78 / 107
第七章
旅は道連れ
しおりを挟む
「鉄道、最近ですよね。以前だと馬車で三日はかかるイメージでした。鉄道だと乗り継ぎがうまく行けば、一日で着くのでは」
ブルー・ヘヴンへの道中、汽車のボックス席で発車を待つ間、ジュディは感心して向かいに座るステファンへと声をかけた。
いつも通りに、流行りのスーツをその長身にさらりと着こなした美貌の青年は、窓の外の駅舎にちらっと目を向けてから、笑顔で応じる。
「そうなんです。かなり便利になりましたよ。いざという時に、バードランドとも行き来がしやすくなったと思います。仕事に休みが無いので、里帰りは本当にいざという時かと思いますが」
そう言いながら、ジュディへと視線を滑らせて「そのドレス、よくお似合いです」と自然に褒め言葉を口にした。
ジュディもまた、普段と変わらず動きやすさ重視の絹タフタのドレスを身に着けていた。ただし宮廷仕様に自分で用立てた地味な色合いではなく、この日に間に合わせて仕立てたもので、色味は爽やかな忘れな草色。
耳には、花をかたどったイヤリング。
ステファンはジュディの耳元に目を向けて、にこりと微笑んだ。
「それ、閣下からの贈り物ですね」
指摘されて、ジュディはそっと指で触れつつ、頷く。
「よくおわかりですね。お買い求めになる際に同行なさったんですか? すごく可愛いです。もしかしてステファンさん、流行りや贈り物にお詳しそうですし、閣下に助言をなさいましたか?」
こういう分野はガウェインよりステファンの方が詳しいのだろう、と漠然と思っていたので素直に聞き返してしまった。
ステファンは「とんでもない」と答えて、さもおかしそうに噴き出した。
「閣下がご自分でお選びになったのだと思います。ドレスに合わせて選んだとか、何か言い訳しながら渡してきたのでは? 忘れな草モチーフだなんて、さすがに重いなあ。閣下らしいです」
実はその花が何かわかっておらず、可愛いお花だなくらいに思っていたジュディは、そこまで言われてガウェインの心情にようやく気づき、あわわと顔を赤らめた。
(全然気付いていませんでした、すみません。出掛けに、とてもさりげなく差し出してきて、手ずからつけてくださったので……!)
完全に言い訳であるが、ジュディ本人は鏡でちらっと見ただけで、手に取って見ていなかったのだ。後でじっくり見てみなければ、と心に留めておく。
二人が会話している間、フィリップスはぼんやりと窓の外を見ていた。
やがて、発車のベルが鳴り響き、振動が椅子から体へと伝わってくる。ジュディはフィリップスへ、控えめに声をかけた。
「フィリップス様、体はお辛くないですか?」
大事なかったとはいえ、怪我で数日寝込んだ後だ。万全とは言い難い。
アルシアに会いにいく案は、フィリップスからの申し出とは聞いているが、やはり心配だ。
「べつに。せっかくの機会だ、王都を離れてのんびりしてくるさ。温泉にでも入って」
それだけ答えると、フィリップスは目を閉ざしてしまう。
ジュディも深追いはせずに、話を切り上げた。
王子が別人に入れ替わった件は、新聞各紙が報じなかったことで、世間的にはあまり話題にもなっていないらしい。
夜会の場では多数の目撃者がいるのだが、その噂話が庶民にまで広がるためにはメディアの力が物を言う。そのメディアが黙殺を決め込んでしまったことで、奇妙な空白が生まれてしまったのだ。
(書き記されない物語は、大切な出来事ではなかったと、人々から忘れられていく。ものの十年で風化し、後世においては「この時代の不可解な噂のひとつ」として、資料も乏しいからと、解明困難な事象に……)
ガウェインの見立てによれば、宮廷内でも考えは割れているのだろう、とのことだった。
この件は、王妃の暴走であるとして受け入れがたいと難色を示している者。あるいは、沈黙をもって周囲の出方をうかがっている者。王妃とジェラルドにすでに取り入っており、積極的にもみ消しをはかっている者。
――簡単なことです。この先、議会にあげて、議事録に残します。それを改ざんしたり隠蔽したりすることは、たとえ王室であれできません。口出ししてきたらそのときは、相手が誰であれ「国制に違反する行為」として返り討ちにして首まで取ります。当然ですよ。
その言葉の意味するところは「たとえ国王が相手でも」である。
いまや反王妃、反王子の急先鋒とみなされているであろうガウェインは、己の役回りについてそのようにジュディに説明をしてくれた。
(やると言ったら、絶対にやる方のはず。そちらは心配ないとしても)
いくら周りがお膳立てをしても、大切なのはフィリップスの気持ちだ。一時期ほど精神的に弱った部分は見せなくなったが、その心がどれだけ傷ついているのか、傍から見てわかるものではない。
復帰の道があったとして、それは彼の人生において幸せな生き方につながるのか。本当に必要なことなのか。
未来は誰にもわからない。
三人が黙り込んだことで、いっとき辺りが沈黙に包まれる。その空気を払うように、ステファンが柔らかい口調で言った。
「ブルー・ヘブンは温泉施設も良いんですが、少し足を伸ばすとフェアリープールという水色《すいしょく》の美しい滝と透明度の高い湖があるんです。星降る夜にこの湖に映る星を見ると、妖精が願いを聞いてくれると言われています。恋人と見ると、一生仲睦まじく添い遂げられるという噂もあります」
「素敵ですね。もし時間があったら行ってみたいです。あっ、でも夜の時間帯は危ないんでしょうか?」
話を振られたので、ジュディは乗った。
それだけなのに、ステファンには「閣下と一緒じゃなくて良いんですか? このメンツで行きますか?」と笑顔で選択をつきつけられ、むむ、と口を閉ざすことになる。
気に障るほどではないが、ほんのり意地悪をされているように感じるのはおそらく気のせいではないはず。
(「早速閣下を忘れていませんか?」の意味でしょうか。そういうわけではないんですが……。ステファンさんは閣下の腹心だから、私の存在が閣下の弱点にならないか、とても気になさっているのよね。認めてもらえるよう、努力あるのみだわ)
普段の会話でもボロを出さぬよう、気を引き締めていこう。
ジュディは決意を新たにする。
そのとき、頭上で大きな声が響き渡った。
「いたいた! いや~、間違えた車両に乗ってしまって、探しましたよ。合流できて良かった良かった。このままブルー・ヘヴンまで別行動だったら、なんのために行かせたかわからないって、閣下から大目玉だ。ははっ」
雷鳴が轟くがごとく。
見上げると、ずいぶんと上背のある男性が目の前に立ちふさがっていた。
「ラインハルト。……閣下が?」
ステファンが、珍しく機嫌を損ねたような顔で、相手を睨みつけている。
まったく動じた様子もなく、その隣の席に大きな体を無理やりにすべりこませながら、男はジュディに向かって名乗ってきた。
「宰相閣下の侍従武官、ラインハルトです。この旅で奥方にもしものことがないよう、同行するように仰せつかりました。なにとぞよろしくお願いします!」
ひとりしか増えていないのに、一瞬にしておそろしく場がにぎやかな空気になった。
その騒々しさを疎ましがっているように、ステファンは横を向いて小さく息を吐きだしていた。
ブルー・ヘヴンへの道中、汽車のボックス席で発車を待つ間、ジュディは感心して向かいに座るステファンへと声をかけた。
いつも通りに、流行りのスーツをその長身にさらりと着こなした美貌の青年は、窓の外の駅舎にちらっと目を向けてから、笑顔で応じる。
「そうなんです。かなり便利になりましたよ。いざという時に、バードランドとも行き来がしやすくなったと思います。仕事に休みが無いので、里帰りは本当にいざという時かと思いますが」
そう言いながら、ジュディへと視線を滑らせて「そのドレス、よくお似合いです」と自然に褒め言葉を口にした。
ジュディもまた、普段と変わらず動きやすさ重視の絹タフタのドレスを身に着けていた。ただし宮廷仕様に自分で用立てた地味な色合いではなく、この日に間に合わせて仕立てたもので、色味は爽やかな忘れな草色。
耳には、花をかたどったイヤリング。
ステファンはジュディの耳元に目を向けて、にこりと微笑んだ。
「それ、閣下からの贈り物ですね」
指摘されて、ジュディはそっと指で触れつつ、頷く。
「よくおわかりですね。お買い求めになる際に同行なさったんですか? すごく可愛いです。もしかしてステファンさん、流行りや贈り物にお詳しそうですし、閣下に助言をなさいましたか?」
こういう分野はガウェインよりステファンの方が詳しいのだろう、と漠然と思っていたので素直に聞き返してしまった。
ステファンは「とんでもない」と答えて、さもおかしそうに噴き出した。
「閣下がご自分でお選びになったのだと思います。ドレスに合わせて選んだとか、何か言い訳しながら渡してきたのでは? 忘れな草モチーフだなんて、さすがに重いなあ。閣下らしいです」
実はその花が何かわかっておらず、可愛いお花だなくらいに思っていたジュディは、そこまで言われてガウェインの心情にようやく気づき、あわわと顔を赤らめた。
(全然気付いていませんでした、すみません。出掛けに、とてもさりげなく差し出してきて、手ずからつけてくださったので……!)
完全に言い訳であるが、ジュディ本人は鏡でちらっと見ただけで、手に取って見ていなかったのだ。後でじっくり見てみなければ、と心に留めておく。
二人が会話している間、フィリップスはぼんやりと窓の外を見ていた。
やがて、発車のベルが鳴り響き、振動が椅子から体へと伝わってくる。ジュディはフィリップスへ、控えめに声をかけた。
「フィリップス様、体はお辛くないですか?」
大事なかったとはいえ、怪我で数日寝込んだ後だ。万全とは言い難い。
アルシアに会いにいく案は、フィリップスからの申し出とは聞いているが、やはり心配だ。
「べつに。せっかくの機会だ、王都を離れてのんびりしてくるさ。温泉にでも入って」
それだけ答えると、フィリップスは目を閉ざしてしまう。
ジュディも深追いはせずに、話を切り上げた。
王子が別人に入れ替わった件は、新聞各紙が報じなかったことで、世間的にはあまり話題にもなっていないらしい。
夜会の場では多数の目撃者がいるのだが、その噂話が庶民にまで広がるためにはメディアの力が物を言う。そのメディアが黙殺を決め込んでしまったことで、奇妙な空白が生まれてしまったのだ。
(書き記されない物語は、大切な出来事ではなかったと、人々から忘れられていく。ものの十年で風化し、後世においては「この時代の不可解な噂のひとつ」として、資料も乏しいからと、解明困難な事象に……)
ガウェインの見立てによれば、宮廷内でも考えは割れているのだろう、とのことだった。
この件は、王妃の暴走であるとして受け入れがたいと難色を示している者。あるいは、沈黙をもって周囲の出方をうかがっている者。王妃とジェラルドにすでに取り入っており、積極的にもみ消しをはかっている者。
――簡単なことです。この先、議会にあげて、議事録に残します。それを改ざんしたり隠蔽したりすることは、たとえ王室であれできません。口出ししてきたらそのときは、相手が誰であれ「国制に違反する行為」として返り討ちにして首まで取ります。当然ですよ。
その言葉の意味するところは「たとえ国王が相手でも」である。
いまや反王妃、反王子の急先鋒とみなされているであろうガウェインは、己の役回りについてそのようにジュディに説明をしてくれた。
(やると言ったら、絶対にやる方のはず。そちらは心配ないとしても)
いくら周りがお膳立てをしても、大切なのはフィリップスの気持ちだ。一時期ほど精神的に弱った部分は見せなくなったが、その心がどれだけ傷ついているのか、傍から見てわかるものではない。
復帰の道があったとして、それは彼の人生において幸せな生き方につながるのか。本当に必要なことなのか。
未来は誰にもわからない。
三人が黙り込んだことで、いっとき辺りが沈黙に包まれる。その空気を払うように、ステファンが柔らかい口調で言った。
「ブルー・ヘブンは温泉施設も良いんですが、少し足を伸ばすとフェアリープールという水色《すいしょく》の美しい滝と透明度の高い湖があるんです。星降る夜にこの湖に映る星を見ると、妖精が願いを聞いてくれると言われています。恋人と見ると、一生仲睦まじく添い遂げられるという噂もあります」
「素敵ですね。もし時間があったら行ってみたいです。あっ、でも夜の時間帯は危ないんでしょうか?」
話を振られたので、ジュディは乗った。
それだけなのに、ステファンには「閣下と一緒じゃなくて良いんですか? このメンツで行きますか?」と笑顔で選択をつきつけられ、むむ、と口を閉ざすことになる。
気に障るほどではないが、ほんのり意地悪をされているように感じるのはおそらく気のせいではないはず。
(「早速閣下を忘れていませんか?」の意味でしょうか。そういうわけではないんですが……。ステファンさんは閣下の腹心だから、私の存在が閣下の弱点にならないか、とても気になさっているのよね。認めてもらえるよう、努力あるのみだわ)
普段の会話でもボロを出さぬよう、気を引き締めていこう。
ジュディは決意を新たにする。
そのとき、頭上で大きな声が響き渡った。
「いたいた! いや~、間違えた車両に乗ってしまって、探しましたよ。合流できて良かった良かった。このままブルー・ヘヴンまで別行動だったら、なんのために行かせたかわからないって、閣下から大目玉だ。ははっ」
雷鳴が轟くがごとく。
見上げると、ずいぶんと上背のある男性が目の前に立ちふさがっていた。
「ラインハルト。……閣下が?」
ステファンが、珍しく機嫌を損ねたような顔で、相手を睨みつけている。
まったく動じた様子もなく、その隣の席に大きな体を無理やりにすべりこませながら、男はジュディに向かって名乗ってきた。
「宰相閣下の侍従武官、ラインハルトです。この旅で奥方にもしものことがないよう、同行するように仰せつかりました。なにとぞよろしくお願いします!」
ひとりしか増えていないのに、一瞬にしておそろしく場がにぎやかな空気になった。
その騒々しさを疎ましがっているように、ステファンは横を向いて小さく息を吐きだしていた。
1
あなたにおすすめの小説
離宮に隠されるお妃様
agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか?
侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。
「何故呼ばれたか・・・わかるな?」
「何故・・・理由は存じませんが」
「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」
ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。
『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』
愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
これは王命です〜最期の願いなのです……抱いてください〜
涙乃(るの)
恋愛
これは王命です……抱いてください
「アベル様……これは王命です。触れるのも嫌かもしれませんが、最後の願いなのです……私を、抱いてください」
呪いの力を宿した瞳を持って生まれたサラは、王家管轄の施設で閉じ込められるように暮らしていた。
その瞳を見たものは、命を落とす。サラの乳母も母も、命を落としていた。
希望のもてない人生を送っていたサラに、唯一普通に接してくれる騎士アベル。
アベルに恋したサラは、死ぬ前の最期の願いとして、アベルと一夜を共にしたいと陛下に願いでる。
自分勝手な願いに罪悪感を抱くサラ。
そんなサラのことを複雑な心境で見つめるアベル。
アベルはサラの願いを聞き届けるが、サラには死刑宣告が……
切ない→ハッピーエンドです
※大人版はムーンライトノベルズ様にも投稿しています
後日談追加しました
白い結婚はそちらが言い出したことですわ
来住野つかさ
恋愛
サリーは怒っていた。今日は幼馴染で喧嘩ばかりのスコットとの結婚式だったが、あろうことかパーティでスコットの友人たちが「白い結婚にするって言ってたよな?」「奥さんのこと色気ないとかさ」と騒ぎながら話している。スコットがその気なら喧嘩買うわよ! 白い結婚上等よ! 許せん! これから舌戦だ!!
【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
いつまでも甘くないから
朝山みどり
恋愛
エリザベスは王宮で働く文官だ。ある日侯爵位を持つ上司から甥を紹介される。
結婚を前提として紹介であることは明白だった。
しかし、指輪を注文しようと街を歩いている時に友人と出会った。お茶を一緒に誘う友人、自慢しちゃえと思い了承したエリザベス。
この日から彼の様子が変わった。真相に気づいたエリザベスは穏やかに微笑んで二人を祝福する。
目を輝かせて喜んだ二人だったが、エリザベスの次の言葉を聞いた時・・・
二人は正反対の反応をした。
初夜った後で「申し訳ないが愛せない」だなんてそんな話があるかいな。
ぱっつんぱつお
恋愛
辺境の漁師町で育った伯爵令嬢。
大海原と同じく性格荒めのエマは誰もが羨む(らしい)次期侯爵であるジョセフと結婚した。
だが彼には婚約する前から恋人が居て……?
身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される
絵麻
恋愛
桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。
父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。
理由は多額の結納金を手に入れるため。
相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。
放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。
地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる