【完結】どれだけ永く生きてても

紫蘇

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王子様と皇太子殿下 5

皇太子、初めての温泉

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すごい、お湯が白い!

これなら、ここに浸かっていれば、その…背中のも見えないし、伸び伸びできる!

うーん、と腕を上げて伸びをしたりしていると、エースさんが少し夜風に当たると言って出ていった。

1人になったので、ちょっと大胆にぷかぷか浮いてみたり、ちょっと潜ってみようか…なんて、鼻先まで沈んでみたり、背中が湯から出ないようにうつ伏せで足を伸ばしてみたり…。

「ふふふ、楽しい」


この国は楽しいことばかりだ。

他人の髪の色や目の色をとやかく言いたがる人もいない。
ぼくのこと嫌らしい目でみるやつもいない。
こんなでもちゃんと仕事をもらえたし…

しかも憧れの先生がいる学園でだなんて!

麦が作りたい一心で先生の本を読んでから今までに、シュン・コバヤシ先生の本は全部読んだ。
先生は農業だけじゃなくて、歴史や、建物や、医術についても本を出しておられて、そのうえ読み物も書いていらっしゃって、何て多才な方なんだろう!とびっくりしたし、こんな人になりたいと思った。

ぼくを救ってくれたのは、先生の存在と、司書さんが持ってきてくれたたくさんの本だったんだ。

どんなに悲しいことやつらいことがあっても、そのことばっかり考えてたら、悲しいのも辛いのもなくならない。
だから他のことを考えるんだ、そのために本を読むんだ…って司書さんは言ってた。

それは正しかった、と思う。
ぼくは、それで目標をみつけたから。

それにしても…1人で色んなこと考えてたら、何だか長湯になっちゃいそう。

「…それにしても遅いなあ」

エースさん、ぼくがひとりがいいっていったの、気にしてくれてるのかな…けど、風邪ひいちゃう…でも…ひかないのかな…眷属だから…

ふー…ぷくぷく。

遅いなー。
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