悪役令息はモブに愛を捧ぐ

たなぱ

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違和感と報告

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突然の合同合宿の中止
開始地点に集まる生徒の大半は不満を訴える、それはそうだ蜘蛛の化物を実際にみたおれたち以外には、緊急措置、生徒の危機を守るためなど言われても何故中止なのかすら理解できない


周囲が動揺を隠せない中、おれは冷静に考えていた…なぜ、教員が現場に来なかったのか、対応が遅かったか…
あのヒロイン♂の顔から、言葉から全て察する事が出来た

泣き喚いているが、確かに聞こえた声と表情…あからさまにおれが蜘蛛の化物に襲われて負傷することを望んでいた事がわかる
涙ながらに怖かったと泣き喚きながら状況を説明せずに、教員を引き止め続けたんだろう
王太子殿下含めこの学院はヒロイン♂にみな何故か優しい傾向にある…エアの言うゲームの展開上そう言うものだと思っていても不気味だ…


そんなにもおれの存在が気に食わないのか?
なぁ、異世界人ソラト…
王太子殿下と婚姻したいなら勝手にすればいい、国王陛下さえ認めるなら勝手に王妃にでもなんでもなればいい…お前の言う悪役令息はおれじゃない、おれを巻き込まないで欲しい


中止になった合同合宿、本来野営終了後に選ばれる優秀者の発表も中止のため無くなった
生体バンクルで救出され棄権扱いになっているヒロイン♂達が一番不服だと騒いでいることが理解できない…
だか、本来の目的である魔晶石を渡さない、それは達成出来たから良いだろう
各自、今回の野営で得た物は次回の試験に反映し期学末の成績に入れてもらえる事になった
捕らえた魔獣を追加で提出すると、その数に若干教員に引かれたが、朝方エアが寝ている間無心で捕獲していたんだしょうが無い

合同合宿中止に伴い、全員の安否がわかり想定していたように巨大な魔獣の出現により中止となった説明を受け、各自解散となった











「リナルド様…この世界は本当にガレリナの箱庭なんでしょうか…イベントのゲリラボスは結局いないし、討伐作戦自体中止になるなんて…それにあの蜘蛛の化物も…
あ、あの………僕、僕の知識が合っているのか不安になってきました…あの蜘蛛の化物だって…消えたからいいけどリナルド様が怪我したり死んじゃったりするかと思ったら………怖くて……なんでこんな展開に……うぅっ…こわかっだ………」


自室に戻り、玄関の扉が閉まるとエアはそう言っておれにしがみついてきた
これがゲームの世界なのか…おれにもわからない…灰色の既視感に無い光景…エアと同じ色を持つあの蜘蛛…何かを確かめたくて無意識にあんな行動をしたんだ、近くで見ていたエアが不安がるのもわかる

抱き締め返して背中を、頭を撫でてあやす
おれの上着が濡れるほど不安もあるが心配して泣いてくれるエアはやさしい…



「この世界がゲームであってもそうでなくても、おれはエアを愛してる、それだけは事実だ
おれは、どんな結末になってもエアに嫁ぎたい、その為に無駄死にを選ぶと思うか?選ばないだろ?
心配しなくていいよ…エアは安心しておれに愛されててくれたらいい…今回の事も何かもしかしたら意味があると思うんだ…だから、ああしたかった」


「ううぅっ………危ないごどしないでくださいねっ………ぅえぅ゙ぅ゙…ちゃんと、ちゃんと僕に嫁いで来て下さいっ……僕も、僕だってリナルド様が好きです
……モブだけど、ゲーム壊してでもリナルド様と結婚じだいです………うぇええ……っううっ………ぐずっ………」


このゲームを壊しても………いい言葉だと思う
おれも既視感で満ち溢れる灰色の世界を壊してエアを愛し続ける…灰色の世界を自分の未来をこれ程捻じ曲げたいと思えたのはエアに出会えたからだ




ぐずぐずと泣き声が室内に響く
あの不安な状況から帰宅したんだ、好きなだけ泣かせてあげよう…おれの胸ならいくらでも貸せる

そう思い、エアをあやしながら、とりあえずやる事は終わらせようと通信魔法で父様に連絡を取る
メッセージを見てくれれば後で折り返しが来るはずだ
神子様であるヒロイン♂の貞操概念の低さ、処女ではない証拠もある、更に王太子殿下の側近候補とも関係ができていることは既に合同合宿前に報告済み、そろそろ国王陛下より何かしらの反応があってもおかしくはない
今回の件についても明確な悪意があったとしか思えないが…これをどう判断するか、そして野営での彼らの浅はかな行動をどう評価するか…
国王陛下に見せる前におれの父様に見せている
あの映像を見て、まさかおれが不利になることは不まずない、いっそ例の契約の期間を縮めて欲しいくらいだ



メッセージと記憶石の転送も終わるが泣き声は止まない…
泣いてるエアも可愛い…どんな姿も可愛いと思うが悲しくて泣いているのは、段々胸が苦しくなってくる…泣くのなら嬉しいとか快楽で泣きじゃくって欲しい…泣いている理由を書き換えたい、ふとそう思ってしまった
未だに泣くエアを横抱きにしてベッドへとりあえず運ぼう、おれの行動は早かった




「ぅ゙う………っ!?ぇ、え、………?ひえっ!?り、リナルドざまっ?どごいぐの?……………わっ!!!」


いきなり抱き上げられて驚く表情も可愛い、頬にキスをしながらベッドまで運び押し倒す
涙で目は真っ赤…声も涙声…急な展開についていけず慌てているが、そんなエアが覆いかぶさってきたおれに動揺して泣きながら赤く表情を変えた
うん…………最高に可愛いと思う



「エアが泣いてるの見たら上書きしたくなった………今度は気持ちよくて泣こうか………エア♡」


「っ……………ひ、ひゃい………♡」






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