18 / 31
18 再構築
しおりを挟む
休憩室でローゼリアが涙を見せた日の晩、夕食は部屋で食事を摂ると侍女経由で伝えてきたので、ローゼリアは食堂に姿を見せなかった。
結婚してからこれまでローゼリアはずっと食堂で食事を摂っていた。
エーヴェルトがいつも忙しそうにしているのは、王太子の執務室での仕事の他に宰相の補佐としての仕事とフォレスター家での仕事があるからで、ヘンリックの執務室には側近が二人と書類仕事を中心にこなしてくれる文官が四人もいる。
元々は二人の側近とこなしていた仕事ではあったが、結婚して戴冠がいよいよ近づいた事で文官も付くようになった。彼らが本格的に忙しくなるのは半年以上先の事で、今のところは夕食に間に合う時間には仕事を終える事ができているのでヘンリックはほぼ毎日ローゼリアと共に食事をしていた。
一人で食事を摂るのは久し振りの事で、ローゼリアがいないというだけで食堂がいつもより広く感じられる。
ローゼリアがいても会話らしい会話はあまりなく、たまに言葉を交わしても事務的な連絡事項ばかりではあったが、いつも正面に座っている席にローゼリアがいない事にヘンリックは寂しさを感じていた。
彼女はいつもヘンリックを気にすることはなく食事を進めていく。ヘンリックは考え事をする事もあったが、そうでない時はよくローゼリアに視線を向けながら食事をしていた。
彼女はいつも料理を味わうようにゆっくりと食べていた。ほとんど表情が動かないので何を美味しいと思っているのかわからなかったが、苦手な食材はないらしくほとんど残さずに食べ、量が多い時は完食した後に次回からは少なくして欲しいと食事の世話をする侍従に伝えてきた。
食事の時は伏し目がちにしているからか、表情はなくてもローゼリアの長い睫毛が憂いのある様子に見せる。小柄なせいか普段は年齢よりも幼く少女のように見える彼女がそういった仕草をすると、いつもより大人の女性のように見えてしまう。
そういった彼女を知る度にヘンリックの心は落ち着かなくなるのだった。そしてどんどんローゼリアから目が離せなくなってしまう。彼女が自分を見ていなくてもそれでもずっと見ていたかった。
食事の後、ヘンリックは応接室にローゼリアを呼び出した。
昼間の様子とは変わり、いつものローゼリアがそこにいた。
「昼間は気に障った事を言ってしまい済まなかった」
お茶を飲む前にヘンリックはローゼリアに謝った。
「あれは私自身の問題ですから、殿下はお気になさらないで下さい」
「先日のキミは私には自分がいるから王太子として退かなくていいと言ったね。それはつまりキミは王太子妃として在り続けるということと受け取ってもいいだろうか?」
「ええ、その通りですわ」
「私はこれまでキミに対して間違った事をしてきたと今は思う。だから今度はキミの考えている事を知りたい。ローゼリア、私はキミと再構築をしたい。私が頭を下げただけでは侘びとして足らない事は分かっているのだが、私はキミとやり直したいんだ」
「殿下がそう思われるのでしたら、私は受け入れるだけですわ」
ローゼリアは静かにそう言った。
以前ローゼリアに関係の改善を願った時は話すら聞いてもらえなったから、その時と比べればかなりの進展ではある。しかしローゼリアの言葉に彼女の意思は感じられなかった。
「そうか、ありがとう」
それでもヘンリックはローゼリアの言葉をかみしめながら彼女の気持ちを受け止める意味でも礼を言う。
「この間ローゼリアはこの国をどうしたいか話してくれたよね。私もキミの考えには共感するところが多いから王と王妃としては上手くやっていけると思う。では国よりももっと小さな単位である、家族や夫婦としてならばキミは私とどのような将来を考えている?」
ローゼリアは考えるようにゆっくりとお茶をひと口飲む。
「殿下には最愛様がいらっしゃいますから、私とは王太子妃としての仕事上での関係だけで充分だと思っていますの。でもそれでは駄目だと兄に言われてしまいましたわ」
「ローゼリア、キミも気付いているとは思うが、私とマリーナはもう終わっている。最後に会ったのは前シーズンのあの夜会だった。あの夜会の後に彼女から一度だけ手紙が届いたが、私は返事をしていない。私はキミに白い結婚を告げようとした夫で、キミは軽薄な男だと思うだろうが、今の私にはもうマリーナへの気持ちは無いんだ」
「だから、あの方の次は“私”ですか? それは殿下にとってご都合がよろし過ぎなのでは?」
「ああ、それは分かっている。だからキミの考えを知りたいんだ。これまでの十一年はずっと私の都合にキミを従わせてきた。だから次はキミの都合で私との関係を決めればいい。このまま公的な形だけの夫婦関係を望むのならそれでもいい。私はキミ以外の女性とは子どもは望まないから私たちの間に子どもがいなかったら、義兄上のお子を後継にすればいい。父親が誰であってもキミの産む子供には王子としての資格はあるが、……私以外の男と子どもを儲ける、私にそれを止める資格はないかもしれないが、……それだけは止めて欲しい」
最後は辛そうにそう言い、ヘンリックは俯いてしまった。出されたお茶はもうぬるくなってしまい、ローゼリアはどうすべきかの選択を迫られていた。
「……殿下は直情的過ぎですわ。騎士様でしたらそれでもよろしいのでしょうが、殿下はこの国を纏めていなかいといけませんの。相手が妃でもあっても従うなんて事はいけませんわ」
「ならばキミが女王で私が王配となればいい。それが正しい形だ」
「簡単そうにおっしゃらないで。私はこの国の女王になんてなりたくありません。女性官吏もいないこの国で女王だなんて、どれだけ風当たりが強くなるか考えただけでも恐ろしい事ですわ」
「わかった。ならば今後は女性官吏も少しずつ登用するように議会にかけ合おう。来年は王太子妃付きの文官の何人かを女性にして、最終的にはキミの周りは全て女性の文官にする」
「なっ……、ばっ……」
思わず『馬鹿じゃないの』と言おうとしてしまい、ローゼリアは慌てて口を噤んだ。
「……女性官吏の登用は賛成ですわ。エルランドには女性官吏もいますし、女性にも領主となる権利が認められていますの。女性官吏の登用は、ランゲルが変わりつつある事を他国に周知する事に繋がりますから良い事だと思います」
夫婦の問題からいつの間にか国政の話題へと変わってしまった。婚約者時代にはローゼリアからこの手の話をされるといつも不快感を覚えたのだが、今は不思議と彼女とこういった話をする事がとても楽しいとヘンリックは感じるようになっていた。
結婚してからこれまでローゼリアはずっと食堂で食事を摂っていた。
エーヴェルトがいつも忙しそうにしているのは、王太子の執務室での仕事の他に宰相の補佐としての仕事とフォレスター家での仕事があるからで、ヘンリックの執務室には側近が二人と書類仕事を中心にこなしてくれる文官が四人もいる。
元々は二人の側近とこなしていた仕事ではあったが、結婚して戴冠がいよいよ近づいた事で文官も付くようになった。彼らが本格的に忙しくなるのは半年以上先の事で、今のところは夕食に間に合う時間には仕事を終える事ができているのでヘンリックはほぼ毎日ローゼリアと共に食事をしていた。
一人で食事を摂るのは久し振りの事で、ローゼリアがいないというだけで食堂がいつもより広く感じられる。
ローゼリアがいても会話らしい会話はあまりなく、たまに言葉を交わしても事務的な連絡事項ばかりではあったが、いつも正面に座っている席にローゼリアがいない事にヘンリックは寂しさを感じていた。
彼女はいつもヘンリックを気にすることはなく食事を進めていく。ヘンリックは考え事をする事もあったが、そうでない時はよくローゼリアに視線を向けながら食事をしていた。
彼女はいつも料理を味わうようにゆっくりと食べていた。ほとんど表情が動かないので何を美味しいと思っているのかわからなかったが、苦手な食材はないらしくほとんど残さずに食べ、量が多い時は完食した後に次回からは少なくして欲しいと食事の世話をする侍従に伝えてきた。
食事の時は伏し目がちにしているからか、表情はなくてもローゼリアの長い睫毛が憂いのある様子に見せる。小柄なせいか普段は年齢よりも幼く少女のように見える彼女がそういった仕草をすると、いつもより大人の女性のように見えてしまう。
そういった彼女を知る度にヘンリックの心は落ち着かなくなるのだった。そしてどんどんローゼリアから目が離せなくなってしまう。彼女が自分を見ていなくてもそれでもずっと見ていたかった。
食事の後、ヘンリックは応接室にローゼリアを呼び出した。
昼間の様子とは変わり、いつものローゼリアがそこにいた。
「昼間は気に障った事を言ってしまい済まなかった」
お茶を飲む前にヘンリックはローゼリアに謝った。
「あれは私自身の問題ですから、殿下はお気になさらないで下さい」
「先日のキミは私には自分がいるから王太子として退かなくていいと言ったね。それはつまりキミは王太子妃として在り続けるということと受け取ってもいいだろうか?」
「ええ、その通りですわ」
「私はこれまでキミに対して間違った事をしてきたと今は思う。だから今度はキミの考えている事を知りたい。ローゼリア、私はキミと再構築をしたい。私が頭を下げただけでは侘びとして足らない事は分かっているのだが、私はキミとやり直したいんだ」
「殿下がそう思われるのでしたら、私は受け入れるだけですわ」
ローゼリアは静かにそう言った。
以前ローゼリアに関係の改善を願った時は話すら聞いてもらえなったから、その時と比べればかなりの進展ではある。しかしローゼリアの言葉に彼女の意思は感じられなかった。
「そうか、ありがとう」
それでもヘンリックはローゼリアの言葉をかみしめながら彼女の気持ちを受け止める意味でも礼を言う。
「この間ローゼリアはこの国をどうしたいか話してくれたよね。私もキミの考えには共感するところが多いから王と王妃としては上手くやっていけると思う。では国よりももっと小さな単位である、家族や夫婦としてならばキミは私とどのような将来を考えている?」
ローゼリアは考えるようにゆっくりとお茶をひと口飲む。
「殿下には最愛様がいらっしゃいますから、私とは王太子妃としての仕事上での関係だけで充分だと思っていますの。でもそれでは駄目だと兄に言われてしまいましたわ」
「ローゼリア、キミも気付いているとは思うが、私とマリーナはもう終わっている。最後に会ったのは前シーズンのあの夜会だった。あの夜会の後に彼女から一度だけ手紙が届いたが、私は返事をしていない。私はキミに白い結婚を告げようとした夫で、キミは軽薄な男だと思うだろうが、今の私にはもうマリーナへの気持ちは無いんだ」
「だから、あの方の次は“私”ですか? それは殿下にとってご都合がよろし過ぎなのでは?」
「ああ、それは分かっている。だからキミの考えを知りたいんだ。これまでの十一年はずっと私の都合にキミを従わせてきた。だから次はキミの都合で私との関係を決めればいい。このまま公的な形だけの夫婦関係を望むのならそれでもいい。私はキミ以外の女性とは子どもは望まないから私たちの間に子どもがいなかったら、義兄上のお子を後継にすればいい。父親が誰であってもキミの産む子供には王子としての資格はあるが、……私以外の男と子どもを儲ける、私にそれを止める資格はないかもしれないが、……それだけは止めて欲しい」
最後は辛そうにそう言い、ヘンリックは俯いてしまった。出されたお茶はもうぬるくなってしまい、ローゼリアはどうすべきかの選択を迫られていた。
「……殿下は直情的過ぎですわ。騎士様でしたらそれでもよろしいのでしょうが、殿下はこの国を纏めていなかいといけませんの。相手が妃でもあっても従うなんて事はいけませんわ」
「ならばキミが女王で私が王配となればいい。それが正しい形だ」
「簡単そうにおっしゃらないで。私はこの国の女王になんてなりたくありません。女性官吏もいないこの国で女王だなんて、どれだけ風当たりが強くなるか考えただけでも恐ろしい事ですわ」
「わかった。ならば今後は女性官吏も少しずつ登用するように議会にかけ合おう。来年は王太子妃付きの文官の何人かを女性にして、最終的にはキミの周りは全て女性の文官にする」
「なっ……、ばっ……」
思わず『馬鹿じゃないの』と言おうとしてしまい、ローゼリアは慌てて口を噤んだ。
「……女性官吏の登用は賛成ですわ。エルランドには女性官吏もいますし、女性にも領主となる権利が認められていますの。女性官吏の登用は、ランゲルが変わりつつある事を他国に周知する事に繋がりますから良い事だと思います」
夫婦の問題からいつの間にか国政の話題へと変わってしまった。婚約者時代にはローゼリアからこの手の話をされるといつも不快感を覚えたのだが、今は不思議と彼女とこういった話をする事がとても楽しいとヘンリックは感じるようになっていた。
644
あなたにおすすめの小説
ここだけの話だけど・・・と愚痴ったら、婚約者候補から外れた件
ひとみん
恋愛
国境防衛の最前線でもあるオブライト辺境伯家の令嬢ルミエール。
何故か王太子の妃候補に選ばれてしまう。「選ばれるはずないから、王都観光でもしておいで」という母の言葉に従って王宮へ。
田舎育ちの彼女には、やっぱり普通の貴族令嬢とはあわなかった。香水臭い部屋。マウントの取り合いに忙しい令嬢達。ちやほやされてご満悦の王太子。
庭園に逃げこみ、仕事をしていた庭師のおじさんをつかまえ辺境伯領仕込みの口の悪さで愚痴り始めるルミエール。
「ここだけの話だからね!」と。
不敬をものともしない、言いたい放題のルミエールに顔色を失くす庭師。
その後、不敬罪に問われる事無く、何故か妃選定がおこなわれる前にルミエールは除外。
その真相は?
ルミエールは口が悪いです。言いたい放題。
頭空っぽ推奨!ご都合主義万歳です!
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
【完結】愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた
迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」
待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。
「え……あの、どうし……て?」
あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。
彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。
ーーーーーーーーーーーーー
侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。
吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。
自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。
だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。
婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。
第18回恋愛小説大賞で、『奨励賞』をいただきましたっ!
※基本的にゆるふわ設定です。
※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます
※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。
※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。
※※しれっと短編から長編に変更しました。(だって絶対終わらないと思ったから!)
婚約破棄されたけれど、どうぞ勝手に没落してくださいませ。私は辺境で第二の人生を満喫しますわ
鍛高譚
恋愛
「白い結婚でいい。
平凡で、静かな生活が送れれば――それだけで幸せでしたのに。」
婚約破棄され、行き場を失った伯爵令嬢アナスタシア。
彼女を救ったのは“冷徹”と噂される公爵・ルキウスだった。
二人の結婚は、互いに干渉しない 『白い結婚』――ただの契約のはずだった。
……はずなのに。
邸内で起きる不可解な襲撃。
操られた侍女が放つ言葉。
浮かび上がる“白の一族”の血――そしてアナスタシアの身体に眠る 浄化の魔力。
「白の娘よ。いずれ迎えに行く」
影の王から届いた脅迫状が、運命の刻を告げる。
守るために剣を握る公爵。
守られるだけで終わらせないと誓う令嬢。
契約から始まったはずの二人の関係は、
いつしか互いに手放せない 真実の愛 へと変わってゆく。
「君を奪わせはしない」
「わたくしも……あなたを守りたいのです」
これは――
白い結婚から始まり、影の王を巡る大いなる戦いへ踏み出す、
覚醒令嬢と冷徹公爵の“運命の恋と陰謀”の物語。
---
婚約破棄ありがとう!と笑ったら、元婚約者が泣きながら復縁を迫ってきました
ほーみ
恋愛
「――婚約を破棄する!」
大広間に響いたその宣告は、きっと誰もが予想していたことだったのだろう。
けれど、当事者である私――エリス・ローレンツの胸の内には、不思議なほどの安堵しかなかった。
王太子殿下であるレオンハルト様に、婚約を破棄される。
婚約者として彼に尽くした八年間の努力は、彼のたった一言で終わった。
だが、私の唇からこぼれたのは悲鳴でも涙でもなく――。
貴方なんて大嫌い
ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と
いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている
それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い
もう演じなくて結構です
梨丸
恋愛
侯爵令嬢セリーヌは最愛の婚約者が自分のことを愛していないことに気づく。
愛しの婚約者様、もう婚約者を演じなくて結構です。
11/5HOTランキング入りしました。ありがとうございます。
感想などいただけると、嬉しいです。
11/14 完結いたしました。
11/16 完結小説ランキング総合8位、恋愛部門4位ありがとうございます。
【受賞&本編完結】たとえあなたに選ばれなくても【改訂中】
神宮寺 あおい
恋愛
人を踏みつけた者には相応の報いを。
伯爵令嬢のアリシアは半年後に結婚する予定だった。
公爵家次男の婚約者、ルーカスと両思いで一緒になれるのを楽しみにしていたのに。
ルーカスにとって腹違いの兄、ニコラオスの突然の死が全てを狂わせていく。
義母の願う血筋の継承。
ニコラオスの婚約者、フォティアからの横槍。
公爵家を継ぐ義務に縛られるルーカス。
フォティアのお腹にはニコラオスの子供が宿っており、正統なる後継者を望む義母はルーカスとアリシアの婚約を破棄させ、フォティアと婚約させようとする。
そんな中アリシアのお腹にもまた小さな命が。
アリシアとルーカスの思いとは裏腹に2人は周りの思惑に振り回されていく。
何があってもこの子を守らなければ。
大切なあなたとの未来を夢見たいのに許されない。
ならば私は去りましょう。
たとえあなたに選ばれなくても。
私は私の人生を歩んでいく。
これは普通の伯爵令嬢と訳あり公爵令息の、想いが報われるまでの物語。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読む前にご確認いただけると助かります。
1)西洋の貴族社会をベースにした世界観ではあるものの、あくまでファンタジーです
2)作中では第一王位継承者のみ『皇太子』とし、それ以外は『王子』『王女』としています
→ただ今『皇太子』を『王太子』へ、さらに文頭一文字下げなど、表記を改訂中です。
そのため一時的に『皇太子』と『王太子』が混在しております。
よろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誤字を教えてくださる方、ありがとうございます。
読み返してから投稿しているのですが、見落としていることがあるのでとても助かります。
アルファポリス第18回恋愛小説大賞 奨励賞受賞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる