俺のスパダリはギャップがすごい 〜いつも爽やかスパダリが豹変すると… 〜

俺のスパダリはギャップがすごい ー立花蓮sideー

突然の訪問者 ②

「椿…本当はもうわかってるんじゃないか？」
蓮は悲しそうな顔をして、椿と同じ目の高さにし、語りかける。
「わからない‼︎」
涙目になりながら、椿が叫ぶ。
「今まで彼女と仲良くしてたじゃない‼︎お兄ちゃん、付き合う人は女性だよ‼︎じゃないと…じゃないと…」
叫んだかと思うと椿は泣き崩れ、
そんな椿を蓮が優しく抱きしめた。
「椿…わかってもらえるとは思ってないよ。でも、俺はゲイだし、佐々木さんを愛してる。これは事実だよ」
「でも…それじゃあ…」

椿の言いたいことは、わかってる。
でもこれは、どうしても譲れない‼︎

「俺が実家に帰れなくなったって、椿とはこうして会えるだろう？」

ゲイを許せない父さんのせいじゃない。
椿や母さん、理解はしてもらえていないけど、もちろん父さんに会いたくないわけじゃない。
でも、今俺は何より大切にしたい人がいる。
だから…

「もう、嘘をついて生きるのは嫌なんだ…悪いお兄ちゃんでごめんな…」
蓮は椿の頭を撫でながら、まるで小さな子供に語りかけるように話した。

ごめん、椿…
でも俺は、真司が大切なんだ。

泣きじゃくる椿を抱きしめながら、蓮は真司を見上げると、真司は真っ青な顔で蓮と椿を見ていた。

真司に言っていなかったこと。

「真司、話を聞いて欲しい…」

今更かもしれないけど、聞いて欲しい。

「…ちょっと…出てくる…」
真っ青な顔のまま、真司はフラフラと部屋のドアに近く。
「真司！待ってくれ‼︎」

行かないで、真司‼︎

蓮の声も届かず、真司は蓮の前から去っていった。