【完結】良い子な邪神に転生した俺は強すぎて封印不可？頑張って封印されます！

102 レッツフィッシング！

　俺達がまるるに会いに行ったのはついでで、その先にある東の国に用事があったんだ。用事と言っても

「大物釣りたいな！なんかさ、でっかいお魚がいるんでしょう？」

「そのようですね、金の大魚がたびたび目撃されるとかで噂ですもんね」

　東の国にはものすごい滝があって、その滝が注ぐ大きな湖。そこに金色の大きな魚が住んでいて今釣り人達の間でホットな話題になっているんだ。俺も気になっちゃって、セラにわがまま言って二人で釣りに来たんだ。

　対岸がかすんで見えるような大きな湖のあちらこちらに釣り糸を垂れる人達がいる。金の魚は釣れていないみたいだけど、結構な釣果がある人もいる。

「昔はこの湖の主はおっそろしい魔物だって言われていたけれど、金の大魚が出るようになってから湖の主がそやつに変わったようでね。被害は減っているよ」

　釣り人の一人が船が出ていない水面を指差す。

「でも、湖の真ん中らへんは近寄らん方がいい。船は悉くひっくり返され、何人も引き込まれているんだ。岸辺からこうして釣り糸を垂れるだけでも夕飯には困らないからな」

「へえ！」

　その人の隣のバケツをみると丸々と太った食い応えがありそうな立派な魚が3.4匹入っている。わあ！美味しそう！

「そこいらの釣具屋で竿を借りるといいよ、餌も売ってるからね。君に龍神様の加護がありますように」

　人が良さそうなおじさんは色々教えてくれた。龍神様の加護があればいっぱいお魚が釣れるのかな？？

「……シェーロン神の加護ですか……私には下りないでしょうねえ……むしろマイナスかも」

「じゃあセラの分も俺がお魚を釣ってあげるよ！二人で食べよう！」

　俺に任せて！魚釣り初めてだけど頑張るよ！釣具屋さんで竿を借りて餌も買う。

「ぴゃー！針が刺さったよう～！」

「ルー！？」

　軽く引っ掛けただけですぐ取れたけれど、暫くセラがちゅぱちゅぱされてしまったのでちょっと恥ずかしかった……。周りの釣り人がクスクス笑っているよう～！

「釣りは初めてかい？」「餌をつける時は気を付けるんだよ」

　皆優しくて初心者の俺に色々教えてくれた。

「ありがとう！みんなにも……龍神様の加護がありますように！」

「君にもね」「いっぱい釣れると良いね」

「うん！」

「ルー、頑張って」

　俺はぽちゃんと釣り糸を垂らした。釣れるかな～ドキドキしちゃう。

　ぴちょん、小さな魚が水面を跳ねた。お～！お魚が住んでるんだなあ～！

「わっ釣れた」「うっ！大物がかかったぞ」「うわ、2匹いっぺんだ」

　俺の近くの人達が釣れ始める。うー！良いな良いな！俺もいっぱい釣ってセラと晩御飯にお魚食べるんだ。

「焼き魚に～お刺身？煮魚……お鍋もいいかも～」

「ふふ、任せてください。捌くためにこの特製包丁を持参してきましたからね。どんな魚も下ろしてみせますよ」

　あっ、その包丁どこかの遺跡でお散歩した時に拾った剣を包丁にしたやつだね？よく切れる剣だったから包丁にしてもよく切れるんだね～。楽しみ～！
　いつの間にか俺達の傍の水面がざわざわと揺れている。よく見ると大量のお魚が群れで寄って来てる！？な、なにこれ！？

「……龍神様の加護ではないのでしょうか……ルー」

「……えー……嘘ぉ」

　どこかで聞いてたの？シェーロンさんっ！？とにかく俺達の傍はお魚だらけで、糸を垂らせば釣れる爆釣状態だった。す、凄いっ！

「俺にもそろそろ……おっ！」

　俺の竿がぎゅいーーーーんっとしなって何かが食いついた！これは大物の予感だよ！初ヒットが大物なんて楽しい！