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続編
後日談】ドラゴンとの日常(グラントリーのお話)
しおりを挟むここからは、それぞれの日常を切り取って。
===============
「グラン、遊びに来たぞいッ」
低く腹に響く声が窓の外でする。
ここは3階である。
そして、相手の言う『遊び』がヘビーなのである。
「また来たのか? この前来たところだろ?」
窓辺に近づき開くと、心地よい風が頬を撫でた。
宙に浮いてる赤い髪の男。長い赤い髪が炎を彷彿とさせる。
バッサ…バッサ…と大きな蝙蝠のような羽を器用に動かしてホバリング。
追い帰すべく顔を出す。
「毎日でも会いたいぞ。お前は飽きぬ。いい匂いもするしの~」
なんか言ってるよ。
今日も服を着てる。ついこの間まで全裸だったのに…。
紅の鱗を纏った裸体も美しいのだが、周りが驚くので、服を着ろと言ってたら、着るようになった。
ゆったりしてそうなのに身体に沿っているかの動き易そうだ。翼の動きも邪魔しないようで…いいなぁ。
『なかなかに見目よく変化出来たであろう?』と服を見せたいのだろうに筋肉を見ろと言わんばかりのポージングを決めていたな…。
『全裸で歩き回るな!』と蹴りを入れてやったのは、ついこの前なのに懐かしい。
あの服は、エミルさんからのプレゼントらしい。
羨ましい。
「いい匂いって、俺はお前の食料じゃないからな」
人の身体を模してるらしいが、爬虫類との間をとったような感じで、実を言うと、ちょっと触ってみたくもあった。
戦闘時に何度か触れそうなチャンスはあったのだが、向こうは素手の格闘で、こちらは双剣の剣技では、素手で身体に触れるのは、不自然だと思って手が出ない。
かと言って、触らせてというのも…。
エミルさんはドラゴンの時に乗っかって触ってたんだよなぁ。
ひんやりしてたりするのだろうか。触り心地ってどんなのかな…。
人の肌のようなところは、人のように柔らかかったりするのだろうか。
腹のあたりは、俺たちみたいに前にアレは無かったし、ツルッとしてたけど、どうなってるんだろう…。
なんて事を思ってるなんて、これっぽちも知られたくない。
だって、お前に興味あるみたいな事になるから。そうしたら、また、嫁に来るか?って成りかねない。
「今は喰い時じゃない。イキが良すぎる」
尊大な態度で、俺の旬を言ってきた。
食べどきってあるのか?
俺、本格的に食糧?
「今、仕事中だ。忙しいから帰れ」
シッシと手を振った。
「休憩じゃ、休憩。出てこい。勝負をしようではないか」
俺のスケジュールを勝手に決めて来た。それはキースのお仕事だ。
「休憩……。1戦だけだぞ? 俺が勝ったら、俺がそっち行くまでこっち来んな」
実は、書類仕事に飽きていた。
魅惑的なお誘いなんだよなぁ。でも、度々では示しがつかない。
それに、行き来するなら交互にがいいだろうと思ってるので、それをこの勝負で施行に持っていきたいと思う。
うんうん、建前OK。
俺もちゃんと出来るようになってきたな。
という事で、後ろのキースにお伺いを立てる。
振り返った先に『仕方がないですね』と手を振ってる。半笑いだ。
スケジュール管理者のキース氏の許しが出ました。勝てよと目が言ってます。初めの頃は心配そうだったが、随分慣れて来たようだ。
「さっさと終わらせて下さいね」
堅苦しい上着を脱ぎ捨て、得物を帯びると、飛び出す。取り消される前にさっさと行動あるのみッ。
重ねて言うが、ここは3階。
「リーッ! 防具ぐらいつけて下さい!」
遠くでキースの声がするが、膜を通ったと感じたところで外の音が遮断された。
ドラゴンが作った防音防弾の空間で対峙していた。
いい物を作ってくれる。
これなら魔法弾も打ち放題だ。
「時間は無制限で良いか?」
シタッと尻尾が揺れる。嬉しそうだ。俺も楽しくて仕方がない。
「阿呆か。日暮れまでだ。ヒト相手にしてるのを忘れるな」
ステップを踏んで準備運動。相手から視線は外さず首を動かして解す。肩を回す。書類仕事で肩が凝った。
「そうじゃ、我が勝った時を決めとらんかった……」
相手は腕組みを解いたが、顎先を掻きながらポツポツと何か言ってる。確かに決めてなかったな。
視線で『言え』と促す。
「嫁に来んか?」
ニカッと笑ってる。冗談ばっかり。
「そればっかり。嫌です!」
茶飲みに行ってやるから大人しく待ってやがれよ。
準備運動は終わり。
詠唱、無詠唱を織り交ぜなから、魔力を練り、地を蹴った。
今日も楽しい時間の始まりだ。筋肉が鳴るぜ!
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今回は、グラントリーの日常。
次は、主役カップルのイチャイチャを予定してます。
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