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その12
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「レオンハルト、レオンハルトはどこにいるんだ」
どうやら彼は、レオンハルト様とこれから喧嘩でも始めようとしているようだ。
もちろん私は何も見えない。ただ、遠くから彼の声が聞こえてくるだけ。
「私だって、本当は彼女のことを愛していたんだよ。でも、世界が許してくれなかった。だから、あゆ形で彼女と別れるしかなかったんだ。私にとって、もはやこんな世界が残っていたってしょうがないと思うんだ。何よりも、君のような男に彼女が奪われたこと、それが本当に情けなくて、そんでもって、もうこの世界はいらないんじゃないかって、思っているわけさ」
「それが一国の王子の言う台詞だとはとても思えないね。君はいつも、そうやって自分のことしか考えていないじゃないのかな。だから、彼女にも愛想つかされてしまったのではないのかな」
「ふざけるな。そんな事は無い。主導権は常に私の方にあったんだ。彼女が自分で考えることで、それだったら最初から何もないんだよ」
「いつまでたっても、君はそうやって上から目線だね。だから、次第に彼女の心が離れてしまったのではないのかね。まぁ、それがわからないようじゃ、やっぱり、君がこの世界を統治するのは難しいのかもしれないね」
その後、私は彼らがどうしたかをあんまり詳しくは覚えていない。
どうやら彼は、レオンハルト様とこれから喧嘩でも始めようとしているようだ。
もちろん私は何も見えない。ただ、遠くから彼の声が聞こえてくるだけ。
「私だって、本当は彼女のことを愛していたんだよ。でも、世界が許してくれなかった。だから、あゆ形で彼女と別れるしかなかったんだ。私にとって、もはやこんな世界が残っていたってしょうがないと思うんだ。何よりも、君のような男に彼女が奪われたこと、それが本当に情けなくて、そんでもって、もうこの世界はいらないんじゃないかって、思っているわけさ」
「それが一国の王子の言う台詞だとはとても思えないね。君はいつも、そうやって自分のことしか考えていないじゃないのかな。だから、彼女にも愛想つかされてしまったのではないのかな」
「ふざけるな。そんな事は無い。主導権は常に私の方にあったんだ。彼女が自分で考えることで、それだったら最初から何もないんだよ」
「いつまでたっても、君はそうやって上から目線だね。だから、次第に彼女の心が離れてしまったのではないのかね。まぁ、それがわからないようじゃ、やっぱり、君がこの世界を統治するのは難しいのかもしれないね」
その後、私は彼らがどうしたかをあんまり詳しくは覚えていない。
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