俺のスパダリはギャップがすごい 〜いつも爽やかスパダリが豹変すると… 〜

俺のスパダリはギャップがすごい ー立花蓮sideー

ディナー ④

「お待たせしました。って、佐々木さんどうされましたか？」
佐々木は部屋の中を落ち着きのないように、ウロウロと歩き回っているのを見て、蓮は驚いた。

「‼︎いえ‼︎なんでもないんです‼︎あの、こ、これ、ありきたりなものですが…」
変なところを見られた…とでもいうように、顔を赤くした佐々木が、蓮に手土産の入った袋をぐっと差し出した。
「ありがとうございます」
蓮がチラッと袋の中身を見ると、何種類かのチーズが入っている。

このチーズって…

「あ、このチーズ、ワインによく合うんですよね。佐々木さん、ご存知だったんですか？」
蓮が佐々木の方を見ると、佐々木の顔はさらに赤くなり、
「いえ…あの…受け売りです…」
佐々木は照れてか、少し俯き加減だ。

今日いいワインが手に入ったって言ったから、わざわざ選んできてくれたんだ。
俺との食事を、少しでも楽しみにしてくれていたんだ……

今まで佐々木に避けられているかもと、胸が苦しかったことがなかったかのように、
暖かいものが蓮の中に流れ込んでくる。

ダメだ。
このままじゃ、佐々木さんに俺の気持ちがバレてしまう…

「後でお出ししますね」

蓮は佐々木の気持ちが嬉しかったのと同時に、蓮の中での佐々木の存在が大きくなっていくのを隠すように佐々木に背を向け、冷蔵庫を開けた。

「‼︎凄くたくさんのお料理、作られたんですね」
冷蔵庫の中身をみた佐々木が驚く。
「もしかしたら…もしかしたら、佐々木さんとお食事できるかな…と思い…沢山作りすぎてしまいました」

一緒に食べられるかわからなかった食事。
もしかしたら、これは誰に食べられず、捨てられるかも知れなかった食事。
だが、佐々木の顔を思い出しながら作る料理は、蓮の中で一番楽しい料理の時間だった。