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第2章:『恋と信仰と学園革命』
第21話 『お弁当箱を広げたら、国王が泣き出した話(第二章・開幕)』
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──第二章・開幕。
舞台は引き続き、王都グラン・ベルト。
パン屋を聖地と化した神子ユウトの周囲は、さらに混迷を極めつつも、“国家”そのものが動き出していた。
「お弁当、完成っ!」
ユウトは満面の笑みで、手作りの“お弁当”を抱えていた。
***
「ぼく、日本にいたときは、毎日お弁当作ってたから……こっちでもやってみたくて」
その一言で──
・木箱:貴族木工師が自ら木を伐採し、手彫りで製作
・米:近隣の農家が“ユウト米”として品種改良
・卵焼き:王立農場が特別飼育した“黄金鶏”の卵を使用
お弁当の蓋を開ければ──
・ふんわり甘い卵焼き
・ごま塩のおにぎり(焼き鮭入り)
・肉じゃが(魔法圧力鍋でホロホロ)
・彩り野菜の胡麻和え
・最後に、手作りのミニどら焼き
……それはまさに、“日本のお母さんの愛”を詰めた宝箱だった。
***
「ユウト様、それを……どこへ?」
「うん、今日は国王さまに“はじめまして”する日だから!」
──王宮・謁見の間。
重厚な柱、天井画。
そこに、異世界最高権力者・国王アインス=ヴェルレインがいた。
重圧と威厳に包まれた空間に、ぽてぽてと入ってくるユウト。
「こんにちは~! お弁当、つくったの! 一緒に食べよ!」
──空気が、止まった。
……次の瞬間。
「……ユウト様……」
「うぅ……うわあああああん!!」
まさかの、国王号泣。
「な、泣いてる!?」
「えっ!? あれっ!? なんで!?」
「……国王陛下……あのお弁当、召し上がった瞬間、“母の味”を思い出されたと……」
「母って……何年前の!?」
***
「この卵焼き……かつて私の母が作ってくれた……甘くて、柔らかくて……」
「ユウト様……我が国の真の神子でございます……」
「国を……差し上げたい……!」
──国政、またしても動揺。
***
そして午後。
ユウトが散歩していると、今度は王都学園から視察団がやってきた。
「あなたが……神子ユウト様ですね?」
「うんっ。こんにちは!」
「我々は、教育における“弁当革命”を提案したく──」
「いや、その前にプロポーズを──!!」
「ちょっ!? 君、何年担任だよ!?」
──混沌。
「お弁当って、楽しいし、美味しいし、“愛”がこもってるんだよ?」
ユウトの言葉に、全員が胸を撃ち抜かれた。
「……“愛”……か……」
「この世にそれを教えられる存在……それが“神子”……!」
──教育革命、ここに始まる。
***
その夜。
また誰かが“宗教団体”を立ち上げた。
その名も──『弁当教会』。
・教義:「おかずには愛を込めること」
・洗礼:「卵焼きを作れること」
・布教活動:「毎日1人に“弁当”を贈ること」
「もう……何なのこの世界……!?」
ユウトは、おにぎりを握りながら首をかしげていた。
──そして、少年のチートはまだまだ止まらない。
舞台は引き続き、王都グラン・ベルト。
パン屋を聖地と化した神子ユウトの周囲は、さらに混迷を極めつつも、“国家”そのものが動き出していた。
「お弁当、完成っ!」
ユウトは満面の笑みで、手作りの“お弁当”を抱えていた。
***
「ぼく、日本にいたときは、毎日お弁当作ってたから……こっちでもやってみたくて」
その一言で──
・木箱:貴族木工師が自ら木を伐採し、手彫りで製作
・米:近隣の農家が“ユウト米”として品種改良
・卵焼き:王立農場が特別飼育した“黄金鶏”の卵を使用
お弁当の蓋を開ければ──
・ふんわり甘い卵焼き
・ごま塩のおにぎり(焼き鮭入り)
・肉じゃが(魔法圧力鍋でホロホロ)
・彩り野菜の胡麻和え
・最後に、手作りのミニどら焼き
……それはまさに、“日本のお母さんの愛”を詰めた宝箱だった。
***
「ユウト様、それを……どこへ?」
「うん、今日は国王さまに“はじめまして”する日だから!」
──王宮・謁見の間。
重厚な柱、天井画。
そこに、異世界最高権力者・国王アインス=ヴェルレインがいた。
重圧と威厳に包まれた空間に、ぽてぽてと入ってくるユウト。
「こんにちは~! お弁当、つくったの! 一緒に食べよ!」
──空気が、止まった。
……次の瞬間。
「……ユウト様……」
「うぅ……うわあああああん!!」
まさかの、国王号泣。
「な、泣いてる!?」
「えっ!? あれっ!? なんで!?」
「……国王陛下……あのお弁当、召し上がった瞬間、“母の味”を思い出されたと……」
「母って……何年前の!?」
***
「この卵焼き……かつて私の母が作ってくれた……甘くて、柔らかくて……」
「ユウト様……我が国の真の神子でございます……」
「国を……差し上げたい……!」
──国政、またしても動揺。
***
そして午後。
ユウトが散歩していると、今度は王都学園から視察団がやってきた。
「あなたが……神子ユウト様ですね?」
「うんっ。こんにちは!」
「我々は、教育における“弁当革命”を提案したく──」
「いや、その前にプロポーズを──!!」
「ちょっ!? 君、何年担任だよ!?」
──混沌。
「お弁当って、楽しいし、美味しいし、“愛”がこもってるんだよ?」
ユウトの言葉に、全員が胸を撃ち抜かれた。
「……“愛”……か……」
「この世にそれを教えられる存在……それが“神子”……!」
──教育革命、ここに始まる。
***
その夜。
また誰かが“宗教団体”を立ち上げた。
その名も──『弁当教会』。
・教義:「おかずには愛を込めること」
・洗礼:「卵焼きを作れること」
・布教活動:「毎日1人に“弁当”を贈ること」
「もう……何なのこの世界……!?」
ユウトは、おにぎりを握りながら首をかしげていた。
──そして、少年のチートはまだまだ止まらない。
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