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16 眠くなる条件が揃っているからだと思う
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「ほら、見て下さい~レンさん。これが古代金貨ですよー」
「わぁ凄い! どんな合金なのかな?! それとも純金??」
「ささ、こちらで良く見ましょうね」
「わぁい! お邪魔しまーす!」
殿下は色んな物を持ってる! 特に昔から伝わる古い金属類をたくさん持ってて、今の技術じゃ作れない物とか、本当に色々で興味が尽きない。昨日くれたコインも今日のとは成分が違うし、見てるだけでも時間があっという間になくなって行くんだ。
「はは、ははは……兄ちゃん、今日も殿下のお部屋にお泊まりかい……?」
「いや! 邪魔になるから眠くなったらちゃんと俺達の部屋に戻るよ!」
「邪魔ではないですよ。一緒にいてくれた方が私は嬉しいですよ」
「そうかな?」
「ええ、勿論ですとも。さあ、どうぞ」
「お邪魔しまーす!」
ってキリの良いところで戻ろうって思うんだけど、いっつも寝ちゃって気がつくと殿下のベッドで一緒に寝てるんだよなぁ。なんか殿下の部屋って凄く良い匂いがするしあったかいし。
「ぅうん……あ」
そして、何だか知らないけれど、めちゃくちゃ殿下にがっしりホールドされて寝てるんだよ。無理矢理引き剥がしたら絶対途中で起こしちゃう。何だかそれは可哀想だ……なんて思ってたらまたそのまま寝てしまって朝までぐっすり。うーん、良くない、俺は何故か全然平気だけど、安眠妨害してる気がする。
そんな感じの毎日を悩んでいたら、殿下の方から申し訳なさそうにこそっと話しかけられた。
「すみません、レンさん。私はどうも何かを抱き締めて眠らないと良く眠れない性質のようで……少し恥ずかしいので皆には内緒にして貰えますか?」
「わ、分かりました! 誰にも言いません」
「助かります」
確かに何かに抱きついてないとなんて少し子供っぽいもんな、それに加えてもう一つ。
「あと、本当に皆には秘密にして貰いたいのですが」
「わ、分かりました!」
子供の頃からの癖で、寝具の端などを舐める癖がたまに出るそうだ。だからか……たまにうなじのあたりを舐められたり、胸の辺りや腹とか指を咥えられていた時もあった……うん、内緒にしてあげようと思う! それこそ子供っぽいもんなー。勇者様だもん、かっこよさも求められるだろうしな。
「助かります」
そういって微笑んだ殿下のお顔は眩しすぎて瞳の奥を直視できなかった。大丈夫、ちゃんと約束は守ります! リンが悟ったような顔でこっちをみていけれど、お前にも秘密にする。こないだ殿下の前に俺だけ置いてお前は逃げたこと、忘れてないからな!
「前に乗って」
「や、後ろでしがみつきます」
「前へ」
「……ひゃい……」
俺だってそんなに小さくないんだから、馬で二人乗りする時、前に乗ったら視界が悪いだろうと思ったけれど、何故かお嬢さんが乗る時みたいに俺は抱っこされて運ばれることになっていた。鎧にくっつきたかったのに……。
「ほら、見て下さい。この私の首にかけているネックレス」
「わー! 銀ですね、しかも何か違う! うん、神の力を感じる?」
「ふふ、良くお分かりになりますね」
あれ? 俺は何を不満に思ってんだっけ、忘れちゃった。それより今は殿下にくっ付いてネックレスの素材を確かめるのが先決だよな! 宝飾品としての輝きと硬度も素晴らしいなぁ。付与か、俺も出来るかな?? 俺が夢中になってるといつのまにか馬は出発していた。あれ?いつの間に。あとなんか、リンや他の騎士さんとの距離が遠いなー? ま、いっか。
「……良いんですか? リンさん」
「えーと……そりゃ、またとない好物件ですし」
「うちの殿下、ああ見えても結構策略家ですよ」
「兄がああなので、ちょっとそういう賢い人の方がいいかなって……」
「あー……確かに」
少し離れた所でリンと騎士さんが話していたけど俺には内容は聞こえて来なかった。あと鍛冶に関するところじゃなさそうだから、大事なことなら後でリンが教えてくれるだろう、ほっといてもいいやつさ!
「わぁ凄い! どんな合金なのかな?! それとも純金??」
「ささ、こちらで良く見ましょうね」
「わぁい! お邪魔しまーす!」
殿下は色んな物を持ってる! 特に昔から伝わる古い金属類をたくさん持ってて、今の技術じゃ作れない物とか、本当に色々で興味が尽きない。昨日くれたコインも今日のとは成分が違うし、見てるだけでも時間があっという間になくなって行くんだ。
「はは、ははは……兄ちゃん、今日も殿下のお部屋にお泊まりかい……?」
「いや! 邪魔になるから眠くなったらちゃんと俺達の部屋に戻るよ!」
「邪魔ではないですよ。一緒にいてくれた方が私は嬉しいですよ」
「そうかな?」
「ええ、勿論ですとも。さあ、どうぞ」
「お邪魔しまーす!」
ってキリの良いところで戻ろうって思うんだけど、いっつも寝ちゃって気がつくと殿下のベッドで一緒に寝てるんだよなぁ。なんか殿下の部屋って凄く良い匂いがするしあったかいし。
「ぅうん……あ」
そして、何だか知らないけれど、めちゃくちゃ殿下にがっしりホールドされて寝てるんだよ。無理矢理引き剥がしたら絶対途中で起こしちゃう。何だかそれは可哀想だ……なんて思ってたらまたそのまま寝てしまって朝までぐっすり。うーん、良くない、俺は何故か全然平気だけど、安眠妨害してる気がする。
そんな感じの毎日を悩んでいたら、殿下の方から申し訳なさそうにこそっと話しかけられた。
「すみません、レンさん。私はどうも何かを抱き締めて眠らないと良く眠れない性質のようで……少し恥ずかしいので皆には内緒にして貰えますか?」
「わ、分かりました! 誰にも言いません」
「助かります」
確かに何かに抱きついてないとなんて少し子供っぽいもんな、それに加えてもう一つ。
「あと、本当に皆には秘密にして貰いたいのですが」
「わ、分かりました!」
子供の頃からの癖で、寝具の端などを舐める癖がたまに出るそうだ。だからか……たまにうなじのあたりを舐められたり、胸の辺りや腹とか指を咥えられていた時もあった……うん、内緒にしてあげようと思う! それこそ子供っぽいもんなー。勇者様だもん、かっこよさも求められるだろうしな。
「助かります」
そういって微笑んだ殿下のお顔は眩しすぎて瞳の奥を直視できなかった。大丈夫、ちゃんと約束は守ります! リンが悟ったような顔でこっちをみていけれど、お前にも秘密にする。こないだ殿下の前に俺だけ置いてお前は逃げたこと、忘れてないからな!
「前に乗って」
「や、後ろでしがみつきます」
「前へ」
「……ひゃい……」
俺だってそんなに小さくないんだから、馬で二人乗りする時、前に乗ったら視界が悪いだろうと思ったけれど、何故かお嬢さんが乗る時みたいに俺は抱っこされて運ばれることになっていた。鎧にくっつきたかったのに……。
「ほら、見て下さい。この私の首にかけているネックレス」
「わー! 銀ですね、しかも何か違う! うん、神の力を感じる?」
「ふふ、良くお分かりになりますね」
あれ? 俺は何を不満に思ってんだっけ、忘れちゃった。それより今は殿下にくっ付いてネックレスの素材を確かめるのが先決だよな! 宝飾品としての輝きと硬度も素晴らしいなぁ。付与か、俺も出来るかな?? 俺が夢中になってるといつのまにか馬は出発していた。あれ?いつの間に。あとなんか、リンや他の騎士さんとの距離が遠いなー? ま、いっか。
「……良いんですか? リンさん」
「えーと……そりゃ、またとない好物件ですし」
「うちの殿下、ああ見えても結構策略家ですよ」
「兄がああなので、ちょっとそういう賢い人の方がいいかなって……」
「あー……確かに」
少し離れた所でリンと騎士さんが話していたけど俺には内容は聞こえて来なかった。あと鍛冶に関するところじゃなさそうだから、大事なことなら後でリンが教えてくれるだろう、ほっといてもいいやつさ!
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