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7 お兄ちゃんの愛
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「……とりあえず、精霊のことは置いておきましょう」
「あ、はい」
「それで聖花日輪草をむしったのは、リンさんが?」
「ひっ! し、知らなかったんですー! この花がそんなたいそうな物なんて」
俺も知らなかった……だって普通に生えてたし、すぐ元に戻ったし。
「こんなに群生してるなんて……そしてすぐに元に戻る? もしかしてここにあった物は本当に聖剣……そして、それは……」
王太子殿下の呟きが聞こえる……お、俺ももしかしてとんでもないことをー?!な、何か話題を変えなくては!
「ご、ご飯が出来たぞぅ!」
「わあ、とりあえず食べましょう! 兄ちゃんのご飯は美味しいですよ」
「ささ、お口に合うか分かりませんが……あ、リン、少しハーブをくれ」
仕上げに香りも必要だよな。
「オッケー! 色々入れたら元気になるもんね。任せて!」
「いや、任せられん!」
大量に葉っぱを取り出すリンの目の前に停止の意味で手のひらをかざす。
「だからー何でも入れりゃ良いってもんじゃないっていっつも言ってんだろ?」
「や! でもこれくらい入れないと……こっちは体力回復にいいし、こっちは血の巡りをよくするし、こっちは目が覚めるし……」
「それは苦いし、これは辛いし、これは泥臭いからだめっ! そうやって色々ぶちこんだら味が崩壊するんだ!」
「えー……」
「えーじゃないっ!」
ご自慢の薬草を摘んで残念そうにしているけど、料理は効果も大事だ。でもそれより美味しくなきゃだめだろっ!
「だってよく効くよ……」
「良く効くのはポーションだけで十分だって何度もいってるだろ? これと、それ……あと赤い実とその辺の白い花を入れよう」
「じゃ、じゃあこの黒と紫の実を……」
「駄目。それ、渋い」
「うう……分かったよう……料理は兄ちゃんに任せるよう」
「うん、そうしてくれ」
確かにあの渋い実を入れるとシャキッとするけどでも一口飲んだら口が曲がっちゃうくらい渋くなるからスープには絶対禁止だ。
「ん……美味しい」
「そりゃ良かった」
「やっぱり兄ちゃんのごはんは美味しいなぁ。俺が作るといつも変な色になるもんなぁ」
「リンは料理しない方がいいな」
「おかしいなぁ? 俺だってやればできるはず」
そう言って何度か作ったけど、二人で倒れたことしかなかったよな?
「本当に美味しい……なんだろう、体がぽかぽかして調子が良いよ」
「リンのハーブのお陰かな?」
肉もちょっと良い奴使ったし、王子様のお口にあって良かった。
「う、うーん……何か良い匂いがします」
「お、騎士さん達、気がついたかい? ご飯を食べよう、あったかいよー」
おっと、目を回していた騎士さん達も起きたようだ。殿下が美味しいっていってくれたから、振る舞ったって問題ないだろう。大きめのお椀にたっぷり注いで、大ぶりのスプーンもつける。スプーンは俺が作りました、ドヤァ。
「ああ、体に染み渡ります」
「美味いです、レンさん」
「そうでしょう! 兄ちゃんは料理が上手なんですよ」
おいおい、何でリンがドヤ顔なんだ?
「本当に美味しいです、レンさん」
殿下にそんな風に褒められたらかなり嬉しいじゃないか。リンじゃないけど、俺だってちょっとは鼻が伸びちゃうぞ。
「へへ……そりゃあ、あれですよ。愛情たっぷりってやつです」
手料理の常套文句だよな!
「愛情……愛、ですか」
「うんうん、愛です、愛!」
美味しく食べて元気になって貰いたいっていうそういう大きな愛ですよ。
「あ、はい」
「それで聖花日輪草をむしったのは、リンさんが?」
「ひっ! し、知らなかったんですー! この花がそんなたいそうな物なんて」
俺も知らなかった……だって普通に生えてたし、すぐ元に戻ったし。
「こんなに群生してるなんて……そしてすぐに元に戻る? もしかしてここにあった物は本当に聖剣……そして、それは……」
王太子殿下の呟きが聞こえる……お、俺ももしかしてとんでもないことをー?!な、何か話題を変えなくては!
「ご、ご飯が出来たぞぅ!」
「わあ、とりあえず食べましょう! 兄ちゃんのご飯は美味しいですよ」
「ささ、お口に合うか分かりませんが……あ、リン、少しハーブをくれ」
仕上げに香りも必要だよな。
「オッケー! 色々入れたら元気になるもんね。任せて!」
「いや、任せられん!」
大量に葉っぱを取り出すリンの目の前に停止の意味で手のひらをかざす。
「だからー何でも入れりゃ良いってもんじゃないっていっつも言ってんだろ?」
「や! でもこれくらい入れないと……こっちは体力回復にいいし、こっちは血の巡りをよくするし、こっちは目が覚めるし……」
「それは苦いし、これは辛いし、これは泥臭いからだめっ! そうやって色々ぶちこんだら味が崩壊するんだ!」
「えー……」
「えーじゃないっ!」
ご自慢の薬草を摘んで残念そうにしているけど、料理は効果も大事だ。でもそれより美味しくなきゃだめだろっ!
「だってよく効くよ……」
「良く効くのはポーションだけで十分だって何度もいってるだろ? これと、それ……あと赤い実とその辺の白い花を入れよう」
「じゃ、じゃあこの黒と紫の実を……」
「駄目。それ、渋い」
「うう……分かったよう……料理は兄ちゃんに任せるよう」
「うん、そうしてくれ」
確かにあの渋い実を入れるとシャキッとするけどでも一口飲んだら口が曲がっちゃうくらい渋くなるからスープには絶対禁止だ。
「ん……美味しい」
「そりゃ良かった」
「やっぱり兄ちゃんのごはんは美味しいなぁ。俺が作るといつも変な色になるもんなぁ」
「リンは料理しない方がいいな」
「おかしいなぁ? 俺だってやればできるはず」
そう言って何度か作ったけど、二人で倒れたことしかなかったよな?
「本当に美味しい……なんだろう、体がぽかぽかして調子が良いよ」
「リンのハーブのお陰かな?」
肉もちょっと良い奴使ったし、王子様のお口にあって良かった。
「う、うーん……何か良い匂いがします」
「お、騎士さん達、気がついたかい? ご飯を食べよう、あったかいよー」
おっと、目を回していた騎士さん達も起きたようだ。殿下が美味しいっていってくれたから、振る舞ったって問題ないだろう。大きめのお椀にたっぷり注いで、大ぶりのスプーンもつける。スプーンは俺が作りました、ドヤァ。
「ああ、体に染み渡ります」
「美味いです、レンさん」
「そうでしょう! 兄ちゃんは料理が上手なんですよ」
おいおい、何でリンがドヤ顔なんだ?
「本当に美味しいです、レンさん」
殿下にそんな風に褒められたらかなり嬉しいじゃないか。リンじゃないけど、俺だってちょっとは鼻が伸びちゃうぞ。
「へへ……そりゃあ、あれですよ。愛情たっぷりってやつです」
手料理の常套文句だよな!
「愛情……愛、ですか」
「うんうん、愛です、愛!」
美味しく食べて元気になって貰いたいっていうそういう大きな愛ですよ。
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