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40:座を目指す
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交流会で『処女』を圧倒したことで予測は確信へと変わった。
わたしの神力はすでに座に等しいほどにある。しかしこの後、いくら貯めようが個の力では昇格しないのだから、今後の稼ぎは眷属に回して彼らの成長を促すべきだろう。
しかし無償で上げるのはダメだ。漠然とだが、甘やかされて育った神は弱いと感じている。
ならば試練とも言えなくもないキツい仕事を振って育てていくのが理想かな。
さていまのわたしの眷属はこんな感じだ。
◎は一から育てた子で、●は邪神。
------------------------------------------------------------------------
女神:九(愛◎)
女神:七(星) 八(砂漠・嵐) 九(氷雪・無・無・無)
男神:七(冒険) 九(無・無・無◎)
女神:八(賭博・商売) 九(運・無・無)
男神:七(復讐●) 八(欲望●・嫉妬●) 九(病●◎・無・無)
男神:七(闘争●) 八(恐怖●) 九(贄●・掟・無)
------------------------------------------------------------------------
直系は『愛』だけで最初に育てた『環』は妹ではあるが一姉さま所属で対象外。
『力』の昇格資格を得るために眷属が頑張ってくれたお陰で『無』の数だけは増えていたが、それを含めたとしても他よりも相当少ないだろう。
うむむむむ……邪神の数は多いのになぁ。
神を育てて良いのは第八位『大』からだと聞いている。
『大』以上は問答無用でフル稼働して貰うとして、それでも手が足りないから、知り合いに片っ端から種を渡すのはどうだろう。
難易度が容易な順に、二姉さまのところの『歌』さん。三姉さま預かりの『豊穣』ちゃん。続いて取引先の『鍛冶』兄弟で、最後は売りっぱなしの『森』かな。
現在、第九位の面々には【機能】を援助して昇格を目指して貰う。そして無事昇格した暁には、神マラソン参加だ。
最初から怒らせては交渉にもならないため、ちゃんと先触れを出してから三姉さまの部屋に向かった。
いつも通り、テーブルにはお茶とお茶菓子が準備されていた。
「お久しぶりです三姉さま」
「久しぶりね。今日は何の用かしら?」
「単刀直入に言います。戦力強化のために『豊穣』ちゃんを貸して貰えませんか?」
「『豊穣』を? 彼女にはわたくしの研修生を預けているから開いてないわよ」
でしょうね、知ってた。
三姉さまがみすみす第八位『大』を遊ばせて置くわけがない。
「何とかなりませんか?」
「そうねえ。『豊穣』を貸す代わりに『豊穣』が育てた神を譲って頂戴。そして三人貰ったら交換成立、『豊穣』を譲ってあげるわ」
「えっと、良いんですか?」
こっちの方が特に見えるんだけど?
「生き急いでいる『月』には解らないと思うけれど、第九位から第八位なんて誤差みたいなものでしょう?
一人出して三人貰うなら十分にお得よ」
いまいる『無』を先に渡せれば良かったのだが、勝手にしていいのは、自分が育てた三人だけで、おまけに一人は邪神だ。三姉さまはきっと嫌がるだろう。
と、そんなことを思っていたら、『豊穣』ちゃんの育てた子以外いらないと言われた。その理由は、「あなたの眷属、負の性質が強いもの」だってさ。
失礼な話だよ!
「えーと。三姉さま、ありがとうございます」
「『豊穣』の今の受け持ちが終わったらそっちに行かせるわ。じゃあね」
三姉さまの部屋のあとは二姉さまのところへ。
「『歌』を借りたいって? う~ん、それってウチに利がないよねぇ?」
仰る通り、何の利益もございません。
むしろ人を借りるから、二姉さまには損しかない。
「もしかしてだけどっ……
『処女』とやり合うつもり?」
「間接的にはそうなりますね」
「そっ。あんた『座』に挑むのね。
だったらウチは協力しないよ、さっさと帰んなさいっ」
「わたしが座に至るとき、一姉さまと決別するからですか?」
「そーよ。ウチは最後まで一姉に従う。でも姉として最後のお願い。『環』には声を掛けてやってよねっ」
わたしは半ば追い出されるように二姉さまの部屋を後にした。いま思うと、三姉さまもいろいろ察していたのかもしれないな。
じゃあ『環』のところへ……
いやここで四姉さまの所だけ行かないのは、完全にアウトだろう。行くか……
「どうも、『月』です」
「なに? 暗いわねー」
「本日はお別れを言いに来ました」
「頭んなか蛆でも涌いてんのー? 丁度いい機会だしちゃんと言っとくけどー、どうなろうとあんたはあーしの妹だから」
「ほわぁぁ四姉さまって実はすごい人なんですね」
まさかわたしの行動を察しているとは。
「はぁ~馬鹿にしてんの!?」
物投げられて追い出されたので『環』宅へ。
「ああっ五姉さま! ようこそ『環』のお部屋に!」
どう創ったのか部屋には不自然な壁があり、そこにはわたしの写真が所狭しと貼られていた。そして天井にも巨大なポスターが貼ってある。
許可した覚えがないのですべて盗撮のはずなのに、すべて目線が真っすぐなのが超気になる。わたしの感知を搔い潜ってこれを撮ったとすると……『環』って実はすごい?
「おや気づかれましたか!? これはですねー、ここに寝ると判りますわ!」
手を引かれ、連れていかれたのは彼女のベッド。寝ろと促してくるのだが、寝たが最後、襲われそうで怖い。
「あー大丈夫、横にならなくてもちゃんと解るよ」
天井のわたし(ポスター)と目が合うんだろう。寝るまでもない嫌でも分かるわ!
「さすがは五姉さま、一目ですべてを察するとは『環』は感服いたしましたわ。
そうなのです。ここに横たわることで五姉さまが抜けだしてきて、添い寝をしてくださるのです! 〝環〟の権能すべてを使って創り出した至高の逸品ですわ!」
は? 予想の斜め上すぎた。わたしが出てくるってなんだよ、怖いわ!
「えーと……それはさておきだね。
今度『座』を目指すために、力を借りたいん「やりますわ!」けど……」
え、いいの?
いやまて。この子、全然内容を把握していない可能性もあるぞ。
「最悪一姉さまと決別することになるかもなんだけ「構いませんわ!」」
またも喰い気味。
「お、おぅ。ありがと」
無条件の忠心っぷりは相変わらず。
いったい何が彼女をそうさせているのだろうか。いつかわたしにも分かるのかなぁ?
わたしの神力はすでに座に等しいほどにある。しかしこの後、いくら貯めようが個の力では昇格しないのだから、今後の稼ぎは眷属に回して彼らの成長を促すべきだろう。
しかし無償で上げるのはダメだ。漠然とだが、甘やかされて育った神は弱いと感じている。
ならば試練とも言えなくもないキツい仕事を振って育てていくのが理想かな。
さていまのわたしの眷属はこんな感じだ。
◎は一から育てた子で、●は邪神。
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女神:九(愛◎)
女神:七(星) 八(砂漠・嵐) 九(氷雪・無・無・無)
男神:七(冒険) 九(無・無・無◎)
女神:八(賭博・商売) 九(運・無・無)
男神:七(復讐●) 八(欲望●・嫉妬●) 九(病●◎・無・無)
男神:七(闘争●) 八(恐怖●) 九(贄●・掟・無)
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直系は『愛』だけで最初に育てた『環』は妹ではあるが一姉さま所属で対象外。
『力』の昇格資格を得るために眷属が頑張ってくれたお陰で『無』の数だけは増えていたが、それを含めたとしても他よりも相当少ないだろう。
うむむむむ……邪神の数は多いのになぁ。
神を育てて良いのは第八位『大』からだと聞いている。
『大』以上は問答無用でフル稼働して貰うとして、それでも手が足りないから、知り合いに片っ端から種を渡すのはどうだろう。
難易度が容易な順に、二姉さまのところの『歌』さん。三姉さま預かりの『豊穣』ちゃん。続いて取引先の『鍛冶』兄弟で、最後は売りっぱなしの『森』かな。
現在、第九位の面々には【機能】を援助して昇格を目指して貰う。そして無事昇格した暁には、神マラソン参加だ。
最初から怒らせては交渉にもならないため、ちゃんと先触れを出してから三姉さまの部屋に向かった。
いつも通り、テーブルにはお茶とお茶菓子が準備されていた。
「お久しぶりです三姉さま」
「久しぶりね。今日は何の用かしら?」
「単刀直入に言います。戦力強化のために『豊穣』ちゃんを貸して貰えませんか?」
「『豊穣』を? 彼女にはわたくしの研修生を預けているから開いてないわよ」
でしょうね、知ってた。
三姉さまがみすみす第八位『大』を遊ばせて置くわけがない。
「何とかなりませんか?」
「そうねえ。『豊穣』を貸す代わりに『豊穣』が育てた神を譲って頂戴。そして三人貰ったら交換成立、『豊穣』を譲ってあげるわ」
「えっと、良いんですか?」
こっちの方が特に見えるんだけど?
「生き急いでいる『月』には解らないと思うけれど、第九位から第八位なんて誤差みたいなものでしょう?
一人出して三人貰うなら十分にお得よ」
いまいる『無』を先に渡せれば良かったのだが、勝手にしていいのは、自分が育てた三人だけで、おまけに一人は邪神だ。三姉さまはきっと嫌がるだろう。
と、そんなことを思っていたら、『豊穣』ちゃんの育てた子以外いらないと言われた。その理由は、「あなたの眷属、負の性質が強いもの」だってさ。
失礼な話だよ!
「えーと。三姉さま、ありがとうございます」
「『豊穣』の今の受け持ちが終わったらそっちに行かせるわ。じゃあね」
三姉さまの部屋のあとは二姉さまのところへ。
「『歌』を借りたいって? う~ん、それってウチに利がないよねぇ?」
仰る通り、何の利益もございません。
むしろ人を借りるから、二姉さまには損しかない。
「もしかしてだけどっ……
『処女』とやり合うつもり?」
「間接的にはそうなりますね」
「そっ。あんた『座』に挑むのね。
だったらウチは協力しないよ、さっさと帰んなさいっ」
「わたしが座に至るとき、一姉さまと決別するからですか?」
「そーよ。ウチは最後まで一姉に従う。でも姉として最後のお願い。『環』には声を掛けてやってよねっ」
わたしは半ば追い出されるように二姉さまの部屋を後にした。いま思うと、三姉さまもいろいろ察していたのかもしれないな。
じゃあ『環』のところへ……
いやここで四姉さまの所だけ行かないのは、完全にアウトだろう。行くか……
「どうも、『月』です」
「なに? 暗いわねー」
「本日はお別れを言いに来ました」
「頭んなか蛆でも涌いてんのー? 丁度いい機会だしちゃんと言っとくけどー、どうなろうとあんたはあーしの妹だから」
「ほわぁぁ四姉さまって実はすごい人なんですね」
まさかわたしの行動を察しているとは。
「はぁ~馬鹿にしてんの!?」
物投げられて追い出されたので『環』宅へ。
「ああっ五姉さま! ようこそ『環』のお部屋に!」
どう創ったのか部屋には不自然な壁があり、そこにはわたしの写真が所狭しと貼られていた。そして天井にも巨大なポスターが貼ってある。
許可した覚えがないのですべて盗撮のはずなのに、すべて目線が真っすぐなのが超気になる。わたしの感知を搔い潜ってこれを撮ったとすると……『環』って実はすごい?
「おや気づかれましたか!? これはですねー、ここに寝ると判りますわ!」
手を引かれ、連れていかれたのは彼女のベッド。寝ろと促してくるのだが、寝たが最後、襲われそうで怖い。
「あー大丈夫、横にならなくてもちゃんと解るよ」
天井のわたし(ポスター)と目が合うんだろう。寝るまでもない嫌でも分かるわ!
「さすがは五姉さま、一目ですべてを察するとは『環』は感服いたしましたわ。
そうなのです。ここに横たわることで五姉さまが抜けだしてきて、添い寝をしてくださるのです! 〝環〟の権能すべてを使って創り出した至高の逸品ですわ!」
は? 予想の斜め上すぎた。わたしが出てくるってなんだよ、怖いわ!
「えーと……それはさておきだね。
今度『座』を目指すために、力を借りたいん「やりますわ!」けど……」
え、いいの?
いやまて。この子、全然内容を把握していない可能性もあるぞ。
「最悪一姉さまと決別することになるかもなんだけ「構いませんわ!」」
またも喰い気味。
「お、おぅ。ありがと」
無条件の忠心っぷりは相変わらず。
いったい何が彼女をそうさせているのだろうか。いつかわたしにも分かるのかなぁ?
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