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続編
後日談】ドラゴンの日常(火竜視点)
しおりを挟むドラゴンを交えた二人の日常を少し。
=============
「たのもう!」
ビリビリと早朝の空気に美声が響く。エミルが住んでいるオアシスの屋敷に来た。
太陽が薄っすらと光を滲ませている。
明るくなって来ているのだから、人の活動時間であろうと来たのだが、返答がない。
屋敷の中を探ると動く人の気配。
寝ておったのか。
人の子とは、寝坊助なのだのう。
グランに会いとうなって出掛けるようになって人に気が向くようにはなったが、よう分からん。
辺りは朝靄で煙って、白い光が乱反射し始めた。太陽が顔を出し始めたのだろう。
グランのところへ行く前に、懸案の事を頼みに来たのだが、暫し待つ事にした。
動き出したわい。
ダボっとした服を着て、茶色髪をぼさっとさせた小さな光の子が来た。
最近は光の力は弱く、色々変化しておるが、本質は変化しておらん。面白い者だ。
「どうしたの? ドラゴンさん」
「寝ておったのか。寝坊助だの」
「ドラゴンさんが早いだけだから」
大きな欠伸をしておる。手を添えて口の中は見えぬ。
そうか、早いのか。
グランを怒らせそうなので覚えておこう。
「中入って。お茶用意するから。お話があるんでしょ?」
「お前は話が早くて良いのう」
尻尾が揺れてしまう。この子は我の事をよく分かるようだ。
大きい方が茶を用意しておった。こっちはどうも苦手じゃ。側にいる精霊の声が騒々しいのが原因なのだが、精霊は楽しいそうなので、邪険にはしておらん。
「僕、顔洗ってくるぅ~」
エミルがペタペタと離れて行く。
此奴と二人っきりなのか?
気まずいのぉ。
茶を勧められる。
此奴も気まずそうだ。
無言で茶を啜り、焼き菓子を摘んで待つ事にした。
ヴィクトルと言ったかの。奴は調理の準備をし始めた。互いに顔を合わせる必要なくなって良い良い。
戻って来たエミルが、呆れた声で話し始めた。
「暇なの? ダンジョンはどうしたんですか? 貴方ラスボスですよね?」
なんだ、あれか。
もう幾年もやってると飽きるので、人の子がしてるという当番制というのを導入してみたので、今日は自由じゃ!
「暇ではないぞ。ダンジョンは黒竜に任せて来た。ギルドにも伝えたから、ラスボス欄もそう書かれてると思うぞ」
胸を張って言い切れる。
やましい事は何もない。
グランのところに行くから忙しいのだ。
で?という顔をしておる。
そうじゃった。
「グランがの、全裸で歩くなと申すのだが。服はのぅ、飛ぶにしても尻尾を動かすにも不便で、外向きの用事や式典ぐらいしか着んのだ」
コレは、相談というヤツじゃの。
人の事は色々調べてるからよく知っておるぞ。
「式典?」
「我はコレでも長じゃ。外交など色々面倒な仕事があるのじゃ」
番が顔を見合わせておる。『知ってた?』『知らん』と言葉を交わしておる。我を放ったらかしか? 何か変な事を我は言ったか?
「で、僕たちになんの用?」
そうじゃった!
エミルと話しておると、ゆったりまったりしてしまう。
「エミルは、面白い布を持っていたであろう? あれな布を作れるところでは、動きやすく耐久性のある服ができるのではないかと思ってのぉ~」
羽を緩くクニクニと動かして見せる。
「あー、あれね。アーベン国で購入したんだよ。あの国は魔道具とか進んでるから……。あー、グランさんと勝負し易い服が所望なんですね」
話が早い。相談して良かった。楽しくなって笑顔を作ったら、怖がられた。
「お前は、ほんと話が早い。頼む」
話は終わりじゃ!
さて、グランのところに行くとしようか。
「えっ? 頼まれるんですか? 自分では? 自分の服ですよね?」
エミルが捲し立てておる。そうか。自分の服だから自分で。当たり前じゃのう。だが……
「んー、我が国を跨ぐと色々と五月蝿いのじゃ」
はっきり言って面倒臭いのじゃ。頼まれて欲しいのう。
顎先をカキカキ悩む。
「分かった。引き受けるが、サイズが分からん」
ヴィクトルが引き受けてくれるらしい。エミルは『すでに国境越えまくりですよ?』と喚いてるが放っておこう。
エミルに頼むつもりだったが、番なら同じ事だな。こっちに乗ろう。
「あー、細く採寸して作ったのがあったのぅ。明日持ってくる。今からグランのところに遊びに行くから忙しいのじゃ」
アレは、国の者が我の身体を測りまくって作ってくれた物だ。気に入っておるのだ。民の者の気持ちが篭っておる。
肩を回して準備運動をする。
ここを往復してから、グランのところでは、勝負が時間切れで引き分けじゃ。
なので、明日で良いであろう。
急がねば。
シタシタと尻尾が揺れる。
「分かった。作ってくれそうなところを探してみるから。明日か…留守なら、ここに置いて行ってくれ」
ヴィクトルが手を差し出して来た。
おお! 締結というヤツだの。
手を握る。火属性の強い魔力が流れてくる。
気持ちのいい魔力じゃ。
こちらも流してやった。
暫く魔法が使いやすくなるじゃろう。
エミルが頷いている。決まったなら添ってくれるのじゃろ。いい番じゃ。
良き物が手に入りそうじゃ!
シタシタと尻尾が揺れた。
気分爽快じゃ!
グラン待っとれッ。
喜びにいつもより颯爽と風に乗ってグランの元へ向かった。
==============
エミルがドラゴンの事がなんとなく分かるのは、動植物大好きだから。動物の機微に聡いのです。
ドラゴンはエミルにかかると動物。神聖魔獣なんですけどねぇ。
次回は、この依頼の為に二人でお出掛けです。
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