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幕間 3
作戦会議 〜恋のラブラブ大作戦2〜
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銀髪の男…エースが、事の次第を説明する。
さすが、やり手の為政者であり軍事の天才でもある男は、理路整然と、自分の愛する男の子の素晴らしさから、今問題になっていること、前回の会議の内容などを分かりやすく語り尽くす。
「…というわけでな、儂はあの子をものにせねばならぬのじゃ。事の重大さは分かってくれたな」
「はい」
「まーた自分で撒いた種で足元すくわれてるのね」
「うるさいぞ、そこ」
大柄の男…ロウがぺろりと舌を出す。
黒目黒髪の男子が発言する。
「エース様、1つお聞きするのですが、今のカラス…いや、クロエくんに、欲情するのですか」
「あの子の片目がなかろうと、片耳がなかろうと、あの子の素晴らしさには傷一つつかぬ」
「そうでなくて、精通もしてないような年端のいかない子どもに欲情するのかって」
「…あの子がどういう姿でも、その…」
「……殺します」
「おお?何じゃやる気か?」
「あんときはロウさんの遠吠えが聞こえて、一瞬気がそれたから負けたんで、今なら負けないっすよ」
剣呑な空気が流れるのを、阻止したのはロウ。
ロウは黒目黒髪の男子に言う。
「ソラ君ソラ君、エースも眷属だから殺せないよ」
「あっ、そうか…じゃあどうすれば?」
「ここは協力してあげようよ、クロエくんの幸せのためには、この王子様が必要なんだからさ」
「うーん……はい」
黒目黒髪の男子、ソラは納得していないが頷く。
エースは話を続ける。
「その、今すぐ「エッチなこと」まで進む気はないぞ?手を繋ぐとか、馬に二人乗りしておでかけするとか…そういう…段階が、あるじゃろ?」
「…はあ」
「こう、後ろから全部包み込む感じて…こう、恋愛小説を…じゃな…、」
そこまで言ったところで、げんなりしている周囲をよそに、ソラから肯定の言葉が出る。
「あ、それいいかもしれないす」
「は?」
第2皇太子の友人でもあるソラは、続ける。
「カラス…じゃなくてクロエくんが、普段でも背中を預けるってことは、それだけ心を許してるってことだから、まずそこを目指したらいいと思うっす」
「?」
「おれら北の連中のなかで、いっこ基準があって。
カラス…じゃなくてえー…クロエ殿下?だっけ?
もう、ややこしいんでカラス君って言いますけど、カラス君の後ろに立って、警戒されなかったら親衛隊になれるっていうのがあって」
「…ふむ」
「とりあえず、親衛隊を目指しましょう。
背中にくっつけるようになったら、親衛隊より上ですよ」
「…ほほう」
「それからさっきの、恋愛小説?を読む?みたいに、背中から抱きついても平気な人…ってなると…そうはいないっすね」
そこまで聞いて、エースはソラに尋ねる。
「…念の為、それができる者を聞いてもいいか」
「おれです」
「…お前か」
またも剣呑な空気が拡がり、今度もロウが空気を変える。
「ソラ君…その、カラスだかクロエだかいう子と…どういう関係なの?」
ソラの顔を両手でむぎゅっと挟んで、凄む。
「むぐ、親友っ、すよ」
「………キスしたりしてない?」
「してないす!」
「じゃあ、オレにキスして証明して」
「…らぶらぶするでない!」
全く油断も隙もない、とエースは呟いてから、
「実は明日会いに行く約束でな……。
会話の内容等々、共に考えてもらえまいか」
と言った。
さすが、やり手の為政者であり軍事の天才でもある男は、理路整然と、自分の愛する男の子の素晴らしさから、今問題になっていること、前回の会議の内容などを分かりやすく語り尽くす。
「…というわけでな、儂はあの子をものにせねばならぬのじゃ。事の重大さは分かってくれたな」
「はい」
「まーた自分で撒いた種で足元すくわれてるのね」
「うるさいぞ、そこ」
大柄の男…ロウがぺろりと舌を出す。
黒目黒髪の男子が発言する。
「エース様、1つお聞きするのですが、今のカラス…いや、クロエくんに、欲情するのですか」
「あの子の片目がなかろうと、片耳がなかろうと、あの子の素晴らしさには傷一つつかぬ」
「そうでなくて、精通もしてないような年端のいかない子どもに欲情するのかって」
「…あの子がどういう姿でも、その…」
「……殺します」
「おお?何じゃやる気か?」
「あんときはロウさんの遠吠えが聞こえて、一瞬気がそれたから負けたんで、今なら負けないっすよ」
剣呑な空気が流れるのを、阻止したのはロウ。
ロウは黒目黒髪の男子に言う。
「ソラ君ソラ君、エースも眷属だから殺せないよ」
「あっ、そうか…じゃあどうすれば?」
「ここは協力してあげようよ、クロエくんの幸せのためには、この王子様が必要なんだからさ」
「うーん……はい」
黒目黒髪の男子、ソラは納得していないが頷く。
エースは話を続ける。
「その、今すぐ「エッチなこと」まで進む気はないぞ?手を繋ぐとか、馬に二人乗りしておでかけするとか…そういう…段階が、あるじゃろ?」
「…はあ」
「こう、後ろから全部包み込む感じて…こう、恋愛小説を…じゃな…、」
そこまで言ったところで、げんなりしている周囲をよそに、ソラから肯定の言葉が出る。
「あ、それいいかもしれないす」
「は?」
第2皇太子の友人でもあるソラは、続ける。
「カラス…じゃなくてクロエくんが、普段でも背中を預けるってことは、それだけ心を許してるってことだから、まずそこを目指したらいいと思うっす」
「?」
「おれら北の連中のなかで、いっこ基準があって。
カラス…じゃなくてえー…クロエ殿下?だっけ?
もう、ややこしいんでカラス君って言いますけど、カラス君の後ろに立って、警戒されなかったら親衛隊になれるっていうのがあって」
「…ふむ」
「とりあえず、親衛隊を目指しましょう。
背中にくっつけるようになったら、親衛隊より上ですよ」
「…ほほう」
「それからさっきの、恋愛小説?を読む?みたいに、背中から抱きついても平気な人…ってなると…そうはいないっすね」
そこまで聞いて、エースはソラに尋ねる。
「…念の為、それができる者を聞いてもいいか」
「おれです」
「…お前か」
またも剣呑な空気が拡がり、今度もロウが空気を変える。
「ソラ君…その、カラスだかクロエだかいう子と…どういう関係なの?」
ソラの顔を両手でむぎゅっと挟んで、凄む。
「むぐ、親友っ、すよ」
「………キスしたりしてない?」
「してないす!」
「じゃあ、オレにキスして証明して」
「…らぶらぶするでない!」
全く油断も隙もない、とエースは呟いてから、
「実は明日会いに行く約束でな……。
会話の内容等々、共に考えてもらえまいか」
と言った。
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