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どこまでも
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しおりを挟む類沢はにこりと笑って、美里の向かいに座った。
「瑞希はね、キミの心配ばかりしていたよ」
美里がハンカチを取り出す。
「会いに行かなきゃ、って切羽詰まった顔で言うんだ」
口元を覆い、嗚咽を堪える。
「健康に過ごしていたなら、瑞希も安心する。だから、目が覚めた時に笑顔で会えればそれで十分じゃないかな」
美里は身を屈めて泣いた。
ごめんなさい、と呟きながら。
ひとしきり泣いた後、恥ずかしそうに髪を整えた。
「先生は……優しいですね」
「あはははっ、どこが?」
美里は笑われたことに驚いて、首を傾げた。
驚いたのは類沢の方だった。
優しい。
生まれて初めて言われた。
自分には不釣り合いな響きだ。
美里は子供みたいな口調で言う。
「優しいですよ。優しい人は優しいって言われたら否定するんです」
「じゃあ、キミは優しい?」
「いいえ、全く」
美里はニヤリと笑い、涙を拭いた。
「先生は、毎日来ているんですか」
「今日までね。明日からは学校が始まるから、わからない」
「凄いですね……私こそ、そうすべきだったのに」
「しなかったことは後悔しても仕方ないでしょ。明日からどうするか考えたら?」
「はい……」
「返事。瑞希に聞かせないと」
「っ……はい!」
類沢が微笑みかけると、美里は真っ赤になって手洗いに行ってくると出て行った。
「教師みたいだった?」
瑞希に問いかける。
その口元が、かすかに笑った気がした。
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