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新しい年に
第37話 松ちゃんのご挨拶。
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12月29日年内最後のSARAでの営業は止めて駅近くにある松ちゃん馴染の和食の店で常連さんが集まり忘年会の最中なのです。
SARAで忘年会をしたくても入り切れないので松ちゃんの提案でこうなり20人程の常連が集まりした。
その中には勿論JK達もいます。
お世話になった人たちばかり、みんな笑顔でゆく年を楽しんでいる。
「皆さん、今年も本当にお世話になりました。今年は色々とありましたが、皆さんの助けも有り4月には5周年も祝って頂き本当に感謝しています。
来年もどうか引き続き戯贔屓の程よろしくお願い致します。
それでは乾杯の音頭はもちろん、もう皆さんに知れたところになった伯父でありオーナーでもある松ちゃんにお願いしたいと思います」
拍手が鳴り松ちゃんが立ち上がる。
「皆さん、いつもSARAと香織を支えてくれてありがとうございます。5年も一人でやって来れたのは一重にここに集まってくれた皆さんのお陰です。
いつも胡散臭くて口悪い和菓子屋が香織の伯父だと知りさぞかし驚かれたことでしょう。今はオーナーという立場ですが、来年からは香織にすべてを任せ私は只の大家になります。」
いつもの【てやんでぇ】口調の松ちゃんがかしこまって云う姿に一同が目を見張った。
「今年はずっと見守って来た香織が幸せをつかんだ年となりました。伯父としてこれ以上の幸せはありません。知っている方も居られますが、香織は来年中に結婚をすると思います。
なぁ、貴ちゃん」
名指しされた貴史は慌てて
「あっ、はい。そのつもりです」
貴史が立ち上がり照れなら返事をすると拍手が沸き上がり「おめでとう」とあちこちから声が掛かる。
「そこで、皆さんに提案があります。店の定休日を毎週日曜日と隔週で土曜日休みにしたいともいます」
香織は驚いて
「えっ、相談も無しになんで?」と問う。
「現オーナーの権限だ。これから一緒に住む貴ちゃんと休みが全く合わないだろう?二人で旅行も行けねえじゃないか。休みが一緒なら存分にイチャイチャも出来るぞ」
いつもの口調に戻った松ちゃんにみんなが笑いながらまた拍手を送る。
「松爺やるぅ♪」
「松爺さすがだよー!」
「おお、ありがとな」
JK達の言葉にどっと会場が沸く。
彼女たちはBBQの後から松ちゃんの事を【松爺】と呼ぶようになり、松ちゃんも孫が出来たみたいに喜んでいる。
「そういう訳なんで、来年から皆さんよろしく頼むわ。ほらっ、香織も貴ちゃんも頭を下げねえか」
唖然としていた香織と貴史も立ち上がり、二人で顔を見合わせてから「よろしくお願いします」と深々と頭を下げた。拍手が鳴る中、
「おし、長くなったけど、お疲れ様。来年も健康で楽しくやろうや、乾杯!」
「カンパーイ!」
一斉にグラスが掲げられ賑やかな忘年会が始まった。
松ちゃんはすこぶるご機嫌がいい。
理由は、貴史からお正月に福屋さんへご挨拶に伺いたいと連絡があったからでした。
正月が明けたら購入した新居に引っ越しも決まっている。香織が新居の存在を知ってから何と半月後に引っ越しとなった。
籍を入れるのはまだ先らしいが、松ちゃん念願のバージンロードの夢もそんなに遠くないうちに叶うとあって嬉しさに浸る松ちゃんなのであります。
「香織の事を頼むよ、貴ちゃん」
「はい、必ず幸せにします」
まるで結婚式の様な会話をしてグラスを合わせている二人の姿は、香織にとって貴史と出会う前には絶対に想像できなかった光景であった。
忘年会は賑やかに進みカラオケが始まる。
JK軍団のダンスパフォーマンスには若い男性も年配の男性も目が釘付けとなっていた。
若いって素晴らしい、香織はしみじみと思っていたのでありました。
それぞれが思い思いに席を移動して楽しんでいる中、ツンツンと隣の貴史が香織の腕を突いてきた。
「ん、なに?」
「ところで引っ越しの準備は進んでる?」
「あっ、うん。あとは身の回りの物だけかな。古いものは処分するし。貴史さんは?」
「僕の方はもともと荷物も少ないから正月休み中には終わる」
「じゃぁ成人式には引っ越せるね」
「そうだね、やっと一緒に暮らせる」
「今だって殆どあたしの部屋に寝泊まりしてるんだもん、一緒でしょ」
「そこは、もっとウキウキするとこじゃないの?僕は楽しみしているんだけど」
貴史は香織のそっけない返事に不満げに言う。
「見かけによらず貴史さんて乙女なのね」
ククッと香織が笑うと
「そんな事を言ってるとここでキスをしますよ」
冗談をと言いかけ貴史の顔を見ると目が本気だと言っているのを見て、こんなところでそれこそ冗談じゃないと「スイマセン」と謝り慌てて目を逸らしたのでした。
貸し切りにして貰った忘年会もあっという間にお開きの時間となりました。
「良いお年を~」と
香織と貴史は店を出て行くみんなの後ろ姿を見送り自分たちも帰路に着いたのでした。
香織にとってお客様というよりも大切で大好きな仲間と過ごせた忘れられない日となりました。
残り2日で店の大掃除を済ませあっという間に大みそか。年越しは貴史の部屋で過ごす事になり荷物をもって香織は一駅先の貴史の部屋と向かったのでした。
SARAで忘年会をしたくても入り切れないので松ちゃんの提案でこうなり20人程の常連が集まりした。
その中には勿論JK達もいます。
お世話になった人たちばかり、みんな笑顔でゆく年を楽しんでいる。
「皆さん、今年も本当にお世話になりました。今年は色々とありましたが、皆さんの助けも有り4月には5周年も祝って頂き本当に感謝しています。
来年もどうか引き続き戯贔屓の程よろしくお願い致します。
それでは乾杯の音頭はもちろん、もう皆さんに知れたところになった伯父でありオーナーでもある松ちゃんにお願いしたいと思います」
拍手が鳴り松ちゃんが立ち上がる。
「皆さん、いつもSARAと香織を支えてくれてありがとうございます。5年も一人でやって来れたのは一重にここに集まってくれた皆さんのお陰です。
いつも胡散臭くて口悪い和菓子屋が香織の伯父だと知りさぞかし驚かれたことでしょう。今はオーナーという立場ですが、来年からは香織にすべてを任せ私は只の大家になります。」
いつもの【てやんでぇ】口調の松ちゃんがかしこまって云う姿に一同が目を見張った。
「今年はずっと見守って来た香織が幸せをつかんだ年となりました。伯父としてこれ以上の幸せはありません。知っている方も居られますが、香織は来年中に結婚をすると思います。
なぁ、貴ちゃん」
名指しされた貴史は慌てて
「あっ、はい。そのつもりです」
貴史が立ち上がり照れなら返事をすると拍手が沸き上がり「おめでとう」とあちこちから声が掛かる。
「そこで、皆さんに提案があります。店の定休日を毎週日曜日と隔週で土曜日休みにしたいともいます」
香織は驚いて
「えっ、相談も無しになんで?」と問う。
「現オーナーの権限だ。これから一緒に住む貴ちゃんと休みが全く合わないだろう?二人で旅行も行けねえじゃないか。休みが一緒なら存分にイチャイチャも出来るぞ」
いつもの口調に戻った松ちゃんにみんなが笑いながらまた拍手を送る。
「松爺やるぅ♪」
「松爺さすがだよー!」
「おお、ありがとな」
JK達の言葉にどっと会場が沸く。
彼女たちはBBQの後から松ちゃんの事を【松爺】と呼ぶようになり、松ちゃんも孫が出来たみたいに喜んでいる。
「そういう訳なんで、来年から皆さんよろしく頼むわ。ほらっ、香織も貴ちゃんも頭を下げねえか」
唖然としていた香織と貴史も立ち上がり、二人で顔を見合わせてから「よろしくお願いします」と深々と頭を下げた。拍手が鳴る中、
「おし、長くなったけど、お疲れ様。来年も健康で楽しくやろうや、乾杯!」
「カンパーイ!」
一斉にグラスが掲げられ賑やかな忘年会が始まった。
松ちゃんはすこぶるご機嫌がいい。
理由は、貴史からお正月に福屋さんへご挨拶に伺いたいと連絡があったからでした。
正月が明けたら購入した新居に引っ越しも決まっている。香織が新居の存在を知ってから何と半月後に引っ越しとなった。
籍を入れるのはまだ先らしいが、松ちゃん念願のバージンロードの夢もそんなに遠くないうちに叶うとあって嬉しさに浸る松ちゃんなのであります。
「香織の事を頼むよ、貴ちゃん」
「はい、必ず幸せにします」
まるで結婚式の様な会話をしてグラスを合わせている二人の姿は、香織にとって貴史と出会う前には絶対に想像できなかった光景であった。
忘年会は賑やかに進みカラオケが始まる。
JK軍団のダンスパフォーマンスには若い男性も年配の男性も目が釘付けとなっていた。
若いって素晴らしい、香織はしみじみと思っていたのでありました。
それぞれが思い思いに席を移動して楽しんでいる中、ツンツンと隣の貴史が香織の腕を突いてきた。
「ん、なに?」
「ところで引っ越しの準備は進んでる?」
「あっ、うん。あとは身の回りの物だけかな。古いものは処分するし。貴史さんは?」
「僕の方はもともと荷物も少ないから正月休み中には終わる」
「じゃぁ成人式には引っ越せるね」
「そうだね、やっと一緒に暮らせる」
「今だって殆どあたしの部屋に寝泊まりしてるんだもん、一緒でしょ」
「そこは、もっとウキウキするとこじゃないの?僕は楽しみしているんだけど」
貴史は香織のそっけない返事に不満げに言う。
「見かけによらず貴史さんて乙女なのね」
ククッと香織が笑うと
「そんな事を言ってるとここでキスをしますよ」
冗談をと言いかけ貴史の顔を見ると目が本気だと言っているのを見て、こんなところでそれこそ冗談じゃないと「スイマセン」と謝り慌てて目を逸らしたのでした。
貸し切りにして貰った忘年会もあっという間にお開きの時間となりました。
「良いお年を~」と
香織と貴史は店を出て行くみんなの後ろ姿を見送り自分たちも帰路に着いたのでした。
香織にとってお客様というよりも大切で大好きな仲間と過ごせた忘れられない日となりました。
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