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02:創造
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二姉さまから預かった世界で得た【信仰】は、実はすべてが二姉さまに向かったものではなく、ほんの二割ほどはわたしに向いていました。
もちろんこっそりやった訳ではなく、許可を頂いてです。
それをコツコツと貯めてやっと287。それに研修時代にこっそり貯めて来た52を足して339。
これが先ほどまでのわたし。
さてここから。伝統だかで頂いたのは二姉さまに向かった【信仰】のさらに半分で223と、二姉さまからご祝儀で500。
合計1062。
一姉さまの慧眼はさすがと言いますか、合わせて1000はほぼ正解です。そして続く台詞『2000もあれば』で、ご祝儀は1000だと思っていたのに。
どうしてわたしの神力が3062もあるんでしょうか?
どうやら『2000もあれば』って合計じゃあなくご祝儀の量だったようです。
一姉さま、最高!
改めて言いましょう。わたしは一姉さまに一生付いていきます。
見習い改め、下三位つまり最下位にして第九位『無』なわたしですが、世界創造は実習で経験済です。
二姉さまからお借りしていたあの世界、実はわたしが一から創ったのです。ただその時の神力は借り物ですから、まったく威張れませんがね。
さて自立したいま、今回は自分の神力で世界を創造しなければなりません。
世界創造は神力を使って行います。
商売と同じで上手く運営すれば、いずれ返ってきますが、それが入るまでは一時的に神力が減ります。
つまり使いすぎはNGです。
『やってみたらい~じゃん』が口癖だったどこぞの脳筋炎神はとてもイイ反面教師でした。お陰さまでわたしは行動を起こす前に、常に考えますし、手順はおさらいするようになりました。
ありがとうございます。
世界を創造するのに必要な最低神力は100です。ただし天井はありません。
研修の際、二姉さまからお借りした神力は500でした。わたしは構築の術式は得意なので、500にしては良い世界が創れたと自負しております。
きっと600くらいの世界が創れたんじゃないかな。
……二割は言い過ぎで一割増しの550でしょうか? まあ何にしろ一緒に研修していた見習いズから、わたしだけが昇位したのですから、平均より上だったのだと思います。
神力500。
最低の100に比べれば五倍です。これは多いのかそれとも少ないのか、はたまた平均なのか?
想像するに第九位『無』のわたしと第五位『力』の二姉さまでは平均が違うはず。なんせ二姉さまの神力は53万です。もし二姉さまが端数を四捨五入して53万と言っているなら、3000ぽっちのわたしなんて四捨五入で捨てられる方。つまり0ですよ、0!
よし研修通り500で行きましょう。
そして創造する数も、下三位は四つまで許可されていますが、ひとつで十分。
わたしは世界創造の申請書を書き、三姉さまに提出しました。三姉さまは下一位、下神の統括役なのです。
新たな世界を創造するには決めることが多くあります。
三姉さまの含蓄ある助言によると、神秘な世界に比べて、機械が発達する世界は【信仰】が廃れやすく失われやすい傾向にあるそうです。
ちなみに三姉さまは二姉さまとは真逆の堅実頑固な大地の神性持ちです。かく言うわたしも二姉さまとは、遠い存在なので彼女の助言は大変助かっています。
でも大地の神性はちょっと嫌ですね。
どうせ〝ち〟が入るなら〝知恵〟の神になりたいです。
種族を創造。
といっても入れるのは不定形の生命の種のようなもの。
これが星と共に進化を重ねて人やら亜人になっていきます。星の大半を海に設定すれば魚人などにも進化するようです。
生命の種には進化の可能性を埋め込みます。
可能性が一つなら進化する種族は一つきり。今回は進化する種族は単一ではなく複数で寿命も様々、敵対種族も設定します。敵対種族同士は芯に相手を嫌悪する感情を埋め込み決して相容れぬようにします。
単一種族の利点は互いの妨害が無くなり早く世界が終焉することです。欠点は【信仰】が少ないことですね。
逆に種族を複数にする利点は、能力に差が生まれて嫉妬と言う感情が芽生えます。嫉妬は競争心へ、それがないと世界は停滞し発展しません。
敵対種族は互いに争い潰し合います。遅々として終焉は遠のきますがそれが良い。彼らは絶望しやがて神に祈ることもあるでしょう。
祈る先は人の神と魔の神でしょうか?
安心してください。それはどちらもわたしで一人二役。なんなら運の神やら鍛冶の神なんてのもわたしです。どこからどのような手段で集めようがこの世界で得た【信仰】はすべてわたしの物になります。
やがて世界が停滞し小競り合いが減ってくれば、魔物を投入したり、天変地異なんてのもいいでしょう。扱いは面倒ですが勇者システムの導入もありですね。
他にも世界の理などなどを細かく決めていきます。ここで漏れがあると、予想外の事が起きて崩壊が始まってしまいますから注意が必要です。しかし脳筋炎神を反面教師に持ったわたしは細かい作業は慣れていますし、なんなら得意です。
だって研修時代、散々押し付けられましたからね。しかし研修で創った世界以外まで押し付けてくるのは如何なものか?
ほんとうに良い教師でした……
いくらわたしが優秀でも理ですべてを縛るのは駄目。
世界には適度な穴が必要だそうです。
三姉さま曰く『傷ひとつない完璧な世界は、完璧ゆえに成長しない』だそうです。
あっぱっぱ~な二姉さまに比べてなんと含蓄ある言葉でしょうか。
ちなみに二姉さまから頂いた言葉と言うか、彼女の口癖は、『やってみりゃい~じゃん』です。
即決即断と言えば聞こえはいいですが、多分なにも考えていないんだと思います。それでも力業でいけちゃうのが二姉さま。神力の差は圧倒的です。
さてそろそろ作業も終わりです。
この世界は生まれたばかり、しばらくは静かに見守りましょう。
もちろんこっそりやった訳ではなく、許可を頂いてです。
それをコツコツと貯めてやっと287。それに研修時代にこっそり貯めて来た52を足して339。
これが先ほどまでのわたし。
さてここから。伝統だかで頂いたのは二姉さまに向かった【信仰】のさらに半分で223と、二姉さまからご祝儀で500。
合計1062。
一姉さまの慧眼はさすがと言いますか、合わせて1000はほぼ正解です。そして続く台詞『2000もあれば』で、ご祝儀は1000だと思っていたのに。
どうしてわたしの神力が3062もあるんでしょうか?
どうやら『2000もあれば』って合計じゃあなくご祝儀の量だったようです。
一姉さま、最高!
改めて言いましょう。わたしは一姉さまに一生付いていきます。
見習い改め、下三位つまり最下位にして第九位『無』なわたしですが、世界創造は実習で経験済です。
二姉さまからお借りしていたあの世界、実はわたしが一から創ったのです。ただその時の神力は借り物ですから、まったく威張れませんがね。
さて自立したいま、今回は自分の神力で世界を創造しなければなりません。
世界創造は神力を使って行います。
商売と同じで上手く運営すれば、いずれ返ってきますが、それが入るまでは一時的に神力が減ります。
つまり使いすぎはNGです。
『やってみたらい~じゃん』が口癖だったどこぞの脳筋炎神はとてもイイ反面教師でした。お陰さまでわたしは行動を起こす前に、常に考えますし、手順はおさらいするようになりました。
ありがとうございます。
世界を創造するのに必要な最低神力は100です。ただし天井はありません。
研修の際、二姉さまからお借りした神力は500でした。わたしは構築の術式は得意なので、500にしては良い世界が創れたと自負しております。
きっと600くらいの世界が創れたんじゃないかな。
……二割は言い過ぎで一割増しの550でしょうか? まあ何にしろ一緒に研修していた見習いズから、わたしだけが昇位したのですから、平均より上だったのだと思います。
神力500。
最低の100に比べれば五倍です。これは多いのかそれとも少ないのか、はたまた平均なのか?
想像するに第九位『無』のわたしと第五位『力』の二姉さまでは平均が違うはず。なんせ二姉さまの神力は53万です。もし二姉さまが端数を四捨五入して53万と言っているなら、3000ぽっちのわたしなんて四捨五入で捨てられる方。つまり0ですよ、0!
よし研修通り500で行きましょう。
そして創造する数も、下三位は四つまで許可されていますが、ひとつで十分。
わたしは世界創造の申請書を書き、三姉さまに提出しました。三姉さまは下一位、下神の統括役なのです。
新たな世界を創造するには決めることが多くあります。
三姉さまの含蓄ある助言によると、神秘な世界に比べて、機械が発達する世界は【信仰】が廃れやすく失われやすい傾向にあるそうです。
ちなみに三姉さまは二姉さまとは真逆の堅実頑固な大地の神性持ちです。かく言うわたしも二姉さまとは、遠い存在なので彼女の助言は大変助かっています。
でも大地の神性はちょっと嫌ですね。
どうせ〝ち〟が入るなら〝知恵〟の神になりたいです。
種族を創造。
といっても入れるのは不定形の生命の種のようなもの。
これが星と共に進化を重ねて人やら亜人になっていきます。星の大半を海に設定すれば魚人などにも進化するようです。
生命の種には進化の可能性を埋め込みます。
可能性が一つなら進化する種族は一つきり。今回は進化する種族は単一ではなく複数で寿命も様々、敵対種族も設定します。敵対種族同士は芯に相手を嫌悪する感情を埋め込み決して相容れぬようにします。
単一種族の利点は互いの妨害が無くなり早く世界が終焉することです。欠点は【信仰】が少ないことですね。
逆に種族を複数にする利点は、能力に差が生まれて嫉妬と言う感情が芽生えます。嫉妬は競争心へ、それがないと世界は停滞し発展しません。
敵対種族は互いに争い潰し合います。遅々として終焉は遠のきますがそれが良い。彼らは絶望しやがて神に祈ることもあるでしょう。
祈る先は人の神と魔の神でしょうか?
安心してください。それはどちらもわたしで一人二役。なんなら運の神やら鍛冶の神なんてのもわたしです。どこからどのような手段で集めようがこの世界で得た【信仰】はすべてわたしの物になります。
やがて世界が停滞し小競り合いが減ってくれば、魔物を投入したり、天変地異なんてのもいいでしょう。扱いは面倒ですが勇者システムの導入もありですね。
他にも世界の理などなどを細かく決めていきます。ここで漏れがあると、予想外の事が起きて崩壊が始まってしまいますから注意が必要です。しかし脳筋炎神を反面教師に持ったわたしは細かい作業は慣れていますし、なんなら得意です。
だって研修時代、散々押し付けられましたからね。しかし研修で創った世界以外まで押し付けてくるのは如何なものか?
ほんとうに良い教師でした……
いくらわたしが優秀でも理ですべてを縛るのは駄目。
世界には適度な穴が必要だそうです。
三姉さま曰く『傷ひとつない完璧な世界は、完璧ゆえに成長しない』だそうです。
あっぱっぱ~な二姉さまに比べてなんと含蓄ある言葉でしょうか。
ちなみに二姉さまから頂いた言葉と言うか、彼女の口癖は、『やってみりゃい~じゃん』です。
即決即断と言えば聞こえはいいですが、多分なにも考えていないんだと思います。それでも力業でいけちゃうのが二姉さま。神力の差は圧倒的です。
さてそろそろ作業も終わりです。
この世界は生まれたばかり、しばらくは静かに見守りましょう。
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