無双してるのに、愛されすぎて歩けません(物理) 〜12歳児、異世界でちやほやされ中〜

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第4章 『多国都市建設編 ― ユウト争奪戦とインフラ改革 ―』

第69話 『神子ユウト、氷の国を溶かした件(BL×融解×飯テロ)』

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「――だから、もう恋文は“ゴミ箱に入れないで”ってばぁ……!」

魔王城の会議室に響いたのは、12歳児の切実な悲鳴だった。

ユウトが前話で設置した“公共ゴミ箱”は、たった一晩で恋文回収BOXと化し、溢れかえった愛の手紙は600通を超えていた。

「“生ゴミ”と“生々しい恋”は別枠にしてほしい……」
「分類ラベル、作っておきます」
「作るな!!」

そんな騒ぎの最中、魔王ヴァルガが持ってきたのは、氷の国《グラシエル》からの公式文書。

「神子ユウトの神性と効能を観測したい。即時来訪を要請する」

「……効能?」
「まるで薬か何かみたいな言い方だな」
「観測って……また“試される”感じ? ちょっと緊張するかも」
「ユウト様、行く気なんですか?」
「うん。だって気になるし。氷の国に“温かいスープ”があったら、心も溶けると思わない?」

魔王たちが一斉に口を揃えた。

「惚れるわ!!!!」

 

*** 

 

極寒の地《グラシエル》。
全土が氷に覆われ、感情を持たない民族“シルヴァ種”が暮らす閉鎖国家。

迎えに来た王――カリル・シルヴァは、氷像のように美しく、そして無表情だった。

「……我々には“感情”というものが理解できない」
「それって、食べたことないおやつを“苦い”って言ってるようなものだよ」

そう言って、ユウトが持参したのは――大根と豚バラで作った“雪鍋”。

「これ、氷の国バージョンにカスタムしてみたの」
「……鍋?」
「見た目は白いけど、食べたらね、あったかくて、甘くて、涙出るから」

カリル王が一口すすると――。

「……な、なんだ……これ……」
「感情って、案外スープに似てるんだよ。見えないけど、しみてくるの」
「胸が、熱い……涙が……勝手に……」
「それ、“好き”って感覚の入り口だよ」

次の瞬間。
国王は鍋を抱えながら、ユウトに膝をついた。

「……帰らないで。君がいないと……また心が凍ってしまう」
「えっ、いや、あの……スープだけならレシピ残して帰れるよ?」

「違う。君じゃなきゃだめなんだ」

周囲の兵士たちが騒ぎ出す。

「ユウト様を王妃に――!」
「違う、神殿に永久保管を!」
「魔族領代表として正式に婚姻交渉を申し入れる!!」
「おまえら全員、落ち着けええぇぇ!!!」(by ヴァルガ)

 

*** 

 

その夜。
氷の広場には巨大鍋が並び、国民全員がユウト式“雪鍋”に頬を染めていた。

「……ふふっ、笑ってる……この国の人、笑うんだ……」

ぽつりと呟いたユウトの声が、氷の国全体に沁みていく。

「ありがとう、神子ユウト。君は、心の薪だ……」
「ううん。ボクはただ、火加減がうまいだけだよ」

そう言って笑う少年に、
氷の国全員が、順番に恋をした。

 

――結果:国家丸ごとユウト信者化(また婚姻申請+1国)――
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