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第三話 近づき始める二人(7)
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次の日、俺は貯金を握り締めて街へと出かけた。
目的はもちろん、服を買うためだ。
親から毎月もらっている小遣いには服の代金も含まれていた。
だが、俺はその金の多くを漫画やゲームのほうに使ってしまっていた。
だから貯金を下ろした。使うべきは今、そう思ったからだ。
しかし店に入る前に、俺は先にコンビニに寄った。
予習のためだ。
メンズ系のファッション雑誌を買い、それを一気に読んだ。
が、どんな服を買えばいいのか、そのイメージは掴めなかった。やはりそう簡単に身に着けられるものでは無いのかもしれない。
やむを得ない、こうなったらもうなるようになれだ、そんな覚悟で俺は店に入った。
店に入ってからの第一声は決まっていた。
「高校生らしい格好をしたいが、どんな服を買えばいいのかわからない」と、俺は正直に店員さんに話した。
そんな俺の要求に店員さんは真面目に応えてくれた。
俺は最後まで店員さんに言われるがまま、という感じだったが、いま思い出してみてもそれほど悪く無いチョイスをしてくれたと思う。
だが、服を揃えたことで彼女の心象が良くなったのかどうかは分からなかった。心なんて読めるわけが無いし、彼女は表情にも態度にも出さなかった。
しかしそれでも俺は自信のようなものがついていた。店員さんが選んでくれたものなんだから大丈夫だろうという思い込みだが。
そして俺はすぐにコンビニでバイトを始めた。
貯金はほとんど使ってしまった。だけどまた金が必要になる時が来る、そんな確信があった。
そしてこの確信は正解だった。
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