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第五弾
梓 ③
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「お時間を取らせてしまい、すみませんでした。それでは失礼します」
玄関で見送る蓮と真司に梓は丁寧に頭を下げると帰っていった。
「蓮、素敵なお義母さんだったね」
「うん」
梓の事を褒められて、蓮も少し嬉しそうだった。
「でも、お義母さんが来られてるんだったら、そう言ってくれればよかったのに。じゃあもっと…」
「もっと早くに帰ってきたのに…だろ?」
蓮は真司の考えが分かっていたかのようだった。
「梓さんが自分が来ている事は真司に知らさないで欲しいって…真司の仕事の迷惑になりたくないって。もし会えなかったら、また来るって…でも一応真司には早く帰ってきてって伝えておきたくて…仕事中にごめん…」
「そうだったんだ。連絡ありがとう。俺も梓さんにきちんと会えて嬉しかったよ」
そういう気を使うところ、蓮と似てるな…
そんな梓さんが言うから大丈夫だ。
蓮のお父さんの事はお任せしよう。
「俺、梓さんが家に来るって聞いた時、別れなさいって言う話をされるんだと思ってた」
蓮の気持ちではないが、蓮の口から『別れ』と言う言葉が出ただけで、真司は胸が苦しくなった。
「でも、そうじゃなくて、父さんを説得するって言いにきてくれたんだな…家族に認められるって、こんなに嬉しいもんなんだな」
嬉しそうに微笑む蓮を見て、真司はギュッと抱きしめた。
蓮は一人でこんなに辛い思いを背負ってきたなんて…
「蓮…今まで、よく頑張ってきたね…」
「‼︎…うん…がんばった…」
真司が蓮の頭をポンポンと叩くと、蓮が真司の肩に顔をうずめた。
梓が二人の家を訪れてから、真司は仕事が立て込み、バタバタする日々を送っていた。
蓮は蓮で、大口の契約が取れた仕事が本格始動し始め、二人の時間はますます少なくなってきていた。
そんな中、真司は梓と蓮が言った言葉と笑顔が、ずっと心に引っかかっていた。
『子供の幸せを願わない親なんていませんよ』
『家族に認められるって、こんなに嬉しいもんなんだな』
あの二人の笑顔が忘れられない。
一人で頑張ってきた蓮に俺はなにが出来るんだろう…
俺も、あと一歩進むべきなんじゃないか…
これからの二人にとって大切な何か。
俺の出来ること…
「蓮、今いい?」
真司は書斎で仕事をしていた蓮に声を掛けた。
「ん?どうした?」
蓮はかけていたメガネを外し、微笑みながら真司の方に向き直した。
「あのさ…もし、蓮がよかったら、俺の母さんに会ってくれないか…?」
「え⁉︎」
蓮の笑顔が一瞬固まる。
「来週の日曜、姉さんの子供の誕生会があって、母さんがこっちまで出てくるんだ。だからその時に…」
「…」
「蓮は俺の恋人だって、大切な人だって知ってもらいたくて…」
「…」
蓮はしばらく黙り込んで、
「真司はそれでいいの?俺の事、友達じゃなくて…恋人だって紹介して…」
「もちろん‼︎」
「でも、俺、男だし…」
蓮が口籠る。
「俺は、蓮だからこそ、ちゃんと母さんに紹介したいんだ」
「……」
「でも、蓮が嫌だったら無理強いはしないよ」
真司は口籠ったままの蓮をそっと抱きしめる。
「…真司が本当にそれでいいなら…」
蓮も真司の背中に腕をまわた。
「蓮、ありがとう!」
真司は嬉しさのあまり蓮をより抱きしめたが、その時、蓮の腕が震えていたことに真司は気がついていなかった。
玄関で見送る蓮と真司に梓は丁寧に頭を下げると帰っていった。
「蓮、素敵なお義母さんだったね」
「うん」
梓の事を褒められて、蓮も少し嬉しそうだった。
「でも、お義母さんが来られてるんだったら、そう言ってくれればよかったのに。じゃあもっと…」
「もっと早くに帰ってきたのに…だろ?」
蓮は真司の考えが分かっていたかのようだった。
「梓さんが自分が来ている事は真司に知らさないで欲しいって…真司の仕事の迷惑になりたくないって。もし会えなかったら、また来るって…でも一応真司には早く帰ってきてって伝えておきたくて…仕事中にごめん…」
「そうだったんだ。連絡ありがとう。俺も梓さんにきちんと会えて嬉しかったよ」
そういう気を使うところ、蓮と似てるな…
そんな梓さんが言うから大丈夫だ。
蓮のお父さんの事はお任せしよう。
「俺、梓さんが家に来るって聞いた時、別れなさいって言う話をされるんだと思ってた」
蓮の気持ちではないが、蓮の口から『別れ』と言う言葉が出ただけで、真司は胸が苦しくなった。
「でも、そうじゃなくて、父さんを説得するって言いにきてくれたんだな…家族に認められるって、こんなに嬉しいもんなんだな」
嬉しそうに微笑む蓮を見て、真司はギュッと抱きしめた。
蓮は一人でこんなに辛い思いを背負ってきたなんて…
「蓮…今まで、よく頑張ってきたね…」
「‼︎…うん…がんばった…」
真司が蓮の頭をポンポンと叩くと、蓮が真司の肩に顔をうずめた。
梓が二人の家を訪れてから、真司は仕事が立て込み、バタバタする日々を送っていた。
蓮は蓮で、大口の契約が取れた仕事が本格始動し始め、二人の時間はますます少なくなってきていた。
そんな中、真司は梓と蓮が言った言葉と笑顔が、ずっと心に引っかかっていた。
『子供の幸せを願わない親なんていませんよ』
『家族に認められるって、こんなに嬉しいもんなんだな』
あの二人の笑顔が忘れられない。
一人で頑張ってきた蓮に俺はなにが出来るんだろう…
俺も、あと一歩進むべきなんじゃないか…
これからの二人にとって大切な何か。
俺の出来ること…
「蓮、今いい?」
真司は書斎で仕事をしていた蓮に声を掛けた。
「ん?どうした?」
蓮はかけていたメガネを外し、微笑みながら真司の方に向き直した。
「あのさ…もし、蓮がよかったら、俺の母さんに会ってくれないか…?」
「え⁉︎」
蓮の笑顔が一瞬固まる。
「来週の日曜、姉さんの子供の誕生会があって、母さんがこっちまで出てくるんだ。だからその時に…」
「…」
「蓮は俺の恋人だって、大切な人だって知ってもらいたくて…」
「…」
蓮はしばらく黙り込んで、
「真司はそれでいいの?俺の事、友達じゃなくて…恋人だって紹介して…」
「もちろん‼︎」
「でも、俺、男だし…」
蓮が口籠る。
「俺は、蓮だからこそ、ちゃんと母さんに紹介したいんだ」
「……」
「でも、蓮が嫌だったら無理強いはしないよ」
真司は口籠ったままの蓮をそっと抱きしめる。
「…真司が本当にそれでいいなら…」
蓮も真司の背中に腕をまわた。
「蓮、ありがとう!」
真司は嬉しさのあまり蓮をより抱きしめたが、その時、蓮の腕が震えていたことに真司は気がついていなかった。
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