【完結】廃品を直して売る俺は娼婦の息子の奴隷商。聖女でも王子でもないからほっといてくれ!

鏑木 うりこ

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オマケ リサイクル再び

11 嫌だ!

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 俺とティリーは小さな離宮中を逃げ回って、俺の部屋の小さなクローゼットに逃げ込んだ。

「ミリィ……」

「静かにっ」

 メイド達は全員逃げただろうか、乱暴されていなきゃいいけれど……。

 フィスとレオスがいつも通り押しかけて来て、帰り。夜になり寝ようか?と言うところで見た事もない男たちが窓を壊して侵入してきたんだ。

「ミリーシャ様っ!タリーシャ様!」

「リリー!」

 俺達を庇って最初にメイドのリリーが殴られた。逃げて!と言われ、俺達は手を取って走り出す。使用人たちは全員俺達を逃がすために立ちはだかってくれたけれど、相手は5.6人はいただろう。武器も持っていた。なんとか無事でいて欲しいけれど、それは難しい願いなのかもしれない。

 最近フィスとレオスが毎日来ているから、目をつけられたんだろう。正妃か、側妃の仕業か。俺達を攫って亡き者に……ってところか。この屋敷は狭い。家探しされればすぐに見つかってしまう。異変に気付いて誰かが来てくれればいいんだけれど、この離れた場所に王宮の兵士はなかなか駆けつけては来られないはずだ。

「ミリー、俺が行く。ミリーはここに隠れてろ」

「ティリー!?何言ってんだ!」

「良いか、ミリー。お前は多分フィスと結婚する。フィスは王族だ、妻が傷物じゃ不味いんだ。その点俺は間違いなく騎士の嫁だ、多少汚れてもまあ我慢してもらうしかない」

 ティリーのいう事は分かるし、それが最善だって俺も気が付いていた。でも俺の半身を危険な目に合わせるなんて俺にはできない。しかも怪我ですむならいいけれど、もし……殺されてしまったら!?俺は半身を失って生きていける自信がない。

「やっぱり駄目だ、ティリー!ギリギリまで隠れよう」

「それじゃダメだって!」

 

「こっちに逃げたぞ!」

 男たちの靴音が廊下に響く。まずい、もう逃げ場がない!俺とティリーは情けないが小さくうずくまるしかなかった。

「いたぜ……どっちだ?」

「ひっ……!」

 クロゼットのドアは無常に開かれ、俺達は身を寄せ合う。ならず者、そう顔に書いてありそうな男が汚い笑顔でこっちを見ている。

「金髪に、青緑の目の方だ!」

「おいおい、どっちもだぜ?」

「ぎゃん!」

 男の汚い手が、ティリーの髪の毛を引っ張って外に引きずり出す。やめろ!俺のティリーに触るんじゃないっ!

「やめろっ!」

 飛び掛かろうとしても、あっさり腕を掴まれた。何も……できない!

「おい、見ろよ、そっくりじゃねえか?リーシャ姫は二人いんのか??」

「へえ、どういう事か分からんが、まあどっちも連れて行けば問題ねえだろ」

「そうだな」

「痛い!離せっ!」

「くそっ!」

 ああ、なんて非力なんだ。もっと一生懸命鍛えておくべきだった!俺達が二人がかりで暴れてもこの男はビクともしなかった。

「活きのいい姫さんだ!殴られたくなきゃ大人しくしてろ!」

「うるさいっ!ぎゃん!」

「ティリー!!」

 歯向かったティリーが殴られた。気を失ってはいないが、口のどこかが切れたんだろ、ぽたりと赤い血が流れた。

「大人しくしろっつってんだろ?この場で殺されたいのか?ん?」

 悔しい、凄く悔しいけれど、俺達じゃこいつらに勝てない……!こんな奴らの好き勝手にされるなんて嫌だ!


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