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第1話 少女との出会い
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鳴り響く剣と剣のぶつかり合う音、魔法の爆裂音、辺りに木霊する断末魔
ここは戦場
幾千もの兵が命を懸けて戦う場所。そして、そんな中指揮を執る男の姿があった
彼の名はアルタイア、王国兵団の大尉。彼は白馬にまたがり先陣を切って指揮をしていた
「アルタイア大尉!敵が多すぎます!」
次々に来る敵を切り捨てそう言ったのは部下のウィネンという男だった。ウィネンの言う通りこちらの軍は苦戦を強いられていた
「くっ…撤退だ!!!」
アルタイアがそう言うと軍は踵を返し一斉に撤退を始める。既に仲間の兵士は4分の1ほどに数を減らしていた。何故こんなことになったのか、話は1日前へと遡る
♦
「アルタイア大尉、大佐がお呼びです」
そう言い部屋の扉を開けたのは部下で中尉のフロンだった。軍服に身を包み急いで部屋を出る、大佐からの呼び出しは大抵ろくな事がない
現在わが国グリモワールでは対立が起きていた、対立の理由は『魔女』の存在だ
グリモワールでは現在3種類の種族が共存している。1つ目が『人間』、我々の事だ。そして、『エルフ』、『魔女』の3種類。エルフは人間のような容姿だが耳が長く、妖精のような羽が生えている。自然の保護や環境の整備を生業としており、害にはならないとされている
しかし、魔女は違う。国内で対立が起きているのもこの魔女の影響だ。魔女と言うのは魔法という異能を使いこなす者の事で、容姿は人間やエルフと変わらない。そして今グリモワールでは魔女迫害をかがげて魔女と対立が起きている
ではなぜ対立起きる事になったのか、理由は単純、魔女の魔法という物は凄まじい物で、一瞬で辺りを焼き尽くしたり、凍りつかせたりできる恐ろしいものなのだ。そして、そんな魔女を放っておくのは脅威だと感じた王国は、魔女を危険視し始める。そしてそんな中、魔女が誤って放った魔法がある1つの村へと直撃し壊滅したのだ。それが決定打になり今の対立がある
人間というものは保身に走る生き物だ。王国はその件以降魔女を滅ぼす事を決定し、魔女達の言い分を聞く事もなく内戦が始まった。魔女達も勿論、滅ぼされたくはないだろう、こうなるのは仕方がなかったのかもしれない
「アルタイア大尉を連れてまいりました」
軍の施設、会議をする時に使われる一室の扉がフロンの一言でゆっくりと開かれた。中には眼帯をした厳つい見た目のネロス大佐が椅子に座っていた
「ご苦労大尉掛けろ」
「はっ、失礼致します」
そう言い一礼をしネロス大佐の前の席に座った。とても広い会議室だが2人だけだと余計大きく感じてしまう。会議室には長方形の机が置かれており、周りに椅子が設置され奥には映像を映し出すディスクのようなものがある
「早速本題だがアルタイア大尉には中隊規模の兵を率いて前線に出てもらいたい」
やっぱりろくでもない話しだった、予想どうりの結果でため息が出そうになるのを抑え込み話を聞いた。中隊規模と言う事は100人ほどの軍隊だ、前線に出るのにたったそれだけの人数で大丈夫なのだろうか
「君の部隊の人間と私が用意した者、合わせて120人を連れて前線の魔女共の討伐、あわよくば魔女街へ打撃を与えてもらいたい」
なるほど、ネロス大佐の用意した者達なら信用出来る。だがそれでも前線を乗り越えて魔女街へ行くなど本当に可能なのだろうか。前線にいる魔女だけでもたったの数十人で我が軍を足止めしている、魔女街にはその名の通りとんでもない数の魔女がいるはずだ
「前線の魔女の討伐…はまぁもしかすれば可能かもしれません。しかし、魔女街へ進出するのは危険すぎるかと」
「危険も承知の上だ、しかしこのままではこちらが押される。仕方の無いことなのだ」
つまり魔女を道連れに死ねと言う事か。反論したいのも山々だが、上からの命令は絶対だ。逆らえば殺されるのは明白、断れるはずもない
「分かりました、決行日はいつですか?」
「明日だ、明日の朝6時より進軍開始してもらいたい。しかし気をつけろ敵にh…」
「了解しました」
ネロス大佐の言葉を遮り、そう言い一礼を済ませ会議室を後にした。アイツら大佐は前線に赴く事など無いから、そんなことが言えるのだ。溢れそうになる怒りを押し殺し、外で待機していたフロンに部隊の招集を任せた
♦
数分後、部隊の皆が施設の外のグラウンドに集合した。我が部隊は少数精鋭、30人ほどの小隊で一人一人が魔女に対抗しうる力を持っている…と自負している。俺の教えが悪くなければ
「諸君、我々は明日前線へ赴く!そして前線を突破し魔女街への進出を試みる!」
やはり予想どうり魔女街への進出と聞くと、隊員たちの目に曇りが生じる。そりゃそうだ、魔女街は魔女の集落、地獄へ行くようなものだ
「時刻は明日、明朝6時よりネロス大佐の部隊と共に進軍開始だ!我々はこの戦いに終止符を打つ鍵だ!絶対に勝つぞ!」
そう言うと隊員たちからうぉぉぉ!と声が上がりそれを聞き俺はその場をあとにした。しかし、あんな事を言ったのはいいが確実に死にに行くようなものだ、いざと言う時は撤退するしかあるまい。罰は俺が受けよう、部下達さえ無事ならそれでいい
♦
そして、今
予想どうり、嫌、予想以上に我々は苦戦を強いられていた。魔女の魔法によりドンドンとなぎ倒されていく仲間たち、120人の部隊は40人ほどに数を減らし相手の魔女は1人も倒せていない。と言うより何故か敵の魔女は1人しか居なかった
そして予想外だったのはその魔女の実力だったのだ。その1人の魔女は美しい赤の髪、赤色の目をした魔女で、炎系統の魔法を使い次々に当たりを焼き尽くしていった
「総員撤退だ!!!今すぐ帰還する!!!」
俺の声に兵士たちは一斉に撤退を開始した
「逃がさないわよ」
赤目の魔女は撤退する俺達を見てそう言い指を鳴らした。すると、途端退路に出現する大量の魔女達。数十、いや、百数人はいるであろう魔女の軍勢はなんの脈絡も無しに突然現れ一斉に魔法を放った
「うわぁぁあ!」
ある者は体を裂かれ、ある者は氷漬けにされ残酷に殺された。誤算だった、1から10まで全てが誤算だ。そこでふとネロス大佐の会議室での言葉を思い出す。「しかし気をつけろ敵には化け物がいる」なるほどそういう事か、クッソ最後まで聞けばよかった、がそんなことを言っても仕方が無い
「森だ!森に逃げろ!」
頭をフル回転させ、近くにあった森へと避難を開始する。森は自軍とは正反対の場所にあったが、とにかく大人数から攻められることもなく、視界を遮れる場所に一旦退避することにしたのだ。そこで魔女達を撒いて大回りになるが帰還する
俺の声で生き残りの軍は一斉に森へと足を踏み入れる、追ってくる魔女達の後ろで赤目の魔女だけが微かに笑みを浮かべていた
森へと入ると小隊は俺を戦闘に森を突っ切っていった。幸い全員馬に乗っているのが好機だ。しかし、先程の赤目の魔女の笑みが頭から離れない、どこかで見たことがあるような気がするのだ。そんなことを考えていると
「アルタイア大尉!後ろにぃっぁぁぁあ!!!」
後ろから響く声に振り向くとそこには馬のスピードに追いついて走る魔女達の姿があった。数こそ少ないものの凄まじいスピードでこちらに向かってくる。声を上げた隊員は馬ごと木に叩きつけられていた
「クッソ、バケモノが。総員、銃を放て!!!」
俺の声で隊員たちが腰に提げていた銃を手に取り魔女に放つ。魔女達はフフフと不敵な笑みを浮かべると、森の中へと姿を消した。いかに魔女とは言え銃相手では流石に分が悪いのだろうか
「警戒を怠るな!いつでも打てる準備をしていろ!」
そう言い前を向くとそこには魔女の手が迫っていた。細長く爪の伸びた手は俺の首筋を目掛けて放たれており、瞬時に避けれないことを俺は悟った
「フロン!ウィネン!後の指揮はお前らに任せ…」
フロン中尉とウィネン少尉に後を託し言葉を投げかけたが、その言葉が終わる前に魔女の手は俺の首を掴んでいた。だが2人とも出来のいい部下だ、察しているだろう。俺は死を覚悟し身を任せる。やがて魔女の手はそのまま振り抜かれ俺は後ろへと吹き飛ばされた
その勢いで木に叩きつけられ、重力に従いそのまま地面へと叩きつけられる。体中の骨が折れているだろう、至る所に激痛が走る。そして薄れ行く意識の中、離れていく部隊を見てそこで意識が途切れた
♦
意識の途切れた中、俺の頭ではある光景が繰り広げられていた。どことなく懐かしい光景、ひとつの村のひとつの家庭。村の外れの森の中で少年と1人の少女が遊んでいた
少年と少女はやがて遊び疲れ村へと帰ろうとする。しかしその後ろに赤色の髪、赤目の魔女が現れ少女の背を後ろから手で突き刺した。突き刺された手は貫通し腹を突き破り、少女は口から血を吹き出す。突き刺された手は少女の血で真っ赤に染っていた
そんな光景を目にした少年は、あまりにも突然の出来事で腰を抜かしていた。魔女はそんな少年を鼻で笑い飛ばすと、少女を地面に叩きつけその場から消え去った。少年が叩きつけられた少女に駆け寄るも、言葉が帰ってくるはずもなく少年は泣き崩れた
そして辺りに響く轟音、少女の亡骸を手に村に帰ってきた少年を待っていたのは、焼き尽くされ跡形もなく消された村だった場所・・・・・・だった。少年は膝から崩れ落ちこう言った「絶対に殺してやる」…と、そう言った少年の目は真っ赤に染まり殺意に燃えていた
♦
「…っ」
目に差し込む光、眩しさに目が眩み思わず顔を隠す。やがて慣れてきた目を開け辺りを見渡すと、森が広がっていた。状況が今ひとつ飲み込めていない
「……はっ!ここは!」
完全に状況を理解した。ここは魔女から逃げた森、体を起こそうとするが体中に激痛が走り動けない。どうやら俺は生きていたようだ、魔女は俺が即死したと勘違いしたのだろうか
「ぐっ…っつぁあ!」
動かすとボキボキと鈍い音が手足は勿論体にも響き、その度に耐え難い痛みが走る。が、そんな事は気にしている場合ではない、仲間達の安否が先だ。俺は動かない体を無理矢理動かし少しづつ歩み始めた
何時間が経ったのだろう、体の痛みは既に限界を超え消えていた。喉が渇き、体中から血が流れ出している。そんな時ふと、水の流れる音がした。川があるのかもしれない、俺はほんの少しの希望を頼りに音をめざし歩き始めた
やがてそこには川があった。だが川は急な傾斜面の下にあり、とても今の俺では降りそうにない。しかし、降りなければこれ以上遠回りをしていれば死んでしまう。俺は意を決して足を踏み出した、傾斜に生えている草や木をつかみ慎重に下に降り行く。が
「ッツ!」
案の定思いどうりに動かない足は地面を上手く捉えきれず、傾斜を勢いよく転げ落ちる。石や木に背や手足が叩きつけられその度に消えていたはずの痛みが倍になって襲いかかる
「がっ……っつ…ぐぁあ」
やがて一番下に叩きつけられた俺は、川の目の前にたどり着いた。しかし、さっきの一撃で完全に足が動かなくなってしまった。俺は芋虫のように頭の力で地面を這いずり、川へと向かった
ようやくの思いで川に到着し、頭を川へと勢いよく突っ込んだ。何時間も水を飲んでいなかったせいか、とても美味しく感じ喉が潤い癒される。水を飲んだことにより冷静になった頭で考える。足は動かない、手あまり動かない、移動手段は這いずるしかない。そして水の持ち運びも出来ないから次にこんなことになったら死ぬ。国までは馬で数時間……
「あー、詰んでるなぁ…」
どうしようもなかった。やがて、動く事も諦め川の近くでボーッとしている所に一人の少女が現れた。少女は黒色のローブに身を包み美しい黒の髪をしていた。年齢は10才程だろうか可愛らしい見た目だ
「……」
少女は俺に近寄り俺の顔をしゃがんでじーっと見つめていた。子供の考えというのは読めない物だ、俺はある1種の恐怖すら感じた
「な、なんだ?」
「……」
少女は何も言わない、ただひたすら俺の顔を珍しいものを見るかのように見ていた。やがて少女はふと立ち上がり俺のボロボロの足の方へと向かった
「な、なにをするんだ?」
体が動かせなくて見えないが触られている感触がある。しかし、それと同時に段々と痛みが消えていった。これは、魔法か?ってことはコイツは
俺は痛みの引いた足で立ち上がり戦闘態勢を取った。動いても痛みを感じない、だがコイツの目的はなんだ。頭を回すが答えが見つからない、魔女…だが子供なら1人でも
「…痛みを感じないだけで怪我は治ってない…」
少女は一言だけそう発した。ますます目的が分からない、が、敵意は微塵も感じない。コイツ本当に魔女か…?
「お前名前は?」
「…ケール」
「目的は?」
「…」
「ここで何してる?」
「…」
あー、ダメだこりゃ。ますます目的が分からないし聞けば聞くほど、混乱する。とにかく名前がケールなのは把握した。そして恐らく魔女だ、だが子供だから何も分からないっていう可能性がある。とにかくこの場は離れるか
俺は痛みのなくなった足で歩き出した。確か森の近くにはエルフの集落があったはずだ、そこで休ませてもらおう。俺はそう決めると集落があるであろう方向へと歩み始める。エルフはどちらかと言えば人間寄りの種族だ、恐らくだが治療してくれるだろう
♦
森からようやくの思いで抜け出し、俺は今エルフの集落の近くまで来ていた。しかし不可解な点が少しある。1つは段々と足の痛みが戻ってきている、まぁコレは魔法の効力もあるし仕方の無いことだろう。しかし
「なーんでお前着いてきてんだぁあ!?」
そう、あの川の場所からずっとケールと名乗る少女は俺の隣を離れず着いてきていたのだ。勿論俺のその問いかけには無言しか帰ってこず、仕方がなくそのまま集落へと向かった
集落の入り口へと辿り着くと一人のエルフが傷だらけの俺を心配し、急いで中に運んでくれた。ちょうど足の魔法の効果が切れ始めていたので助かった。集落の中に入ると村のように木や岩で出来た家々が広がり、様々な羽のエルフが沢山いた
「お子さんですか?」
俺に肩を貸し運んでくれているエルフは少女を指さしそう言った。まぁ年齢的にそう思われるのは仕方ないか…いや仕方なくねぇわ!
「ち、違いますよ。保護しただけですよ」
「なるほど、流石軍人ですね」
まぁここは保護というのが無難だろう。魔女かも知れないなんて言うと軽くパニックを起こしかねない。やがて、俺達はエルフの長、長老の居る集落の中で1番でかい屋敷のような場所へ連れてこられていた
屋敷はとても広く入り口には門番のエルフが2人居て、そこを超えると平原のような庭が広がっていた。庭を超え屋敷内へと足を踏み入れると、俺達が来るのを予期していたかのように、一人の着物のような物に身を包んだエルフが迎え入れてくれた
「ほっほっ~アルタイアだったか?久しいな」
「ご、ご無沙汰しております…っつぁあ…」
着物のエルフに案内され、入った部屋には白い髭を伸ばし、羽が通常のエルフの2倍ほどのデカさはある、長老が椅子に座っていた。長老は俺が部屋に入るなりそういい笑みを浮かべた。長老とは1回別件で会ったことがある、まさかここの長老だったとは。だが途端走る激痛、効果が切れたのだろう、俺は再び足から崩れ落ち動けなくなった
「まぁまずは治療が先だな。新緑の木々達よこの者に癒しを……」
長老が詠唱を唱えると辺りから緑のオーラのようなものが集まり、俺の体に吸収されるように吸い込まれていく。エルフ達はこの様に自然を使い治療や、いざって時は攻撃をする。魔女達と大きく違うのは自然が無ければ発動できないという所だろうか。エルフが魔女より人間寄りなのも自然を魔女に壊される可能性があるからだ
緑のオーラがどんどんと俺の体に流れ込み、痛みが和らいでいく。そしてケールの魔法とは違い傷口もみるみるうちに塞がり、あとも残さず完治してしまう。ここまで酷い傷をこんなに見事に治療して退けるのは、エルフの中でも数人しかいないだろう、流石は長老だ。以前面識があってよかった
「ありがとうございます、長老」
「大丈夫、気にするな。さてはだいぶ無理したな?と言うよりさせられた…ってのが正しいか?」
「はは、流石ですね。そんな感じです」
「で、そこの魔女の子はなんだ?返答次第では敵とみなすぞアルタイア大尉」
ここは戦場
幾千もの兵が命を懸けて戦う場所。そして、そんな中指揮を執る男の姿があった
彼の名はアルタイア、王国兵団の大尉。彼は白馬にまたがり先陣を切って指揮をしていた
「アルタイア大尉!敵が多すぎます!」
次々に来る敵を切り捨てそう言ったのは部下のウィネンという男だった。ウィネンの言う通りこちらの軍は苦戦を強いられていた
「くっ…撤退だ!!!」
アルタイアがそう言うと軍は踵を返し一斉に撤退を始める。既に仲間の兵士は4分の1ほどに数を減らしていた。何故こんなことになったのか、話は1日前へと遡る
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「アルタイア大尉、大佐がお呼びです」
そう言い部屋の扉を開けたのは部下で中尉のフロンだった。軍服に身を包み急いで部屋を出る、大佐からの呼び出しは大抵ろくな事がない
現在わが国グリモワールでは対立が起きていた、対立の理由は『魔女』の存在だ
グリモワールでは現在3種類の種族が共存している。1つ目が『人間』、我々の事だ。そして、『エルフ』、『魔女』の3種類。エルフは人間のような容姿だが耳が長く、妖精のような羽が生えている。自然の保護や環境の整備を生業としており、害にはならないとされている
しかし、魔女は違う。国内で対立が起きているのもこの魔女の影響だ。魔女と言うのは魔法という異能を使いこなす者の事で、容姿は人間やエルフと変わらない。そして今グリモワールでは魔女迫害をかがげて魔女と対立が起きている
ではなぜ対立起きる事になったのか、理由は単純、魔女の魔法という物は凄まじい物で、一瞬で辺りを焼き尽くしたり、凍りつかせたりできる恐ろしいものなのだ。そして、そんな魔女を放っておくのは脅威だと感じた王国は、魔女を危険視し始める。そしてそんな中、魔女が誤って放った魔法がある1つの村へと直撃し壊滅したのだ。それが決定打になり今の対立がある
人間というものは保身に走る生き物だ。王国はその件以降魔女を滅ぼす事を決定し、魔女達の言い分を聞く事もなく内戦が始まった。魔女達も勿論、滅ぼされたくはないだろう、こうなるのは仕方がなかったのかもしれない
「アルタイア大尉を連れてまいりました」
軍の施設、会議をする時に使われる一室の扉がフロンの一言でゆっくりと開かれた。中には眼帯をした厳つい見た目のネロス大佐が椅子に座っていた
「ご苦労大尉掛けろ」
「はっ、失礼致します」
そう言い一礼をしネロス大佐の前の席に座った。とても広い会議室だが2人だけだと余計大きく感じてしまう。会議室には長方形の机が置かれており、周りに椅子が設置され奥には映像を映し出すディスクのようなものがある
「早速本題だがアルタイア大尉には中隊規模の兵を率いて前線に出てもらいたい」
やっぱりろくでもない話しだった、予想どうりの結果でため息が出そうになるのを抑え込み話を聞いた。中隊規模と言う事は100人ほどの軍隊だ、前線に出るのにたったそれだけの人数で大丈夫なのだろうか
「君の部隊の人間と私が用意した者、合わせて120人を連れて前線の魔女共の討伐、あわよくば魔女街へ打撃を与えてもらいたい」
なるほど、ネロス大佐の用意した者達なら信用出来る。だがそれでも前線を乗り越えて魔女街へ行くなど本当に可能なのだろうか。前線にいる魔女だけでもたったの数十人で我が軍を足止めしている、魔女街にはその名の通りとんでもない数の魔女がいるはずだ
「前線の魔女の討伐…はまぁもしかすれば可能かもしれません。しかし、魔女街へ進出するのは危険すぎるかと」
「危険も承知の上だ、しかしこのままではこちらが押される。仕方の無いことなのだ」
つまり魔女を道連れに死ねと言う事か。反論したいのも山々だが、上からの命令は絶対だ。逆らえば殺されるのは明白、断れるはずもない
「分かりました、決行日はいつですか?」
「明日だ、明日の朝6時より進軍開始してもらいたい。しかし気をつけろ敵にh…」
「了解しました」
ネロス大佐の言葉を遮り、そう言い一礼を済ませ会議室を後にした。アイツら大佐は前線に赴く事など無いから、そんなことが言えるのだ。溢れそうになる怒りを押し殺し、外で待機していたフロンに部隊の招集を任せた
♦
数分後、部隊の皆が施設の外のグラウンドに集合した。我が部隊は少数精鋭、30人ほどの小隊で一人一人が魔女に対抗しうる力を持っている…と自負している。俺の教えが悪くなければ
「諸君、我々は明日前線へ赴く!そして前線を突破し魔女街への進出を試みる!」
やはり予想どうり魔女街への進出と聞くと、隊員たちの目に曇りが生じる。そりゃそうだ、魔女街は魔女の集落、地獄へ行くようなものだ
「時刻は明日、明朝6時よりネロス大佐の部隊と共に進軍開始だ!我々はこの戦いに終止符を打つ鍵だ!絶対に勝つぞ!」
そう言うと隊員たちからうぉぉぉ!と声が上がりそれを聞き俺はその場をあとにした。しかし、あんな事を言ったのはいいが確実に死にに行くようなものだ、いざと言う時は撤退するしかあるまい。罰は俺が受けよう、部下達さえ無事ならそれでいい
♦
そして、今
予想どうり、嫌、予想以上に我々は苦戦を強いられていた。魔女の魔法によりドンドンとなぎ倒されていく仲間たち、120人の部隊は40人ほどに数を減らし相手の魔女は1人も倒せていない。と言うより何故か敵の魔女は1人しか居なかった
そして予想外だったのはその魔女の実力だったのだ。その1人の魔女は美しい赤の髪、赤色の目をした魔女で、炎系統の魔法を使い次々に当たりを焼き尽くしていった
「総員撤退だ!!!今すぐ帰還する!!!」
俺の声に兵士たちは一斉に撤退を開始した
「逃がさないわよ」
赤目の魔女は撤退する俺達を見てそう言い指を鳴らした。すると、途端退路に出現する大量の魔女達。数十、いや、百数人はいるであろう魔女の軍勢はなんの脈絡も無しに突然現れ一斉に魔法を放った
「うわぁぁあ!」
ある者は体を裂かれ、ある者は氷漬けにされ残酷に殺された。誤算だった、1から10まで全てが誤算だ。そこでふとネロス大佐の会議室での言葉を思い出す。「しかし気をつけろ敵には化け物がいる」なるほどそういう事か、クッソ最後まで聞けばよかった、がそんなことを言っても仕方が無い
「森だ!森に逃げろ!」
頭をフル回転させ、近くにあった森へと避難を開始する。森は自軍とは正反対の場所にあったが、とにかく大人数から攻められることもなく、視界を遮れる場所に一旦退避することにしたのだ。そこで魔女達を撒いて大回りになるが帰還する
俺の声で生き残りの軍は一斉に森へと足を踏み入れる、追ってくる魔女達の後ろで赤目の魔女だけが微かに笑みを浮かべていた
森へと入ると小隊は俺を戦闘に森を突っ切っていった。幸い全員馬に乗っているのが好機だ。しかし、先程の赤目の魔女の笑みが頭から離れない、どこかで見たことがあるような気がするのだ。そんなことを考えていると
「アルタイア大尉!後ろにぃっぁぁぁあ!!!」
後ろから響く声に振り向くとそこには馬のスピードに追いついて走る魔女達の姿があった。数こそ少ないものの凄まじいスピードでこちらに向かってくる。声を上げた隊員は馬ごと木に叩きつけられていた
「クッソ、バケモノが。総員、銃を放て!!!」
俺の声で隊員たちが腰に提げていた銃を手に取り魔女に放つ。魔女達はフフフと不敵な笑みを浮かべると、森の中へと姿を消した。いかに魔女とは言え銃相手では流石に分が悪いのだろうか
「警戒を怠るな!いつでも打てる準備をしていろ!」
そう言い前を向くとそこには魔女の手が迫っていた。細長く爪の伸びた手は俺の首筋を目掛けて放たれており、瞬時に避けれないことを俺は悟った
「フロン!ウィネン!後の指揮はお前らに任せ…」
フロン中尉とウィネン少尉に後を託し言葉を投げかけたが、その言葉が終わる前に魔女の手は俺の首を掴んでいた。だが2人とも出来のいい部下だ、察しているだろう。俺は死を覚悟し身を任せる。やがて魔女の手はそのまま振り抜かれ俺は後ろへと吹き飛ばされた
その勢いで木に叩きつけられ、重力に従いそのまま地面へと叩きつけられる。体中の骨が折れているだろう、至る所に激痛が走る。そして薄れ行く意識の中、離れていく部隊を見てそこで意識が途切れた
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意識の途切れた中、俺の頭ではある光景が繰り広げられていた。どことなく懐かしい光景、ひとつの村のひとつの家庭。村の外れの森の中で少年と1人の少女が遊んでいた
少年と少女はやがて遊び疲れ村へと帰ろうとする。しかしその後ろに赤色の髪、赤目の魔女が現れ少女の背を後ろから手で突き刺した。突き刺された手は貫通し腹を突き破り、少女は口から血を吹き出す。突き刺された手は少女の血で真っ赤に染っていた
そんな光景を目にした少年は、あまりにも突然の出来事で腰を抜かしていた。魔女はそんな少年を鼻で笑い飛ばすと、少女を地面に叩きつけその場から消え去った。少年が叩きつけられた少女に駆け寄るも、言葉が帰ってくるはずもなく少年は泣き崩れた
そして辺りに響く轟音、少女の亡骸を手に村に帰ってきた少年を待っていたのは、焼き尽くされ跡形もなく消された村だった場所・・・・・・だった。少年は膝から崩れ落ちこう言った「絶対に殺してやる」…と、そう言った少年の目は真っ赤に染まり殺意に燃えていた
♦
「…っ」
目に差し込む光、眩しさに目が眩み思わず顔を隠す。やがて慣れてきた目を開け辺りを見渡すと、森が広がっていた。状況が今ひとつ飲み込めていない
「……はっ!ここは!」
完全に状況を理解した。ここは魔女から逃げた森、体を起こそうとするが体中に激痛が走り動けない。どうやら俺は生きていたようだ、魔女は俺が即死したと勘違いしたのだろうか
「ぐっ…っつぁあ!」
動かすとボキボキと鈍い音が手足は勿論体にも響き、その度に耐え難い痛みが走る。が、そんな事は気にしている場合ではない、仲間達の安否が先だ。俺は動かない体を無理矢理動かし少しづつ歩み始めた
何時間が経ったのだろう、体の痛みは既に限界を超え消えていた。喉が渇き、体中から血が流れ出している。そんな時ふと、水の流れる音がした。川があるのかもしれない、俺はほんの少しの希望を頼りに音をめざし歩き始めた
やがてそこには川があった。だが川は急な傾斜面の下にあり、とても今の俺では降りそうにない。しかし、降りなければこれ以上遠回りをしていれば死んでしまう。俺は意を決して足を踏み出した、傾斜に生えている草や木をつかみ慎重に下に降り行く。が
「ッツ!」
案の定思いどうりに動かない足は地面を上手く捉えきれず、傾斜を勢いよく転げ落ちる。石や木に背や手足が叩きつけられその度に消えていたはずの痛みが倍になって襲いかかる
「がっ……っつ…ぐぁあ」
やがて一番下に叩きつけられた俺は、川の目の前にたどり着いた。しかし、さっきの一撃で完全に足が動かなくなってしまった。俺は芋虫のように頭の力で地面を這いずり、川へと向かった
ようやくの思いで川に到着し、頭を川へと勢いよく突っ込んだ。何時間も水を飲んでいなかったせいか、とても美味しく感じ喉が潤い癒される。水を飲んだことにより冷静になった頭で考える。足は動かない、手あまり動かない、移動手段は這いずるしかない。そして水の持ち運びも出来ないから次にこんなことになったら死ぬ。国までは馬で数時間……
「あー、詰んでるなぁ…」
どうしようもなかった。やがて、動く事も諦め川の近くでボーッとしている所に一人の少女が現れた。少女は黒色のローブに身を包み美しい黒の髪をしていた。年齢は10才程だろうか可愛らしい見た目だ
「……」
少女は俺に近寄り俺の顔をしゃがんでじーっと見つめていた。子供の考えというのは読めない物だ、俺はある1種の恐怖すら感じた
「な、なんだ?」
「……」
少女は何も言わない、ただひたすら俺の顔を珍しいものを見るかのように見ていた。やがて少女はふと立ち上がり俺のボロボロの足の方へと向かった
「な、なにをするんだ?」
体が動かせなくて見えないが触られている感触がある。しかし、それと同時に段々と痛みが消えていった。これは、魔法か?ってことはコイツは
俺は痛みの引いた足で立ち上がり戦闘態勢を取った。動いても痛みを感じない、だがコイツの目的はなんだ。頭を回すが答えが見つからない、魔女…だが子供なら1人でも
「…痛みを感じないだけで怪我は治ってない…」
少女は一言だけそう発した。ますます目的が分からない、が、敵意は微塵も感じない。コイツ本当に魔女か…?
「お前名前は?」
「…ケール」
「目的は?」
「…」
「ここで何してる?」
「…」
あー、ダメだこりゃ。ますます目的が分からないし聞けば聞くほど、混乱する。とにかく名前がケールなのは把握した。そして恐らく魔女だ、だが子供だから何も分からないっていう可能性がある。とにかくこの場は離れるか
俺は痛みのなくなった足で歩き出した。確か森の近くにはエルフの集落があったはずだ、そこで休ませてもらおう。俺はそう決めると集落があるであろう方向へと歩み始める。エルフはどちらかと言えば人間寄りの種族だ、恐らくだが治療してくれるだろう
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森からようやくの思いで抜け出し、俺は今エルフの集落の近くまで来ていた。しかし不可解な点が少しある。1つは段々と足の痛みが戻ってきている、まぁコレは魔法の効力もあるし仕方の無いことだろう。しかし
「なーんでお前着いてきてんだぁあ!?」
そう、あの川の場所からずっとケールと名乗る少女は俺の隣を離れず着いてきていたのだ。勿論俺のその問いかけには無言しか帰ってこず、仕方がなくそのまま集落へと向かった
集落の入り口へと辿り着くと一人のエルフが傷だらけの俺を心配し、急いで中に運んでくれた。ちょうど足の魔法の効果が切れ始めていたので助かった。集落の中に入ると村のように木や岩で出来た家々が広がり、様々な羽のエルフが沢山いた
「お子さんですか?」
俺に肩を貸し運んでくれているエルフは少女を指さしそう言った。まぁ年齢的にそう思われるのは仕方ないか…いや仕方なくねぇわ!
「ち、違いますよ。保護しただけですよ」
「なるほど、流石軍人ですね」
まぁここは保護というのが無難だろう。魔女かも知れないなんて言うと軽くパニックを起こしかねない。やがて、俺達はエルフの長、長老の居る集落の中で1番でかい屋敷のような場所へ連れてこられていた
屋敷はとても広く入り口には門番のエルフが2人居て、そこを超えると平原のような庭が広がっていた。庭を超え屋敷内へと足を踏み入れると、俺達が来るのを予期していたかのように、一人の着物のような物に身を包んだエルフが迎え入れてくれた
「ほっほっ~アルタイアだったか?久しいな」
「ご、ご無沙汰しております…っつぁあ…」
着物のエルフに案内され、入った部屋には白い髭を伸ばし、羽が通常のエルフの2倍ほどのデカさはある、長老が椅子に座っていた。長老は俺が部屋に入るなりそういい笑みを浮かべた。長老とは1回別件で会ったことがある、まさかここの長老だったとは。だが途端走る激痛、効果が切れたのだろう、俺は再び足から崩れ落ち動けなくなった
「まぁまずは治療が先だな。新緑の木々達よこの者に癒しを……」
長老が詠唱を唱えると辺りから緑のオーラのようなものが集まり、俺の体に吸収されるように吸い込まれていく。エルフ達はこの様に自然を使い治療や、いざって時は攻撃をする。魔女達と大きく違うのは自然が無ければ発動できないという所だろうか。エルフが魔女より人間寄りなのも自然を魔女に壊される可能性があるからだ
緑のオーラがどんどんと俺の体に流れ込み、痛みが和らいでいく。そしてケールの魔法とは違い傷口もみるみるうちに塞がり、あとも残さず完治してしまう。ここまで酷い傷をこんなに見事に治療して退けるのは、エルフの中でも数人しかいないだろう、流石は長老だ。以前面識があってよかった
「ありがとうございます、長老」
「大丈夫、気にするな。さてはだいぶ無理したな?と言うよりさせられた…ってのが正しいか?」
「はは、流石ですね。そんな感じです」
「で、そこの魔女の子はなんだ?返答次第では敵とみなすぞアルタイア大尉」
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