創作BL短編集

時暮雪

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スパイスの効いたお菓子は三年後に

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 ホットケーキが食べたい。明松あかまつじんは、数学の授業中にふとそう思った。そしてカリ、と無意識にシャーペンがノートに欲望を綴っていく。

 ただのホットケーキじゃつまんないな。ちょっと変わった味にしてみようか。でも変な味も嫌だな。最近は冷えてきたから、ピリッとスパイスの効いたホットケーキでも作ろうか。紅葉が綺麗だからメープルシロップ…は高いから家に余ってるケーキシロップでもかけよう。

 ノートの空いたスペースに並べられていく材料。もうとっくに方程式だのなんだのという授業の内容は思考から弾き出され、脳内には綺麗なきつね色のホットケーキが量産されている。
 ホットケーキミックスに、卵が一つ。牛乳120mlとバニラエッセンスにジンジャーも入れて、こんがり焼く。シナモンを追加してもいい。
 思いつきの材料なんて家にないから、学校が終わったら買って帰ろう。幸い今日は部活もなく、今はお昼の過ぎた五時間目。次の授業で終わりである。速攻で買って帰宅し、速攻で作ろう。
 そこでようやく思考が授業へと戻り、仁は書き換えられた黒板に慌てて板書を再開した。

 ホームルームが終わってすぐ、友人への挨拶もそこそこに教室を飛び出す。向かうは近所のお安いスーパー。なお最近は物価の上昇であまりお安いとは言えなくなってきたが。
 冷蔵庫の中身を思い出しながら、足早に道を進む。そう言えばあれがない、あれはもうすぐ無くなりそう、とホットケーキの材料だけのつもりだった買うものリストが増えていく。

 少し急ぎ足なのは気が急いているのもあるが、何より仁はそこらの不良に絡まれやすいということがあった。
 確かに中学時代に色々ありはしたものの、それに関係ないところからも絡まれる。見た目がナヨナヨしく見えるだとか、生意気そうだとか、理由に一貫性はないがとにかく喧嘩を売られる。
 厳つさ出しに前髪を半分上げるなどしてみたが、今度は近所の大人から不良扱いされるようになった。断じて仁は不良ではないし、品行方正とまでは言わないが一般的な善性を持った少年である。
 だと言うのに不良には絡まれ、正当防衛をしていれば警官に不良と誤解され、なまじ腕っ節はあるだけ噂は真実味を持って広まってしまった。ただただ不憫。
 若い警官は事情を聞いて理解してくれたが、中年はダメだ。一度思いこんだことを事実と言い張って話を聞いちゃくれない。まともに会話が通じる中年警官を交番に置いて欲しい。

 スーパーに着いた頃には、日頃の不満を思い出したことでテンションがダダ下がりになってしまった仁。これは最高に上手いホットケーキを作って食うしかないなと、カゴを手に取って店内へと踏み出した。
 材料と家に足りないもの。脳内の買い物リストを確認しながら、買うものをカゴへと放り込んでいく。ついでに明日の夕食用に肉でも買っていこうかと、またしても買い物リストにものが増えた時だ。

「あれ、お巡りさん」
「あ?……明松か。今日は非番だ」
「へぇ。じゃあマラミュートさん」
「人を勝手にイメージした犬種で呼ぶんじゃねぇとあれ程言っただろうが」

 はぁ…と大きなため息をついたのは、夏に近所の交番へと左せ……もとい異動してきた警官の犬上いぬがみ堅輔けんすけだった。多少堅物であるが、真面目で正義感の強い男である。故に上層部と揉めに揉め、こんな街の端っこの交番に飛ばされて来た人物だ。
 そういや中年じゃないけどいたな、一番話が通じる人。険しい顔で肉を睨みつけている堅輔の横顔を見ながら、仁は彼との出会いを思い出す。
 初対面は、まぁ最悪であった。何せ仁は不良に絡まれ正当防衛の真っ最中で、堅輔は事前に聞いていた噂を確信しかけていたので。後ほど色々あった末に和解したのだが、それはまた別の話である。

「何でそんな肉を睨んでんの?一番美味そうなのを吟味中?」
「別に睨んじゃいねぇが…あ~……そういえばお前、料理するよな」

 肉から視線を外して、堅輔はふとそう言った。それに仁はうん?と首を傾げて、確かに家では基本的に料理係として食事を作っているがと頷いた。
 多少言いにくそうに、しかし打開策を求めるように堅輔は口を開く。

「…この前、旅行から帰ってきた知り合いに土産を貰ったんだが」
「はい」
「その土産が700mlの蜂蜜だった」
「なんつー、微妙な量」
「正直、消費に困っている。要るか?」
「700は流石に要らねぇかな…」

 仁の返しにだよな、と堅輔はまた肉に視線を落とす。じゃあ何で肉を見てるのかと聞けば、何処かで蜂蜜を使った美味しい肉の調理法を聞いたことを思い出したとかなんとか。
 スマホでも調べて作れるには作れるのだが、しかしそれだけで蜂蜜700mlは消費しきれない。いや出来る人は出来るのだろうが、少なくとも堅輔は出来そうもなかった。別に甘いものが好きという訳でもないし。
 あと肉もシンプルな味付けで食べるのが好きなので、蜂蜜で調理するのに躊躇していた。だからこうして肉コーナーで悩んでいたのだ。
 話を聞いて、仁は何とかしてやりたいなと思った。お世話になっている相手なので、このくらいなら力になってやりたい。でも、いくら今すぐ全部という訳じゃないとはいえ、蜂蜜700mlの消費方法か。

「そうだ!ねぇ、マラミュートさん。今日ってこのあと暇?」
「…一応、暇だが」
「じゃあアンタの家に行ってもいい?」
「あ?」
「オレ、ホットケーキ食べたいんだよね」

 突発的な思いつきだったため、かけるものは余っていたケーキシロップでいいかと考えていた。しかし蜂蜜があると言うのなら話は別である。流石にそんな大量に要らないが、きっとこっちの方が美味しいホットケーキが出来るだろう。
 一気に気分が上がった仁は、もはや決定事項と言わんばかりに堅輔の腕を取る。それに引っ張るなと文句をこぼす堅輔だが、振りほどかない時点で拒否の心はなかった。

「はぁ…別にうちでホットケーキを作るのは構わんが、その犬種で呼ぶのをやめろ。俺はアラスカン・マラミュートじゃねぇ」
「原種に近いんだから似たようなもんでしょ、犬神・・さん」
「種族もやめろ」
「音同じじゃん…何で分かったの」

 狼の…というか犬科の聴力ってやっぱすげぇんだな。何処かズレた感想を零す仁に、堅輔はまたしても大きなため息をついた。

 ─────

 どこでどうとち狂ったのか、自分でも定かでは無い。しかし堅輔は人間ではない身でありながら、それを隠して警官という職に就いた。理由も動機も思い出せないが、いつからか警官として働いていた。
 人だろうが人でなかろうが、ソリの合わない者というのはいくらでもいる。それが今回上司という立場の人間だったため、街の端っこの交番に左遷させられた。

 同校だけではなく他校とも問題を起こす、喧嘩ばかりの不良がいる。夏の初めに異動した先の交番で最初に聞いたのはそんな話だった。

 一番そこに務めて長いという警官にそう言われ、見かけたら即補導しようと考えていたその日。さっそく出会ったその不良は、確かに他校の生徒五人を相手に一人で喧嘩をしていて噂と大差ないように思えた。
 その時は五人の方も一人の方も補導対象だととっ捕まえたが、一貫してその不良─明松仁は正当防衛を主張した。だが長く居る警官がそれを頭ごなしに否定し、話が通じないと言わんばかりに仁は保護者が来る前に逃げ出した。

 その後色々とあり誤解は解け、仁の入っているオカルトなんちゃら部の活動中に出会したりなどしてこちらの事情もバレたりなどがあったが割愛しよう。
 犬上堅輔が人間ではないことを知った仁は、しかし何も変わらなかった。秘密は守ると契約した上で、見かければ懐いた犬のように駆け寄ってきたりするのである。
 更に秋になるまでに色々とあったのだが、別の話なので現状だけを簡潔に伝えよう。

 色々あった末に、何故か堅輔は仁に惚れた。五、六世紀くらい歳の離れた人間のガキに、人間に生み出され人間を怨んでいたはずの自分が惚れたのだ。
 そもそも人の振りをして生活しているので怨み云々は無視していいのだが、しかしこんなちんちくりんの何処に惚れたんだと自問自答する。何せ相手は16歳の子供であるから。
 一見大人しそうなのにキレれば即手足を出すし。元々霊感なんか無かったくせに、物理が効かない人ならざる存在を素手で倒すし。人のことを名前で呼ばないし。用もないのに交番に遊びに来ては一方的に喋って帰るし。

 人の気も知らないで家にやって来て、呑気に料理し出すし。

 惚れてる相手がノリノリで家に来て、使用回数は少ないが自分の使っているエプロンを着用し、自分の家のキッチンで料理してる時って人間はどうするんだ。ちなみに狼の本能はさっさと番ってしまえと言っている。
 なお相手は16歳の子供である。学生である。そんでもって自分は警官だ。事案も事案。お巡りさん、俺です。いや俺もお巡りさんなんだよなぁ。
 もはや現実逃避をしながら、鼻歌混じりにホットケーキを作る仁を手伝う堅輔。キッチン借りたお礼に夕飯まで作っていくとか言うから、脳内ではもうこのまま嫁にしていいんじゃねぇかなと囁く本能を檻へぶち込んでいた。

 必死に本能と格闘を続ける堅輔のことなぞ露知らず、仁はただひたすらにホットケーキを焼いていく。昼過ぎからずっとホットケーキの口だったため、つまみ食いしてしまいたい気持ちを抑えてひたすらに焼いていた。
 ぽんっと裏返せは綺麗なきつね色が顔を出す。特に厚みが潰れた様子もなく、上出来だと嬉しくなる。嬉しくなったので、思わず隣の堅輔に自慢したくなった。

「堅輔さん、見て見て!めっちゃ綺麗に焼けた!」
「……………」
「………堅輔さん?聞いてる?」
「聞いてるいい出来だな流石だ俺が悪かった犬種でいい犬種で呼んでくれ頼む」
「えっ何で急に壊れたのこの人。大丈夫…?」

 てっきり犬上さん呼びだと思っていた堅輔。自宅のキッチンという場所で惚れた相手が料理中という状況と、その人物が満面の笑みで下の名前を呼んできた事実にぶっ壊れた。
 なお彼は二日前までしばらく本部に出向いており、散々精神的に疲れた後に交番の仕事をしての休みであった。しかも知り合いから特に使い道の思いつかない蜂蜜を押し付けられ、なんかもう凄い疲れたなぁ、みたいな状態だった。じゃなきゃ頼まれても未成年を自宅に連れ込まない。
 本能が理性に勝ってきてしまったので、急いで正気に戻らねばならないとあれだけ文句を言っていた呼び方を要求する。なお当の仁は流石のことに困惑していた。さもありなん。
 疲れてぶっ壊れたのだろかと考えて、丁度いいのがあるなとそれに手を伸ばした。そして何処か虚ろな目をしている堅輔と目を合わせ、悪戯っぽくニッと笑う。

「堅輔さん、あーん」
「ん」

 す、と差し出されたフォークの先をろくに確認もせず食いつく。優勢になった本能が、惚れた相手の「あーん」を拒む訳がなかった。
 そして咀嚼するよりも先に口の中に溢れる大量の蜂蜜。堅輔は為す術なく噎せた。

「んぐっ、げほっ!あっ………………っっま!!!」
「溜めたなぁ…はい、コーヒー」
「おま、これ、は??」
「疲れた時には甘いものってよく言うから」
「どんだけ蜂蜜かけたんだ」
「浸しましいたたたたたたたっ!頭っ!頭ッッ!!」
「ふざけるなよ」

 差し出されたコーヒーで口直しをし、何を食わされたのかを聞いた堅輔はノールックで仁にアイアンクローをかました。キッチン台に蜂蜜が転々と零れているところを見るに、一口に切ったホットケーキを蜂蜜にぶち込んで余分をほぼ落とさなかったのだろう。
 いくらジンジャーが入っていても、これだけ蜂蜜まみれだと何の味もしない。ただただ甘い。なんつーもんを食わせるんだと思わず睨むが、そもそも暴走しかけたのは堅輔の方だ。止めてもらったのだからあちらに非はない。
 そう判断して手を離せば、頭変形してない?と片手で頭をさする仁。中途半端な位置で浮かされているフォークを持っていた手は、よく見ればテラテラと蜂蜜が光を反射していた。
 あれだけの量だ。フォークを伝って垂れてしまったのだろう。指を垂れる蜂蜜に気づいた彼は、腕まで流れる前にと厚みのある舌で舐めとった。
 手首から指先まで舌が伝う。ちう、と人差し指の先を少し吸って口は離される。ペロリと口の周りを舐めながら水道へと手を伸ばした仁の、青みがかった黒い瞳が堅輔を見上げた。

「…見すぎじゃない?」
「……っ!」
「行儀悪いのは分かってるけど、あんま見られっと恥ずいんですが」

 完全に見惚れていた。思わず堅輔は苦い気持ちで頭を搔く。これが他の奴であれば、行儀が悪いなと眉を顰める位はしただろう。それがどうだ。惚れていると言うだけで扇情的に見えてしまい、むしろ襲わなかっただけ及第点だろう。相手が未成年という時点でアウトだが。
 照れを誤魔化すためか、また差し出されたフォークに反射的に食いついた。今度は何もかかっていないホットケーキの柔らかい甘味を味わえば、後からジンジャーのピリッとした辛味がやってくる。

 蜂蜜がかかっていないためふわふわとした食感に、ふと堅輔は思い出した。確か初めて食べたコイツの手料理は、色々あって助けた時のお礼と渡されたお菓子だったなと。
 確か、マフィンだったろうか。プレーンと苦めのグリーンティー味の二つだと渡され、その場で食べて感想を返したのだ。あの時はまだ種族がバレていなかったが、無難なチョコではなくグリーンティーだったのは、堅輔の見た目が甘味を好んでなさそうだったからか。それとも無意識で気づいていたのか。恐らく前者だとは思う。
 あ、と口を開ければまた差し出されるホットケーキを刺したフォーク。特に何を言うでもなく、むしろ餌付けを楽しむように仁は食いつく堅輔を微笑みながら見ていた。

 犬上堅輔は人間では無い。その正体は犬神と呼ばれる、人が生み出した呪いである。本来であれば犬を使う儀式であるが、しかし堅輔の本来の種はニホンオオカミであった。犬と間違われた訳ではなく、狼を使ったらどうなるかという実験に利用されたのだ。
 犬神とは、頭以外を埋めて絶食させた犬の目の前に餌を置き、餌を求めて伸ばした首を落として作る。故に、この種は例外無く慢性的な飢餓状態にある。
 故に、この種は食に関して執着を持っている。
 それは堅輔とて例外ではい。今はもはや慣れきったが、犬神にされた当時はいくら喰っても収まらない空腹に苦しめられた。飢餓に魘されて色々なものを喰った。自分をこうした人間を恨み、怨み、呪い、喰った。

 もう一口と無言で要求すれば、仕方なさそうにクスクスと笑いながら口元までフォークが持ち上げられた。今度は少量だけ蜂蜜がかけられたようで、じゅわりと程よく染みた蜜の甘さが口の中に広がる。
 素直に美味いな、と思った。あの時も、その後の何回かも、今だって。
 散々食い散らかして、もはや空腹も慣れてしまって、そしたら味なんか感じなくなっていた。ただ喰えればいいと、それがどんな味で美味いか不味いかなんかどうでもよくなった。
 だから礼だと菓子を渡された時、どうしたもんかと思った。その場で食わなければいい話だったのだが、こちらを見る瞳が出会った時と比べて明るくなっていたから。何故か、その場で感想を言わねばと思った。

 そうだ。この子供が自分の為にと食べ物に込めた気持ちが、あまりにも美味かったのだ。味覚が戻る程に美味かったのだ。そして本心からの感想を零せば、綻ぶように笑った子供があまりに美味そうだったから。
 思い出してしまえば、ストンと納得した。だから惚れてしまったのかと、カップに少し残っていたコーヒーを飲み干す。
 犬神は常に飢餓状態だ。そういう存在だ。だからこそ、空腹を埋めるものを望んでいる。それこそどうしようもなく、本能がそれを欲している。

「……まともに喰えるのは三年後か…」
ふぁには何が?んぐ…ホットケーキが?」
「似たようなもんだ」
「別に、食べたければ何時でも作るのに…」

 堅輔に食べさせたからか、もう我慢するのは止めたのだろう。焼き上がった傍からホットケーキを頬張る仁に、そんなに食いたかったのかと一周まわって呆れる。
 生憎と堅輔が喰いたいものは食べ頃までまだかかる上、このホットケーキよりもスパイスが効いたお菓子である。蕩けるほどに甘く、それでいて苦味や辛味が複雑に絡み合った味がするのだろう。

 さて、食べ頃までどう調理しようか。料理は人並み程度である堅輔は、いっそ料理が得意な本人に助言でも求めようかと少し硬い黒髪を撫でた。


スパイスの効いたお菓子は三年後に


 無事、食べることができたそうです。


「……ご馳走様はないんですか」
「これからも喰うんだからある訳ねぇだろ」
「心臓が破裂して死にそう…」
「そしたら、余さず喰ってやるから安心しろよ」
「一欠片くらい墓に入れてくれ」
「断る」




登場人物紹介

明松あかまつ じん
年齢・16歳
職業・高校一年生
特技・お菓子作り、弦楽器の演奏
 常時発動スキル・"諦め"な、勢津せつ市の勢津那せつな高校に通う新入生。本編(かいてない)の主人公であり、顔馴染みの先輩に巻き込まれ『オカルト冒険・・部』なるやべぇ部活に所属することになる。
 至って普通の人間であったはずだが、先輩と顧問に巻き込まれたことでお化けやら妖怪やらの人ならざる存在を物理で倒せる才能が開花した。元々は霊感も何も無かったはずの人間である。
 両親は既に他界しており、歩く理不尽な祖父超人と弟妹と暮らしている。そのため家のことは基本的にやっている主夫。炊事洗濯お手の物。
 部活内では唯一の常識人であるが、学校一やべぇ部活の三番目にやべぇ奴なのでやべぇ奴。先に手を出されれば、正当防衛と称して手足が速攻で飛び出す。
 確かに過去色々あったがそれは関係なしに絡まれやすく、しかし腕っ節は強いので一人でどうにか出来てしまう。そのため不良だなんだと誤解が飛び交っているが、一切不良ではない好青年。拳がちょっと出やすいだけ。
 実は先に堅輔に惚れているため猛アタックをしているのだが、しかし惚れられていることには気づいていない。後日、煮沸消毒した瓶を持参し蜂蜜を半分貰ってった。


犬上いぬがみ 堅輔けんすけ
年齢・700以下
職業・警官
特技・失せ物探し
 人間に捕まり犬神となってしまった狼。そのせいかは知らないが、実は他の犬神よりも飢餓状態や空腹感が酷い。化生となって長いこともあり、力も他とは比べ物にならないほど強くそこらの土地神ですら喰えてしまう。
 だが何をどうとち狂ったのか、あれほど怨んでいた人間の振りをして警官になった。そして16歳の子供に惚れる。人間性は随分と持っているので、あまりにも事案と頭を抱えている。
 人間よりまともなところがある人外だが、その本能は正しくバケモノである。基本的には力の強いものが上、欲しいものはどんな手を使っても手に入れる、弱いものは喰ってもいい。そんなところ。
 ただし長い人間生活で強靭になった理性が全てを抑えており、時たま雑魚を喰ったりして上手くバランスを取っている。700年近く生きているのでそこら辺の自重は出来るようになった。
 ちなみに蜂蜜をくれた知り合いも勿論人外であり、「そういえばあと何十年かで700歳だよね?はいこれ僕が収穫体験で採ってきた蜂蜜!せっかくだから年齢に合わせた量にしてみたよ!」ということで貰った。物凄く要らない。




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