呑気な薬師と領主さま

アキノナツ

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本編

後日談】王子としての日常(グラントリーのお話)

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グラントリーの帰国後の様子です。
砂漠の国から分かれて、数ヶ月あたりかな。



===========


 
 この紗は良く出来た布だ。
 綺麗に畳んだ布を広げて被る。

 はぁ…落ち着く……。

「それ、返しておいでって、何度も言ってるよね…?」

『隠匿の布』なのに、この男は真っ直ぐここに来る。
 どうして分かるんだろう…。
 布があるだけだぞ。
 その布だって存在は希薄なはずなのに。
 俺はちゃんと布に入ってるぞ。エミルさんみたいにはいかないのかなぁ…。

 仕方なく顔を出すが、不満だ。

「嫌だよ」

 不満を全面に、言い切る。

「珍しく粘るね…。元の場所に戻しては、……無理だよね。困ったね…。持ち主の里にでも返してあげようね?」

 しゃがみ込んで俺と目線を合わせて、心底心配顔で俺を見てる。

「…あの男にとか?ーーーーーヤダ」

「リー、わがまま言わないの。未練たらしくいつまでも駄々捏ねてないの。というか、なんで持って帰って来てるの? 人の物を勝手に持って来ちゃダメだよね?」

 俯き加減で膝を抱えてる俺の顔を覗き込んで言い募る。お前も執拗い。子供に言うみたいに…。俺はもう子供じゃないんんだ。ほんのちょっとしか年が変わらないのに、なんでお兄さんポジションなんだよ…。

「だって…。アイツに渡したくなかったし、コレが俺の手元にあったら、彼が取りに来てくれるかも知れないだろ?」

 むくれて、立てた膝の上に顎を乗せてブーブー。

「その彼は、行方不明なんだろ? 遺族に返さないと」

 またッ!

「エミルさんは死んでない!」

 布を被った。鼻の奥がツーンとする。分かってる。でも、彼は死んでない気がする。きっと何処かに居る。

「あー、ごめん…」

 似たような事を幾度となくやり合ってる。

 幼馴染みで、今は俺の側近として配属されたキースは、エミルさんは死んでると思ってる。でも、悪気があって言ってるんじゃないのは分かってる。俺の為を思って言ってくれてるんだ。

「なぁ、リー、彼さんがここにコレがあるって事は、その砂漠で別れた人なりに知らせないと分かんないよ?」

 そうなのだッ。そこなのである。分かってるんだが…。

 あの時、ヴィクトルさんに渡そうと思ったんだけど、土壇場で何も言わずに持って来てしまった。持って来てしまったぁ~。

 始めての衝動的行動。

 こんな意地悪な事をしてしまったのは初めてで…。初めての行動過ぎて対処が分からない。

『ごめんね』って渡すには時間が経ち過ぎてしまった。
 言い訳さえ思いつかなくて、道具類を綺麗にしたりして、エミルさんが取りに来てくれるのを思い描いていた。

「それに、彼さんに正体明かしてないんでしょ? あなたへの手掛かりゼロでしょう」

 ごもっともです。へこむ…。

「むぅ…。S級に昇格したら、もう一度告白しようと思ってたんだよ。その時に明かすつもりだったんだ。お嫁に来てって言うつもりが、ドラゴンダンジョン出て来たら、居なくなってるんだもん!」

 あの時の絶望感ったら、キース分かるか?!と言いたいが、絶対コイツ『ケッ、知るか』と一瞥で俺の心をズタズタにするんだ…。分かってるよ。自分が子供ぽい事を言ってるってッ。

「で、ドラゴンに嫁に来いって言われてるんだよね?」

 そっちの話題? ドラゴンの話題に移って、少し気分も落ち着いて来た。

「断った」

「鱗貰ったんでしょ?」

 貰ったね。くれるって言われたから。エミルさんにも見せたかったし…。

「だって、ギルドへの攻略報告に必要だし…」

 要るんだったんだよ。あちらも事務的の渡して来るはずが…なんでああなったんだろう…。

「それって1枚で良かったんだよね? なんで4枚も貰ってるの?」

 そうなんだよね…。気づいたら手の上に乗ってた。

「あのドラゴン野郎が、俺が『何言ってるんだ?』って考えてる間に、手の上に鱗を積み上げただけだよ。痛いだろうから1枚で良いって言ったよ? 傷が付いたら、生え変わりで取れるからって。俺いっぱい切り込んだし~。自分で剥いでたけど、大丈夫じゃないの?」

 勝利報酬として、事務的に渡してくれる筈なのに、渡しながら『気に入った。嫁に来いッ』言ったんだよ。訳分からんじゃん。ニコニコと鱗を積んでたドラゴン野郎を思い出す。

「ーーーーそれって、求愛と思うが……。断ったんなら大丈夫か?」

 キースは、リュックの中を見てる。
 スケッチブックを出すとペラペラ捲って、あのページで止まる。何度も見せられてる…。

「この人に返すべきだって。リーも分かってるんだろ?」

「ーーーーー分かってるよ」

 俺が会ったヴィクトルよりは数倍柔らかな表情の彼が描かれてる。エミルさんの前ではこんな顔してたのかな…。これを描いたエミルさんの気持ちが…見れば、分かるさ。

「キース、『グランさん』って言ってみて?」

 自分でも情けない声だと思う…。

「はぁ~、キモッ」

 布から出て来て、キースを抱きしめてみる。
 背格好はエミルさんと同じ感じ。弱々な感じも同じ。でも違う。

「あー、あー…『グランさん』? ……これでいいか?」

 声の調子を整えて、以前俺がお願いした感じに近づけてくれてる。努力は認めるけど…。

「ーーーーーーやっぱり違うんだよなぁ」

 俺の変なお願いを叶えようとしてくれる…。ありがとう。

「当たり前だろ」

 胸に顔を押し着けて不貞腐れたキースが唇を尖らせて、されるがまま抱きつかせてくれてる。態度は冷たいんだよな。気持ちはいつもあったかいのに…。

「私が留学から帰ったら、お前が武者修行及び国外視察に行ったと聞かさせた時の驚きを知らしめたいわ。……生きた心地がしなかったぞ」

 俺の胸にため息。

「ごめん」

 背中を詫びを込めてトントンする。本当に心配性なキース。

「無事で良かったが、こんなに筋肉つけまくった体にして、逞しくなったのはいいが、王室の剣技を忘れるような双剣って。父が嘆いていた。戻しといてくれ」

 近衛騎士団の団長が彼の父で俺の剣の師匠。兄たちの師匠でもある。
 俺は、身体も弱かったから始めるのも遅かったのもあって、まだ免許皆伝まで行ってない。行ってないけど、修行の許しは貰えた。
 無理矢理のお願いだった気もする…。外に出るチャンスだったし…。師匠も分かってくれた。
 師匠は、自分の剣技も覚えて欲しんだろうな…。俺、可愛がられたから。

 でも、冒険者仲間に双剣の達人がいて、一目惚れ。切り替えてしまった。師匠も色々学んで来いって言ってたもん。

 S級の冒険者になった今は超がつく腕前である。まぁ、王室の剣とは違うのが問題ってだけだな。型だけは覚えるつもりだけど。式典の時とか格好つかないとか言われそうだし。

「父や兄たちは好きにしていいって言ってくれたよ?」

 式典仕様の双剣もカッコよくない?

 お前の親父殿も似たような事言ってたんだけどなぁ。今度、その剣と双剣で手合わせする予定なんだ。それで決めるのかな…。

「甘いんだからなぁ。王様も殿下たちも…。胸筋って気持ちいいな…」

 お前もな。ん? キースがもそもそなんか言ってる…。気持ちいいの?

「え? そう? どんな感じ?」

 エミルさんも気持ちいいって思ってもらえるだろうか。もっと鍛えようかなぁ。

「んー、ふかふか? 張りもあるし…。弾力がちょっとクセになりそうな…」

 胸に顔をフニフニ擦り付けてくる。
 仕草は可愛いんだ。仕草は。

 エミルさんぽい感じもするんだが、キースは何故か誰も呼ばない『リー』と昔から俺を呼ぶ。昔は『リーくん』だったかな。ちっこくて可愛かったなぁ。

『グランさん』って呼んでくれたら、エミルさんぽい感じで幸せ気分だけでも味わえるのに…。

「私を代替にしてないで、返す算段をしなさいッ」

 スイッと腕の中から離れて行った。

 第3王子といっても何もしないでいい訳ではなく、それなりにお仕事がある訳で、これらのスケジュール管理や何やらをキースが仕切ってくれてる。

 その勉強の為と見聞を広める為に、4年程留学してくると旅立ってすぐに、俺も旅立った。

 父も母も兄たちも笑顔で送り出してくれた。
 キースが居たら間違いなく止められていたので、楽勝の旅立ちだった。

 そして、俺は運命の人に出会ったと思う。

 ハァ~、エミルさんどこに行っちゃったんだろう。大事な荷物置いたまま。
 宿屋の女将さんがなんとなく取っておいてくれていた荷物。

 返さないとかぁ……。
 返したくないなぁ……。

 なんとか時間を延ばしたい。手元にもう暫く置いておきたいが、キースとこのやりとりをするのも少し飽きた。罪悪感もある。

 なんとかはしたいんだ……。

 !!!

 いい事を思いついたッ!

 早速お手紙を書く準備。

 ちゃんと正式な王子としてのお手紙。
 俺の印章の封蝋もする準備もした。

 宛名はエミルさんのお国の王太子殿下。
 サラサラとしたためる。

 以前兄のお供で行った時に顔見知りになってる。ちょっと浮世離れしたふわふわした印象だったが、噂ではちゃんと王太子をやってるようだ。

 その手紙にドラゴンの鱗も添える。
 手元に一枚しか残らないが、記念品としては一枚で充分だ。

 ちなみに、鱗の行き先は、一枚はギルド、一枚は王様ちちうえにお土産のひとつとして渡した。
 そして、残ったコレを手紙と一緒に梱包して封蝋。
 更に厳重に包み、ギルド便にする。

 ギルド便。
 各地のギルドをリレーしながら、冒険者の手を介して目的地のギルドへ到着した後、包みが開けられ、そこから宛先に届けられるという、のんびりとした便である。しかも時折り行方不明になったりするちょっとリスキーなスリリングな郵便システムである。

 さっさと出してこよう。

 部屋の窓から外に飛び出した。表に回ってる時間が勿体無い。王城って広いんだよ。

 3階の窓から人が飛び出したら、びっくりされたが、指を口の前に当てて、ニッコリ笑えば、引き攣った笑顔で皆許してくれる。仕方がないですねの言葉も貰える事もある。
 キース以外は皆こんな感じだ。

 彼だけだ。なんで小さい頃と同じように接するのか。もう守って貰う必要はないんだけどなぁ。




「お手紙出して来たから」

 ひと仕事終え、王子のお仕事をしてる。机の向かってますよ。書類カキカキ…。
 次の書類を手に戻ってきたキースに笑顔で報告。

「誰にですか?」

 眉間に皺! 知的な顔が残念顔だぞ。
 なんでそんな顔になるんだよ~。

「エミルさんの国の王太子殿下宛」

 パッと明るい顔になった。小春日和の笑顔。そっちの方がいい。

「それはいいですねッ。あなたにしては、いいですよ。うん、いいです」

 褒められてるのか?
 釈然としないが、これで、あの不毛なやり取りはなくなる。

 良かった、良かった。

 ペン先をそっとインク壺につける。

 いつ届くかなぁ~。






================


ちょっと拗らせ気味ですが、彼とっても若いんです。
エミルは初恋になるのでしょうか。

昔は小さくて力も弱くて、今は筋肉でパツパツです。
立派に育ちました。まだ筋肉は育ちそうですが、式典などの服が着れなくなりそうなので、キースから筋トレは禁止を言い渡されてます。
仕方がないので、剣のお稽古頑張って、筋肉育ててます。


さて、次から『続編』です。
ドラゴンとか精霊とかダンジョンなどファンタジー要素のなんやかやが出て来ます。
よろしくお願いします。


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