俺のスパダリはギャップがすごい 〜いつも爽やかスパダリが豹変すると… 〜

葉月

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第五弾

蓮の過去 ①

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蓮と一緒に住むようになったからと言って、二人の休みが重なる事はなかなかなく、二人とも片方が帰ってくるまでの間、
蓮は趣味の料理を、
真司は料理と資格の勉強と、思い思いに過ごしていた。
それでも家で待ってくれている人がいて、
『おはよう』『おやすみ』『いってきます』『おかえり』…
いろんな挨拶ができる時間が幸せだった。


久々の二人揃っての休日。
ソファーに座る蓮の後ろから真司が抱きしめるように座り、まったり過ごしていると玄関ホールからの呼び出し音が鳴った。

「俺みてくるよ」
蓮が立ち上がりインターホンの画面を見る。
「椿⁉︎」

椿って誰だろう…
聞いた事ない名前だな…

真司も画面を見に行くと、高校生ぐらいだろうか、可愛い女の子が立っていた。

「椿、どうしてここにいるんだ?」
「連絡したけど、返信なかったじゃん」
「だからって…はぁ…いいよ。あがっておいで」
蓮はため息をつきつつ、すんなりと女の子をマンション内へ入れた。

蓮の知り合い?
でもこんなに歳の離れた知り合いなんて…

「蓮、あの子って…」
真司が言いかけた時、部屋のインターホンが鳴った。
「ごめん…真司、後でちゃんと話すから…」
蓮が玄関のドアを開けに行き、部屋に招き入れた。
「どうして返事くれなかったのよ」
「忙しくて…ごめん」
廊下を歩きながら話す2人の声が聞こえる。

ガチャと真司がいるキッチンの部屋のドアが開く。
「あ…」
蓮と一緒に来た可憐な少女は、真司の姿を見て驚いていた。
「お客様がいらしたんですね。はじめまして、私は立花椿と言います。立花蓮の妹です」
椿はニッコリと笑いながら、真司に自己紹介をした。

蓮の妹…?
妹がいたなんて、聞いたことない…

「あ、はじめまして、俺は…」
「こちら佐々木真司さん。今お付き合いさせてもらってる」
真司が自己紹介をする前に、蓮が真司を紹介した。
「お付き合いしてるって?」
椿は眉間にシワをよせて、蓮に聞き返す。
「そのままだよ。それに、一緒に住んでる」
「‼︎」
椿の顔が驚き、目が見開かれる。
「そんなの聞いてない‼︎」
急に椿が声を荒立てる。
「椿、落ち着いて…」
蓮は椿の肩に手を乗せようとしたが、その手を払い除ける。
「お兄ちゃん、佐々木さんは…男性だよ。そんなのおかしいよ‼︎」

‼︎‼︎

改めて面と向かい言い放たれると、真司の気持ちがズキンと痛んだ。

「私が知ってるお兄ちゃんが今まで付き合ってた人達は、みんな女の人だったじゃない…なのに、どうして⁉︎」

‼︎‼︎
今まで付き合ってた人は、みんな女性⁉︎

真司は岩で頭を殴られたような衝撃を受けた。

「椿…本当はもうわかってるんじゃないか?」
蓮は悲しそうな顔をして、椿と同じ目の高さにし、語りかける。
「わからない‼︎」
涙目になりながら、椿が叫ぶ。
「今まで彼女と仲良くしてたじゃない‼︎お兄ちゃん、付き合う人は女性だよ‼︎じゃないと…じゃないと…」
叫んだかと思うと椿は泣き崩れ、
そんな椿を蓮が優しく抱きしめた。
「椿…わかってもらえるとは思ってないよ。でも、俺はゲイだし、佐々木さんを愛してる。これは事実だよ」
「でも…それじゃあ…」
「俺が実家に帰れなくなったって、椿とはこうして会えるだろう?」

‼︎
実家に帰れなくなる⁉︎

「もう、嘘をついて生きるのは嫌なんだ…悪いお兄ちゃんでごめんな…」
蓮は椿の頭を撫でながら、まるで小さい子供に語りかけるように話した。

昔、蓮には彼女がいた?
俺と一緒にいたら、実家に帰れなくなる?

真司は今知らされた過去の蓮の話に、衝撃とショックで打ちひしがれる。

泣きじゃくる椿を抱きしめながら、蓮は真司を見上げ、
「真司、話を聞いて欲しい…」
「…ちょっと…出てくる…」
「真司!待ってくれ‼︎」
蓮の静止も聞かず、何も考えられなくなっていた真司はふらふらと部屋をでた。

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