呑気な薬師と領主さま

アキノナツ

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本編

終】ヴィクトルの想い(捕まえるまでの話)《後》

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後半です。


==============


 
 ずっと彼を探す事ができればいいのだが、戻らないといけない。私にはしなければならな事がある。

 とっとと領主なんて辞めたいが、エミルがどういう状態なのか分からないのだから、見つけた後の事も考えると、基盤は必要だ。…王太子も怖いしな。

 本音は、ここかも知れない。考えないようにしてるが。本当に何を考えてるか判らない…怖いんだよ…。

 エミルの行方は分からないが、『幻の露店』の跡を追った。少しでも手掛かりになりそうな事には縋りたい。何か関わってるかも知れない。

 地図を広げ、今日聞けた場所に印をつける。

『幻の露店』は国外でダンジョンの付近に出現している。ダンジョン…冒険者なら近づきやすいな。
 もっと情報を集めるには、国外に出る事になる。依頼してもいいが限界もある。自分で行くのが一番だ。

 出入国手続きが面倒なので、偽名で冒険者ギルドに登録する事にした。

 国交のある国の往来は、ほぼフリーパス。ある程度の等級が必要になるが。情報を集めながら国外に行ける等級まで最速で上げた。
 A級まで上げればもっと自由度が上がるが、これは国外に出てからでも出来る。兎に角、早く軌跡を追いたかった。追えば、もっと多くの手掛かりが手に入るだろう。

 エミルも商業ギルド辺りに登録してるはずだ。以前も登録してたはずだから勝手を知っているだろうし…。
 何度も所在をと掛け合ってみたが、けんもほろろだった。あまり執拗いと変な勘繰りと領地への嫌がらせもありそうだから程々にはしている。口が固い…。

 ギルドは登録者には納める物と仕事をしていれば優しい。余程の事がない限りは外に対して口が固くて敵わん。私自身も冒険者ギルドの恩恵を受けてるので分かるんだが…。

 冒険者になった事で、手掛かりに近づけた。
 A級に上げるために組んだ冒険者と繋がりが出来て来た結果だった。

『幻の露店』に出会えたという冒険者たちに接触は出来たが、どの冒険者も店主の薬師の印象があやふやというか皆無だった。
 確かに会ったのに、覚えてない事に初めて気づいたようで、本人たちも不思議だと首を捻っていた。

 尋ねられるまで気づかなかったようだが、店の特徴というか様子は分かった。

 こちらも『幻』というだけあって厄介だ。
 看板だけが目印としか分からないときた。不思議な店だ。看板を見つけると、店が現れるのだとか。高品質の商品を手にしているのだから、店はあるはずなのに…。
 そして、最近は店を見かけてないとも言われた。

 地図を改めて見る。出現してる順に辿っていく…。

 海に向かってる?

 ーーーー海か。

 港で小柄な男と露店の聞き込みをするが、掠りもしない。

 この辺りのダンジョンでは『幻の露店』の情報がない。そのまま期限が来て帰る。

 親戚スジから連れてきた青年は難なく領地の運営をしてくれてる。
 優秀なので、期限を区切らなくてもと思うが、私のサインが必要なものもあって、まだまだ往復の日々だった。

 だが、近々譲れそうだ。
 手紙で王太子に領主譲渡を打診してみる事にした。
 冒険者のも慣れた。エミルが見つかったら、彼と旅をしながら…身体の自由が利かなくなってるなら、どこかに定住もいいのではないかと淡い夢を抱いていた。

 教会の方には『エミルは死んだ』と報告している。珍しい植物を採取に行って、運悪く魔獣に遭遇し、食い殺された。人を襲った魔獣は、駆除された。
 というか筋書きで…。

 書いて思ったが、あまりにすんなりした…芝居のようだと。

『幻の露店』の店主はエミルだとなんとなくだが、確信があった。だから、これを追ってるんだが…。

 港を中心に方々に足を伸ばしたが、露店の情報は完全に無い。

 火山島にも足を伸ばした。

 旅行者の話を聞いて回った。
 髪の色はもう限定はしなかった。髪染めを使ってるかも知れない。長さだって変わってるだろう。

 童顔の小柄な男。
 露店をしてたのなら、大きな荷物。
 そんな風貌の旅行者はいなかったかと。

 地道に聴き込みをしていく。

 そんな中、絵描きの小柄な男の話が引っ掛かった。
 小柄な男は、少し嵩張る荷物を背負って、小さなスケッチブックに熱心に島の植物を描いていたらしい。

 エミルのような気がする。

 絵描きの情報も微かになった頃、食堂で砂漠の方からやってきた男の不思議な話を小耳に挟んだ。

『少しずつだがオアシスが広がっているらしい』

 広がっている?
 縮小はある事だが…。
 不思議な事もあるもんだと話が次に移っていった。

 砂漠にオアシスが出現するのは知ってるが、長く続いてもそれはいつか消えて、また別のところに現れる。それが世の常だと思っていたのだが…。

 エミルも不思議な男だった。不思議な事があるところに彼がいるような気がする。

 砂漠の国方面へ向かいそうな船を探して、大急ぎで手続きをした。



 オアシスに到着早々に、知った魔力の匂いに出会った。

 挨拶なしに胸ぐらを掴んだ。
 街のメインストリートのど真ん中。
 魔力が絡み合った。周りの人間が慌てて離れて、遠巻きにしている。
 相手も私のことを知っているようだった。

「待った。ここはまずい。移動しよう」

 冷静な声音に、つられて冷静になった。
 それもそうだ。
 騒ぎを起こせば、ギルドが黙っていない。制裁金は痛い。私よりも若いこの男の方が余程落ち着いている。冒険者としても上なのだろう…。
 だが、この男には負けられない。

 砂漠で対峙して、互いに理解した。

 魔力は同程度。やり合えば無傷ではすまない。戦場ではない。ギリギリの対決は不毛だ。
 ほぼ同時に相手も練っていた魔力を霧散させる。同じ事を考えたようだ。

 決闘は始まる前に終わった。
 だが、ここで引き下がる訳に行かない。目的は力試しじゃない。

 ジリジリ照りつける太陽の下、訊きたい事を口にした。

「エミルをどこに隠した?」

 ねじ伏せるのは諦めたが、単刀直入に切り込んだ。

 返してもらう。

 コイツしか彼を連れ出す事ができる人間はいないはずだ。怪我をした彼を保護してくれたのだろうか。だったら、連れて来てくれれば良かったのに…。

 エミルに帰って来れない何かがあったんだろう…。エミルはもしかしたら記憶を無くしてるのかも。だとしたら、彼が連れ去って、隠したんだ…。

「…怖いですね。隠したところで、仕方がないか。彼は、行方不明です。火山島までは一緒だったんです。オアシスに向かったまでは分かったのですが、ここで足取りが消えて…」

 行方不明?
 ここで消えた?
 コイツは、何を言ってる?

 エミルはどこだ…?

 あと少しで会えると思ったのに…。コイツが隠してないのなら…。どこだ?

 当初に考えた事を思い返す。
 この緑が広がってるのに関わってると思ったんだ。

 彼は土属性だ。
 植物好きだった。
 離れの庭の隅で薬草か何か育てていた。

 行方不明なんて……行方不明ってなんだ?

 手がかりがない?

 彼に関わりそうなのが…もう無いって事…?

 もう……会えない……のか?

 力が抜ける。膝が砂にめり込んだ。

 彼に、エミルに、会えない…?

 ここで土いじりをしてるのではと思ってたのに。

 こんなところで何をしてるんだって、笑ってやろうと思ったのに。

 迎えに来たって言ってやろうと思ったのに。

 今度こそ、いっぱい、いっぱい、話そうと思ってたのに。

 ウソだ…。

 気づいたら、泣いていた。倒れそうになる身体を両手で支える。焼けた砂が掌を熱する。

 やっと会えると思ってたのに……。

 砂を両手で握りしめた。吸われていく涙の跡を見ていた。
 ギチギチと砂に爪を立てる。指の間を砂が逃げていく…。エミル……。

 涙が止まらない。
 堰を切って溢れてくるものを止められなかった。
 嗚咽を溢しながら泣いた。

 肩に手が添えられた。
 男が慰めてくれてる。
 さっきまで殺してやるって圧を飛ばしていた相手を慰めてる…。

 この男はお人好しかッ!

 お人好しは私が泣き止むまで側にいてくれた。
 街に戻って語り合った。

 エミルは私から逃げてると言われた。悪い男だったら、騙してでも追い返そうと思ったが、そうでもないからと色々と話してくれた。

 おしゃべりな明るい男だった。ついでにお人好しだ。そして、悔しそうにグラントリーは自国に帰って行った。

 そうか…。エミルは私から逃げてるのか…。何故だ? 理由が聞きたい。彼と話がしたい…。

 あの最後の夜。口づけしたあの夜。想い合えたのではなかったのか…?
 私をあんなに甘い声で呼んでくれたではないか。濡れた目と声が私を誘ってくれた…。




 オアシスに何度も通い、やっとこの辺りをふらふらしてた変な旅行者がいたと少年の証言を得れた。
 随分前の事だし、すれ違った程度の記憶だから曖昧だと念押されたが、確信していた。
 背格好は、エミルだった。
 手や腕に草花や蔦のような模様が描かれていたらしい。
 その模様が綺麗で、生きてるようだなとじっと見ていたのだとか。それを施してるのが男だったので驚いたのを覚えていたそうだ。

 あっちに向かったと指差した。その方向に足を向ける。

 楽しそうにふわふわしてる変なおじさんだったと。

 エミルは旅を楽しんでいたようだ。

 少年の見かけた頃の緑の端はこの辺りだったはずだ。ぐるぐる見て回るが何もない。当たり前か…。

 この付近の民家にでも聞き込みしてみるか…。

 暑い。
 木陰で水を飲みながら、乾いた風を感じつつ眠っていた。


『領主さまかな?』
 それがヌシさまとの出会いだった。

 明るいのか暗いのか分からない空間で、声のぬしが、足元を指さしたような気がした。

 透明な板の上にいた。床だろうか。氷かガラスのようだが、透明だとしか分からない。

 指し示す方を見れば、何か白い物があるような…。目を凝らす…。

 エミルが丸まって横になってる。寝てるのか?

 手が届かない。呼び掛けても声が届いていないようだ。
 殴りつけるように叩きながら彼の名を何度も呼んだ。

 目覚めて、夢だと思いつつも、手掛かりに縋りついた。

「エミル、見つけた…」

 呟いていた。夢での事なのに手が痺れている。叩き続けていた感覚が残ってる。

「もう消えないでくれ」

 願った。ヌシさまとは夢を通して何度か話す事が出来た。

 ヌシさまが言うには、融合してしまったエミルを解放するには、彼の依代とヌシさまへのエネルギー供給量の増幅が必要なのだとか。
 ここをもっと大きくして、エミルを移せる若木を育てる事。
 それが、今の私の出来る事。

「ここに通うよ。このオアシスを大きくする。砂漠がなくなる程に大きくしてやる。お前を解放して貰えるように。貰えるぐらい頑張るから。だから、だから、もう消えないでくれ……」

 地面に両の手をついて呟く。祈りを込めて。

 この下にエミルがいる。
 不思議な感じだがそうなのだと確信にも似たものを感じていた。
 掌に微かに感じる安らぐあの魔力。エミルの魔力だ。

 そこからが忙しくツテを使いまくっての王都と領地の往復だった。オアシスへの滞在と権利の交渉。

 国家間の事は分からないが、王太子が何かしてくれたらしい。
 またこき使われる予感がするが、致し方ない。

 私はヌシさまが指定した若木を育て始めた。

 火属性の自分にとっては試練だった。
 一度森を焼き払ってるので他の精霊にも見放されたか。
 気候的にも、条件も揃ってるはずなのに上手く育ってくれない。
 自分の木以外はすくすく育つ。
 私が手がけた木はなかなか育たなかった。

 あのやらかしから魔法も火力が思うように上がらなくなっていた。精霊に見放されたのだろう。

 ヌシさまに何度も別の木にする話をしたが、あの木が気に入ったと譲ってくれない。
 隣りの木は手をそれ程手を掛けてないのに、すくすく育っていく。

 手を掛けなければ育つのか?と思い、少し手を抜けば、途端に元気を無くす。慌てて世話を焼いた。

 手をかけ、日参し、年を重ねた…。

 時折り、夢でヌシさまと話をする。
 エミルが泣いて困ると言ってる事もあった。子守り歌のようなものを知らないかと問われた。私はその辺りは疎いので、知らないと返した。

 エミルは何が悲しくて泣くのだろう。
 やはり地上が恋しいのだろう。
 早く木を大きく育てなければ…。

 今日も手入れの為の道具を手に若木に向かう。

 オアシスは大きくなった。

 地下水の汲み上げには一定の制限を掛けつつ、水路や浄化装置を配置して、街を整備した。砂漠は存在しているが、緑は少しずつ確実に広がっている。

 若木のあった場所に人が座り込んでいた。
 裸で全身泥だらけだった。特に脚はドロドロだった。泥に浸かっていたようだ。

 背格好は忘れもしない愛しい男の姿で。
 あの時のままで。

「エミル?」

 振り返った涙に濡れた顔は紛れもなく彼で。
 泥で汚れた顔でも分かる。
 会いたい人に漸く会えた。

「ヌシさま、感謝します」

 この温もりを、もう絶対に離さない。




 互いに渇望する熱も落ち着いた頃合いで、腕の中の温もりを確かめるように撫でる。肩を引き寄せ、脚を絡ませる。熱がまたぶり返しそうだが、肌を密着させていたい…。

 眠いのかぽややんとしたエミルに、私から離れた後の事を質問してみた。

 彼は、なんて事は無いといった風に答えてくれた。
 私は彼を腕の中で身動きも取れない程に抱き込んで逃さないようにしていた。

 ……話す内容は予想はしていた。
 予想は大体合っていたが、話す様子は…。

 自ら耳を削ぎ落として、魔獣に食べて貰ったと話す様子は、身振り手振りで「ちょっとそこまで行ってね」と話すような呑気な声音と表情だった。
 自らの身体を最もあっさりと傷つけられるものなのか。
 呑気な陰に得体の知れない何を感じて、絡めた手足を更に強く絡める。

「そうだ! ヴィクトルさま、温泉に行こう。海は見た?」

 さっきまで少し眠そうだった彼が、パッと顔を輝かせて、楽しそうにそんな提案をしてきた。
 私の話を聞いていたのだろうか。私はこんなにもあなたを求めて…。
 彼にとって過去はそれ程重要ではないのか。

 今、現時点では、重要じゃないって事かもしれない。
 ほんの少し、彼を分かった気がした。

 先の事…。
 そうだな。この手を離さなければ、彼は去っていかないだろう。
 彼の指先に唇を押し当てる。

 柔らかく微笑んで、私の手を引き寄せてキスを返してくれる。
 長く慣れない土いじりで荒れていたはずの手は綺麗になっている。荒れていたのが嘘のようだ。

「温泉でも何処でも。あなたが行きたいところに行こう。ただ、仕事をしないと王太子に怒られるので、次の休みになりますよ?」

「構わないよ。僕は薬でも作ってるさ」

 嗚呼、あの音を聞けるのかと思うと心が躍る。
 しっかり、優しく、抱き込んだ。
 くふふ…と擽ったそうに笑う彼。

 好きです。何度だって言う。もういいよと言われても、この耳に囁いてやろう。

 もう何処にも行かせはしない。
 私の側から離れないで。






=================


本編というか、『出会いから結ばれるまで』のお話が終わりって感じですね。
次は、後日談を挟んで『続編』に続きます。
『続編』の方がファンタジー要素が強いですね( ̄▽ ̄;)
後日談は、お人好しのグラントリーさんのお話です。


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