32 / 35
秘密は柑橘の匂い
5
しおりを挟む
「ん、はぁ……、はっ、むくちくん、いじわる……」
ムッとした兄が俺を見上げる。視線は交わらないが、そんな表情が可愛くて声を出さずに笑った。オイルに濡れた胸の突起を弄りながら、何度も唇同士を重ねる。はふはふと必死に呼吸をしながら口内を侵蝕される兄が、俺の肩を押し返した。
「ね、もう……いいから、むくちくん……」
重なる快感に耐えきれないのか、兄が弱音を吐く。もう一度、指の腹で乳首を撫でるとカルベルが切なそうに眉を顰めた。
「だめ、あぅッ……もう、きもち、いいの、やだ……っ」
彼のセリフに脳が破裂しそうなほど興奮する。心臓がバクバクと脈を打ち、脂汗が吹き出た。舌を伸ばし、突起を突く。唇で喰むと、両手で髪をクシャリと掴まれた。
「ぼ、ぼく……おかしく、なっちゃうよ……むくちくん……」
上擦った声に、思わず爆ぜそうになる。鎮めるため、父のふてぶてしい面構えを脳内で必死に思い出した。兄の美しい喘ぎと脳内の男がミスマッチし、心を落ち着かせるため深呼吸をする。
体を離し、カルベルを見下ろした。汗で額に張り付いた前髪と火照った頬、潤んだ瞳。肩で呼吸を繰り返し、首を横に振る兄は今すぐにでも挿入してしまいたくなるほど魅力的だった。
「あ、ぅ、……あー……っ!」
後孔に指を滑り込ませ、折り曲げる。イヤだと泣きながら腕を突っぱねる兄が子供のようで、口元が緩んだ。弟にこんな一面を見せていると知ったら、彼はどんな反応をするのだろうか。
グチュグチュと音を立て中を犯す。カルベルはやめて欲しそうに挿入していた指へ手を伸ばした。それをやんわりと払い除け、彼の善い部分をいじめる。
「あ゛、いやっ、いやだ、あ、……ぅ゛!」
舌足らずな声で喘がれると、更に指先に力が籠る。
「ね、ぇ゛っ……、もう、だ、めっ、ゆるし、て、ごめんな、さぃ゛むぐち、ぐッぅ゛……!」
ゆるして、ごめんなさい。兄に謝罪され眩暈がした。うまく呼吸ができず、酸欠に陥る。もっと追い詰めてみたくて、性器にも手を伸ばした。
「ッ~……!」
腰が仰け反り、足がガクガクと震えた。鈴口から透明な液体が噴き出し、シーツへ散る。目を瞑り、唇を噛み締め、顔を真っ赤にした兄が、糸が切れたようにベッドへ横たわった。
静かな部屋に二人分の乱れた呼吸音が漂う。兄の掠れた吐息が愛しくて、膝小僧にキスをする。
「ぅ……っ、ぼく……また、もらし、ちゃ、った……」
兄がぐずぐずと泣き出す。以前、潮吹きをした時のことを思い出しているのだろう。あの時も羞恥に濡れた表情をしていた。
彼の体を起こし、抱きしめる。
「う……ッ、いじわる、むくちくん……いや、きらい……」
頬に擦り寄り、許しを請う。涙を舐めると、彼が肩を揺らした。
「くすぐったいよ」
ふふ、と短く笑うカルベルが背中に手を回した。どうやら許してくれたらしい。慈悲深い彼の目元に吸い付いた。
「意地悪する無口くんは嫌だけど、ぬるぬるは、気持ちいいね」
鼓膜を弾ける彼の声は、俺を酩酊させる媚薬のようだ。まだ発散できていない熱が腹の奥で蠢いているのに、それを声音で優しく愛撫する兄は、上出来な売女のようである。
「……けどね、これは手に使うものだから……こういうことに使っちゃダメなんだよ」
優しく論され、ゆっくりと頷いた。
ムッとした兄が俺を見上げる。視線は交わらないが、そんな表情が可愛くて声を出さずに笑った。オイルに濡れた胸の突起を弄りながら、何度も唇同士を重ねる。はふはふと必死に呼吸をしながら口内を侵蝕される兄が、俺の肩を押し返した。
「ね、もう……いいから、むくちくん……」
重なる快感に耐えきれないのか、兄が弱音を吐く。もう一度、指の腹で乳首を撫でるとカルベルが切なそうに眉を顰めた。
「だめ、あぅッ……もう、きもち、いいの、やだ……っ」
彼のセリフに脳が破裂しそうなほど興奮する。心臓がバクバクと脈を打ち、脂汗が吹き出た。舌を伸ばし、突起を突く。唇で喰むと、両手で髪をクシャリと掴まれた。
「ぼ、ぼく……おかしく、なっちゃうよ……むくちくん……」
上擦った声に、思わず爆ぜそうになる。鎮めるため、父のふてぶてしい面構えを脳内で必死に思い出した。兄の美しい喘ぎと脳内の男がミスマッチし、心を落ち着かせるため深呼吸をする。
体を離し、カルベルを見下ろした。汗で額に張り付いた前髪と火照った頬、潤んだ瞳。肩で呼吸を繰り返し、首を横に振る兄は今すぐにでも挿入してしまいたくなるほど魅力的だった。
「あ、ぅ、……あー……っ!」
後孔に指を滑り込ませ、折り曲げる。イヤだと泣きながら腕を突っぱねる兄が子供のようで、口元が緩んだ。弟にこんな一面を見せていると知ったら、彼はどんな反応をするのだろうか。
グチュグチュと音を立て中を犯す。カルベルはやめて欲しそうに挿入していた指へ手を伸ばした。それをやんわりと払い除け、彼の善い部分をいじめる。
「あ゛、いやっ、いやだ、あ、……ぅ゛!」
舌足らずな声で喘がれると、更に指先に力が籠る。
「ね、ぇ゛っ……、もう、だ、めっ、ゆるし、て、ごめんな、さぃ゛むぐち、ぐッぅ゛……!」
ゆるして、ごめんなさい。兄に謝罪され眩暈がした。うまく呼吸ができず、酸欠に陥る。もっと追い詰めてみたくて、性器にも手を伸ばした。
「ッ~……!」
腰が仰け反り、足がガクガクと震えた。鈴口から透明な液体が噴き出し、シーツへ散る。目を瞑り、唇を噛み締め、顔を真っ赤にした兄が、糸が切れたようにベッドへ横たわった。
静かな部屋に二人分の乱れた呼吸音が漂う。兄の掠れた吐息が愛しくて、膝小僧にキスをする。
「ぅ……っ、ぼく……また、もらし、ちゃ、った……」
兄がぐずぐずと泣き出す。以前、潮吹きをした時のことを思い出しているのだろう。あの時も羞恥に濡れた表情をしていた。
彼の体を起こし、抱きしめる。
「う……ッ、いじわる、むくちくん……いや、きらい……」
頬に擦り寄り、許しを請う。涙を舐めると、彼が肩を揺らした。
「くすぐったいよ」
ふふ、と短く笑うカルベルが背中に手を回した。どうやら許してくれたらしい。慈悲深い彼の目元に吸い付いた。
「意地悪する無口くんは嫌だけど、ぬるぬるは、気持ちいいね」
鼓膜を弾ける彼の声は、俺を酩酊させる媚薬のようだ。まだ発散できていない熱が腹の奥で蠢いているのに、それを声音で優しく愛撫する兄は、上出来な売女のようである。
「……けどね、これは手に使うものだから……こういうことに使っちゃダメなんだよ」
優しく論され、ゆっくりと頷いた。
29
あなたにおすすめの小説
ケルベロスの籠
夏生青波(なついあおば)
BL
「愚兄賢弟」
受験に二度失敗し、うつ病を発症した兄 紫之 (しのゆき)
有名校を経て、最高学府で学ぶ弟 光 (ひかる)
両親を亡くし、親戚もいないこの世に二人きりの兄弟。
弟は兄を心配し、心を込めて世話をしています、過去の思いを密かに温めながら。
※表紙
題字&イラスト:NEO ZONEさん(Twitter ➡ @hanahanahaney )
※fujossy様「オメガバース・兄弟・闇BL」BL小説コンテスト参加作品です(兄弟・闇BLを選択)
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』
バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。 そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。 最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
愛する者の腕に抱かれ、獣は甘い声を上げる
すいかちゃん
BL
獣の血を受け継ぐ一族。人間のままでいるためには・・・。
第一章 「優しい兄達の腕に抱かれ、弟は初めての発情期を迎える」
一族の中でも獣の血が濃く残ってしまった颯真。一族から疎まれる存在でしかなかった弟を、兄の亜蘭と玖蘭は密かに連れ出し育てる。3人だけで暮らすなか、颯真は初めての発情期を迎える。亜蘭と玖蘭は、颯真が獣にならないようにその身体を抱き締め支配する。
2人のイケメン兄達が、とにかく弟を可愛がるという話です。
第二章「孤独に育った獣は、愛する男の腕に抱かれ甘く啼く」
獣の血が濃い護は、幼い頃から家族から離されて暮らしていた。世話係りをしていた柳沢が引退する事となり、代わりに彼の孫である誠司がやってくる。真面目で優しい誠司に、護は次第に心を開いていく。やがて、2人は恋人同士となったが・・・。
第三章「獣と化した幼馴染みに、青年は変わらぬ愛を注ぎ続ける」
幼馴染み同士の凛と夏陽。成長しても、ずっと一緒だった。凛に片思いしている事に気が付き、夏陽は思い切って告白。凛も同じ気持ちだと言ってくれた。
だが、成人式の数日前。夏陽は、凛から別れを告げられる。そして、凛の兄である靖から彼の中に獣の血が流れている事を知らされる。発情期を迎えた凛の元に向かえば、靖がいきなり夏陽を羽交い締めにする。
獣が攻めとなる話です。また、時代もかなり現代に近くなっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる