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11:催しごと
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部屋に一通の封書が届いていた。
【下三位交流会のご案内】
こんなのあったんだと独り言ちる。
兄貴に一万貰った後も、それなりに世界の終焉を見つつ依頼をこなしてきた。
現在の神力は四万に少しだけ足りないくらい。開催の日付を見るに、その頃には四万は越えているはず。
ちなみに四姉さまの神力はまだまだ遠い。
きっと十万超えているのではと思っている。そして三姉さまはその十倍は固い。要するに百万を越えている。三姉さまより格上の二姉さまがそれ以下な訳はなく、嘯いていた53万ってのは完全にブラフだと分かった。
あの人絶対もっとある!
何なら一桁鯖読んでんじゃない?
おっと話がそれた。
これは交流会のご案内だ。出欠を書く欄もなければ返信先もない。
強制?
「また来たのね。今度はなんの用かしら」
困ったときの三姉さま、感謝してます。邪けんな態度はきっと照れ隠しに違いない。
「実はこれが届きまして、先人からお話を聞きたいなと参上した次第です」
「ああ交流会。こんなのただの情報交換の場よ、気負わず気楽に参加なさい」
そんなことを話していると、知覚している範囲の空間が歪み始めた。
これは転移の兆候だ。
このやや粗雑な感じは四姉さまっぽいけど、まさかね。
「ああっやっといた!」
「『大』挨拶を忘れているわよ」
「あっすみません! えーとお久しぶりです、三姉。『月』に用があるんですけど、連れて行っていいですか?」
三姉さまがこちらを向いたので、わたしは良くないですと首を振った。
三姉さまはちいさくハァとため息を漏らし、「お茶を煎れ直すわ『大』も座りなさい」と言った。
しぶしぶ座る四姉さま。
へぇー四姉さまって素直に言うことを聞くこともあるんだ。
心の中は読まれていないと思うが、なぜか睨まれた。理不尽。
三姉さまがお茶を煎れている。
一瞬で出すことも出来るのに煎れているということは、話してよいというポーズなのだろう。しかし残念、四姉さまに遠回しな表現は伝わらないのです。
でもこのままだと話が進まないので、わたしのほうから要件を訪ねてみた。
「聖女の【機能】が欲しいんだけど余ってなーい?」
「【機能】は基本受注生産ですから余りはないですね」
「馬鹿ねぇ聖女とか聖剣ってさーよく出る商品じゃん。どうせ売れるんだし、先に創っときなさいよ」
「お言葉ですが大姉さま、それだと細かい希望が反映できなくて質が下がります」
「は? あんたそんな微調整までやってんの?」
お茶が煎れ直され三姉さまが席に着いた。
「『大』研修の時にも再三言いましたが、『月』が普通です。そういう微調整を疎かにするからあなたの世界は終焉に近づくと混沌とするんですよ」
「でもでも、終わりかけならギリセーフって二姉がいつも言ってますよ」
「まったくあの人は……
力姉さまは後ほど座姉さまに叱っていただきます。ですので、『大』はいまわたしが叱ります」
本気モードに変わった三姉さま。
空気を察したのか、困り顔の四姉さまが助けを求めるようにこっちを見てくる。助けられるわけないでしょうと、視線を外した。
それより四姉さまはもう少し先を心配すべきだと思う。きっと今回のとばっちりで一姉さまに叱られた二姉さまが後で突撃してきますよ?
願わくばその時の場所がわたしの部屋じゃあ、ありませんように!
説教が続いている。
正直に言おう、逃げ遅れた。袖をつかんで離さないのは反則じゃないですかね?
もっと早く決断すべきだった。それこそ四姉さまが飛んできたとき……いやそれは速すぎか。
「でもー」
「でもじゃありません」
「待って、聞いて、マジ聞いて」
「何ですか一体、話してみなさい」
「バザールの品って調整甘いやつばっかじゃないですか? あれはどーなんです」
バザール? はてなんのことだろう。
「あれは特殊です。ですが、そうですね。
バザールの品を思えば、ふむ。『大』」
「はい」
「今後はあれを最低と思い精進なさい、良いですね」
「はーい」
バザールなるキーワードで唐突にお説教が終わったようだ。
「姉さまがた、バザールって何ですか?」
「持ち寄った【機能】を売る催しです」
「『月』は依頼受けてるでしょ。あれって依頼と言いつつ実は派閥とか眷属絡みで頼まれてるじゃん?
バザールはその辺のしがらみを捨てて自由に取引しましょーってやつよ。定期的にやってて、掘り出し物があったり、良いのが結構安く手に入るのよー」
「わたしでも参加できますか?」
「『月』が言うのは当然売り手側ですね。
売り手側の参加資格は神性を発現している者という一点のみです。もし月の神性持ちがバザールに参加するならば大変な宣伝になるでしょう。
統括は『能』の男神ですがわたくしも一枚噛んでいます。一人くらいなら問題なく融通できますけど、参加しますか?」
宣伝はしたい、でもあなた忙しいけど行けるのという確認だろう。
世界を管理しつつ依頼をこなす、さらにバザール用の【機能】を創るって、確かに正気の沙汰じゃないかも。
「ちょっと考えます」
「そうですね、それが良いと思います」
返事の最終期日だけを聞いて、部屋に戻ったら四姉さまが着いてきた。
なぜに?
「あんたに用事あるから三姉のとこまで行ったんだけど」
そうでした。
言外にみえた『お陰で叱られたじゃない』は気づかなかった方向で。
【下三位交流会のご案内】
こんなのあったんだと独り言ちる。
兄貴に一万貰った後も、それなりに世界の終焉を見つつ依頼をこなしてきた。
現在の神力は四万に少しだけ足りないくらい。開催の日付を見るに、その頃には四万は越えているはず。
ちなみに四姉さまの神力はまだまだ遠い。
きっと十万超えているのではと思っている。そして三姉さまはその十倍は固い。要するに百万を越えている。三姉さまより格上の二姉さまがそれ以下な訳はなく、嘯いていた53万ってのは完全にブラフだと分かった。
あの人絶対もっとある!
何なら一桁鯖読んでんじゃない?
おっと話がそれた。
これは交流会のご案内だ。出欠を書く欄もなければ返信先もない。
強制?
「また来たのね。今度はなんの用かしら」
困ったときの三姉さま、感謝してます。邪けんな態度はきっと照れ隠しに違いない。
「実はこれが届きまして、先人からお話を聞きたいなと参上した次第です」
「ああ交流会。こんなのただの情報交換の場よ、気負わず気楽に参加なさい」
そんなことを話していると、知覚している範囲の空間が歪み始めた。
これは転移の兆候だ。
このやや粗雑な感じは四姉さまっぽいけど、まさかね。
「ああっやっといた!」
「『大』挨拶を忘れているわよ」
「あっすみません! えーとお久しぶりです、三姉。『月』に用があるんですけど、連れて行っていいですか?」
三姉さまがこちらを向いたので、わたしは良くないですと首を振った。
三姉さまはちいさくハァとため息を漏らし、「お茶を煎れ直すわ『大』も座りなさい」と言った。
しぶしぶ座る四姉さま。
へぇー四姉さまって素直に言うことを聞くこともあるんだ。
心の中は読まれていないと思うが、なぜか睨まれた。理不尽。
三姉さまがお茶を煎れている。
一瞬で出すことも出来るのに煎れているということは、話してよいというポーズなのだろう。しかし残念、四姉さまに遠回しな表現は伝わらないのです。
でもこのままだと話が進まないので、わたしのほうから要件を訪ねてみた。
「聖女の【機能】が欲しいんだけど余ってなーい?」
「【機能】は基本受注生産ですから余りはないですね」
「馬鹿ねぇ聖女とか聖剣ってさーよく出る商品じゃん。どうせ売れるんだし、先に創っときなさいよ」
「お言葉ですが大姉さま、それだと細かい希望が反映できなくて質が下がります」
「は? あんたそんな微調整までやってんの?」
お茶が煎れ直され三姉さまが席に着いた。
「『大』研修の時にも再三言いましたが、『月』が普通です。そういう微調整を疎かにするからあなたの世界は終焉に近づくと混沌とするんですよ」
「でもでも、終わりかけならギリセーフって二姉がいつも言ってますよ」
「まったくあの人は……
力姉さまは後ほど座姉さまに叱っていただきます。ですので、『大』はいまわたしが叱ります」
本気モードに変わった三姉さま。
空気を察したのか、困り顔の四姉さまが助けを求めるようにこっちを見てくる。助けられるわけないでしょうと、視線を外した。
それより四姉さまはもう少し先を心配すべきだと思う。きっと今回のとばっちりで一姉さまに叱られた二姉さまが後で突撃してきますよ?
願わくばその時の場所がわたしの部屋じゃあ、ありませんように!
説教が続いている。
正直に言おう、逃げ遅れた。袖をつかんで離さないのは反則じゃないですかね?
もっと早く決断すべきだった。それこそ四姉さまが飛んできたとき……いやそれは速すぎか。
「でもー」
「でもじゃありません」
「待って、聞いて、マジ聞いて」
「何ですか一体、話してみなさい」
「バザールの品って調整甘いやつばっかじゃないですか? あれはどーなんです」
バザール? はてなんのことだろう。
「あれは特殊です。ですが、そうですね。
バザールの品を思えば、ふむ。『大』」
「はい」
「今後はあれを最低と思い精進なさい、良いですね」
「はーい」
バザールなるキーワードで唐突にお説教が終わったようだ。
「姉さまがた、バザールって何ですか?」
「持ち寄った【機能】を売る催しです」
「『月』は依頼受けてるでしょ。あれって依頼と言いつつ実は派閥とか眷属絡みで頼まれてるじゃん?
バザールはその辺のしがらみを捨てて自由に取引しましょーってやつよ。定期的にやってて、掘り出し物があったり、良いのが結構安く手に入るのよー」
「わたしでも参加できますか?」
「『月』が言うのは当然売り手側ですね。
売り手側の参加資格は神性を発現している者という一点のみです。もし月の神性持ちがバザールに参加するならば大変な宣伝になるでしょう。
統括は『能』の男神ですがわたくしも一枚噛んでいます。一人くらいなら問題なく融通できますけど、参加しますか?」
宣伝はしたい、でもあなた忙しいけど行けるのという確認だろう。
世界を管理しつつ依頼をこなす、さらにバザール用の【機能】を創るって、確かに正気の沙汰じゃないかも。
「ちょっと考えます」
「そうですね、それが良いと思います」
返事の最終期日だけを聞いて、部屋に戻ったら四姉さまが着いてきた。
なぜに?
「あんたに用事あるから三姉のとこまで行ったんだけど」
そうでした。
言外にみえた『お陰で叱られたじゃない』は気づかなかった方向で。
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