39 / 44
39:中一位交流会②
しおりを挟む
下三位『無』の交流会では数少ない神性持ちとして囲まれた。そして下二位『大』の交流会ではレアもの『月』として囲まれた。
囲まれてばっかりなわたしだけど、今回の会場は机と椅子があるから大丈夫。
円卓で席同士の仕切りが存在しないからって、これでもかと椅子を寄せてくる『破壊』よ、やめろ。
それから逃げようと二姉さま側へ寄せるわたしを肘で追い返す二姉さま、痛いです。やめてください。お願いだから妹を守って。
わちゃくちゃやっている間に、最後の二人がおのおのの席に座った。一部に乱れがあるけれど、円卓に設けられた席はこれですべて埋まったことになる。
なお不思議そうに首を傾げたのはオオカミヘッドの『動物』さん。あの場所は『破壊』が変えたとこだもん仕方ないよねー
全員が座ると『調和』が口を開いた。
「では中一位の交流会を始めよう」
自ら前口上を言い、そのまま自己紹介となった。
「まずは私から。私は『調和』だ、いまは一番長く『主』をやらせて貰っているよ」
一番の古参だから司会役かぁ、なるほどね~
ちなみにこの八人の中では『調和』のみが、誰の眷属でもないんだってさ。
なお情報源はすり寄ってくる『破壊』なので多分あってる。
「俺は『動物』、だ。今後とも、ヨロシク、な」
すでに察しているけれど、当初の席順は『主』になった順に、部屋の奥側『調和』から左右に広がっていたらしい。
つまり『破壊』は本来二番手だ。
そう言えば彼は邪神でも二番手だっけ?
なんか不思議と二番手に縁がある人っているよねー
「なんだよ」
「いえ、なにもー」
本来とは順番違いの二番手『動物』は、座神『天空』の眷属だそうだ。
動物とお空の神様には関連がなさそうだが、『天空』には【天候】の権能があるそうで、〝自然〟繋がりだってさ。動物たちにとって自然豊かな世界は垂涎ものなんだろうと解釈しておく。ちなみに『天空』は太陽の眷属。お空に太陽、うん親和性ばっちりだね。
「私は『海』よ~。水と生命が得意かしら~」
三番手は『海』で、彼女も兄貴の眷属だった。これで空と海でリーチ、あと陸が来たら三つ揃い。『動物』と『海』が一緒に来たのってそういう理由かな。
それにしても『海』かー
若かりし頃は海ばかりの世界で、水の気を持っていた身なので、ちょっと羨ましいかも?
「儂は『魔術』じゃ。こんな形じゃが若いぞ」
四番手はずっと寝ていると思っていた『魔術』だ。
科学文明の世界ではパッとしないけれど、それ以外ならば魔術は大人気。たしか信仰の回収率が高かったはず。
あと本人も言っている通り、神の見た目と年齢は比例しない。わたしもそうだけど、神の姿は【権能】に引っ張られるから、魔術のイメージが老人ってだけ。
ただなぁ順当に成長して、第四位『主』にまで至った神が若いってのは、ちと怪しいかなー?
「あいつは智神『知恵』の眷属だぜ」
収まるところに収まったというべきか、面白みのない所属だなー
「わたくしは穢れなき純白、『処女』神よ。意地汚い人、薄汚い人は大嫌い」
五番手は最初っからわたしたち姉妹に絡んできた『処女』だった。
なんと彼女は、一姉さまの元ライバルにしてわたしと神性が被る『座』の直系の姉妹だった。眷属ではなく直系、『環』と『愛』を思えばこの差は大きい。
そして昇格した今だから判ることもある。
『処女』はわたしが奪った『主』よりも格下で、あれが消失してから『主』へ昇格している。だって『主』が二人いたのなら、あの『座』はとっくに『智』へ昇格しているからね。
やっと『智』が見えてきたところで、『主』の枝が崩壊。『主』が束ねていたやや負寄りの枝は離散したし、一部はこっちに流れてくれた。さぞかし力を損失したことだろう。
そりゃあ恨むわ。恨まれても当然だわ。でもさーその恨みは完全に筋違いだかんね?
すべては意思が弱かった『主』が悪いんだよ!
六番手は本来二番の『破壊』。
続けて、二姉さまとわたしが自己紹介した。
『破壊』は智神『冥府』の眷属というのはもう知ってるし、二姉さまとわたしは当然一姉さま『極光』の眷属だ。
「ふむぅ今度の『月』は闇の気が強いようだのぉ」
「そうだろう! さすが『魔術』は見る目があるな! なんせこいつの事は、アニキだって『邪神よりも邪神らしい』って褒めてたくらいだからな!」
おい待て、それは誉め言葉じゃあないぞ。
今度の月呼ばわりはスルーしたけど、そっちは譲れないよ。
「儂は褒めたつもりはないのじゃが、かの名高き『冥府』と同じ意見であったのは誇らせて貰おうかのぉ」
「ふん。神秘なる月をそのような汚らわしき姿に貶めるなんて、恥ずかしくなくて?」
「そっ? ウチは双子みたいなコンパチより、よっぽどい~と思うけど~」
「あんたさぁ妹だからって評価が甘いんじゃいない」
「あははっもしかして鏡に向かって言ってるのかな~?」
おおぅこれは辛辣。
まぁ妹を姉に読み替えればまさにその通りだもん、仕方ないよねー
「二人ともやめたまえ!」
「おいおい止めんじゃあねえよ。禍根を残すくれぇなら、ここで存分にやらせりゃいーじゃねえか」
「何を馬鹿な、ここは交流会のための場だぞ。喧嘩をする場所じゃあない」
「でもさあ『調和』ちゃん。
残念だけど、もう交流って雰囲気じゃあないわよ~」
「お開き、だな」
「そうじゃな。どぉれ儂は研究に戻らせて貰おうかの」
そう言うが早いか、『動物』と『魔術』は立ち上がり扉の方へ、やや遅れてそれを追う『海』。そして三人は本当に帰ってしまった。
わたしも~と言いたい所だけど、残念ながらわたしは話題の当事者にして被害者なので、そういう訳にもいかない。
えーと、『調和』頑張れ!
あと『破壊』は煽るなちょっと黙れ。
だから、早く帰らせてー
囲まれてばっかりなわたしだけど、今回の会場は机と椅子があるから大丈夫。
円卓で席同士の仕切りが存在しないからって、これでもかと椅子を寄せてくる『破壊』よ、やめろ。
それから逃げようと二姉さま側へ寄せるわたしを肘で追い返す二姉さま、痛いです。やめてください。お願いだから妹を守って。
わちゃくちゃやっている間に、最後の二人がおのおのの席に座った。一部に乱れがあるけれど、円卓に設けられた席はこれですべて埋まったことになる。
なお不思議そうに首を傾げたのはオオカミヘッドの『動物』さん。あの場所は『破壊』が変えたとこだもん仕方ないよねー
全員が座ると『調和』が口を開いた。
「では中一位の交流会を始めよう」
自ら前口上を言い、そのまま自己紹介となった。
「まずは私から。私は『調和』だ、いまは一番長く『主』をやらせて貰っているよ」
一番の古参だから司会役かぁ、なるほどね~
ちなみにこの八人の中では『調和』のみが、誰の眷属でもないんだってさ。
なお情報源はすり寄ってくる『破壊』なので多分あってる。
「俺は『動物』、だ。今後とも、ヨロシク、な」
すでに察しているけれど、当初の席順は『主』になった順に、部屋の奥側『調和』から左右に広がっていたらしい。
つまり『破壊』は本来二番手だ。
そう言えば彼は邪神でも二番手だっけ?
なんか不思議と二番手に縁がある人っているよねー
「なんだよ」
「いえ、なにもー」
本来とは順番違いの二番手『動物』は、座神『天空』の眷属だそうだ。
動物とお空の神様には関連がなさそうだが、『天空』には【天候】の権能があるそうで、〝自然〟繋がりだってさ。動物たちにとって自然豊かな世界は垂涎ものなんだろうと解釈しておく。ちなみに『天空』は太陽の眷属。お空に太陽、うん親和性ばっちりだね。
「私は『海』よ~。水と生命が得意かしら~」
三番手は『海』で、彼女も兄貴の眷属だった。これで空と海でリーチ、あと陸が来たら三つ揃い。『動物』と『海』が一緒に来たのってそういう理由かな。
それにしても『海』かー
若かりし頃は海ばかりの世界で、水の気を持っていた身なので、ちょっと羨ましいかも?
「儂は『魔術』じゃ。こんな形じゃが若いぞ」
四番手はずっと寝ていると思っていた『魔術』だ。
科学文明の世界ではパッとしないけれど、それ以外ならば魔術は大人気。たしか信仰の回収率が高かったはず。
あと本人も言っている通り、神の見た目と年齢は比例しない。わたしもそうだけど、神の姿は【権能】に引っ張られるから、魔術のイメージが老人ってだけ。
ただなぁ順当に成長して、第四位『主』にまで至った神が若いってのは、ちと怪しいかなー?
「あいつは智神『知恵』の眷属だぜ」
収まるところに収まったというべきか、面白みのない所属だなー
「わたくしは穢れなき純白、『処女』神よ。意地汚い人、薄汚い人は大嫌い」
五番手は最初っからわたしたち姉妹に絡んできた『処女』だった。
なんと彼女は、一姉さまの元ライバルにしてわたしと神性が被る『座』の直系の姉妹だった。眷属ではなく直系、『環』と『愛』を思えばこの差は大きい。
そして昇格した今だから判ることもある。
『処女』はわたしが奪った『主』よりも格下で、あれが消失してから『主』へ昇格している。だって『主』が二人いたのなら、あの『座』はとっくに『智』へ昇格しているからね。
やっと『智』が見えてきたところで、『主』の枝が崩壊。『主』が束ねていたやや負寄りの枝は離散したし、一部はこっちに流れてくれた。さぞかし力を損失したことだろう。
そりゃあ恨むわ。恨まれても当然だわ。でもさーその恨みは完全に筋違いだかんね?
すべては意思が弱かった『主』が悪いんだよ!
六番手は本来二番の『破壊』。
続けて、二姉さまとわたしが自己紹介した。
『破壊』は智神『冥府』の眷属というのはもう知ってるし、二姉さまとわたしは当然一姉さま『極光』の眷属だ。
「ふむぅ今度の『月』は闇の気が強いようだのぉ」
「そうだろう! さすが『魔術』は見る目があるな! なんせこいつの事は、アニキだって『邪神よりも邪神らしい』って褒めてたくらいだからな!」
おい待て、それは誉め言葉じゃあないぞ。
今度の月呼ばわりはスルーしたけど、そっちは譲れないよ。
「儂は褒めたつもりはないのじゃが、かの名高き『冥府』と同じ意見であったのは誇らせて貰おうかのぉ」
「ふん。神秘なる月をそのような汚らわしき姿に貶めるなんて、恥ずかしくなくて?」
「そっ? ウチは双子みたいなコンパチより、よっぽどい~と思うけど~」
「あんたさぁ妹だからって評価が甘いんじゃいない」
「あははっもしかして鏡に向かって言ってるのかな~?」
おおぅこれは辛辣。
まぁ妹を姉に読み替えればまさにその通りだもん、仕方ないよねー
「二人ともやめたまえ!」
「おいおい止めんじゃあねえよ。禍根を残すくれぇなら、ここで存分にやらせりゃいーじゃねえか」
「何を馬鹿な、ここは交流会のための場だぞ。喧嘩をする場所じゃあない」
「でもさあ『調和』ちゃん。
残念だけど、もう交流って雰囲気じゃあないわよ~」
「お開き、だな」
「そうじゃな。どぉれ儂は研究に戻らせて貰おうかの」
そう言うが早いか、『動物』と『魔術』は立ち上がり扉の方へ、やや遅れてそれを追う『海』。そして三人は本当に帰ってしまった。
わたしも~と言いたい所だけど、残念ながらわたしは話題の当事者にして被害者なので、そういう訳にもいかない。
えーと、『調和』頑張れ!
あと『破壊』は煽るなちょっと黙れ。
だから、早く帰らせてー
15
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。
彩世幻夜
ファンタジー
※ 2019年ファンタジー小説大賞 148 位! 読者の皆様、ありがとうございました!
裕福な商家の生まれながら身分は平民の悪役令嬢に転生したアンリが、ユニークスキル「クリエイト」を駆使してシナリオ改変に挑む、恋と冒険から始まる成り上がりの物語。
※2019年10月23日 完結
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜
O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。
しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。
…無いんだったら私が作る!
そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる