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王子様と皇太子殿下 1
先生と助手、話し合い、城へ向かう
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僕の、頼りになる助手にしてかわいい恋人が言う。
「先生、何か王都のほう、ヤバい気がしない?」
僕は返す。
「うん、そうだね」
でも、それだけ。
僕は今までの経験上、こういう「人の」戦争には関わらないでいなきゃならないと思ってるからね。
ーーーなぜかって?ーーー
僕、普段は人の姿なんだけど、いざとなったら人じゃない姿にもなれるし、今のところ「この世界」の「人間」にはない力も使えてしまうんだ。
とりあえず不老不死だしね。
背中に羽根生やして飛べるしね。
まあ、羽根生やさなくても、転移できるけどね。
あと、割と大きな怪我でも治せちゃうとか?
自分のだけじゃないよ、他の人のもだよ。
それから、スゴいパワーで牛とか馬とかを抱っこできるし、それから、あと、う~ん、まあ他にも色々あるんだけど…今はいいか。
簡単に言うと化物とか怪物とか、そういうやつ。
でもさぁ、そういう言い方ってどうなの?ってなっちゃってさ。
なんかカッコいい言葉を思いつくまで、とりあえず「眷属」って言い方にしてみたんだ。
ーーーそれでーーー
ぶつくさと頭の中で語る僕に、彼は言う。
「俺、心配なんだけど…ねえ、先生」
「僕は行かないよ。
また、何かやっちゃったら…困る」
僕は頑なに行かないと言い張る。
僕は戦争に関わっちゃいけないんだ。
ーーーなぜかって?ーーー
それはね、300年くらい前の事なんだけど。
僕の大切な人たちがまとめて処刑されそうになった事件があってね。
その時、僕は感情やら何やらを暴走させてしまって、大切な人たちをみんな「眷属」にしちゃったんだよね
だから、人が殺されるっていうのは僕にとってとてもショッキングなことだと思うんだよね。
だから、たくさんの殺人があるところへは行かないでいようって事なわけ……
ーーーそれでーーー
と、そうやって僕が脳内で誰かに言い訳していると、また彼が言う。
「なー先生、行った方が良いって。
多分あの感じ、エースだろ」
僕は聞かないふりでさらに言い訳を重ねる。
「だって、戦でしょ?
人がたくさん死ぬんでしょ?
あの時__・__#と同じ事が起きないとは限らないじゃない」
人を勝手に「眷属」にするわけにはいかないでしょ、常識的に考えて。
それでも彼が更に言う。
「でも、あいつが暴走してもヤバいんでしょ?
だったら先生と俺で止めに行くしかないじゃん」
「それは……そうなんだけどさ」
王都の方から、「回路」の暴走が起きそうな不穏な気配がするのには気づいてるよ、でも…。
僕がぐるぐると考えていると、また彼が言う。
「なあ、先生、行こう?」
「駄目だよ…僕は行けない」
僕だって反論する。
だからちょっと言い合いになる。
「僕が行って、事態が悪化したらどうする?」
「それでも、あいつの暴走を止められるのは先生しかいないだろ」
「ユーゴだって…親友なんだし、さぁ…」
「一番永く生きてるのは先生だし、眷属のこと一番良く知ってるのも先生じゃないか!」
彼が言う。
「俺だけじゃ無理だ、なあ先生!!」
分かってる、でもあそこは。
「戦場だもん……」
「……先生」
…すぐに止めにいかなきゃまずいのは分かる。
あの場で第3王子が暴走したら、今度は何人が巻き込まれるのか分からない。
彼の部下が全員眷属になったら、この国の軍隊は真の不死身の軍隊になっちゃう。
それは「宇宙のほうそくがみだれる」大事件だ。
でも…僕。
「あそこに、行くの…怖いんだもん」
そんなつぶやきを、可愛い恋人はこう切り返す。
「大丈夫、俺がついてるから!」
僕はあっけに取られて……言う。
「何なのその自信…、ふふ」
仕方ない、行こうか。
頼りになる助手が言うんだから。
「ユーゴ、手を握ってて!転移するよ!
……せーの!」
「先生、何か王都のほう、ヤバい気がしない?」
僕は返す。
「うん、そうだね」
でも、それだけ。
僕は今までの経験上、こういう「人の」戦争には関わらないでいなきゃならないと思ってるからね。
ーーーなぜかって?ーーー
僕、普段は人の姿なんだけど、いざとなったら人じゃない姿にもなれるし、今のところ「この世界」の「人間」にはない力も使えてしまうんだ。
とりあえず不老不死だしね。
背中に羽根生やして飛べるしね。
まあ、羽根生やさなくても、転移できるけどね。
あと、割と大きな怪我でも治せちゃうとか?
自分のだけじゃないよ、他の人のもだよ。
それから、スゴいパワーで牛とか馬とかを抱っこできるし、それから、あと、う~ん、まあ他にも色々あるんだけど…今はいいか。
簡単に言うと化物とか怪物とか、そういうやつ。
でもさぁ、そういう言い方ってどうなの?ってなっちゃってさ。
なんかカッコいい言葉を思いつくまで、とりあえず「眷属」って言い方にしてみたんだ。
ーーーそれでーーー
ぶつくさと頭の中で語る僕に、彼は言う。
「俺、心配なんだけど…ねえ、先生」
「僕は行かないよ。
また、何かやっちゃったら…困る」
僕は頑なに行かないと言い張る。
僕は戦争に関わっちゃいけないんだ。
ーーーなぜかって?ーーー
それはね、300年くらい前の事なんだけど。
僕の大切な人たちがまとめて処刑されそうになった事件があってね。
その時、僕は感情やら何やらを暴走させてしまって、大切な人たちをみんな「眷属」にしちゃったんだよね
だから、人が殺されるっていうのは僕にとってとてもショッキングなことだと思うんだよね。
だから、たくさんの殺人があるところへは行かないでいようって事なわけ……
ーーーそれでーーー
と、そうやって僕が脳内で誰かに言い訳していると、また彼が言う。
「なー先生、行った方が良いって。
多分あの感じ、エースだろ」
僕は聞かないふりでさらに言い訳を重ねる。
「だって、戦でしょ?
人がたくさん死ぬんでしょ?
あの時__・__#と同じ事が起きないとは限らないじゃない」
人を勝手に「眷属」にするわけにはいかないでしょ、常識的に考えて。
それでも彼が更に言う。
「でも、あいつが暴走してもヤバいんでしょ?
だったら先生と俺で止めに行くしかないじゃん」
「それは……そうなんだけどさ」
王都の方から、「回路」の暴走が起きそうな不穏な気配がするのには気づいてるよ、でも…。
僕がぐるぐると考えていると、また彼が言う。
「なあ、先生、行こう?」
「駄目だよ…僕は行けない」
僕だって反論する。
だからちょっと言い合いになる。
「僕が行って、事態が悪化したらどうする?」
「それでも、あいつの暴走を止められるのは先生しかいないだろ」
「ユーゴだって…親友なんだし、さぁ…」
「一番永く生きてるのは先生だし、眷属のこと一番良く知ってるのも先生じゃないか!」
彼が言う。
「俺だけじゃ無理だ、なあ先生!!」
分かってる、でもあそこは。
「戦場だもん……」
「……先生」
…すぐに止めにいかなきゃまずいのは分かる。
あの場で第3王子が暴走したら、今度は何人が巻き込まれるのか分からない。
彼の部下が全員眷属になったら、この国の軍隊は真の不死身の軍隊になっちゃう。
それは「宇宙のほうそくがみだれる」大事件だ。
でも…僕。
「あそこに、行くの…怖いんだもん」
そんなつぶやきを、可愛い恋人はこう切り返す。
「大丈夫、俺がついてるから!」
僕はあっけに取られて……言う。
「何なのその自信…、ふふ」
仕方ない、行こうか。
頼りになる助手が言うんだから。
「ユーゴ、手を握ってて!転移するよ!
……せーの!」
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