暗殺者のおれが命じられたのは、夫の殺害でした。

9.*

　アルファのって、こんなに大きかったの？自分のものと比較しても、倍以上の質量がある気がする。
　アクアは好奇心を抑えられず、パジャマと下履きを退かしブラッドのものを取り出した。
　
　ブルンと飛び出した陰茎はブラッドの腹に当たってベチッと音を立てる。重そうな音だ。
　おそるおそる握ると、その熱さと太さに慄いた。先端から透明な先走りが浮き出している。

「あ゛～……アクアが、私のを……」
「旦那さま、これ、ちょっと……無理じゃないですか？もっと小さくしないと」
「ん？小さくは……無理だな。なに、安心していい。アクアはちゃんと受け入れられるよ」
「ひゃあっ」

　香油か何かで濡らされたブラッドの指が、アクアの後孔を撫でた。中心の蕾へと塗り込めるようにスリスリ、くるくると指を動かされ、もう片方の手がアクアの小さな尻を揉みしだいている。
　
　なんだか変な気分になってきた。しばらくそれが続けられ、焦れて悶々としてきた頃、つぷ……と指が挿入された。
　異物感を感じたのは一瞬だ。ブラッドの指が内腔ナカを確認するようにぐるりと動くと、途端に甘い疼きが生まれる。

「う……ん……」
「痛くないか？」
「ん、ぅ……あっ……！」

　気持ちいい。ブラッドがにゅくにゅくと指を出し入れするたび、お腹側にすごく感じる箇所がある。
　身体から力が抜けてブラッドに寄りかかっていたアクアは、お互いの屹立がぶつかったことでビクンと刺激を感じた。そうだ……触ってあげなきゃ。
　
　ガチガチに固くなっているブラッドのものを、もう一度握り込む。彼の息が少し荒くなったことに気を良くしたアクアは、先走りを塗り拡げるように肉茎を扱いた。いちだんと硬く、太くなっていく気がする。
　そのとき、後孔に入った指が増やされて、一瞬の息苦しさを感じたアクアは甘いため息をついた。

　アクアの手の中にあるアルファの大きなペニスが、自分の中に入ってくることを想像する。すると苦しささえも愛おしく思えて、無意識にブラッドの指をキュンと締め付けた。
　
「ん～っ……。あっ、はぁ。もっと……奥まで、ほしいです」
「もうちょっと待ってな」

　チュッと可愛い音をさせて唇同士を合わせたブラッドは、アクアをもう一度仰向けに転がし腰の下にクッションを入れた。秘所をじっと見つめられて、恥ずかしい。
　膝同士を擦り合わせていると、彼はふるふると勃っていたアクアのペニスを掴み、ぱくっと口に入れた。

「あ、え！？なに……ひゃあぁっ。あんッ」

　ブラッドの口に収まってしまった小さなペニスはぬるぬるの口内で転がされ、じゅるっと吸われた。後ろにはまた指が挿入されていて、三本目だろうか？圧迫感が増す。
　しかし口淫に翻弄されているアクアは枕を掴み、狂おしいほどの悦楽に溺れていた。

　こんなの知らない。ヒートよりよっぽど熱くて気持ちよくて、あたまがおかしくなりそう。

　だが達しそうになって腰を反らすと急に前も後ろも解放され、アクアの快感は行き場を失った。お腹にぐるぐると熱が渦まいて、沸騰している。早く、はやくいきたいっ。
　涙目になって両腕を伸ばすと、ブラッドが優しく抱きしめてくれる。柔らかくほどけた蕾に、優しくない大きさの熱杭が充てがわれた。

「だんなさまぁっ」
「ブラッドだ」
「ブラッドさま……はやく、来てください。――あ。あ、あ～～～！」

　ズ、ズ……と押し込まれた陰茎がアクアの中の快いところを押しつぶし、襞をぜんぶ巻き込んで侵略してくる。
　指とは比べ物にならない質量なのに、身体が歓喜しているのを感じた。柔軟に受け止められるのはオメガの身体だからかもしれない。

「アクア……愛してる」
　
　小刻みにストロークを繰り返したブラッドが奥まで到達した瞬間、耳元で愛を囁かれ、アクアはペニスから白濁を飛ばしていた。
　チカチカと目の前が光り、怖いほどの快感に震える。

「はれぇ？なんれ……」
「は～……挿れただけで達するなんて、可愛い。私のことが好きだからだろう？」

　達した余韻にぼうっとした頭で考える。
　指でほぐされるときは多少なりとも圧迫感や苦しさがあった。発情期でもなければ、そこは受け入れる準備ができていないから。
　
　それなのに、ブラッドが入ってきたときは気持ち良さしか感じなかったのだ。アクアは彼の言葉を反芻する。

「すきだからかぁ……ぶらっどさまぁ、大好きです！」
「神よ」
「んあっ！？」

　なんとなく終わった気になっていたアクアは、ブラッドが身体を起こし腰を引いたことで現実に気付いた。
　全然まだまだ……臨戦態勢だ。両手を彼の手のひらで繋ぐように押さえられ、また奥まで入ってくる。
　
「はぁんっ。あの、まだイッたばっかりで……」
「あぁ、だからゆっくりいこうな」

　そう優しく告げたブラッドはゆっくり、ねっとりと腰を動かし始めた。わざわざ快いところを攻めなくたって……達したことでさらに敏感になった内壁が雄に絡みつき、腰から下が溶けそうなほどの快感を拾う。
　ブラッドを見つめると、深い森のような色の瞳に、溶けた氷色の瞳が映っていた。彼がアクアの泣きぼくろにキスを落とす。
　アクアは幸せで胸がいっぱいになって、キュウキュウと甘くブラッドを締め付けた。

「ん゛ーー……良すぎる……」
「あ、あんっ。ん～っ！ぶらっどさまぁ……また、おれ、イッちゃ……」
「一緒にいこう、な」

　繋いだ手をぎゅっと握り、高みに向けて駆け上がる。腰の動きを速めたブラッドの表情は男の色気がたっぷりで、見ているだけで孕みそうだ。