無理だろ」

えへへ
あっくんに可愛いって言われちゃった
でも、さっきからあっくんが俺の太ももガン見してるのが気になる
多分変な事考えてる
ナースは膝丈くらいのワンピースだし、ゴスロリも膝丈くらいのワンピースなんだけど、俺のは上下に分かれてて、ぴちぴちノースリーブの上とミニのタイトスカート
男でこれが着られるのは俺みたいに小柄じゃ無いと難しいやつだ
あっくんにはセクシーに見えているのかも知れない
これは……使える!

「あっくぅ~ん!ほっくん、お写真とりたぁ~い!」

思いっきり上目遣いであざとくお願いしてみた

「「「……………」」」

「あれ?今のダメだった?」

三人とも無言で固まってる
いや、プルプルしてる?

「っあはは!!今の顔、超かわいかった!!」

「ほ、ほっくんって!自分でっククク…っ…」

「北斗、もう一回言ってくれ」

なにさ!みんなで笑って!!
これは絶対に馬鹿にしてるやつでしょ!

「もう!!!俺を笑う悪い子はみんな逮捕しちゃうぞ!!」

借りて来た小道具の手錠を持って睨む

「ぎゃーー!やめてぇ~可愛いぃ~」

「本当に北斗は変わらないなぁ」

「……その衣装は買い取れないのか?」

俺の言葉に三者三様の反応を見せながらも楽しくメイド喫茶を堪能した
記念写真も撮ってその場でゆうちゃんに送信したらすぐに"北斗以外バケモノだね"ってニコニコマーク付きで返事が送られて来た
その返事を見たけんちゃんが"だったらお前もやってみろ"って挑発してたけど、あっさり断られてた
…そりゃそうだよね
文化祭で女装するのと一人暮らしの寮で一人で女装するのは違うよね

結局あっくんのクラスを出て一年生のクラスに貸衣装を返しに行ったところで前半が終わりに近くなったから、俺はそのまま自分のクラスに戻って店番をした
あっくんとけんちゃんとあっきーが買いに来てくれて、はっぴ姿の俺とも写真撮りたいって言って撮ってた
あっくんが辛い赤焼きそば、あっきーが塩味の白焼きそば、けんちゃんがソース焼きそばに竹炭を入れた黒焼きそばを食べてて、けんちゃんは歯が黒くなった顔で笑って写真に写ってて

「いや、黒くなってんなら言えよ!!」

って拗ねてた
大丈夫!けんちゃんは歯が黒かろうが白かろうがたいして変わらないから!

その後は三人であちこち回って体験ブースで遊んだり、買い物したりして過ごした
最後まであっくんが俺の着ていたミニスカポリスを気にしてて、よっぽど気に入ってみたいだった
……あっくんって、コスプレ好きなのかな??

帰り道、途中でけんちゃん達と別れて二人で帰っているといつもの公園に着いた
人目につかない木の影で、いつもみたいにあっくんが抱き寄せてきた

チュッ

「っ……北斗、今日可愛かった」

「んっ……ミニスカポリス?」

「うん」

答えながらあっくんが俺のお尻を揉み揉みしてくる
俺のコスプレ姿をそんなに気に入ってくれてるなんて、ちょっと嬉しい

「本当はあんな可愛い北斗の姿、誰にも見せなく無かったな」

「んへへ。そんな可愛いって思ってるのはあっくんだけだよ」

「それは無い」

「えぇ~」

チュッチュッ

あっくんが俺の身体を撫で回しながらいっぱいキスしてくる
ちょ、ちょっとあっくん、ここ外なんだけど!
慌てて身を捩ろうとしたけど、あっくんに強引に唇を塞がれて腕の中に閉じ込められた
重なった唇はすぐに舌を絡める深いキスに変わって息が苦しくなる

「…っん……ふぁ……っんぅ…あ、く……ん」

俺の必死の抵抗に漸くあっくんが唇を離した
あっくんのせいで、外なのに身体が熱くなっちゃった
目が合ったあっくんの顔も完全にスイッチが入った表情をしてる

「もう!!こんな所でダメでしょ!」

「悪い…北斗が可愛過ぎて我慢出来なかった」

謝ってるくせに、全然反省してない顔であっくんの顔がまた近付いてきた
俺はベシッとあっくんの顔に手を当ててキスを阻止する
あっくんにされるがままでいたら、このままここで最後までされてしまう危険性がある
どんなにカッコイイ顔でおねだりされても、ここでするのは嫌

「あっくんは、誰に見られるか分からない外で俺がエッチな気分になっちゃっても良いの?」

「ぐっ…………良くない」

「でしょ?」

「……………はい」

うむ!俺の勝ちだ!
でも、あっくんがしょんぼりしちゃった
あっくんの気持ちも分かる
あっくんは超絶絶倫なのに、俺たちは二人きりになれる時が滅多に無いから、最後にしたのは夏休み中……つまり2ヶ月以上前
俺はあっくんを欲求不満にしちゃってるのかも

「………あっくん」

「ん?」

「ラブホテルって、コスプレあったりするらしいよ?」

「っ!!!!」

俺の提案にあっくんの目が輝く
すっごく嬉しそう
そんな単純なあっくんも可愛くて好きだ

「明後日学校お休みだし………行く?」

「行く!!今日中に調べておく!」

「機嫌治った?」

「もちろん!北斗大好きだ!」

「んふふっ俺も!あっくん大好き!」

元気になったあっくんに思いっきり抱きしめられてちょっと苦しいけど、嬉しくて幸せ
明日は高校祭最終日で、それが終わったらあっくんと初めてのラブホだ!











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