俺のスパダリはギャップがすごい 〜いつも爽やかスパダリが豹変すると… 〜

葉月

文字の大きさ
55 / 217
第五弾

すれ違う2人 ①

しおりを挟む
蓮、今日も帰りが遅いな…

真司の母親と蓮が二人のマンションで会う日は、真司の母親が姉の家に泊まることになっていた姪の誕生会の次の日となった。

あの話以降、より蓮の仕事が忙しくなり帰宅時間が遅い日が続くようになっていた。
朝は朝で真司が起きる前には、もうすでに起きていて書斎にこもっていた。
真司はそんな蓮のため、蓮が家ではゆっくり出来るようにと、掃除、洗濯、そしてそれほど得意でない料理もレシピと睨めっこしながら作り、蓮の帰りを待っていた。

真司が夕食を作りながら蓮を待っていると、蓮から電話がはいった。
「もしもし蓮。どうした?」
「あ、真司。今日なんだけど、帰りが遅くなりそうなんだ。だから、先に寝ててくれないか?」

昨日も一昨日も、そんな事言ってて…

「帰りが遅くなるのはわかったけど、こんなに連日で体は大丈夫か?」
「今はちょっと…このままは帰れそうになくて…ごめん…」
電話の向こうから聞こえる蓮の声は暗い。
「そんな、謝らなくていいよ。俺は蓮が無理さえしてなければ、それでいい。だから、俺のことは気にしなくていいよ…」
「…」
「仕事大変なんだな…無理すんなよ」
「…うん…ありがとう…おやすみ」
「おやすみ」
真司からの、おやすみを聞くと蓮は電話を切った。

最近の蓮の様子はおかしい。
以前の蓮は朝食は取らなかったが、真司と住むようになってからは、どんなに忙しくても真司と朝食を食べるようにしていたのに、最近は真司が朝食を食べる頃にはもう仕事に出かけるし、帰りが遅くなりそうな時は、もっと早くに真司に連絡をしていたが、最近はその連絡をしてくる時間もだんだん遅くなってきていた。
そして何より、真司は蓮に自分は避けられていると感じるようになっていた。

つぎ二人が同じ休みの時に、一度聞いてみよう。

真司は一人夕食を済ませ、
蓮に先に寝ててと言われたが、入浴後リビングのソファーで映画を観ながら蓮を待っていると、真司はそのままソファーで眠ってしまっていた。


翌日、目覚めるとソファーで寝てしまっていたはずの真司はベットにいた。

あれ?俺たしか、ソファーで映画観ながら蓮の帰りを待っていたのに、どうしてここに?
それに…
‼︎‼︎
ベットそばにある時計を見ると、もう9時半になっていた。

アラーム‼︎
どうして止まってる‼︎

慌てて枕元にあった携帯を取り上げ、ディスプレイに表示された日付をみると、

あ、今日、仕事休みの日だ…
よかった…
ところで蓮は…

あたりを見回すが、

いるはずないか…
今日、蓮は仕事だもんな。
『おはよう』も『いってらっしゃい』できなかったな。

少し寂しい思いをしながら、真司はキッチンへと向かった。

キッチンのテーブルにはきちんと真司の朝食が用意されていて、そのそばにメモが置いてあった。


『今日も仕事で遅くなりそうなので、会社近くにあるビジネスホテルに泊まります。蓮』


どう言うことだ?
仕事で遅くなるのは蓮の仕方ないし、蓮の体が心配なだけで他はなんとも思っていない。
家まで帰るのが体的にしんどいのであれば、言って欲しかった。
それに、どうしてそんな大事な事を直接俺に言うんじゃなくて、メモなんかで…

とっさに真司は蓮に理由を聞こうと携帯を手にしたが、携帯を持ったその手を下ろした。

今は仕事中だ。
蓮の仕事が落ち着いた頃に電話しよう…
でも、それはいつ…?

モヤモヤした気持ちのまま、真司はしばらくソファーに座って天井を見つめた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

電車の男 同棲編

月世
BL
「電車の男」の続編。高校卒業から同棲生活にかけてのお話です。 ※「電車の男」「電車の男 番外編」を先にお読みください

趣味で乳首開発をしたらなぜか同僚(男)が近づいてきました

ねこみ
BL
タイトルそのまんまです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

箱庭の子ども〜世話焼き侍従と訳あり王子〜

真木もぐ
BL
「他人に触られるのも、そばに寄られるのも嫌だ。……怖い」 現代ヨーロッパの小国。王子として生まれながら、接触恐怖症のため身分を隠して生活するエリオットの元へ、王宮から侍従がやって来る。ロイヤルウェディングを控えた兄から、特別な役割で式に出て欲しいとの誘いだった。 無理だと断り、招待状を運んできた侍従を追い返すのだが、この侍従、己の出世にはエリオットが必要だと言って譲らない。 しかし散らかり放題の部屋を見た侍従が、説得より先に掃除を始めたことから、二人の関係は思わぬ方向へ転がり始める。 おいおい、ロイヤルウエディングどこ行った? 世話焼き侍従×ワケあり王子の恋物語。  ※は性描写のほか、注意が必要な表現を含みます。  この小説は、投稿サイト「ムーンライトノベルズ」「エブリスタ」「カクヨム」で掲載しています。

ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~

みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。 成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪ イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

処理中です...