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30:昇格
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わたしの神域に知らない鳥が舞い込んできた。先触れだ。判らないのは鳥の種類ではなくて、誰の鳥なのかということ。
神が言うのだから間違いない、これは知らない鳥だ。
聞けば判るかと鳥に触れて先を促す。
『初めまして、私は第七位『星』と申します。月神様にお会いしたく文を認めました。ご検討をどうぞよろしくお願いします』
先触れの相手は同格の『権』だが、やはり『星』という神には会ったことは無い。そもそもさっきまで第七位『権』は格上。顔見知りは片手で十分に足る。
きっと新たな『権』への挨拶だろうと推測し、了承を返した。
やがて空間が歪み、一人の女神が現れた。服も黒ければ髪も黒で、肌だって褐色だ。正直わたしよりも黒の色合いが強い人は初めて見た。唯一、瞳だけは鮮やかな金色でとても綺麗に映えている。
あーっ判った。この瞳はきっと夜空の星だわ。
「月神様、訪問のご許可を頂きありがとうございます。私は第七位『星』です」
「初めまして第七位『月』です。わたしたちは同格ですし様付けはいりませんよ。自由にお呼びください」
「ありがたいお言葉ですがそれは出来ません。
実は今回こちらへ伺いましたのは、あるお願いがあっての事です。まずはそれを聞いて頂けないでしょうか?」
初対面の人にお願いって……え?
「私を長とした『大』二名、『無』三名は、月神様に従属いたします。どうかそのご許可をお願いいたします」
「従属? えっちょっと待ってください。わたしたちは初対面ですよね? それがどうして従属って話になるんですか」
従属の話は一姉さまから聞いていたが、どうせ無いからと軽く聞き流していたので大層驚いた。
おまけに『星』は同格、二重に驚くよ。
「はい初対面です。
大変失礼いたしました、そうですね。まずは私たちの置かれている現状から話すべきでした。
とは言えたいした話ではないのですが……」
そして語られた話だが……
彼女らの古巣はわたしが打ち勝った第四位『主』だそうだ。
今回彼女がわたしを訪ねて来たのは、以前一姉さまが言っていた行き場を無くした四割の方だから。
さて彼女らが行き場を無くした理由と、わたしを新たな長に選んだ理由は、大雑把に言うと同じだろう。
要するに彼女らに〝強く現れた〟神性の問題だ。
消えた『主』とその上の『座』は〝月〟として、わたしよりも〝聖〟の属性が強かった。しかし〝闇〟や〝死〟ならばわたしが上だ。そして『星』はその姿を見る限り〝夜〟が強い。ここからは印象の話になるが、夜の持つイメージは聖よりは闇に近いはずで、この機会により居やすい所にやって来たと言うことだ。
幸い一姉さまから、眷属に関しては直感に従って良いとお墨付きを貰っている。
そしてわたしの直感は、彼女は有りだった。
闇が強い、良いじゃないか。どっちつかずよりよっぽどいいよ!
「事情は理解できました。もちろん許可します。これからよろしくお願いします」
「ありがとうございます」
その後、彼女の神域に移動し他の神々と顔見世をしてくれた。
彼女第七位『星』を筆頭に、第八位『砂漠』と『嵐』に、第九位『氷雪』と未だ神性未覚醒だが闇寄りな『無』の二人。
予想以上に闇寄りだ。
持て余した子を、全員同じ枝に放り込んだのかなぁ~と思わんばかりの負の神性っぷりだわ……
それからしばらく経ち、以前約束していた『鍛冶』の兄ぃとやらに会うこととなった。場所は『鍛冶』の神域だ。丁度新しい世界を創るための【機能】が欲しかったのこの誘いは一石二鳥。
「月神様ようこそいらっしゃいました。こちらが我が兄ぃの『酒』です」
「初めまして第八位『酒』と申します。いつも弟がお世話になっております」
兄弟共に第八位『大』ではあるが、二人が内封する神力の量は『酒』の方が圧倒的に多く感じられた。わたしは例外中の例外で、普通は『大』に至ったときの神力の十倍を貯めなければ『権』にはなれないのだ。
「第七位『月』です。二人ともどうかもっと砕けた感じでお願いできませんか?」
「いやしかし……」と『酒』が言い、「申し訳ないがそれは出来ません」と『鍛冶』が言った。兄の方はもう一押しな感じ。
「実は職人気質の神に畏まられると違和感がですね……」
「確かにそうかもだが。本当にいいのか?」
「兄ぃ!?」
「もちろんです」
「分かった。じゃあお言葉に甘えさせて貰うよ」
『酒』にはもう一人、第八位に『錬金』という弟がいるそうで、今回新たにそちらの伝手を手に入れた。
手に入れた【機能】を使って見習いに世界を作成させた。世界を作成させたと言うことはつまりこれが最終試験。
てっきり【錬金】を選ぶと思っていたのに、彼女が選んだのはなぜか【酒】で意外である。ほどなくして彼女は世界の終焉を迎えた。
これで見習いの研修はすべて終了だ。
今までならば三姉さまに報告するだけだったのだが今回は違う。見習いを連れて、直接二姉さまのところへ行かなければならない。そう考えると途端に不安に襲われる。
本当に三姉さまの見立てなしで連れて行っても大丈夫かと……
「先生どうかしました?」
研修終了を言い渡したのに、何も言わないわたしを不思議と思ったのだろう。
「いや大丈夫、今からわたしの姉さまに会いに行くよ」
わたしは返事を聞く前に転移した。
あ、先触れ忘れた……
「うわっ突然だな~。『月』の転移は解り難くて驚くからやめてよね!」
軽い口調とたしなめる態度で、全く驚いていない声。三姉さまだとこのまま長いお説教に入るところを軽口で終わらせてくれる二姉さま、好き。
「力姉さま、見習いを連れてきましたので確認をお願いします」
「うん。いいよ~」
姉妹以外がいるからと、気を使って三姉さま風に力姉さまと呼んだと言うのに、返事は超軽かった。
さてどうだ。
「……」
しばしの沈黙に見習いも緊張している。
「ねえ『月』、神力の譲渡まだー?」
「確認待ちでしたけど、もういいんですか?」
「さっきいいって言ったじゃん」
言われた。うん。確かに言われたけどさ、そんな軽く決まると思ってないじゃん?
「第九位『無』を名乗っても?」
「いいってば」
「えーと、貴女は今から第九位『無』だ。やったね」
感動するところなのになんか微妙になってしまった。これも二姉さまが軽すぎる所為だよ。
『見習い』改め『無』は、自らの神域を与えられて先に帰った。そして居残りを言い渡されたわたしは二姉さまから、第六位『能』への昇格を唐突に告げられた。
「いまから『能』と言われてもそんなあっさり……
それに試験はいいんですか? わたし何もしてませんよ?」
「試験官は現在の階級の二ランク上が行う決まりっしょ。『権』の二ランク上は『力』のウチだからなんの問題もなし。そんでっ試験は育てた三人の神を見せること。ウチはもう全員見てるから省いたよ」
「軽すぎません?」
「いーんだよ。そんな物騒な神力で下神に留まってる方がめーわくだもん」
そういうものだろうか。いやそういうものかもしれない。わたしの神力は『主』に等しい。そんな神力を急に手に入れたものだから抑えることも出来ず、二姉さまを超える圧を垂れ流している状態だ。下神からすれば恐怖の対象かもしれない。
その後二姉さまに連れられて一姉さまのところへ移動。わたしが『能』に至ったと伝えると一姉さまは口元に笑みを浮かべた。それからは慌ただしかった。
簡単に伝えると、まず一姉さまが第二位『智』へ昇格した。なんと女神では初の『智』神。さらにその昇格に伴って、わたしに神力が流れ込んできた。
ぶっちゃけかなりの量、十万いや二十万は超えている。
それを感じたのがわたしだけな訳は無く、異変に気付いた姉妹が続々と一姉さまの神域に集まって来た。
末妹の『環』の神力も一気に10万を越えて第八位『大』へ、これは自動で昇格。四姉さまもこれで100万に達したようで今後は神の育成に力を入れるそうだ。増加したあとの三姉さまの神力は『能』の基準を軽く超えて、先のわたしと同じく二姉さまからこの場で『能』への昇格を言い渡された。
そして最後に二姉さまが第四位『主』に至る権利を得た。『主』に及ばなかったはずの神力は今やほぼ同等。わたしも貰っているのに並んだってことは、流れて来た神力の量が姉妹でバラバラだったのだろう。
少ないからって別に悔しくはない。わたしのってイカサマだもん。
結局、姉妹全員が昇格もしくは昇格する権利を得たということだ。あっ四姉さまだけは……
「なによ?」
「いえ一緒に頑張りましょう!」
神力だけはイカサマで増えているれども、わたしには経験が圧倒的に足りていないので、一緒に頑張ります!
ちなみに睨まれただけで済んだ。四姉さまも丸くなったものです。
「あ~『能』」
「はい?」
「何でしょう?」
わたしと三姉さまの声が被る。
「ごめ~んっ『大地』の方。悪いけど、また『月』を優先させて貰うよ」
「分かっています。わたくしと『月』の神力差を思えば当然のことです」
その後二姉さまが『能』の役割と権利について教えてくれた。神界のとある場所に〝神の種〟を産む樹があり、それに神力を注ぐことで実、つまり研修生が創り出せるそうだ。さらに『見習い』を取る権限も手に入った。ただし報告書は一姉さままで回され、有望な者がいたなら、わたしや『環』のように一姉さま預かりとなるらしい。
その場合、眷属からは外れるが、元はわたし創った〝神の種〟なので同様に一人としてカウントされるようだ。誰が育てようがカウントは進む。つまり『能』は実を撒いて人に託すのが仕事ってことかな?
今後わたしがすべきことは、創った研修生を四姉さまや自分の眷属に回すこと。
きっと順当だったなら三姉さまが回すのだけど、ここを譲って貰った代わりに『環』は三姉さまの担当になるのだろう。
その時が来たら、わたしを大好きな『環』がゴネそうだけどね……
神が言うのだから間違いない、これは知らない鳥だ。
聞けば判るかと鳥に触れて先を促す。
『初めまして、私は第七位『星』と申します。月神様にお会いしたく文を認めました。ご検討をどうぞよろしくお願いします』
先触れの相手は同格の『権』だが、やはり『星』という神には会ったことは無い。そもそもさっきまで第七位『権』は格上。顔見知りは片手で十分に足る。
きっと新たな『権』への挨拶だろうと推測し、了承を返した。
やがて空間が歪み、一人の女神が現れた。服も黒ければ髪も黒で、肌だって褐色だ。正直わたしよりも黒の色合いが強い人は初めて見た。唯一、瞳だけは鮮やかな金色でとても綺麗に映えている。
あーっ判った。この瞳はきっと夜空の星だわ。
「月神様、訪問のご許可を頂きありがとうございます。私は第七位『星』です」
「初めまして第七位『月』です。わたしたちは同格ですし様付けはいりませんよ。自由にお呼びください」
「ありがたいお言葉ですがそれは出来ません。
実は今回こちらへ伺いましたのは、あるお願いがあっての事です。まずはそれを聞いて頂けないでしょうか?」
初対面の人にお願いって……え?
「私を長とした『大』二名、『無』三名は、月神様に従属いたします。どうかそのご許可をお願いいたします」
「従属? えっちょっと待ってください。わたしたちは初対面ですよね? それがどうして従属って話になるんですか」
従属の話は一姉さまから聞いていたが、どうせ無いからと軽く聞き流していたので大層驚いた。
おまけに『星』は同格、二重に驚くよ。
「はい初対面です。
大変失礼いたしました、そうですね。まずは私たちの置かれている現状から話すべきでした。
とは言えたいした話ではないのですが……」
そして語られた話だが……
彼女らの古巣はわたしが打ち勝った第四位『主』だそうだ。
今回彼女がわたしを訪ねて来たのは、以前一姉さまが言っていた行き場を無くした四割の方だから。
さて彼女らが行き場を無くした理由と、わたしを新たな長に選んだ理由は、大雑把に言うと同じだろう。
要するに彼女らに〝強く現れた〟神性の問題だ。
消えた『主』とその上の『座』は〝月〟として、わたしよりも〝聖〟の属性が強かった。しかし〝闇〟や〝死〟ならばわたしが上だ。そして『星』はその姿を見る限り〝夜〟が強い。ここからは印象の話になるが、夜の持つイメージは聖よりは闇に近いはずで、この機会により居やすい所にやって来たと言うことだ。
幸い一姉さまから、眷属に関しては直感に従って良いとお墨付きを貰っている。
そしてわたしの直感は、彼女は有りだった。
闇が強い、良いじゃないか。どっちつかずよりよっぽどいいよ!
「事情は理解できました。もちろん許可します。これからよろしくお願いします」
「ありがとうございます」
その後、彼女の神域に移動し他の神々と顔見世をしてくれた。
彼女第七位『星』を筆頭に、第八位『砂漠』と『嵐』に、第九位『氷雪』と未だ神性未覚醒だが闇寄りな『無』の二人。
予想以上に闇寄りだ。
持て余した子を、全員同じ枝に放り込んだのかなぁ~と思わんばかりの負の神性っぷりだわ……
それからしばらく経ち、以前約束していた『鍛冶』の兄ぃとやらに会うこととなった。場所は『鍛冶』の神域だ。丁度新しい世界を創るための【機能】が欲しかったのこの誘いは一石二鳥。
「月神様ようこそいらっしゃいました。こちらが我が兄ぃの『酒』です」
「初めまして第八位『酒』と申します。いつも弟がお世話になっております」
兄弟共に第八位『大』ではあるが、二人が内封する神力の量は『酒』の方が圧倒的に多く感じられた。わたしは例外中の例外で、普通は『大』に至ったときの神力の十倍を貯めなければ『権』にはなれないのだ。
「第七位『月』です。二人ともどうかもっと砕けた感じでお願いできませんか?」
「いやしかし……」と『酒』が言い、「申し訳ないがそれは出来ません」と『鍛冶』が言った。兄の方はもう一押しな感じ。
「実は職人気質の神に畏まられると違和感がですね……」
「確かにそうかもだが。本当にいいのか?」
「兄ぃ!?」
「もちろんです」
「分かった。じゃあお言葉に甘えさせて貰うよ」
『酒』にはもう一人、第八位に『錬金』という弟がいるそうで、今回新たにそちらの伝手を手に入れた。
手に入れた【機能】を使って見習いに世界を作成させた。世界を作成させたと言うことはつまりこれが最終試験。
てっきり【錬金】を選ぶと思っていたのに、彼女が選んだのはなぜか【酒】で意外である。ほどなくして彼女は世界の終焉を迎えた。
これで見習いの研修はすべて終了だ。
今までならば三姉さまに報告するだけだったのだが今回は違う。見習いを連れて、直接二姉さまのところへ行かなければならない。そう考えると途端に不安に襲われる。
本当に三姉さまの見立てなしで連れて行っても大丈夫かと……
「先生どうかしました?」
研修終了を言い渡したのに、何も言わないわたしを不思議と思ったのだろう。
「いや大丈夫、今からわたしの姉さまに会いに行くよ」
わたしは返事を聞く前に転移した。
あ、先触れ忘れた……
「うわっ突然だな~。『月』の転移は解り難くて驚くからやめてよね!」
軽い口調とたしなめる態度で、全く驚いていない声。三姉さまだとこのまま長いお説教に入るところを軽口で終わらせてくれる二姉さま、好き。
「力姉さま、見習いを連れてきましたので確認をお願いします」
「うん。いいよ~」
姉妹以外がいるからと、気を使って三姉さま風に力姉さまと呼んだと言うのに、返事は超軽かった。
さてどうだ。
「……」
しばしの沈黙に見習いも緊張している。
「ねえ『月』、神力の譲渡まだー?」
「確認待ちでしたけど、もういいんですか?」
「さっきいいって言ったじゃん」
言われた。うん。確かに言われたけどさ、そんな軽く決まると思ってないじゃん?
「第九位『無』を名乗っても?」
「いいってば」
「えーと、貴女は今から第九位『無』だ。やったね」
感動するところなのになんか微妙になってしまった。これも二姉さまが軽すぎる所為だよ。
『見習い』改め『無』は、自らの神域を与えられて先に帰った。そして居残りを言い渡されたわたしは二姉さまから、第六位『能』への昇格を唐突に告げられた。
「いまから『能』と言われてもそんなあっさり……
それに試験はいいんですか? わたし何もしてませんよ?」
「試験官は現在の階級の二ランク上が行う決まりっしょ。『権』の二ランク上は『力』のウチだからなんの問題もなし。そんでっ試験は育てた三人の神を見せること。ウチはもう全員見てるから省いたよ」
「軽すぎません?」
「いーんだよ。そんな物騒な神力で下神に留まってる方がめーわくだもん」
そういうものだろうか。いやそういうものかもしれない。わたしの神力は『主』に等しい。そんな神力を急に手に入れたものだから抑えることも出来ず、二姉さまを超える圧を垂れ流している状態だ。下神からすれば恐怖の対象かもしれない。
その後二姉さまに連れられて一姉さまのところへ移動。わたしが『能』に至ったと伝えると一姉さまは口元に笑みを浮かべた。それからは慌ただしかった。
簡単に伝えると、まず一姉さまが第二位『智』へ昇格した。なんと女神では初の『智』神。さらにその昇格に伴って、わたしに神力が流れ込んできた。
ぶっちゃけかなりの量、十万いや二十万は超えている。
それを感じたのがわたしだけな訳は無く、異変に気付いた姉妹が続々と一姉さまの神域に集まって来た。
末妹の『環』の神力も一気に10万を越えて第八位『大』へ、これは自動で昇格。四姉さまもこれで100万に達したようで今後は神の育成に力を入れるそうだ。増加したあとの三姉さまの神力は『能』の基準を軽く超えて、先のわたしと同じく二姉さまからこの場で『能』への昇格を言い渡された。
そして最後に二姉さまが第四位『主』に至る権利を得た。『主』に及ばなかったはずの神力は今やほぼ同等。わたしも貰っているのに並んだってことは、流れて来た神力の量が姉妹でバラバラだったのだろう。
少ないからって別に悔しくはない。わたしのってイカサマだもん。
結局、姉妹全員が昇格もしくは昇格する権利を得たということだ。あっ四姉さまだけは……
「なによ?」
「いえ一緒に頑張りましょう!」
神力だけはイカサマで増えているれども、わたしには経験が圧倒的に足りていないので、一緒に頑張ります!
ちなみに睨まれただけで済んだ。四姉さまも丸くなったものです。
「あ~『能』」
「はい?」
「何でしょう?」
わたしと三姉さまの声が被る。
「ごめ~んっ『大地』の方。悪いけど、また『月』を優先させて貰うよ」
「分かっています。わたくしと『月』の神力差を思えば当然のことです」
その後二姉さまが『能』の役割と権利について教えてくれた。神界のとある場所に〝神の種〟を産む樹があり、それに神力を注ぐことで実、つまり研修生が創り出せるそうだ。さらに『見習い』を取る権限も手に入った。ただし報告書は一姉さままで回され、有望な者がいたなら、わたしや『環』のように一姉さま預かりとなるらしい。
その場合、眷属からは外れるが、元はわたし創った〝神の種〟なので同様に一人としてカウントされるようだ。誰が育てようがカウントは進む。つまり『能』は実を撒いて人に託すのが仕事ってことかな?
今後わたしがすべきことは、創った研修生を四姉さまや自分の眷属に回すこと。
きっと順当だったなら三姉さまが回すのだけど、ここを譲って貰った代わりに『環』は三姉さまの担当になるのだろう。
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